暗殺教室ー月は何を見るかー   作:TKTK(2K2K)

44 / 45
毎度ありがとうございます!


キューピッドの時間

(私の表情を見もしない…鈍感にもほどがあるわ!)

 

組んでいた腕を解き、こちらを振り返ることもなく去っていく烏間先生の背にビッチ先生の視線が突き刺さる。

抱く感情は怒りではあるが、感じ取れるその中に含まれた意中の相手に振り向いてもらえない恋する乙女の甘さ。

 

そんなビッチ先生の背後に迫る複数の影、

 

「イリーナ先生。」

 

「なによ月乃?悪いけど今アンタにディープキスを仕込む時間は…」

 

「求めてねぇよそんなこと!!………はぁ、アッチ見ろ。」

 

自身を呼ぶ声に振り返ったビッチ先生は、視線を白利の顔から指さされた後方へ動かすと、

 

『カップル成立!!』

 

と書かれた殺せんせーの後頭部と、温かい視線とゲス味を帯びた微笑みを向けるE組が立っていた。

 

「てな訳だ、ちょっとツラ貸せよ。」

 

「………」

 

矢田達がビッチ先生の背を押しながら、一同はホテルへと戻るのだった。

 

 

 

移動することしばらく、場所はホテルのフロントにて、ソファーに腰掛けるビッチ先生を囲むように皆が周りに立つ。

件の張本人はだいぶ居心地が悪そうに中央で萎れている。

 

「しっかし意外だよな〜あんだけ男を自由自在に操れんのに。」

 

「自分の恋愛にはてんで奥手なのね…」

 

「毒蛾みたいなイリーナ先生がねぇ。」

 

「毒蛾は余計よ!!仕方ないじゃない、あいつの堅物ぷりったら世界(ワールド)クラスよ!!私にだってプライドはあるわ、男をオトす技術だって千を超える。ムキになって本気にさせようとしている間に……そのうちこっちが。」

 

「「「う……」」」

 

自分の気持ちはしっかりと理解しているのか、ツラツラと事の経緯を語り始めた。

最初は烏間先生の堅物ぷりにキレていたビッチ先生だったが、やがてどんどんと頬を赤らめていく。

 

ふと見せた乙女な表情に、周りを囲む男子の複数人が同じく頬を染めた。

 

「……かわいいと思っちまった。」

 

「なんか屈辱…」

 

「なんでよ!!」

 

ギャイギャイと騒ぐビッチ先生達を尻目に、白利は対面に腰掛ける。

 

「イリーナ先生って、結構不器用だよな。」

 

「え?どういう意味よそれ。」

 

「そのまんまの意味だ。イリーナ先生がE組に来て最初に殺せんせーに暗殺を仕掛けた時にも思ったが、今までの勝ちパターンに縛られちまってるんだろ。俺達とは比較にもならないほど技術を持ってるけど、それ故に素直になれない…みたいな。」

 

「うぐ……」

 

その言葉が心に突き刺さったのか、それとも自身でも思うところがあったのかは定かではないが誤魔化すように親指の爪を噛む。

 

「……じゃあ…どうしろって言うのよ?」

 

「それは…」

 

「俺等に任せろって、2人の為にセッティングしてやンぜ!!」

 

「作戦決行は夕食の時間ってどう?」

 

「や〜ん!南の島の夕食(ディナー)で告るとかロマンチック〜!」

 

「アンタ達…」

 

作戦決行の時間が決まったところで、『烏間&イリーナくっつけ計画』と書かれたホワイトボードを持った磯貝とスーツを着込み、メガネをかけた殺せんせーが場を仕切り始めた。

 

「では、恋愛コンサルタント3年E組の会議を始めます。」

 

「…ノリノリねタコ。」

 

「同僚の恋を応援するのは当然です。女教師が男に溺れる愛欲の日々…甘酸っぱい恋小説が描けそうです。」

 

「明らかにエロ小説を構想してる!!」

 

「……知ってる…しかも担任教師達のナマモノは読みたくねぇよ。」

 

相変わらず下世話な殺せんせーのことは一旦無視することにし、視線をビッチ先生に向ける。

ソファーに足を組んで座るビッチ先生の服は大きく胸元が開(はだ)け、パンツ丈も短くなっており上下共に肌の露出が激しい。

 

「ん〜〜…まずは服から見直すべきか?」

 

「そうだね、服の系統が悪いかも。」

 

