銀魂 奈落の底から天へ翔ける烏   作:白河葵

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 この度ひさしぶりに投稿することになりました。
 しばらく前から銀魂熱が再燃しまして、2Ⅾシアター、吉原大炎上と公式からの大サービスに喜びがいっぱいです。
 そんな中、私が銀魂熱が再燃するきっかけを作ったあるキャラクターの誕生日が近づき、さらにⅩでも呟きや考察が数多くみられ、読ませてもらっているうちに自分の中で漠然としていたものを形にしてみたいと思うようになり、今回こうして投稿することになりました。
 今回オリキャラが出るだけです。本当はもっと先の話まで投稿したかったのですが、間に合いませんでした…。 
 いきなり原作のネタバレや捏造設定等がでます。それでも構わない方はどうぞお読みください。


プロローグ ある野心家の呟き

 

 天照院奈落。長きに渡り歴史の裏から国の采配に関わり、操ってきた暗殺組織。今は天導衆を主とし、その思惑に従い、日夜暗躍している。

 

 組織の頂点は首領だが、組織の運営等の実務は首領に次ぐ地位にある五人の幹部通称『五人衆』が合議して決定していた。この体制は何代か前の首領が権力に興味を持たず、幹部達に組織の運営を任せるようになった結果出来上がったものである。そして、時が経つにつれ、幹部たちの力は増し、首領は組織の運営にはほぼ関わらず、ただ配下を率いて標的を始末する汚れ仕事をこなすようになった。

 

 当代も運営には積極的に関わろうとせず、五人衆はこれ幸いと自分達に都合のいいように運営し、権力争いを続けている。そして、これからも延々と続くはずだった。

 

 

 

 

 

 が、ある時予想外の出来事が発生した。当代の奈落首領:虚が突如失踪したのだ。裏切り者には死を。という掟の為、直ちに捜索が行われた。

 

 

 

 

 

 まさかの事態に奈落全体が揺れる中、密かにほくそ笑む者もいた。

 

 

 

 

 

「ククク…よもや首領が失踪しようとは。ツキが向いてきたようだな」

 

 ある暗い一室で、男がほくそ笑んでいた。年は三十を少し過ぎたくらいか。整った顔立ちをしているが、爬虫類を思わせる冷たい人間味を感じさせない目をしている。黒い僧衣を纏い、脇息に寄りかかるなど、外の騒ぎとは裏腹に余裕のある雰囲気である。

 男の名は(かばね)。天照院奈落の隊員であり、奈落を実質支配している五人衆の一人である。

 その男から少し離れた所に小柄な人影が跪いていた。

 

 「屍様」

 

障子の外から声が掛けられる。

屍は障子の方に視線だけ向ける。

 

「何だ?」

「首領付きの小姓も失踪しました」

「ほう…」

 

屍は少し考えるそぶりを見せる。

 

「その者、確か(おぼろ)とかいったな」

「は」

「発見したら生け捕りにしろ。何か役に立つかもしれん」

「御意」

 

声の主の気配が無くなると、屍はふたたび笑みを浮かべる。

 

「やはり、あの小僧を連れ出すとは。よほど御執心のようだな、先代(・・・)

 

そこで先程から跪いている人影に顔を向ける。

 

「お前は引き続き内部を探れ。何かあれば追って指示を出す」

「・・・・・・御意」

 

返答した影は姿を消す。

 

「この好機無駄にはせん。混乱に乗じ、私に楯突く者を炙り出すとしよう。そして、首領の地位もさらにその先も手に入れてみせる…!」

 

 邪悪な笑みを浮かべる屍。彼の歓喜の笑いだけが響く。

 

 

 

 

 

 それからしばらくの間、五人衆は多忙を極めていた。

 虚失踪後の奈落を統括し、裏切り者の捜索の指揮を執るだけでなく天導衆をはじめとした各方面に首領の足抜けが露見しないよう奔走し、任務も滞りなく進める。

 その一方で、屍は邪魔者の炙り出しも密かに行っていた。自分の派閥につかない者、内心不満を抱く者。機を見て粛清するつもりだ。

 

 

 

 

 

