暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

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日本ダービー行ってたら知らない間にすんごい伸びててびっくらこきました…何が起こった……?
とにかく皆様に感謝を!!

なんだかんだ続けて来て30話目です、どうぞ!


策謀の時間

遊びや暗殺訓練を行いつつ夏休みを過ごしていると気づけば南の島での暗殺旅行が1週間後に迫り、今日はその訓練と計画の詰めに集まっていた。

 

勝負の8月、殺せんせーの暗殺期限まで残り7ヶ月。

 

「まぁまぁガキ共、汗水流してご苦労な事ねぇ。」

 

「ビッチ先生も訓練しろよ、射撃やナイフは俺等と大差ないだろーにさ。」

 

相変わらず派手な服を着て余裕そうにビーチチェアに寝転がっているビッチ先生に木村がツッコむ。

 

「大人はズルいのよ、あんた達の作戦に乗じてオイシイとこだけ持ってくわ。」

 

「ほほう、えらいもんだなイリーナ。」

 

「…ロッ、ロヴロ師匠(センセイ)!?」

 

偉そうにふんぞり返っていたビッチ先生が身体を震わせて振り返ると、凄まじいオーラを放つ殺し屋屋ロヴロが立っていた。

 

「夏休みの特別講師で来てもらった、今回の作戦にプロ視点から助言をくれる。」

 

「1日休めば指や腕は殺しを忘れる、落第が嫌ならさっさと着替えろ!」

 

「ヘイ喜んで!!」

 

ロヴロの言葉を受け、ヒールとは思えない速度で校舎へと走って行くビッチ先生に思わず苦笑してしまう。

 

「はは…尊敬できるラインとできないラインを行ったり来たりしてるなあの人。感謝はしてるんだがなぁ…」

 

「でもまぁ…あれがビッチ先生らしくて良いんじゃない?」

 

「どこまで行ってもギャグ要員から抜け出せないなイリーナ先生。…次、速水の番じゃないか?」

 

「そうだね、行ってくる。」

 

射撃訓練の待機列に並んでいる速水と話していた白利は、その姿を見送って視線をロヴロに向ける。

ちなみに白利は既に射撃を終えた後なのだが、結果はお察しである。

 

結果を思い返して少しナーバスになっていると、なにやらロヴロが紙の束を持って渚達になにかを聞いているようだったので近くまで寄って行く。

 

「先に約束の7本の触手を破壊し、間髪入れずクラス全員で攻撃して奴を仕留める。それはわかる、この1番最初の『精神攻撃』というのは何だ?」

 

「まず動揺させて動きを落とすんです。殺気を伴わない攻撃には…殺せんせー脆いところあるから。」

 

「…やっぱ殺せんせーの弱点メモ取っておいて良かったな、まさかこんな感じで役に立つとは。」

 

書かれた弱点の中にはシロによってもたらされた情報もあるが、殺せんせーを殺す為ならそれも利用しようと今回は割り切っている。

 

「この前さ、殺せんせーエロ本拾い読みしてたんスよ。『クラスの皆さんには絶対に内緒ですよ』…ってアイス1本配られたけど、今どきアイスで口止めできるわけねーだろ!!」

 

「「「「クラス全員で散々にいびってやるぜ!!」」」」

 

「わっりぃ〜なお前ら…」

 

前原の暴露に声を重ねて賛同する寺坂組一同とエロ本を生徒達に見つかる場所で拾い読みしている殺せんせーになんだか頭痛が止まらない。

 

「他にも強請るネタはいくつか確保してますから、まずはコレを使って追い込みます。」

 

「残酷な暗殺法だ…」

 

殺せんせーを殺す為ならなんでも利用するスタンスのE組に冷や汗を流すロヴロ。

…まぁ作戦立案の時に皆がウキウキでこの作戦を語っているのを見て、白利も実際に恐怖のようなものを感じていた。

 

「…で、肝心なのはトドメを刺す最後の射撃。正確なタイミングと精密な狙いが不可欠だが…」

 

「…不安か?このE組(クラス)の射撃能力は。」

 

