「では旦那、説明させていただきやす。まずアーティファクトカードですが、『来れ』で出す事が出来――」
「『来れ』」
「ちょっとちょっとぉ!! 説明してるんですから待ってくださいよ! って、こりゃ一体……」
「えーっと、『ドリンクツクール』? 何これ」
「何ともまぁ……お前らしいアーティファクトだな。ふむ、4本の瓶にそれぞれ『火』・『水』・『土』・『風』か。四大元素……か?」
「お、中身入ってる。飲んだ方がいいのかな?」
別に危険なものではないと思うんだけど……何せアーティファクトとやらだしな! 詳しくは知らないけど!
「ツクールって言うくらいだから混ぜ合わせるんじゃないですかい? 試しにやってみるとか」
「じゃあ……適当に火と風で」
「だが、これはとても実戦向きじゃないな」
「混ゼテル間ニブッ殺サレルゼ」
「そこ、うるさいよ! あ、あれ? 何かラベルが変わったんだけど……」
「ほう? ……『キウイの朝漬け』。ってぇ、いつものゲテモノドリンクではないか!! 本当にお前らしいな!?」
ゲテモノとは失礼な! 全く、不思議ドリンクに対して侮辱もいいとこだぜ!
「でもこれじゃない! これじゃないんだよ……!」
「「「は?」」」
「不思議ドリンクは自分の足で探し、見つけ、共有し、その面白さを分かち合う事に意味があるんだよ! 自分で作れたら何の面白味もないじゃないかぁっ!!」
「おい、こいつ自分のアーティファクト全否定したぞ」
「で、でもよ旦那。とりあえず効果試すとかそれくらいはした方が……」
「分かったよ……そんじゃま一口」
味はまぁ、キウイの甘味と浅漬けの加減が絶妙に微妙なハーモニーを奏でてとにかく意味の分からない面白い味となっている……!
「さて、これで何が変わったのか。表面上は特に変化がないようだが」
「試しに魔法とか試してみたらどうですかい? アーティファクトにゃ対象の潜在能力を引き出す力もあるし。杖はこの練習用の使えばいいし」
「魔力容量5ですけどねー」
「フン、私の従者になった時点でそんなもの軽く凌駕しておるわ。最も、私の魔力が封じられている間は供給も殆ど出来んから一緒だがな」
「ちぇっ。じゃあまぁ……プラクテビギ・ナル『火よ灯れ』! おほっ!!」
「おおっ! 出来た、出来てるぜ旦那!」
「ふむ、どうやらお前のアーティファクトはドーピングの類のようだな。おそらく混ぜれば混ぜる程強力になるのだろう」
なるほど……つまり、これ4種類全部混ぜれば……!
「言っておくが、今のお前が4種混ぜたら肉体の方がドーピングに耐え切れず最悪死ぬぞ? 良くて再起不能か。と言うか何の修業もしていないお前では単体ぐらいが限度だろう」
「……俺、2種類混ぜたの飲んだんですけど」
「知るか。よし、試しに思いっきりジャンプしてみろ。肉体も強化されているはずだ」
「何か胡散臭いけど……ほっ!」
「おいおい嘘だろ……軽く5mは跳んだぞ……」
「え、何これ!? 高っ、怖っ!!」
なんとか着地は出来たものの……ドリンク飲んだだけだからなんともなぁ。もっとこう、格好良い武器とかそんなの出るかと思ったんだけど。
「ん? どうしたんでい旦那?」
「いや、良く分からんけど格好良い武器とか出るのかなーって思ってたから拍子抜けと言うか」
「如何にもガキの考えそうな事だな。武術然り剣術もまた然り、何の心得もないお前が持った所で宝の持ち腐れにしかならんだろ」
「そう言われればそうなんだけどさ? でもやっぱり……」
「さっきも言ったが、そのアーティファクトはお前向きだと思うがな? お前に足りない物は魔力・気・頭脳・肉体的強さ・経験。ま、要するに何もかもが足りていない。それをある程度補うと言う意味では、そのアーティファクトはお似合いだよ」
「最後のはどうしようもないと思うんだけど」
経験ってそれこそ今のネギ君みたいに組手するしかないんじゃないか?
