Dear, You Who Never Were   作:かぽす

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Hogwarts
Second Among the Gifted “二番目の天才”


紅の汽車から出る蒸気がプラットフォームに充満し、人混みとともに視界を悪くする。私は両親を不安げな目で見上げながら、決して迷子にならないように彼らの服の裾をギュッと握っていた。

 

 

 

 

 

しばらくして父がカートを押すのをやめ、トランクを下ろしてくれた。それをなんとか受け取ると、母の優しい手が頭を撫でる感触がした。

 

「エリーゼ、元気でいるのよ」

 

「ああ、必ず手紙を送ってくれよ。じゃないとパパは心配で夜も眠れなくなっちゃうからな。」

 

エリーゼはこくん、と頷くとお別れのキスをもらいに背伸びをした。頬に触れた父のざらざらした顎の感じと、母の柔らかい唇の感触がこの時は何よりも暖かく感じた。

バイバイ、と手を振り、汽車に乗り込む。空いているコンパートメントを見つけて中に入ると、窓を開けて両親の姿を探した。窓から外を覗くエリーゼを見つけて、二人はパタパタと駆け寄ってきた。

 

「パパ、ママ、大丈夫よ。心配しないで、私の心はいつでも二人のそばにいるから。愛してるわ。」

 

エリーゼがそう言うと、二人は顔を綻ばせた。

 

「まあ、なんていい子なの…!エリーゼ、楽しんできてね。」

 

「この天使め!きっとこの子は沢山の人を笑顔にするに違いない。ホグワーツ生活、心ゆくまで満喫するんだぞ!」

 

汽車が動き出して、エリーゼは夢中で二人に手を振った。キングズ・クロス駅がどんどん小さくなって、しまいには見えなくなったことを確認すると、エリーゼは窓を閉じて椅子に深く座り込んだ。

やることもないので、とりあえず本を開いてみる。エリーゼは読書が大好きだった。本はどこでも読める。良い暇つぶしになるし、新しい知識も獲得できる。しかしエリーゼが読み始めようとしたその瞬間、コンパートメントの扉が開いた。

 

そこにいたのは、目を見張るような美少年だった。美しく艶やかな黒髪を鬱陶しそうに手で払い除けた少年は、遠慮なくコンパートメントに入り込むとエリーゼの真向かいに腰掛けた。

 

「相席しても良いかい?前の所は隣がうるさくてね。」

 

すでに座っておきながらそう聞いた少年を、エリーゼは正面から再び見つめた。黒い瞳は賢そうな光を放ち、目は左右均等で文句の付け所がない。鼻筋がしっかり通っていて、髪もさらりとしていて清潔感がある。

一秒にも満たない観察を終えると、エリーゼは短く「ええ」と返事をした。

本を脇に置き、しっかりと座り直すとエリーゼは自己紹介をした。

 

「エリーゼ・レヴィエール。一年生よ、よろしくね。」

 

「トム・リドルだ。」

 

エリーゼの自己紹介に対して、トムはやや乱雑に返した。

エリーゼは何か気に障らないことがあったのかと不安になったが、先ほどのやりとりに不自然さはない。

そんなエリーゼに対して、トムは息を吐くと、若干めんどくさそうな、しかし申し訳なさそうな雰囲気を醸し出して再び口を開いた。

 

「自分の名前があんまり好きじゃないんだ。それと、僕も一年生だから、よろしく。」

 

それきり会話は続かなかった。いや、続ける気がなかったと言うのが正しいのか。トムはトムで自分で買ったらしい本を読んでいて、これといって話始める気配もない。ただ、エリーゼはトムの読む本が一年生にしてはひどく高度なことに気がついた。

ただし、集中している彼に声をかけることも憚られたので、自分の本に集中することにした。今読んでいるのは呪文学についての本。特に、呪文の開発についてのものだった。そう、自分オリジナルの呪文を作るのがエリーゼの大きな夢なのだ。ホグワーツでさらに知識を吸収して、立派な魔法使いになる。