 そして、ある連絡が入った。虚捜索に出ていた九番隊が落石事故で全滅し、虚は今なお逃走中。また、彼に付いていた小姓―――朧は事故に巻き込まれ瀕死の重傷を負いながらも一命を取り留めたという。

 自分が内部を探らせている影からその報告を聞いた屍は目を見開く。

 

 「ふむ、小姓を置いて逃げるとは・・・・・・ただの気まぐれで傍に置いていたのか?」

 

 報告を聞いた屍は意外な気がした。自分の知る限り、虚は誰かに気を許した姿を決して見せなかった。人間離れした強さを持ち、慇懃ではあるがどこか厭世的な雰囲気を漂わせていた。烏を象った面頬を常につけ、その下にある素顔を見た者は誰もいない、いや見れば殺される等という噂がまことしやかにささやかれていたものだ。それだけ虚は長く他者を寄せ付けなかった。

 

 

 

 

 

 だからこそ、虚が小姓を連れ始めたと聞きひどく驚いた。

 

 

 

 

 

 その小姓―――奈落に入ってから朧と名乗るようになった―――はどこぞの商家を襲撃した時に連れてきたという、顔に大きな傷跡のあるやせ細ったまだ十歳前後の少年だった。

なんのつもりだと密かに探らせたが、朧は虚の身の回りの世話をしてはいるが、戦闘訓練は受けていないらしい。どうやら、後継者として目を付けたというわけではないようだ。

 

 報告を聞き、屍は安堵と同時に一抹の興味を抱いた。あの孤高だった虚が子供とはいえ他人を傍に置くとはいかなる心境か。ただの気まぐれか、それとも何かの兆しか―――

 いずれにしろ、虚にとってそれなりの価値はあるのだろう。なら、利用するまでだ。そう考え、しばらく泳がせることにしたのだが、期待外れだったらしい。

 

「いや、待てよ」

 

 屍は考え直した。朧は虚に置き去りにされたと思っているだろう。だったら、そこに漬け込む余地がある。朧が処刑されないように掛け合えばいい。そして、今度は自分に仕えるように仕向け、虚への忠誠心を捨てるように誘導するのだ。

 お前は首領に捨てられた。裏切られたのだと吹き込む。そうささやき続ければ、次第に虚に対し不信感が芽生え、やがて怒りや憎しみに転じるだろう。一方で、自分は甘い言葉を吐いて朧を慰めるような素振りをみせればいい。そうして、朧が自分に信頼、いや依存するように仕向ければ忠実な手駒にできるだろう。

 今までのように(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 「まあ、小姓としての働きぶりからして愚鈍というわけではないらしい。こき使い甲斐がありそうだ」

 

 屍は一人ごちると、目の前に跪く影に顎をしゃくる。

 

「貴様にもさらに存分に働いてもらうぞ。私がこの奈落を完全に手中に収めるため、そしてさらに高みへ駆け上がるために――(もがり)

「・・・・・・はい」

 

 殯と呼ばれた影は淡々と答える。

 灯りに照らされたその姿はまだ幼い子供だった。こちらも奈落の黒装束を身に着け、黒い髪に赤い毛が混じっている。人形のような顔には表情が一切浮かんでいない。その状態で深々と頭を垂れる。

それを見た屍は笑みを深める。その目に映るのは野望を達成した自分の姿か。

 

 

 

 

 

 だが、欲に溺れ輝かしい将来を夢想する余り屍は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 跪いている殯の手がほんのわずかに震えていることに。伏せられている顔が歪みその眼には強い憎しみが宿っていることを。

そして、内心でこう思っていたことに。

 

 

 

 

 

 お前の思い通りにさせるかよ、と。




 原作での虚は本編最終章(さらば真選組篇あたりから)では、圧倒的な力と不老不死の力への魅了とで奈落や天導衆、春雨の幹部たちを懐柔してましたけど、過去篇の彼は権力とか興味がないだろうなと思いまして。
 そこへ、権力に執着する幹部たちが汚れ仕事を押し付けて、自分たちにとって都合のいいように奈落を運営したり定定らと手を結ぶようになったのかなと(あくまで私の勝手な妄想ですが)
 次回、オリ主出ます。
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