暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

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毎度ありがとうございます!

私事ですが星の翼で無事にブラホに上がれました。
稲と秋雲、そして魂に似たヴォイドセーバーのおかげですわ〜!


決行の時間

「まずは三村が編集した動画を見て楽しんでもらい、その後テストで勝った7人が触手を破壊し、それを合図に皆で一斉に暗殺を始める。それで良いですね殺せんせー?」

 

「ヌルフフフ、上等です。」

 

殺せんせーは磯貝の言葉を聞きながら、確認するようにチャペルの内部を見渡している。

恐らくは壁や窓などに対先生物質が仕込まれているか、色々と考えを巡らせているのだろう。

 

「殺せんせー、まずはボディチェックを。」

 

「脱皮が無いとはいえ、魚キングとやらの水着持ってたら逃げられるからな。」

 

「2人とも入念ですねぇ、そんなヤボはしませんよ。」

 

魚キングという単語に片岡がビクッと反応したのに苦笑いしつつ、渚と共に殺せんせーのボディチェックを行う。

 

これだけ近くにいれば攻撃を仕掛けることはできるが、警戒している今では初動を見切られて終わりだろう。

だが、皆で()()作戦でならば。

 

「準備は良いですか?」

 

ボディチェックを終え、殺せんせーは最前列の椅子に腰をかける。

 

「全力の暗殺を期待しています。君達の知恵と工夫と本気の努力、それを見るのが先生の何よりの楽しみですから。遠慮は無用、ドンと来なさい!」

 

「言われなくとも、上映(はじ)めるぜ殺せんせー。」

 

そう言うと岡島はチャペルの照明を落とし、三村が飯を返上して編集した『3年E組が送る、とある教師の生態』の上映会が始まった。

 

殺せんせーの後ろの席には触手の破壊資格を持つ7人が座り、それ以外のメンバーは暗がりの中チャペルをしきりに出入りする。

殺せんせーは地獄耳なので音を立てることで人数と配置を撹乱する為だ。

 

そしてロヴロよりもたらされた情報によると殺せんせーは鼻が効くらしく、ここに2()()の匂いがないのは既に把握しているだろう。

 

このチャペルは四方が海に囲まれているがホテルに続く一方向だけは桟橋がかかり、近くに陸がある。

そちらからE組きっての狙撃手(スナイパー)の速水と千葉の匂いを感知しているはずだ。

 

白利もナイフを片手に行動しつつテレビに映る内容を見ていると…

 

『…まずはご覧頂こう、我々の担任の恥ずべき姿を。』

 

【衝撃の事実!!スケベ教師の本性!!!】とデカデカと書かれた煽りと共に映し出されたのは何故かトンボの人形を頭に乗せ、大量のエロ本の上でエロ本を読むとても教師とは言えない殺せんせーの姿だった。

 

「にゃやあぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

当の本人は冷や汗を大量に流しつつ絶叫する。

 

『おわかり頂けただろうか、最近のマイブームは熟女OL。全てこのタコがひとりで集めたエロ本である。』

 

「違っ…!?ちょっ岡島君達、皆に言うなとあれほど…!」

 

「マジかよコイツ…」

 

「月乃君もツッコミを放棄したドン引きはやめてください!!?」

 

殺せんせーが動揺している間にも映像は続き、場面が移り変わる。

 

『お次はこれだ。女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影、誰あろう奴である。』

 

続いて映し出されたのは女子限定ケーキバイキングの列に女装して並んでいる殺せんせーの姿だった。

『殺子よ…』とか言っていたが、周りに並んでいる女性陣達からはとんでもない視線を向けられている。

 

『バレないはずがない、女装以前に人間じゃないとバレなかっただけ奇跡である。』

 

「クックック…あーあ、エロ本に女装に恥ずかしくないのド変態?」

 

狭間のキレッキレな煽りに殺せんせーも顔を真っ赤にして俯いている。

 

『給料日前の奴である。分身でティッシュ配りに行列を作り、そんなに取ってどうすんのかと思いきや…なんと唐揚げにして食べだしたではないか。教師…いや、生物としての尊厳はあるのだろうか。』

 

「うっっっわぁ…」

 