そんな輝かしい夢を抱える少女を乗せて、ホグワーツ特急は田園風景の中を走っていった。

 

数時間程が経ったが、相変わらずコンパートメントは無言のままだった。途中車内販売の魔女が来たが、お腹が空いていなかったのと、食べかすが本に落ちるのが嫌で何も買わなかった。本を読む間にあっという間に外は暗くなり、『監督生』と書かれたバッジをつけた生徒が制服を着るようにと促した。

 

「__僕は出ていくよ。」

 

トムが本から顔を上げてそう行ったので、その言葉に甘えることにした。さっさと着替えて、車両の連結部にいるトムをコンパートメントに連れて帰るが、そこでエリーゼは気づいた。彼もまだ着替えていないじゃない、と。

だがそんな疑問を払拭するようにトムは杖を取り出すと、短く呪文を唱えた。途端にトムは制服姿へと変わり、着ていた服はパタパタと自動的に折りたたまれていく。エリーゼは驚きで目を見張った。

 

「ねえ、貴方一年生よね?」

 

ああ、とトムはそっけなく返した。

エリーゼは驚いた。端的に言えば、エリーゼは才能に恵まれていた。小さい頃から杖なしで数々の魔法を操り、杖を手にしてからはめきめきと魔法の実力を伸ばして行った。両親はいつもエリーゼを、将来の歴史上最も偉大な魔女と褒めていたが、エリーゼは満更でもなく、むしろそうなるべきとすら思っていた。ただ目の前の少年が高度な魔法を使うのを見て、エリーゼの心には尊敬の念と同時に、わずかな競争心が芽生えるのを感じた。

エリーゼはしばらく尊敬のまなざしでトムを見つめていたが、彼の居心地悪そうな目を見て慌てて目を逸らす。気まずい沈黙が再びコンパートメントを支配し始めた。

 

闇が深まるのと同時にホグワーツ特急はゆっくりと速度を緩めていき、ホグスミード駅に滑りこむように停車した。

途端にコンパートメントの扉を開く音やら、扉の方向を確認する声やらでがやがやと周りが騒がしくなる。生徒たちが我先にとプラットフォームへなだれこむのが見えて、慌ててエリーゼも続いていった。トムはエリーゼの少し前を悠然と歩いているのが見え、エリーゼはピッタリと後をついて行った。

 

 

 

 

 

 

船に乗ってホグワーツに着いたあと、大広間に続く階段で、ダンブルドア教授の監督のもと一年生は待たされていた。周りの新入生がこそこそとこの後何が起こるかについて話し合ってるのが聞こえて、エリーゼはため息をついた。組分けのことを知らないなんて、マグル生まれなのかしら?

そんなことを考えているうちに扉が開いて、一年生は慌てて二列になって大広間へ入っていく。好奇心のこもった上級生たちの視線がなんとなくこそばゆい。

 

朗々とした声で組分け帽子がオリジナルの歌を歌い上げ、惜しみない拍手が送られる。そしてようやく、組分けが始まった。

アボット、エイブリー、ブラック。純血の名家の子女たちが呼ばれるのが耳に入る。

レヴィエール家は、先祖にわずかにマグルの血が入ったのか聖28一族には数えられていないが、一応純血の家系である。母はスリザリン、父はハッフルパフ、祖父母はレイブンクローと入る寮にはばらつきがあり、純血だが純血主義というわけでもない。父親は魔法省の官僚で、不動産もいくつか所有していてお金に困ることはないだろう。

恵まれた準名家。それがレヴィエール家の立ち位置だ。

 

組分けは半分以上が終わっていた。アラリクス・レストレンジがスリザリンに組分けられるのを見届け、次だろうと見積もったエリーゼは、最後の準備としてローブを整えた。

 

「レヴィエール・エリーゼ!」

 