「それくらい自分で考えろ。人生は常に準備不足の連続だ。手持ちの材料で切り抜ける癖くらいはつけておけ」
「手持ちの材料で、ねぇ……」
「まぁ、お前の場合周りが極端に強すぎるがな……」
「ゆえっちはともかく、フェイトはまだ未知数ではあるが滅茶苦茶つえーのはつえー。リアっちは悪魔でも最強クラス、さらにヘルマンのおっさんと一応あのスライム達も旦那のそばにいるもんなぁ……」
「……お前何もしない方が良いんじゃないか?」
「薄々そんな気はしてた」
少なくとも戦闘だと俺と綾瀬、完全に要らない子だもん。今の所は。
「だがそれに甘えるなよ? いつ何があるか分からんからな」
「分かったけど……何、エヴァが修業してくれるの?」
「は? 知るか、メンドイ。自分の師くらい自分で見つけろ。ぼーやとて私の魔法使いとしての強さに感銘を受けたから弟子入りを志願しテストにも合格したから稽古をつけてやっている。お前は私に師事したい理由でもあるのか? 無いならやるだけ無駄だし、そもそも私の修業のやり方はお前には向いとらん」
「ちぇ。でもまぁ、エヴァがそう言うならそうなんだろうな。んじゃ、とりあえず魔法の事は一旦置いといて、検閲作業を進めないと……」
カードの話になってから今の今まで完全に忘れてたぜ……。危ない危ない。
「俺っちも手伝うぜ旦那!」
「ケケケ、ネタ見繕ッテヤルヨ」
「やめんかい」
「それもそうだが、お前テストもあるんじゃないのか?」
「ん? そっちは寮でフェイトに教えてもらってるから問題ないかなー。それより検閲だよ検閲!」
途中でチャチャゼロの茶々が入ったりで結構時間がかかったのだが、ようやく検閲を終え、一番多かった定番と考えてもらったものを記入する。
「……なぁ、一つ聞いていいか?」
「……大体想像出来るけど、どうぞ」
「一番多かったのが『女装喫茶』と『ノーパン喫茶(入ってきた女子がノーパンに)』って……いや、と言うかこの2つしかなかったわけだが、お前のクラスは馬鹿しかいないのか?」
「馬鹿しかいねぇよ!? でもまさかここまでドアホだとは思わなかったよ!! あいつらホントアホだな!!」
「それに女装喫茶て誰が得するんだよ……?」
「一部ノ変態共ダロ」
ねぇ、これホントどうしたらいい? つか何で無駄に息ピッタリなんだよこいつら!!
「くく、もう女装喫茶で良いんじゃないか? お、お前の晴れ姿見に行ってやるぞ……? ぶふっ!」
「笑いながら言ってんじゃねぇぞ!? 女装とかマジ勘弁してくれよ……」
「ま、精々当日は楽しませてくれよ? 私はそろそろぼーやの修業に戻る。行くぞチャチャゼロ」
「アイサー」
「マ、マジで来る気かあいつ……」
「そういや旦那、カードの事だけどよ。戻す時は『去れ』だぜ!」
「あ、おう。『去れ』」
カモの言う通り唱えると、4つの瓶が消え元のカードの形になった。こりゃ便利だな!