画面に映るウキウキでティッシュを揚げている殺せんせーを見て、流石に料理を趣味とする者として軽蔑の声と共に眉を顰めてしまう。

 

「そういう反応が1番傷つきますよ月乃君!!?」

 

「そういう反応させる事をしてんじゃねぇよ…」

 

『こんなものでは終わらない、この教師の恥ずかしい映像を1時間たっぷりお見せしよう。』

 

「あと1時間も!?」

 

『あと1時間も作れるくらい痴態があるのか…』と頭を抱えながら、白利はチャペルの外に出て準備を始めるのだった。

 

      1時間後

 

白利は海の上、ジェットスキーに跨りながらその時を待っていた。

 

「そろそろ1時間か…」

 

スマホを見つつチャペルの方を見ると、どうやら朝のうちに仕掛けた工作が上手くいっているようで満潮と共に海水がチャペルに浸水しているのがわかる。

 

『月乃さん、そろそろ決行の時間です。』

 

「了解、作戦開始の号令は任せたぞ律。」

 

『はい!律にお任せください!…それでは、作戦開始!!』

 

律の号令と共に勢い良くジェットスキーのエンジンを吹かし、チャペルとは逆方向に進んで行く。

だが白利が駆るジェットスキーの後方には綱が伸びており、もう片方はチャペルの外壁へと繋がっていて別の班により細工された壁は音を立てて四方に分裂していく。

 

そして壁が無くなると同時に水中から触手を破壊された殺せんせーを囲むように渚達がフライボードに乗りつつ現れ水圧の檻を形成する。

 

殺せんせーは急激な環境の変化に弱い、水上チャペルから水圧の檻へ、弱った触手を混乱させ反応速度をさらに落とす。

 

『射撃を開始します、照準・殺せんせーの周囲全周1M。』

 

本体の律の号令と共にチャペルに残っていたメンバーが殺せんせーを囲み弾幕を張る。

 

殺せんせーは()()()攻撃に敏感だ、だから一斉射撃はあえて狙わずに逃げ道を塞ぐだけ。

 

そして…トドメの2人。

 

殺せんせーが感知した2人の匂いは陸の上に置いた2人の匂いが染み込んだダミー、本物の2人はずっと水中に潜んでいたのだ。

 

チャペルの中で陸上を警戒させ、フィールドを水の檻に変える事で全く別の狙撃点を創りだす。

 

2人の匂いも、発砲音も、水が全てを消し去る!!

 

『「ゲームオーバーだ!/ゲームオーバーです!」』

 

白利と律の呟きと共に、殺せんせーを中心に凄まじい閃光が放たれた。

 

 

 

「や…()ったのか!?」

 

誰が叫んだかその声に、白利もジェットスキーと共にチャペルの方へと近寄る。

 

今までの暗殺とは明らかに違う、殺せんせーが爆発し後には何も無い()った手応えを感じる。

 

「油断するな!!奴には再生能力もある、片岡さんが中心になって水面を見張れ!!」

 

烏間先生の指示の下、片岡達が殺せんせーが爆発した地点を見張っているとブクブクと気泡が現れ皆がエアガンを構える。

 

その瞬間、白利達が目にしたのは…

 

「ふぅ。」

 

殺せんせーの顔が入った透明とオレンジの変な球体であった。

 

「なに…アレ…?」

 

白利の困惑の声に応えるように殺せんせーの顔が入った球体が声を発する。

 

「これぞ先生の奥の手中の奥の手、完全防御形態!!」

 

「「「完全防御形態!?」」」

 

「外側の透明な部分は高密度に凝縮されたエネルギーの結晶体です。肉体を思い切り小さく縮め、その分余分になったエネルギーで肉体の周囲をガッチリ固める。この形態になった先生はまさに無敵!!水も対先生物質もあらゆる攻撃を結晶の壁が跳ね返します。」

 

「…そんな奥の手を。」

 

まさかまだ奥の手を隠し持っていたとは思わず歯噛みしていると、矢田が疑問を投げかける。

 

「…じゃ、ずっとその形態でいたら殺せないじゃん?」

 

「ところがそう上手くはいきません。このエネルギー結晶は24時間ほどで自然崩壊します、その瞬間に先生は肉体を膨らませエネルギーを吸収して元の身体に戻るわけです。」

 