「いいや、逆だ。とくにあの2人は素晴らしい。」

 

烏間先生の問いに、顎をさすりながらとある方向を見るロヴロの視線を追うように白利も顔を向ける。

このクラスにおいて射撃、狙撃技術が抜きん出て称揚される人間など白利は2人しか知らない。

 

「…そうだろう。」

 

烏間先生も表情にはあまり出してないが、まるで我が子を自慢するかのように頷き語り出す。

 

「千葉龍之介は空間計算に長けている、遠距離射撃で並ぶ者の無い狙撃手(スナイパー)だ。速水凛香は手先の正確さと動体視力のバランスが良く、動く標的を仕留める事に優れた兵士(ソルジャー)。どちらも主張が強い性格ではなく…結果で語る仕事人タイプだ。」

 

「ふーむ、俺の教え子に欲しい位だ。」

 

「………」

 

殺せんせーの顔が描かれた風船を次々に割っていく2人の射撃を見てロヴロは満足そうに頷いている。

白利は2人とロヴロを交互に見た後自身の右手を開いて無言で見つめていると、何やら様子がおかしい白利に気がついた渚が声をかけた。

 

「どうしたの月乃?じっと右手を見つめてさ。」

 

「ん?…あぁ、真っ当に射撃できてたらどうなってたんだろうなぁってさ。射撃もできる近接戦闘タイプだったのか、それとも速水達みたいなスナイパータイプだったのか。」

 

「うーん…どうだろう…月乃って投擲は百発百中レベルで上手いし月乃の特性も考えると、素早く移動しながら狙撃してくる移動砲台とかになってたんじゃないかな?」

 

『いいですね移動砲台!固定砲台と移動砲台…素敵な響きです……チラッチラッ』

 

「無茶を言うな律…でも本当なんなんだろうな、俺のこのオカルトめいた射撃の下手さは。」

 

話を聞きつけた律が渚のスマホから顔を覗かせ物欲しげな視線を白利に向けるが、当の白利はため息をつきながら自身の射撃の腕前に頭を悩ませる。

 

結局今までの射撃テストでの点数は0、烏間先生や速水達と試行錯誤しているが実を結んでいない。

 

「確か君はイリーナと共にいたツキノ…だったな。盗み聞きさせてもらっていたが、少し良いだろうか?」

 

「ロヴロさん、どうしました?」

 

どうやら他の生徒達の練習を見て回りアドバイスをしていたようで、ちょうど白利達の近くを通りかかった時に話が耳に入ったらしい。

 

「射撃が不得意だと言っていたが一度腕前を見せてもらいたくてな。安心しろ、これでも多くの弟子を育て上げてきた、何かアドバイスができるやも知れん。」

 

「良いですけど…多分ロヴロさんも腰抜かしますよ?」

 

「何、手のかかる弟子など山ほどいたさ。」

 

自信たっぷりに後ろ手を組んでいるロヴロの横に立ち、目線の先にある的に向けゆっくりとライフルを構える。

 

「ふむ…呼吸が整っていて腕と体幹のブレも極小、良い構えだ。」

 

そう、ここまでは良いのだ。

烏間先生にもここは良く褒められている。

 

「………ッ」

 

狙いを定め、トリガーに指をかけて発砲した!…が、

 

『「「………」」』

 

白利と的の中程で急にBB弾の推進力が無くなり地面に転がったのを見て、ロヴロはおろか渚と律も絶句している。

 

ロヴロは状況を飲み込もうと顎に手を添えて何度か首を捻った後、

 

「……もう一度良いか?」

 

と言葉を詰まらせながらも発した。

ロヴロの反応に苦笑いしながらも白利は無言で頷き再び構えを取ると、今度は5発連続で射撃した。

 

1発目は同じく中程で地面に転がり、

 

2発目は大きく右に逸れて、

 

3発目は青空に飛び立ち、

 

4発目は足元に転がり、

 

5発目は不発だった。

 

撃ち終わりロヴロの方を見ると、目元を手で覆って青空を仰いでいた。

 