澱みない足取りで椅子へと進み、帽子をかぶる。帽子は細い銀髪をするりと触り、あっという間にエリーゼの目の前まで落ちて、視界を奪った。

 

『ふーむ、難しいが、面白い』

 

低い声が帽子の中で反射した。エリーゼが思わずびくりとすると、組分け帽子はくつくつと笑ってからうんうんと唸り始めた。

 

『知恵もある。勇気もある。心優しく、共感できる。だが狡猾で、何かを成し遂げたい野心もある__はてさて、どうすれば良いものか。昔からこの家の者の組分けは難しい…』

 

組分け帽子は大いに悩んでいるようだった。事実、この時点でエリーゼの組み分けにかかった時間はどの新入生よりも長くなっている。組分け帽子はシワを深くしながら熟考しているようだった。

 

『君は何を美徳とする?勇気?知恵?それとも友情、計略か?』

 

エリーゼは一瞬、言葉に詰まった。

勇気でも、知恵でも、それ以外でもない気がした。どれも大切だとは思う。けれど、それだけでは足りないのだ。

 

『では君は、その全てを扱えると?』

 

その問いに、エリーゼはほんのわずかに首を傾げたが、迷いはなかった。

 

「扱えます__少なくとも、扱えるようになります」

 

その言葉は静かだったが、確信に満ちていた。

 

『なるほどな』

 

帽子の声が、明確に楽しげになる。

 

『では聞こう。人の心も、同じように扱えると思うか?』

 

ほんの一瞬。

エリーゼは考えて、すぐに答えた。

 

「ええ」

 

当たり前のように。その言葉は思わず口をついて出た。

 

「時間はかかるかもしれませんが、理解できると思います。」

 

ほんのわずかに間を置いて、エリーゼは続けた。

 

「それに、理解できないものがあるとは、思っていないので」

 

沈黙。

今度の沈黙は、重く、深かった。

やがて帽子が、くつくつと笑い出した。

 

『これはまた……』

 

その声には、はっきりとした愉悦があった。

 

『優しさもある。共感もできる。だがそれ以上に、君は自分を疑わぬ。』

 

エリーゼは何も言わなかった。否定する理由がなかったからだ。

 

『その確信を、間違いなくこの寮は歓迎する』

 

組分け帽子は一拍おいてから、めいいっぱい叫んだ。

 

『スリザリン!』

 

途端に大広間の端のテーブルから大きな歓声と拍手が上がり、エリーゼは帽子を脱いでそこへ向かった。長椅子に座ると監督生バッジをつけた金髪の青年と目があって、彼が緊張をほぐすように微笑みかけかけてくれた。エリーゼはそれに対して笑みを返すと、組分けの儀式の観察に戻った。

次にマルシベールがスリザリンに組み分けられ、自分の向かい側に座る。もう一人がハッフルパフに組み分けられ、次はとうとうトムの番だった。

 

『スリザリン!』

 

帽子はトムの頭に触れるまでもなく、そう叫んだ。あまりに早い組み分けに、一瞬間があってから拍手が沸き起こった。トムは堂々とテーブルへ向かうと、エリーゼの横に腰掛けた。

精悍で美しいその顔には、何一つとして表情が浮かんでいなかった。浮世離れしているのか、それとも不気味というべきか。それでも人を惹きつけるその容姿は、すでに皆の視線を集めていた。

 

組分けが終わり、ディペット校長が短く祝辞を述べ、宴会が始まる。どの料理を取るべきか迷っていると、隣からつんとした声が聞こえた。

 

「この野菜のロースト、悪くはなくってよ。あなたも試してみる?」

 

隣を向くと、そこには灰色の目と黒い髪をした少女が、野菜を切り分けていた。エリーゼは言われるがままに野菜を取って、切って食べてみる。なるほど、確かに美味しい。

 

「ありがとう。私、エリーゼ・レヴィエールと言います。あなたのお名前は?」

 

礼儀として、まず自分が先に名乗る。

 

