「お、あそこにいるのネギ君じゃね?」
神楽坂についていって川の近くまで来た時、ネギ君の姿が見えたのでみんなに知らせる。
「あ、ホントだ。おーい、ネギ先生~」
「この距離から良く見えましたね」
「適当に見回してたらネギ君が背負ってる杖みたいなのが見えたんだよ。めっちゃ分かりやすかった」
「あー、確かにネギのアレは良い目印よね」
「ネギ君のトレードマークみたいなもんやねぇ~」
それにしてもあの杖みたいなのは一体なんなんだ? 聞いたら教えてくれるかな?
「あ、ハルナさん! それに皆さんも! 可愛いお洋服ですねっ!」
「待てネギ君、それは俺に対しても言っているのか? だったら俺はダッシュで帰って制服に着替えようと思うのだが」
「えっ? いえ、そのっ」
「こらこら、何子供相手に凄んでんのよ」
ネギ君の肩を掴み、問い質そうとしたら神楽坂に止められた。
「しかしだな、ここで退くと男の尊厳が……」
「別に二見さんの私服なんて誰も興味ないですから問題ないですよ」
「あははっ、確かに」
「ひ、ひでぇなお前ら……」
身も蓋もない綾瀬とパルの物言いに軽くショックを受けた。……いや、確かに俺の私服に興味なんて持たれても困るけどさ? それでももう少し言い方ってもんがあるんじゃないかね?
「当たり前のことを言ったまでです」
「俺の扱いがこの上なく酷い件」
「そうですか?」
「いつも通りだよね?」
「せやね~」
「こ、近衛さんまで……」
しかも全員を見ると殆ど話した事のない神楽坂や桜咲さんまでしっかり頷いてやがる。なんて酷い連中だ!
「そ、そう言えば五班は自由行動の予定ってないんですか?」
「特には」
「せやからネギ君、一緒に見て回ろー」
ネギ君……話題を逸らしてくれてありがとう。もう少しで俺の繊細な心が砕け散る所だったぜ。
「あ、はいっ」
「ところでネギ君はどこかへ行くのか?」
「えっ? あ、いや、その……そ、それにしても宿の近くもいいところですねー!」
「そうですね。それに嵐山・嵯峨野は紅葉の名所が多いので秋に来るのもおススメです」
むぅ、ネギ君。君は露骨に話題逸らすほど人には言えない場所に行くのか……? まぁ……大丈夫か。保護者だと言う神楽坂もいるし。
「へぇ~、そうなんですかぁ」
「そうそう二見さん、そこが朝食時にお話したお店です」
「え? あ、ああ。了解した」
そういや昨日のお詫びにパフェ奢るって約束したっけ。
「ん? なになにどったのー?」
「いや、ちょっとした罰ゲームで綾瀬にパフェを奢る事になっているだけだ。な」
「ええ」
「え、マジで!? ……ぬっふっふ~、ふったみ~ん」
「奢らねぇぞ」
そんな下心丸出しの顔で近づくんじゃないパルよ。
「ええー! なんでさー!」
「だから、罰ゲームだから奢る。って言ってるだろ? そんなに食いたきゃ自腹で食え」
「いやいや、人のお金で食べるから良いんじゃないの」
「そりゃそうだ」
そいつはよーっく分かる。金がピンチの時には武村達とカード勝負で良く奢らせたしなぁ。だってあいつら弱いんだもん。攻撃しかしてこないし。
「でしょー?」
「だから奢らん」
「ちぃっ!!」
「ん? どっか行くの?」
「ええ、そこの甘味処に。明日菜さん達も来ますか? ネットで調べたところなかなか美味しいらしいです」
なんだ、割としっかり調べてたんだな。てっきり不思議系に目を引かれただけかと思ったけど。
「へぇー……それじゃ、私達もいこっかな」
「おー! ネギ君は甘い物大丈夫やよね?」
「あ、はい。日本のスイーツはあまり食べた事無いですけど……」
「そ、そうなんですかー……?」
そうして結局全員で甘味処に寄る事になった。
「いらっしゃいませ~、8名様ですね。お席にご案内いたしま~す」
「おお、店員さんが着物来てる」
「こう言うの見ると京都って感じするわよね~」
「ですね」
「店の雰囲気もええ感じやね、せっちゃん」
「そ、そうですね」
店内は和風で清潔感溢れる綺麗な内装をしていて、結構気持ちが良い店だと思う。