「ロ、ロヴロさん違うんです!月乃は射撃はダメだけど投擲はすごくて!」

 

「渚、褒めてないよなそれ?貶してるだけだよな?」

 

『なぜこの様な弾道に…過去のデータや気候、銃のスペックなどを計算に組み込んでも理解不能です。』

 

「律まで…!?」

 

いまだに空を見上げているロヴロに、は腕をバタバタ振るわせながら弁明している渚と『救いようがないです』と冷酷に告げる律にツッコミが止まらない。

 

「なる…ほどな?とりあえず君の実力の程はわかった、…一応投擲も見せてもらえるか?」

 

「…見なよ月乃、ロヴロさんすごい微妙な顔してるよ?」

 

「うっさいわ…ったく。」

 

悪態をつきながらライフルを渚に渡して運動場の端に落ちている小石を3つ拾い上げ再び的と向かい合い、

 

「よっ…と!」

 

「……!ほぅ…」

 

投げられた3つの石は見事に的の真ん中を捉え穴を開けたのを見て、ロヴロが感嘆の声をあげる。

 

「投擲の正確さも見事だが、それを可能にする肉体のしなやかさと動かし方、石を保持した状態から流れるように的確に離せる手先の器用さ…フフッ、カラスマが言っていたこともわかる。」 

 

「…?烏間先生がなにか?」

 

「今朝方カラスマと色々話していてな、その話の中で君のことを『射撃の才に目覚めれば遠近こなせる大きな戦力になる』と評していたのだが…その気持ちがわかったのだ。」

 

「…って言うことは、ロヴロさんから見て月乃は射撃の素質があるってことですか?」

 

「今見た身体の特徴を加味すると…チバとハヤミと言ったか、あの2人と遜色ないスナイパーとしての素質は持っているだろうな。だが…」

 

ロヴロは懐から対先生ナイフを取り出し白利の空いた右手に握り込ませる。

 

「前にイリーナと共にいる時に言ったが、相性の良し悪しは誰にでもある。君にとっては近接と射撃がLとRのようだな。」

 

LとR、かつてビッチ先生はロヴロにE組での暗殺についてそう言われていたが、陰ながら努力を積み重ね克服してみせた。

だが白利はどうだろうか、多くの人に協力してもらっても改善の余地すら見えず今日までズルズルと引き摺り、ロヴロに言われるまで考えないようにしていたことがつい口に出た。

 

「…俺はどうすれば良いんでしょうか?秘めた才能に賭けて努力を続けるのか、今ある才能のみを伸ばし続けるのか。」

 

「……場所を移そう。少し、2人で話がしたい。」

 

そう言うが早いかロヴロは背を向けて歩き出し白利も渚達の顔を一瞥してすぐさま後を追うと移った場所は運動場の隅、他の生徒達からは離れ声を聞こえないような距離だ。

 

「さて、先程の質問への答えだが…先に君の近接戦闘を見てから決めさせてもらおう。そのナイフを俺に当ててみろ、俺からは手を出さんから好きに来ると良い。」

 

「…わかりましたッ!」

 

言い切るよりも早くノーモーションの突きをロヴロの右肩に向け放つが、軽々と身体を捩って回避される。

流れるようにナイフを横に薙ぐがそれも距離を取られてあっさりと捌かれてしまった。

 

「貪欲に()りにいく姿勢…嫌いじゃない。しかし素晴らしいな、殺意がゼロにも等しい状態…しかもノーモーションであの速度の突きを放ち、流れるような薙ぎ払い…俺の教え子の中にもいないタイプだ。」

 

余裕綽々といった様子のロヴロに駆けて、今度は蹴りも含めた更なる連撃を仕掛けるが、

 

「全体的に大振りな攻撃ではあるが、そのスピードを考えると合理的かつそれを使いこなす君のセンスは中々のものだ。教えたのはカラスマか?」

 

「はいッ…!」

 

「なるほどな、あの男もまた素晴らしい教官のようだ。」

 

コチラが必死になって攻めているというのに、対するロヴロは顔色一つ変えず烏間先生の教官としての腕を称賛しながら白利の刺突を受け流す。

 

(……ロヴロさん、俺の攻撃を見てから反応してる!?)