「…つまり、その形態中は動けないわけだな?」

 

「えぇ月乃君の言う通り身動きが取れません、これには様々なリスクを伴います。最も恐れるのは動けぬ間に高速ロケットに詰め込まれ、はるか遠くの宇宙空間に捨てられる事ですが…その点はぬかりなく調べ済みです。24時間以内にそれが可能なロケットは今世界のどこにも無い。」

 

「はぁ〜…防御に全振りした奥の手に、その欠点まで計算ずくか…」

 

ありとあらゆる殺せんせーの弱点を使いE組全員で準備してきた上、脱皮すらも無いというのに…たったひとつの奥の手で全てをひっくり返されてしまった。

 

(完敗…だな。)

 

「チッ…なにが無敵だよ、何とかすりゃ壊せんだろこんなモン。」

 

舌打ちをした寺坂が殺せんせーを持ち上げて片手に握りしめたレンチを振り下ろすが一向に壊せそうな気配はない。

 

「ヌルフフフ無駄ですねぇ、核爆弾でも傷ひとつつきませんよ。」

 

「そっか〜弱点無いんじゃ打つ手ないね。」

 

余裕そうに口笛を吹いている殺せんせーの前に何やらカルマがスマホを置く、その画面に映っていたのは、

 

「にゅやーーーッ!!」

 

大量のエロ本の上でエロ本を読み耽る殺せんせーの姿であった。

 

「やめてーーッ!!手が無いから顔も覆えないんです!!」

 

「ごめんごめん、じゃとりあえず至近距離で固定してと…」

 

「全く聞いてない!!」

 

その後はウミウシをひっつけられたり、不潔なオッサンのパンツの中に捩じ込まれそうになったりしてとにかく悲鳴をあげ続けていた。

 

「…この一瞬で良くここまで嫌がらせ思いつくもんだよカルマのやつ。」

 

「…ある意味いじり放題だよね。」

 

「…うん、そしてこういう時のカルマ君は天才的だ。」

 

渚と茅野と合流しカルマの悪知恵に苦笑いしていると、ビニール袋を片手に持った烏間先生がカルマの手から殺せんせーを取り上げビニール袋に放り込んだ。

 

「…とりあえず解散だ皆、上層部とこいつの処分法を検討する。」

 

「ヌルフフ、対先生物質のプールの中にでも封じ込めますか?無駄ですよ、その場合はエネルギーの一部を爆散させて…さっきのように爆風で周囲を吹き飛ばしてしまいますから。」

 

「……ッ!!」

 

「ですが皆さんは誇って良い、世界中の軍隊でも先生を()()まで追い込まなかった。ひとえに皆さんの計画の素晴らしさです。」

 

殺せんせーはいつものようにE組の暗殺を褒めていたが…皆の落胆は隠せなかった。

 

白利もまた、その場に立ち尽くし自身の右手を見つめ続けている。

 

『射撃の才に目覚めれば遠近こなせる大きな戦力になる。』

 

『今見た身体の特徴を加味すると…チバとハヤミと言ったか、あの2人と遜色ないスナイパーとしての素質は持っているだろうな。』

 

ロヴロより伝えられた烏間先生の言葉、そしてロヴロ本人からの評価が脳に焼き付いている。

もしも自分が射撃できたら…速水達のようにスナイパーとしてこの作戦に参加していたら…タラレバでしか無いのはわかっている、だがやはり考えずにはいられない。

 

「俺は……!」

 

握りしめた拳を額に打ち付け、異様な疲労感と共に…ホテルへの帰途についた。

 

 

 

 

 

「しっかし疲れたわ〜」

 

「自室帰って休もうか…もう何もする気力無ぇ…」

 

ホテルまで戻ると前原と三村がだいぶしんどそうに、それぞれ机と椅子の背もたれに体重を預けている。

 

「ンだよテメーら1回外した位でダレやがって、もー()る事やったんだから明日1日遊べんだろーが。」

 

「そーそー、明日こそ水着ギャルをじっくり見んだ、どんなに疲れてても全力で鼻血出すぜ。」

 