「そーそー、露出しときゃいーな的な。烏間先生みたいなお堅い日本人の好みじゃないよ?もっと清楚な感じで攻めないと!」

 

「む、むぅ…清楚か…」

 

恐らくビッチ先生が暗殺家業を始めてから今まで意識したことがないであろう『清楚』という要素に頭を捻らせる。

今の手持ちにも清楚系の服が無いのか停止していると、中村がポンと手を打った。

 

「清楚つったらやっぱり神崎ちゃんか、昨日着てたの乾いてたら貸してくんない?」

 

「あ…う、うん!」

 

すぐに部屋へと駆けていく神崎、昨日彼女が来ていたのはフリルのついた白いワンピースと黒いストッキングの全体的にスマートな印象を受けるまさしく清楚といった服だったはず。

 

あの服ならばカラーリング的にもシルエット的にも色気が出ることもないだろうと、服を手渡され着替えに行くビッチ先生を見ながら思った…の…だが…

 

「ほら、服ひとつで清楚…に…」

 

思わず中村も声を詰まらせる。

 

着替えて姿を現したビッチ先生を見て思うことが一つ、絶望的にサイズが合っていない。

主に胸が。

 

着ることこそできてはいるが、胸元はパツパツでボタンは閉めることができずに豊満なモノの谷間が顕になってしまっている。

 

そして流石のプロポーションと言うべきか、ワンピースの裾から伸びる長い足は生足とはいえ凄まじい艶やかさを放つ。

なんと言うべきか…これでは…

 

(((なんか逆にエロい!!)))

 

E組満場一致の意見だった。

 

「すごいな…イリーナ先生が服を着てるんじゃなくて、服がイリーナ先生に着られてる。」

 

「恐ろしきビッチ先生の色香……清楚な服をエロくしちゃうとは……」

 

「そもそも全てのサイズが合ってないっての…」

 

「最初に考慮しておくべきだったね…」

 

真っ赤にした顔を両手で覆っている神崎を尻目に、気を取り直すように岡野が手を叩く。

 

「もーいーや、エロいのは仕方ない!!大切なのは乳よりも人間同士の相性よ!!」

 

「確かに、岡野さんの言うことも一理あります。烏間先生の女性の好みを知ってる人は?」

 

「あ!そういえばさっき、テレビのCMであの女(ひと)の事ベタ褒めしてた!!『俺の理想のタイプだ』って!!」

 

「「「!!」」」

 

フロントに備え付けられたテレビを指差す矢田に、皆の視線が勢い良くそちらに向く。

ちょうど良く流れたCM、烏間先生のタイプの女性が出ているCMとは…

 

 

 

『彼女は…良いぞ、顔つきも身体付きも理想的だ。』

 

《ホームセキュリティはALS◯K♪》

 

『おまけに3人もいる。』

 

 

 

「「「理想の戦力じゃねーか!!」」」

 

霊長類最強の女子レスリング選手が3人に分身し、自宅の警備をしている例のCMであった。

発言から現役の彼女を知らないのであろうが、人間としては規格外の烏間先生を惹きつけてしまうとは流石は霊長類最強の称号は伊達ではない。

 

「いや…強い女性が好きって線もあり得るよ。」

 

「まぁ、もはや一般性癖まであるよな。烏間先生の場合はそういうわけではないんだろうけどさ。」

 

「月乃君の言う通り、尚更ビッチ先生の筋肉じゃ絶望的だね。」

 

竹林の言葉で烏間先生の好みを知る、という作戦も潰えてしまい再び振り出しに戻ると、次は奥田がおずおずと手を挙げて提案する。

 

「じ、じゃあ手料理とかどうですか?ホテルのディナーも豪華だけど、そこをあえて2人だけは烏間先生の好物にしてみるとか。月乃君とか原さんとかがお料理上手ですし教えてもらいながら…」

 

「烏間先生ハンバーガーかカップ麺しか食ってんの見た事ないぞ…」

 

「…なんかそれだと2人だけ不憫すぎるわ。」

 

「しかも片手間に手軽に食べられるってくらいしか思ってなさそうだよね…」

 

「……流石にカップ麺をホテルの飯より美味くする術は持ち合わせてないな。」

 

誰も烏間先生の食の好みがわからず、三度振り出しに戻ってしまう。

そして今から簡単に行えそうな作戦が尽きたのか、全員がつけ入る隙の無い烏間先生に頭を悩ませながら歯噛みする。

 

「なんか、烏間先生の方に原因があるように思えてきたぞ?」

 

「でしょでしょ?」

 

「先生のおふざけも何度無情に流された事か……」

 

打つ手を無くし烏間先生がディスられ始める中、白利は1人ビッチ先生の周りを回りながら顔や髪に視線を向けていく。

 

ビッチ先生はやはり顔(ツラ)が良い、一切の妥協なく手入れされているであろう美貌と髪はイリーナ・イェラビッチという女の艶やかさをより一層引き立たせる…

 

(ん?)