「では、ご注文がお決まりになられましたらそちらのベルでお呼びください」
「さて、では私は予定通り『丹波黒豆と鱧の抹茶パフェ』を頂きます」
「そんじゃ私はこの白桃最中にしよっと」
「ほんならウチはわらび餅で~」
「私は白玉あんみつね。ネギはどれにする?」
「僕は……どら焼きにしようかな」
「わ、私は甘納豆でー……」
と、次々に決まっていく中、俺はまだ悩んでいた。
「むう……何にした物か」
「ちょっとー、ふたみんまだー?」
「待て待て、今悩んでるんだ…………よし! 俺は黒七味わらび餅ドリンクにするぜ!」
他にも面白そうなものあったんだけど、これが一番面白そうだった。
「結局それなワケね……」
「て言うかここって何でも置いてるのね……」
何故かパルと神楽坂の2人がため息をついていた。
「二見さん……やりますね」
「当然だ」
「あや? そう言えばせっちゃんは何にするんー?」
「えっ? わ、私は別に……」
「えぇー! せっかく甘味処に来たんやから何か頼まなあかんえ?」
何やら近衛さんが桜咲に迫っていた。そう言えばさっきからせっちゃんせっちゃん言ってるけどあの2人ってそんなに仲が良いのか? パッと見、近衛さんが一方的に桜咲に迫っているように見えなくもないが。
「そ、それでは私は羊羹で……」
「はいはーい。そんじゃ注文するよー」
パルがベルを押し、店員さんを呼ぶ。
「お待たせしました。ご注文はいかがなさいますか?」
「えーっと……白桃最中、わらび餅、白玉あんみつ、どら焼き、甘納豆、羊羹、それと丹波黒豆と鱧の抹茶パフェに黒七味わらび餅ドリンク。以上で~す」
「かしこまりましたー」
「……パル、お前すげぇな」
良く全員分記憶出来たな。俺なんて自分の分と初めの方に言ってた件のパフェ、最中とわらび餅くらいまでしか覚えてないぞ。
「え? これくらい普通じゃない? ね、のどか」
「ふぇっ? う、うんー……」
「ウチも覚えてたえ?」
「ちなみに私もです」
「なん……だと」
綾瀬はてっきり俺と同じく覚えてないおバカなのかとばかり……。
「その反応は失礼ですね」
「いや、だってお前はこっち側だと思ったからさ」
「一緒にしないでほしいです」
「っかしいなぁ……」
「それよりさっきのドリンクをノートに書き込むことを忘れないでくださいよ?」
「分かってるって」
ま、荷物は旅館で今は財布と携帯くらいしか持ってないから旅館に帰ってからになるけども。
「ホンッとあんたらどこ行ってもブレないわねぇ」
「て言うか聞きたかったんだけど……夕映ちゃんはまだ分かるとしてふたみんは何でそんなの飲む気になったの?」
「答えは簡単、面白いからだ! 俺は昔っから面白い事が大好きな性質でな、MAHORAドリンクほど面白い物はないだろ?」
「……ねぇパル、アタシがおかしいの?」
なんで疲れた顔でパルに話しかけた神楽坂。はて? どうしたと言うのだろうか。
「安心していいよアスナ、おかしいのはあっちだから」
「おい綾瀬なんか言われてるぞ」
「何を言うですか、二見さんに言ってるのですよ」
「いや、あんたら二人に言ってるから」
「「な、なにぃ!?」」
見事に俺と綾瀬の声がハモった。そんな事はどうでもいいが、まさか俺が綾瀬と同列でおかしいと言われるなんて……。
「あ、ハモった」
「そんな事より、俺が綾瀬と同じくらいおかしいだと? 聞き捨てならんぞ!」
「そうですよ。誰がどう見ても二見さんの方がおかしいの明白です」
「いやいやいやいや、綾瀬の方がおかしいって」
「あたしらからしたら一緒だっての」
パルの言葉に俺と綾瀬以外の全員が頷いていた。
「……綾瀬、きっとこいつら人を見る目が無いんだ。あー、やだやだ」
「まったくですね。困ったものです」
「「「「「そう来る!!??」」」」」
「あ、あはは……」
俺達の言葉にネギ君は苦笑し、他の皆は驚いて俺達を見た。どこまでも失礼な奴らだ。
うーん。今回はあまり書く事が……。