……なにかがおかしい。辺りを見渡すとおよそ半分くらいだろうか、明らかに疲れて…いや疲れすぎている者の姿が目立つ。

 

「よう…月乃…」

 

考えていると何やら足取りのおぼつかない杉野がフラフラと近づいて、

 

「なんか…すっげぇ疲れて……」

 

目の前で倒れ込んだ。

 

「杉野っ!?」

 

すぐさま杉野の身体を支えると、その身体は異常とも言える高温で鼻血まで垂らしている。

そして同時にガシャッと音が聞こえ振り向くと、呼吸が荒くなっていたり立っているのも苦しそうな様子で複数人が倒れ込んでいた。

 

「なんだ……一体なにが…!?」

 

どうやら渚やカルマ、速水と千葉は無事なようなので全員が全員こうでは無いらしい。

困惑しながらも倒れた皆を介抱していると、電話をしていた烏間先生に集合がかけられた。

 

   という訳だ。」

 

烏間先生から告げられたのは、

 

この状況は第三者によるもの、

 

人工的に作られたウイルスに感染していて1週間もすれば死に至る事、

 

治療薬は1種類のオリジナルのみでスイッチひとつで爆破できる事、

 

殺せんせーを山頂にある『普久間殿上ホテル』の最上階まで最も背が低い男女2人に持って来させる事、

 

制限時間は1時間で少しでも過ぎるか外部と連絡を取れば治療薬は爆破する事だった。

 

「…ひどい、誰なんですかこんな事する奴は!!」

 

「それに感染経路は一体どこだ…?」

 

烏間先生の言葉にそれぞれ反応してる中、烏間先生の部下の園川さんが何やら慌てた様子で報告する。

 

「…案の定ダメです。政府としてあのホテルに宿泊者を問い合わせても…『プライバシー』を繰り返すばかりで…」

 

「……やはりか。」

 

「「やはり…?」」

 

殺せんせーと繰り返す声が重なった。

 

「警視庁の知人から聞いた話だが、この小さなリゾート島『普久間島』は『伏魔島』と言われマークされている。ほとんどのリゾートホテルは真っ当だが離れた山頂のあのホテルだけは違う。」

 

額を流れる汗を拭いながら山頂で光り輝くホテルを見つめる、ギラギラと輝いていてまるで不夜城のようだ。

 

「南海の孤島という地理も手伝い、国内外のマフィア勢力やそれらと繋がる財界人らが出入りしていると聞く。私兵達の厳重な警備のもと…違法な商談やドラッグパーティーを連夜開いているらしい。政府のお偉いさんともパイプがあり、うかつに警察も手が出せん。」

 

まさか現実にそんな闇に塗れた場所があるとは…白利は思わず絶句してしまう。

 

「ふーん、そんなホテルがこっちに味方するわけないね。」

 

こういう時冷静に状況を飲み込めるカルマの存在はありがたい、苦しんでいる皆に不安を与えない為にも動ける白利達は慌てず冷静でいないといけないだろう。

 

「言う事聞くのも危険すぎんぜ、1番チビの2人で来いだァ?このちんちくりん共だぞ!?人質増やすよーなモンだろ!!」

 

渚と茅野の頭部にゴスゴスと握り拳を落とす寺坂、こんな事言っているが相当ムカついてるのが見てわかる。

 

「第一よ、こんなやり方する奴等にムカついてしょうがねぇ、人の友達(ツレ)にまで手ェ出しやがって。」

 

「だがこのまま要求を無視するのも危険だ、相手が言ってるオリジナルのウイルスが本当ならどの大病院にも治療薬なんてモンは無い。」

 

「月乃君の言う通り、無駄足になれば患者の負担(リスク)が増えるだけだ。対症療法で応急処置はしとくから急いで取引に行った方が良い。」

 

大量の氷が入ったバケツを地面に置いた竹林は話しながらも手早く小分けにしてウイルスに感染した者達に応急処置を施していく。

 

「………」

 

寺坂の不安もまたわかる、だが取引に行くのも危険すぎる。

 

殺せんせーを連れて来いと言っていたが、渡しに行った渚達が人質に取られ薬も渡さず逃げられる最悪の可能性もあるだろう。

 

(結局シロの時と同じかよ…)

 