「ついでに機能もいくつか説明しとくぜ! マスターであるエヴァンジェリンの方が権限が上なんだが、まずはマスターとの念話機能。正直携帯の方が早いっちゃ早いんだが電波に左右されないと言う意味では優秀だな。だが距離に制限があるからそこらは上手く使い分けた方がいい感じだな」
「ちなみにその念話する時は?」
「カードを額に当てて『念話』で出来るぜぃ」
「ほうほう。『念話』、あー、テステス、本日は晴天ナリ本日は晴天ナリ」
『修業の邪魔をするな馬鹿者!!!』
「うおっ!!?? ……めっちゃ怒られた」
「まぁ、修業中だしな」
それ、早く言おうぜカモ君や……。いや、空気読まなかった俺が悪いのは悪いんだけどさ。
「おや、それが君のカードかい?」
「お、フェイトお帰りー。そうみたいだ。で、アーティファクトは何かドーピングみたいなものだってさ」
「実際さっき初歩魔法ではあるけど発動させたしな」
「ほう? 魔力容量が5な君にはピッタリかも知れないね。だが、やりすぎは良くないよ?」
「エヴァにも釘刺されてるから大丈夫だよ。俺だって自分が大事だし」
命あっての物種って言うし? それに……俺が戦う時なんて来るのか……? そりゃネギ君の父親探しの手伝いはしたいけど……。
「分かっているなら僕から言う事はないよ。で、学園祭は何をする事になったんだい?」
「女装喫茶」
「何……?」
「女装喫茶。満場一致で」
「フタミン……今までの疑問が確信に変わったのだけど、彼らは……」
「馬鹿だよ? 大がつく程の」
さすがのフェイトも女装は勘弁願いたいのか、少し嫌そうな表情をしている。こいつのこんな顔珍しいな。
「けどまぁ……多数決なら仕方ない。僕はそれに従うよ……」
「表に出ない裏方やるとか」
「! フタミン……君は天才かい?」
「あー、うん。もうそれでいいよ」
それから1日が経つまで俺のアーティファクトがどんな効果を持ってるか試したり、女装喫茶の内容を煮詰めたりしていた。
「エヴァ、今日はサンキューな」
「別に礼を言われる筋合いはない。それより麻帆良祭、楽しみにしているぞ?」
「勘弁してください」
「そう言えば、ふたみんさんのクラスは何やるんですか?」
「女装喫茶だそうだよネギ君」
「へぇ、女装喫茶……え、女装喫茶!?」
ネギ君の反応は良く分かる。うちの馬鹿共を完全に侮ってたよ……。
「ああ、そうだ。当日はあの小娘も連れて行ってやろう」
「止めて! リアに見られるとかどんな辱めだよ!!」
「……私が、どうかしたの?」
「ぬおっ!? リ、リリリリア? お前、いつから……?」
「……さっき。みんなでテストの勉強してて、遅くなった……」
あー、そう言えばテスト期間でもあったっけ今。
「そうかそうか。じゃ、帰るか」
「……うん」
「お前……本当にそっちのケがあるんじゃないだろうな……?」
「……BBA、嫉妬?」
「誰がするか! さっさと帰れ!」
ホント仲良いよなぁ、この2人。
「あ、帰ってきたデス」
「お帰リ」
「よー、何でアタシらは部屋待機なんダヨ」
「やぁ、お帰りフタミン達」
「なんであんたがここにいる!? あんた教員寮あるだろ!」
寮に戻るとスライム達は朝に部屋で待機と言っておいたので問題はないが、ヘルマンが居た。何でいるんだよ……。
「……出て行け変態」
「いや、なに。マスターに報告をね」
「そんなもんなった覚えもないしなる気もないし、つか部屋狭いんだから出てけよ……」
「ふむ、この『コーヒーゼリーdrink「黒くてテカテカしたナニカ」
』は中々良いね。特にコーヒーが入っている所がグッドだ」
「いやいや、是非ともロリコンマスターであるフタミンには聞いて欲しいのだよ!」
「誰がロリコンマスターだテメェ!!」
それならまだロリコンとだけ呼ばれる方がマシだわ!! え、なに、マスターってそう言う事? 絡繰がエヴァに向かって使ってる意味じゃなくてそう言う事!?
「実は……初授業をしたのだが、天使の様なJS達がせんせー、せんせーと……ううっ! この学園に来て本当に、本当に良かった……! これも全てはマスター、貴殿のお陰だ……」
「リア、フェイト、氷漬けにした後どっか飛ばしてくれこいつ」
「……うん、任せて」
「分かったよ。部屋が狭いのは困るしね」
「も゜ろ゛っ!!??」
変態は、リアの魔法で氷漬けになった後フェイトの転移魔法でどっかに飛んだ。うん、平和が戻ってなによりだ。
~今回の出来事~
・主人公のアーティファクトが登場!
・主人公のクラスの出し物は「女装喫茶」になるそうです(誰得
・ヘルマンはオチ担当
今回はアーティファクト回でした。4つの元素それぞれ効果が違うのですが、それはまた追々明らかにするので!