「私はルクレティア・ブラック。これから七年間、よろしくお願いするわ。」

 

純血の王族らしい、不遜ながらも整った所作でルクレティアは挨拶を返した。

トムは相変わらず無表情で、だが食事は楽しんでいるようだった。ルクレティアほどの洗練されたマナーは持っていなかったが、それでも食べる姿すら絵になるような美しさだ。

 

「ねえ。まさか同じ寮になるなんて、思ってなかった。」

 

エリーゼがそういうと、トムは手を止めて頷いた。

 

「そうだな…そういえば、組分け帽子は、随分と君のことで迷っていたようだが。」

 

「私ね…家族も全員がスリザリンというわけではないし、こだわりもなかったわ。」

 

エリーゼがそういうと、隣からルクレティアがツンとした声で返した。

 

「私の家は代々スリザリンですわ。純血、誇り高き選ばれしスリザリン__王の名に相応しいでしょう?」

 

ルクレティアの言葉には、誇りと同時にわずかな挑発が含まれているのがわかった。エリーゼはまばたきして、微笑んで返した。

 

「いいとは思うけど…」

 

曖昧な返答に、ルクレティアは眉をぴくりと動かした。

 

「というと?」

 

「最終的に相応しいかどうか決めるのは、能力だと思うわ。」

 

エリーゼは自分の言葉に驚いた。口をついて出た言葉は、恐ろしいほど芯が通っていて、世界の音が一瞬遠くなるような感覚がした。

ルクレティアはエリーゼをじっと見つめた後、小さく笑った。

 

「それをまあ…一応純血であるあなたが言うのね…いいですわ。どっちにしろ、ブラック家の長女として学業で手を抜くようなことはいたしませんもの。」

 

それきり、ルクレティアは興味をなくしたのか他の生徒の方へ向き直った。再びエリーゼがトムの方を見ると、彼は肩をすくめた。

 

「僕にとってはどうでもいいことだ。」

 

そう言ったトムの黒い瞳の奥には何も映っていなかった。

 

 

 

あの時のトムは、なんだか冷たくてつっけんどんで、親しみやすくないと言った印象だった。

しかしあの日彼の瞳に私が見たものは、単なる冷たさや無関心さでは表しきれない、黒い感情が渦巻いていた。

憎しみ、不信、絶望。それら負の感情を孕んだ厭世的な視座を持った彼は、その場にいた誰よりも孤独で、小さい存在だったのかもしれない。

 

 

 

エリーゼは持ち前の明るくも控えめな性格で、友人をたくさん作った。中でもルクレティアとドゥルーエラ・ロジエールは部屋が一緒で、授業では常に隣に座っていた。

他にもアラリクス・レストレンジやヴァレン・マルシベールとも仲良くなり、エリーゼにとってスリザリン寮は瞬く間に居心地の良い場所となった。

監督生のアブラクサス・マルフォイは、勉強から普段の生活まで新入生を手厚く支えてくれていて、エリーゼはスリザリンに入れたことを心から嬉しく感じていた。

 

新学期早々始まった授業で、エリーゼは魔法の非凡な才能を見せた(ルクレティアは悔しがっていたけれど)。どの呪文も一発で成功させ、魔法薬も短時間で完璧なものを調合する。レポートも完成度が高く、一週間目にしてエリーゼは寮内の注目を集めていた。

しかし、トムも負けていなかった。トムも全てを完璧にこなし、その美しい立ち姿も相まってたちまち校内で話題になった。最初はぎこちなかった表情も、時間が経つにつれて柔らかくなっていき、特に魔法薬学のスラグホーン教授は彼を大いに気に入っているようだった。

 

 

一週間目が終わり、エリーゼはルクレティアと呪文学のレポートの宿題を片付けていた。

 

「まったく、同世代にこうも敵いようのない天才がいると嫌になりますわ。それも二人も!」

 