 

「引退したといえ、まだまだ殺し屋の卵に負けるつもりは無いさ。」

 

「なら……これでッ!!」

 

左から右へナイフの薙ぎ払い…をブラフにし、上体を反らしたロヴロの足に加速させた左足のローキックをヒットさせる。

 

(…ッ重い!)

 

『バチンッ!』と肉が強く打ち付けられる音が響き、その威力からかロヴロは体勢をほんの一瞬であったが崩した。

そして白利にはその一瞬を見逃さず、

 

「そこッ!」

 

勢い良く踏み込みロヴロへとトドメの刺突を放ったが……ふと、ロヴロの顔から視線が外せなかった。

ロヴロのその顔には焦りの表情など浮かんでおらず、

 

(笑って……)

 

「フッ」

 

「うわっ!?」

 

ナイフが届くよりも早く体勢を立て直したロヴロは左腕でナイフを持つ腕を、右手で白利の襟を掴むと身体を捻りながら投げ飛ばす。

いわゆる一本背負のような要領でそのまま地面に転がされ、首に手刀が押しつけられた。

 

「俺の勝ちだな。」

 

「流石プロの殺し屋…隙すらも計算の内か…」

 

「どうして中々…君もやる。隙を見せたのはほんの一瞬だったがしっかりと反応して来たな。良い眼、それに足技を持っている。」

 

差し出されたロヴロの手を取って身を起こす。

 

「さて、俺が出す君への答えだが…このまま近接を磨くべきだろう。」

 

「そう…ですか、やっぱり…」

 

「君の動体視力並びに身体能力、そして殺意を隠す才能は充分脅威となるが…まずは()()()使()()()を覚えるべきだな。」

 

「殺意の使い方…ですか?」

 

「殺気と言い換えても良い、そうだな…ナイフを渡してくれないか?」

 

首を傾げ困惑しながらロヴロにナイフを手渡す。

 

「今から行うのはさっきとは逆、俺が君に攻撃を仕掛ける。君ならばその身で感じた方が早いだろう。」

 

「仕掛けるって…流石に実力差がありすぎるんじゃ?」

 

「安心しろ、俺は1度しかナイフは振らん。」

 

「たった1回だけ…?なら…なんとか?」

 

「よろしい、早速始めよう。」

 

淡々と告げたロヴロがナイフを構えると、まるで全身に纏わりつくような重苦しい殺気が噴き出した。

 

「これが…殺し屋の殺気ッ…!」

 

「ここまで殺気を顕にすることも無いがな。」

 

張り詰めた重苦しい殺意は手に持ったナイフに凝縮され、ゆっくりと歩いて白利との距離を詰めていくロヴロ。

 

(なんだ…何をしてくる…!?)

 

振られるナイフはたったの1度だけ、たった1度避けることができれば勝ちのはずなのに得体の知れない()()()を感じる。

思考を巡らせている内にいつの間にか距離はさらに詰められ、あと一歩でも踏み込めばナイフの間合いだろう。

 

(たった『1回』これを指定して来た意味があるはずだ…ナイフ以外の何か…拳?蹴り?それともワイヤー?…それを読んだナイフ?どれだ!?)

 

瞬間、ロヴロのナイフを持った左手が動いた。

 

 

 

ナイフだけをその場に残して。

 

(……なんで、ナイフがそのままに…)

 

そして気づいて顔をロヴロの方に戻した時には既に遅すぎた。

 

パアァァン!!