 

その時、とあることが脳裏をよぎった。

 

「………?どうしたのよ月乃、私は構わないけど女の顔をジロジロ見るもんじゃないわよ。」

 

「いや、少し思ったことがあるんだが…ビッチ先生、髪触っても大丈夫か?」

 

「別にいいけど…本当にどうしたのよ?」

 

「渚、ヘアゴム貸してくれ。」

 

「え…?あ、うん、わかった。」

 

渚が手首から外したヘアゴムを手にビッチ先生の真後ろに立ち、輝く髪を束ねるとヘアゴムを通して根本から結んでいく。

時間にしてほんの数秒で出来上がった、高めのポニーテール。

 

「完成っと。イリーナ先生って普段の行いとか暗殺方法とかでエロい方向で見られがちだけど、顔立ちとしては可愛い系だと思ったんだよ。だから、今までとか違うギャップ萌えを狙ってみるのも良いんじゃないかなって。」

 

「おぉ〜!めちゃくちゃ良いじゃん!ビッチ先生可愛いよ!!」

 

「うんうん!髪型を変えるとだいぶ雰囲気変わるね、ポニーテール似合ってる!」

 

「そ、そう?……可愛いって言われ慣れてないから…ちょっと照れるわね…」

 

「照れてるところ悪いがイリーナ先生、ドレスって昨日の以外に持ってるか?白とかベージュとかがあれば良いんだが。」

 

「アンタねぇ…2泊3日の旅行にドレスを何着も持ってくるわけないでしょ?悪いけど無いわよ。」

 

「なるほどな、あればもうちょっと柔らかい印象づけができたが…わかった、とりあえず髪型で印象はかなり変わったしあとは小物でなんとかすれば良いだろ。」

 

「ディナーまでに出来ることは整えておきましょう。女子は堅物の日本人が好むようなスタイリングの手伝いを、男子は2人の席をムード良くセッティングです!」

 

「「「はーい!」」」

 

 

 

「月乃、行こうぜ。」

 

「おっけ。」

 

殺せんせーの指示に従うように男女に分かれることになり、千葉と共に食堂へと向かおうとすると、

 

「ちょいちょい月乃君、ちょっと良い?」

 

背後から声をかけられ、振り返る。

 

「ん?原か、どうした?」

 

「ビッチ先生のスタイリングに男子の意見も欲しいな〜って、女子だけで決めちゃうのもアレだしファッションがわかりそうな月乃君の力を借りたいってわけ。」

 

「俺の…?言っておくがファッションなんて一切わからないぞ?」

 

「いーのいーの!とりあえず男側の意見をくれるだけでも良いからさ!」

 

押しの強い原に少々困惑しながら助けを求めようと千葉に視線を送るが、肩を叩いて『頑張れ』と言うように優しく微笑むと背を向けて1人で去って行ってしまった。

 

「………マジか。」

 

「はいはい、大人しく行くよ〜」

 

こうして背を押されながら女子達と共にビッチ先生のスタイリングへと向かうのだった。

 

 

 

「お待たせ〜、助っ人連れて来たよ〜」

 

「あら、助っ人って月乃じゃない。なによ、私の裸見たくなったの?私の肌は高いわよ?」

 

「んなわけあるかい。」

 

「ビッチ先生のスタイリングを女子だけで決めちゃうのもアレじゃない?だから男子の意見もあった方が良いかなって。ビッチ先生のポニーテール提案したのも月乃君なわけだしさ。」

 

「「「あぁ〜」」」

 

原に連れられビッチ先生のスタイリングを担当する女子達が集う部屋に押し込められ、一通り説明すると全員が何か納得がいったかのように頷く。

居心地の悪さに頭を掻きつつ、持ち込んだ衣服を広げているビッチ先生に本題を切り出す。

 

「で、どうなんだよ?俺はファッションなんぞわからんからソッチ任せになっちまうが。」

 