作業がひと段落し、羽ペンを置いたルクレティアがため息混じりにそう言うのを聞いて、エリーゼは曖昧に笑う。

 

「そういう時もあるわ。」

 

エリーゼの適当な返事にルクレティアはさらに大きいため息をついた。

 

「能力が肝心、ね。少なくとも口先だけではなかったこと、それだけが救いですわね。」

 

エリーゼは大きく頷いて返す。自分が書いたレポートを見直しながら、、思考はすでに別のところへ馳せる。

トム・リドル。

確かに優秀だとは思う。授業でも目立っているし、周囲の評価も高い。けれど、それだけだ。

エリーゼはペン先で軽く羊皮紙を叩いた。あまり愛想がいいとは言えないし、どこか距離を感じる。関わりづらいタイプだとは思うが、わざわざ気にかけるほどでもない。

視線を上げると、トムはヴァレンとアラリクスと何かを話していた。表情は相変わらず薄いが、以前よりは幾分か周囲に溶け込んでいるようにも見える。

 

すると、突然トムの視線がこちらに向き、エリーゼは慌てて目を逸らした。レポートにできたインクのしみを手でなぞり、軽く息を吐く。

とりあえず、今は目の前の課題に集中しよう。そう思って、エリーゼは再び手を動かし始めた。

 

 

 

 

一年目も終わりに差し掛かり、期末試験の結果が出た。

結果から言えば、エリーゼは二位だった。トムとの差は数点ほどだったが、その数点が天と地の差ほどに思えた。

 

「まったく、トムには敵いようがないってことね」

 

ドゥルーエラ・ロジエールの皮肉のこもった声が後ろから聞こえる。エリーゼが思わず振り向くと、ドゥルーエラは気まずそうに組んでいる腕を揉みしだいた。

 

「…私も頑張ったのに。」

 

エリーゼが悲しげな声を漏らすと、ドゥルーエラが慌てて取り繕おうとする。

 

「エリ、私はそう言う意味で言ってないわ、私は__」

「あれほどの才能は極めて稀、ホグワーツ始まって以来の天才という言葉は彼のためにある。だから、貴方の実力不足じゃない、と。ドゥルーエラはそう言いたいのですわ。それに数点迫ったあなたも十分天才でしょうに。」

 

そう言ったルクレティアが非難のこもったまなざしでドゥルーエラを見つめると、ドゥルーエラは縮こまってしまう。

 

「ドゥルー、ご自分の成績もご覧になってはいかがかしら。私とエリのノートがなければ、貴方はとっくに校門から放り出されていましてよ?」

 

ルクレティアがトドメの一撃を加えると、ドゥルーエラはへなへなと崩れ落ちてしまった。それを見たエリーゼは思わず笑ってしまう。

この一年を通して、エリーゼは多くの友人を作った。特にこの二人とはいつもそばにいて、困った時は(トラブルに巻き込まれるのはいつもドゥルーエラだったが)協力し合う仲だった。

トム・リドルとはそれなりの関わりはあるが、彼女たちほどではない。あくまでも同じスリザリン寮生として、情報を共有したり、談話室で多少話したり…それだけだ。

 

ただし、2という数字にエリーゼの心はちくりと痛んだ。自分の自信が、少しだけ揺らぐのを感じた。私以上の、天才___

しかし、点数の多寡でエリーゼの評価が揺らぐことはなかった。

なぜなら、120点満点の試験をトムが130点、エリーゼが128点でトムに僅かに及ばなかった__と、そんな超越した領域での戦いだったからだ。

 

 

 

帰りのホグワーツ特急で、心地よさそうに眠るルクレティアとドゥルーエラを片目にエリーゼは夢中で本のページを捲っていた。

新しい知識を手に入れ理解し、それをもとに理論を組み上げ、検証しまた新しいページをめくる___

 

(来年こそ私が勝つわ)

 

胸の奥に誓った小さな誓い。

それがついに果たされることはなかった。

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