 

乾いた音が1発、たったそれだけで白利の思考は真っ白に塗り潰される。

 

「な……にガッ…!?」

 

一瞬で全身を駆け巡るような電撃が走り、身体を動かすことも叶わず思考が元に戻った時にはロヴロに拘束され喉元にナイフが押し当てられていた。

 

「これが殺意の使い方だ。」

 

そう言って拘束を解くが、喉を押さえながら呼吸は浅く額からは冷や汗を滝のように流し、声も出せず身体も動かせそうにない白利を見ながらロヴロは口を開く。

 

「確かに君の殺意を隠す技術は()()では無類の強さを誇るだろう。だが現実はそう上手くは行かない、特に標的(ターゲット)が隙の無い手練の時はな。」

 

「………」

 

「暗殺者に有利な状況を決して作らず逆にこちらの存在を察知されて『暗殺』から『戦闘』に引き摺り込まれた時、先程のように殺意は役に立つ。」

 

「……もしかして今の猫騙しは『戦闘』から『暗殺』に戻す為の?」

 

やっと声を出せるようになった白利の言葉にロヴロは静かに答える。

 

「それ自体はまた別の技なのだが、わかりやすいように織り交ぜさせてもらった。殺意を込める事によって相手に『何かある』とほんの一瞬で良い、強く思い込ませ迷いを見せたその一瞬を殺意に隠したもう一本の刃で刈り取る。これが今の君に足りないものだ。」

 

「殺意で相手に迷いを生じさせる…」

 

「君の殺意は良くも悪くもフラットだ、故に肉体の動きを注視していれば捌くことが出来てしまう。だが先ほどの君の動きと殺意を掛け合わせたなら、殺意を纏った拳からの殺意の無いローキック、これだけでローキックの効果は比較にならない程に跳ね上がる。そして君ほどセンスに恵まれた者ならば射撃ができなくてもお釣が来るレベルに磨き上げられるだろう。」

 

「射撃ができなくても…」

 

オウム返しのように呟きながら自分の開かれた右手をジッと見つめ、掌を握り込む。

 

「まずは殺意を纏いコントロールする所からだ。怒り、憎しみ、悲しみなんだって良い、思い出しながらやってみてくれ。」

 

「………」

 

瞳を閉じて思考を巡らせる、怒り、憎しみ、悲しみ、その全てを思い返すように…

 

『ごめんね白利……痛かったよね…ダメなお母さんで…幸せにしてあげられなくてごめんねぇ……!』

 

『はく…り…わたしの…やさしいこ……ごめん…ね………』

 

「ぐぅッ…!?」

 

瞬間、白利から冷たい殺意が噴き出す。

ロヴロはその殺意を間近で浴びたが、冷静にしかし興味深そうに目を見開いた。

 

「…君は()()()()()を知っているのだな。それもかなり研ぎ澄まされている。」

 

「……まぁ、色々とありまして。」

 

「ふぅむ…ならば先にその殺意と向かい合うべきだ。暗殺者が殺意に振り回されるなど言語道断、…だがその殺意を飼い慣らした時君は暗殺者として新たな一歩を踏み出すだろう。」

 

「………」

 

「己に問い続けろ。感情のまま相手を殺す復讐者となるか、確かな技術と自尊心(プライド)を持った暗殺者となるか、どちらが良いかを。」

 

淡々と、だが白利の目を見ながらそう告げて踵を返して去っていくロヴロだが一度足を止め、

 

「それと、君はもう1本エモノを持つべきだな。ナイフでは速度を活かした刺突が多いが切り払うとなるとその速度に振り回されている節がある。斬撃ならもう少し重いエモノが良いだろう。」

 

そう言うと今度こそ白利の元から去り、その背を見送りながら言われた言葉を反芻する。

 

「『感情のまま相手を殺す復讐者となるか、確かな技術と自尊心(プライド)を持った暗殺者となるか』…か、俺はどうなりたい?」

 

殺意を隠すのではなく向かい合い利用する、きっとその答えを出しその殺意を使いこなした時、暗殺者としても月乃白利としても一歩踏み出せるのだろう。

 

「暗殺に勉強、自分探しに向き合い、もう1本のエモノに殺意のコントロールか…やる事がいっぱいだなぁ…」

 

先生ではなく暗殺者から示された新しい道を見据えながら、南の島の暗殺旅行が幕を開けるのであった。




ご覧頂きありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

実はスナイパーとしての素質だけはある
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