「ん〜それがね?ビッチ先生が持って来た服がどれもこれもエロかスケベかR18に

寄ってるのしか無くてさ〜」

 

「どれもこれもエロじゃねぇか。」

 

「けど実際そうなんだよ…どれ着てもエロいし、私達の服を着てもらおうとしてもサイズ………主に胸がが合わなくて…」

 

中村や茅野、その他女子達の苦悩…一部怨嗟に似た声を聞く限り、どうやら進捗は芳しくないらしい。

 

「………女子がお手上げじゃ俺もなぁ…」

 

女子達ですらちょっとお手上げ状態で頭を悩ませていると、視界の端にドレスの裾を靡かせるビッチ先生が映り込む。

胸元や背中がハッキリと見えるドレスは確かにビッチ先生には似合っているが、やはりその肌面積が嫌でも目についてしまうのだ。

 

無理そうなら少しでも雰囲気を変えつつエロになってしまうが、自身が提案した手前ここはギャップ萌えで勝負したい。

故に『さてどうしたものか』とビッチ先生を見据えながら思考を巡らせる。

 

現状ある物で、限りなくエロさを掻き消す……

 

「あ〜………どうしたもんかなぁ……」

 

「そんなに悩む事?」

 

「そりゃ悩むよ!ビッチ先生の一世一代の大勝負なんだから!」

 

「とりあえずここで頭を悩ませていても変わらないでしょ、少し売店でも見てみない?何か良い案浮かぶかも。」

 

原の提案で、度思考のリセットと新たな案を探しに、一行は部屋を出て売店へと向かう。

どうやらホテル内に売店が併設されているらしく、少し歩くとそれなりのスペースを持った売店が見えた。

 

「すごーい!お土産沢山!」

 

「はしゃぐのは後でね、今はビッチ先生のスタイリングが優先だよ。」

 

「わかってはいたが、流石に使えそうな服は無いな…あるとしても柄シャツか。」

 

「流石に柄シャツでお上品は無理だよねぇ、どうしたもんか。」

 

薄々わかってはいた事だが、リゾートとはいえドレスや高価なアクセサリーなんかを置いているはずもなく。

精々あるのはリゾートの名を印刷した柄シャツくらいだ。

 

もうクッキーでも買って諦めるかと思い始めた矢先、白利の視線はとある物を捉えた。

 

「ん?コレ使えないか?」

 

「うん?月乃君何か見つけた?」

 

「それって……ショール?」

 

白利が見つけたのは黒色のショール、ビッチ先生の真紅のドレスとは色合いもマッチするだろう。

 

「ショールね、良いセンスしてるじゃない月乃。でも、ディナーを食べる時につけるのは中々難しいわよ?サイズも大きいし、落とさないように維持しながらは……」

 

「いや、何もわざわざショールを正しく使う事もない。ミシンでも借りて縫いながらサイズ調整しつつ羽織れるようにすれば、肌面積を減らしつつオシャレにできるんじゃないか?」

 

「月乃君それナイスアイデア!私ミシン借りれないかフロントの人に聞いてくるね!」

 

案を聞いた原がミシンを借りにフロントまで飛んで行き、その間に会計を済ませ(ビッチ先生のポケットマネー)て部屋に戻る。

遅れて帰ってきた原の腕の中にはミシンが抱えられており、無事借りることができたようだ。

 

「さて、ピースも揃ったことだし仕上げと行くか。ミシンは原に頼んでも良いか?」

 

「まっかせといて!ブランド品っぽくアレンジしてみるから!」

 

スマホに映ったブランド品のショールと睨めっこしつつ、原は手早くミシンを動かしていく。

白利も裁縫はできるが、精々ボタンを直したりほつれを補修するくらいなので原の手際には感心し見入ってしまう。

 

周りの視線も気にしない肝っ玉母ちゃん(原)は、時間にして30分もかからぬ内にショールのアレンジを完成させた。

 

「はい完成!ビッチ先生、これ羽織ってみて。」

 

「ふ〜ん、社交界じゃ使い物にならないでしょうけど中々良いじゃない。」

 

「……口、ニヤけてるぞイリーナ先生。」

 

「…………」

 

「無言でこっち見ながら、舌を出してピチピチさせないでくれ。『ディープキスするわよ!』って迫られる方がよっぽどマシなほど気持ち悪いぞ。」

 

