「ふむ……この『ロイヤル300%』も中々良いね。珈琲風味でなかったのが残念だけれど」
せっかくカフェに来ているのだから普通にコーヒーを注文しても良いかも知れないね。お金はフタミンからお小遣いと言う形で貰っているし。
「あれ? 君は……」
「む? おや、ネギ君じゃないか。座るかい? 会ったのも何かの縁だ。一杯ご馳走するよ」
「う、うん。ありがとう……」
「そんなに警戒しなくてもいい。『今の所』は何もする気はないよ」
「『今の所』はと言う事は将来何かする気だと言う事じゃないか……!」
「フ、そうだね。だが、仮にそうだとしても君に何が出来る? あの京都の時もカグラザカアスナがいなければ僕に手も足も出なかった君が」
京都と言えばフタミンから貰ったあの至上のドリンク……こっちに来てから毎日探してはいるけれど未だにアレ以上の物に出会えない……。
「ぐ……い、今は修業してる! そして今度は一人で君を倒す!」
「修業、ね。その必要のない僕には分からない事だけれど、もし君の拳が再び僕に届き得るのなら、その時は本気で相手しよう」
「……言ったね?」
「言ったさ。まぁそんな事今はそれこそどうでもいい瑣末な事だ。何を飲むんだい? 何なら僕が決めるけれど」
「いや、瑣末な事って……まぁ良いよ。……任せる」
「分かった。ウェイトレス、この『ソーダあんみつレモネード紅茶風味』を二つ頼むよ」
「!?」
「ん? どうかしたかい?」
急に汗をかき出して……今日はそんなに暑かったかな? まだそんな気温でもないはずだけれど。
「い、いや、その……本気であれ飲むの?」
「何を言うんだネギ君。アレ程興味をそそられるものはないじゃないか。僕は是非ともあの飲み物を制覇して調べ上げたいね」
「……一つ聞きたいんだけど」
「何かな? 答えられる事なら答えよう」
「何故君がここに来れたの? いくらふたみんさんが問題ないと言ってるからといって……」
「簡単な事だよ。僕にその気がないのを証明したのさ」
全く、魔法使いは皆頭が固くて困るね。おかげで貴重な魔法具を一つ消費してしまった。
「ど、どうやって?」
「魔法具を使ったのさ。ここ麻帆良学園において、緊急時及び契約者の許可が降りた場合を除く戦闘行為をした場合に僕は永久に魔力を完全に失う。ここで言う戦闘行為とは相手を故意に傷つけたり言葉通り戦闘を行った場合だね。もちろん模擬戦とかでもそうなるから事前に契約者……この場合は学園長になるね。に一言伝えてからになるけれど」
「そこまでしてその変なドリンクを調べたかったの!?」
「当然じゃないか。何を言ってるんだい君は?」
むしろそれ以外に何の理由があって計画決行までの間ここまで来てると思っているのか。まぁ当然計画の話はしないけれど。
「え、僕が変なの!?」
「さっきからうるさいな君は。ドリンクでも飲んで落ち着きたまえ」
「……え、いやその……えー……」
「――ほう、口の中で炭酸が大暴れ。それでいて重厚なこのあんみつの甘味、だが紅茶の風味で爽やかに仕上がっている……なるほど、これは素晴らしいね」
「どう聞いても素晴らしいとは思えないんだけど……」
そう言いつつドリンクにミルクを入れ始めるネギ君……ちょっと待ちたまえ。
「ネギ君、君は何しているんだい? せっかくのドリンクにミルクを入れるだと?」
「だ、だって紅茶風味って言うから……!」
「ふん、紅茶と聞けばミルクティー、何が何でもミルクティーかい? これだから英国人は」
「は?」
「紅茶で言えばミルクは紅茶そのものの風味を壊す。少しは考えて飲んだらどうだい? まぁ、僕は紅茶より圧倒的にコーヒー派だけれどね」
「へ、へぇ……? 君の方こそ良くあんな無粋な泥水を胃に流し込めるね。良い病院を紹介しようか?」
泥水……だと? ネギ君はあのコーヒーを飲んだ事がないからそんな事が言えるんだね。どうしてだろう、この感覚……前読んだ本に書いてあった……そう、哀れみ、だろうね。凄くネギ君が哀れに思えてくるよ。
「君こそ残念だ。君が言うコーヒーはコーヒーじゃない。コーヒー風味の泥水さ。そんなものしか飲んだ事のない君が凄く哀れに思えるよ」
「……ねぇ、君さっきから僕に喧嘩売ってるの? 売ってるなら買うよ?」
「良いだろう。僕の方が正しいと言う事を教えてあげるよ。とにかく飲み物を片付けたまえ」
「分かってるよ。――ブファッ!!??」
「おや? ネギ君どうしたんだい?」
いきなり飲んだ物を吐き出すとは。教養がなっていないね。
「(ピクッ、ピクッ)」
「全く……しかもそのまま寝るとはだらしがない。まぁドリンクは元々ご馳走するものだったから良かったんだけど」
置いて帰っても良いけどここで寝ていたら店の迷惑にもなるだろうから送り届けようか。少しは感謝して欲しいものだね?
「カグラザカアスナ」
「うわっ!? あんたどっか出てきたのよ!?」
「転移してきただけさ。それよりネギ君とお茶していたら急に寝てしまってね。その場に置いて帰るのも迷惑だと思ったから連れてきたよ」
「え、ネギが? うーん……修学旅行で色々あったからその疲れでも出たのかな……分かった。またネギにお礼言うように言っとくわね!」
「ああ、ネギ君に一言伝えておいてくれ。今日は僕の勝ちだね、と」
「? まぁ良いけど……」
さて、では僕は帰るとしよう。……またタケムラがうるさいだろうけどね。
「フェイトきゅぅーん!! ふたみんが……じゃなかったロリみんが虐めるよぉ!!」
「うるせぇ!! テメェ何こっそりリアの昼寝中に添い寝しようとしてやがんだ!」
「いーじゃねーか!! いつもお前が添い寝してあんな事したりそんな事したりしてるんだからたまには俺だって――」
「させるかボケェッ!!」
おお、綺麗にアッパーが顎に入ったね。もう慣れた光景ではあるけれど、フタミンのあの鋭い拳にタケムラの耐久力……彼らは本当に一般人なのだろうか? あとどうでも良いけれどそんな大声を出していたら起きてしまうんじゃないかな。
「ん……あ、お兄ちゃん」
「おう、リア。変態は片付けたから気にすんな」
「……うん、気にしない」
「フタミン、君は何か武術でもやっていたのかい? さっきのアッパーだけれど、見事としか言い様がない」
「え? いや、あれはただのツッコミだし……強いて言えばギャグパート、みたいな……?」
「ギャグ……パート?」
なんだそれは……聞いた事がない単語だね。一度、詳しく調べる必要がありそうだ。
「お約束とも言うかな……?」
「……お約束」
「ふむ……。あ、そうだ。今日のドリンクだけれど」
「お、待ってました! どうだった今日は?」
……不思議だね、計画の決行までと決めてはいるが、僕は今――
今回はフェイト視点での日常回風にしてみましたが……ちゃんと出来てたかどうか。
フェイト君、ネギ君と仲が良さそうでなによりですね(笑)
フェイト君が今回使った魔法具とはネギ君に使おうとしてたアレですね。漢字が出なかったので魔法具で括らせていただいてます……。分かっても変更の予定はないので悪しからず……
最後に意味深な事を呟いてますが内容が内容なだけにちょっと……(笑)