生徒を人質に取られ、烏間先生の足を引っ張ってしまっている。

 

白利達が頭を抱えていると殺せんせーがにこやかに告げた。

 

「良い方法がありますよ。」

 

「え…?」

 

「病院に逃げるより、大人しく従うよりは。律さんに頼んだ下調べも終わったようです。元気な人は来て下さい、汚れてもいい格好でね。」

 

殺せんせーが考えていることはわからないが、ここで足踏みしているわけにも行かないので殺せんせーを持った烏間先生に着いて行くと、

 

「……高けぇ…」

 

千葉が見上げる先、辿り着いたのは普久間殿上ホテルが鎮座する山頂の真裏、険しい絶壁ともいえる崖が聳え立っていた。

 

『あのホテルのコンピューターに侵入して内部の図面を入手しました、警備の配置図も。』

 

さりげなくとんでもない事をしている律がスマホの中で図面を指し示し、白利はそれをジッと見ていると、

 

『あっ…そんな月乃さん…侵入した女スパイの律を捕らえてめちゃくちゃに………月乃さん?』

 

「……ん?あぁすまない、どうした律?」

 

『いえ……正面玄関と敷地一帯には大量の警備が置かれています。フロントを通らずホテルに入るのはまず不可能。ただひとつ、この崖を登ったところに通用口がひとつあります。まず侵入不可能な地形ゆえ…警備も配置されていないようです。』

 

「敵の意のままになりたくないなら手段はひとつ、患者10人と看病に残した2人を除き動ける生徒全員でここから侵入し、最上階を奇襲して治療薬を奪い取る!!」

 

「「「………!!」」」

 

殺せんせーの言葉に息を呑む、そんな中烏間先生はなおも冷静に思考し発言する。

 

「…危険すぎる。この手慣れた脅迫の手口、敵は明らかにプロの者だぞ。」

 

「えぇ、しかも私は君達の安全を守れない。大人しく私を渡した方が得策かもしれません。どうしますか?全ては君達と…指揮官の烏間先生次第です。」

 

「「「………」」」

 

見上げる先は途轍もなく高く聳え立った岩肌、その光景を見て思わず声が漏れ出てしまう。

 

「…それは……」

 

「ちょっと…」

 

「…難しいだろ」

 

「そーよ無理に決まってるわ!!第一この崖よこの崖!!ホテルに辿り着く前に転落死よ!!」

 

生徒達の声に同調したビッチ先生の言葉に烏間先生は目を伏せて悔しそうに歯噛みし、覚悟を決めて目線を上げると…そこには生徒の姿は無かった。

 

「いやまぁ…崖だけなら楽勝だけどさ。」

 

磯貝の声と共に白利達は軽々と絶壁を登る途中、下で呆然としている烏間先生に顔を向けて語りかける。

 

「烏間先生、俺は『交渉に応じる』のも『交渉に応じない』のもどちらもリスクを多分に含んだ上で最悪な結果になるカードだと思ってます。そして『治療薬を強奪する』も同じリスクな上で最高の結果になりうるカードだと思います。なら俺は……リスクを承知で最高の結果を目指してこのカードを切りたい。」

 

「俺達も月乃と同意見です。でも、未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから…烏間先生、難しいけどしっかり指揮を頼みますよ。」

 

「おお!ふざけたマネした奴等に…しっかり落とし前つけてやる!」

 

唖然とした表情の烏間先生とビッチ先生に殺せんせーは不敵に笑いつつ問いかける。

 

「見ての通り彼等は只の生徒ではない、あなたの元には16人の特殊部隊がいます。さぁ、時間は無いですよ?」

 

殺せんせーの問いに一度白利達に視線を向けると、全員が烏間先生の顔を見て小さく頷く。

そして覚悟を決めた烏間先生は声を張り上げ号令をかける。

 

「注目!!目標、山頂ホテル最上階!!隠密潜入から奇襲への連続ミッション!!ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う!!いつもと違うのは標的(ターゲット)のみ!!3分でマップを叩き込め!!19時50分(ヒトキューゴーマル)作戦開始!!」

 

「「「おう!!」」」

 

E組の潜入作戦が今、始まる。




ご覧頂きありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

ロヴロの言葉が脳裏に焼き付いている
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