自身の為に作られたショールに毒づきながらも喜びを堪えきれない様子にツッコむと、機嫌を損ねたビッチ先生はいつもと違う方法で精神を削りにくる。

『フンッ!先に行くわ!!』と吐き捨てつつ部屋を出ていくが、姿が完全に見えなくなる前に『……ありがと』と呟いたのを白利達は聞き逃さなかった。

 

 

 

そして、ディナー開始の時間となり、烏間先生がディナー会場に訪れると…

 

「烏間先生の席はありませーん。」

 

「E組名物、先生いびりでーす。先生方は邪魔なんで、外の席でどうぞ勝手に食べて下さーい。」

 

「名物とはこれ如何に……」

 

複数の椅子を占拠した中村と岡野が『E組名物先生いびり』と称して烏間先生を男子がセッティングした席へと誘導する。

2人の声は上擦りまくり、だいぶ雑ではあったが烏間先生は『…何なんだいきなり?最近の中学生の考えることはよくわからん。』と困惑しつつも外へと向かってくれた。

 

「「「………!」」」

 

全員が顔を見合わせ、身を隠しながら烏間先生とビッチ先生の様子を伺う。

プライバシーの欠片もない野次馬行為だが、そんなもの犬にでも食わせておけと全員が割り切った。

 

「…ここからじゃ声が聞こえないな。」

 

「ま、声を聞こえる位置にいたら烏間先生に見抜かれるだろ。ここら辺が安牌だ。」

 

「それもそうか、あの人人間辞めてるもんな……それと聞いたぞ、ビッチ先生のショール提案したの月乃なんだって?」

 

「提案しただ(・)け(・)だ、形にしてくれたのは原だから俺はそこまで大きなことはしてねぇよ。」

 

「謙遜し過ぎるのも良くないぞ。しっかし人の色恋には手を厚くするのに、自分の事は…か。こりゃダメだな。」

 

「うっせ。」

 

千葉と乳繰り合いつつ、料理を口に運びながらビッチ先生の行く末を見守っていると、髪を解いたビッチ先生が烏間先生のナプキンにキスをし、それを烏間先生の唇へと押しつけた。

 

「おぉ!」

 

「そのまま行っちまえ!」

 

その行為に歓声が上がるが、当の本人はその後特に何をすることもなくこちらに帰ってきてしまい、歓声は罵声へと変わる。

 

「何よ今の中途半端な間接キスは!!」

 

「いつもみたいに舌入れろ!舌!!」

 

ビッチ先生らしくない日和にブーイングが飛び交い、一斉に親指を真下に振り下ろす。

 

「あーもーやかましいわガキ共!!大人には大人の事情があんのよ!!」

 

「いやいや皆さん、彼女はここから時間をかけていやらしい展開にするですよ。ね?」

 

「『ね?』じゃないわよエロダコ!!」

 

反省会を通り越して罵倒会へと変わり果てる中、白利は席に戻り外から惨劇を観戦する。

余ったパンを緩慢に口に運んでいると、1人罵倒会から逃げ出した白利に気づいた速水が隣に腰を下ろす。

 

「月乃的にはどう?ビッチ先生のアレ、成功だと思う?」

 

「どうだろうな、暗殺に置き換えれば烏間先生(ターゲット)を殺(オト)せてないわけだし…失敗じゃないか?恋愛的に考えれば、一歩進展と捉えても良いんだろうがな。」

 

「やっぱそうなるよね。……まさか、どこかの誰かさんみたいにビッチ先生まで日和るなんてね。」

 

「…………悪ぅございました。」

 

「ふふっ、冗談。覚えてる?夏祭り、期待してるから。」

 

「……あぁ、ちゃんと覚えてるよ。一緒に、行こう。」

 

喧騒をBGMに、こうして怨讐と殺意に塗れた暗殺旅行は幕を閉じるのだった。

 




ご覧いただきありがとうございました!

【月乃白利の秘密】

身体が細いのでレディース物がジャストサイズ

【作者の言い訳タイム】

みなさまお久しぶりでございます、無断休載作者でございます…
仕事が忙しくなったりして書く時間がなかなか作れなかったのですが(+星の翼や止まっていたゼンゼロを一気に進めたせい)ようやく筆を進めて再開となります。

不定期気味にはなってしまいますが、なんとか完走はするつもりなので生暖かい目で見守っていただければと…!

最終回までどれくらいかかるかは未知数ですが、これからも精進して参ります!
みなさま、閲覧お気に入り感想評価、諸々大変ありがとうございます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。