モンスターハンター ~恋姫狩人物語~   作:黒鉄大和

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第189話 決意の朝への誓いの果てに動き出す想い

 エリア8にてイャンガルルガに逃げられた一行は場所を変えて山頂付近のエリア9へと場所を変えていた。ここは以前クリュウ、フィーリア、サクラ、シルフィードが初めてチームを組んだリオレウス戦の際に全員が敗北を喫した苦い記憶の残る――同時に、そんな苦難を乗り越えてリオレウスを討伐した場所でもある。

 そしてあれから一年程の時が流れた今、成長したクリュウとシルフィードは新たな仲間であるルフィールとレイヴンと共に黒狼鳥イャンガルルガとの最終決戦に挑んでいた。

 

 月明かりに照らされる美しい頂に轟く爆音。紅蓮の業火が一瞬立ち上り、闇をさらに黒く染める黒煙がゆらゆらと月を目指して天へ昇っていく。パラパラと空から降り落ちるは爆心地が抉れた証拠である土の塊。辺りに漂うは火薬の臭いと焦げ臭さ、そして血の臭い。

 もうもうと上がる黒煙の柱。しかしそれは内側から伸びた巨大な一対の翼が激しく揺れる事で霧散する。爆心地から現れたのはボロボロの姿をした黒狼鳥イャンガルルガ。鱗は所々剥がれ落ち、焼け焦げ、血が紫色の体を赤く染めている。しかし燃え盛る炎のように橙色をした瞳には明らかな敵意と殺意に満ちており、彼がまだ戦意を喪失していない証拠だ。

 残った煙を吹き飛ばすかのようにイャンガルルガは天を仰ぐとその奥底から込み上がる怒号(バインドボイス)を天高く響かせる。ゆっくりと戻した視線の先には、もう何時間と戦闘を繰り広げている小賢しい四匹の敵の姿が映っていた。

「眠らせて、残った大タル爆弾G全部使ってもまだ立てるなんて……」

 悠々と立つイャンガルルガを前に、さすがのクリュウも驚きを隠せない。その隣では爆破を担当したルフィールが弓を構えたまま「しぶといですね」とつぶやく。

 エリア9での戦闘はルフィールがすぐに必殺の睡眠ビンを備えた矢を使ってイャンガルルガを眠らせた。そして荷車に搭載していた全大タル爆弾G三発を一斉に起爆させた。相当なダメージのはずだが、イャンガルルガは未だ健在だ。

「さすが、しぶとさという点だけで言えばリオレウスにも勝る相手だな」

 背負った蒼刃剣ガノトトスの柄にゆっくりと手を伸ばしながら言うシルフィードの横でレイヴンも「少し予想外だニャ」と苦々しくつぶやく。その手に握られているピッケルはこれまで何度も硬い黒狼鳥の鱗を叩いてきた為に、刃先は中程から折れ、先端部分を失っている。

 予想外のしぶとさに少なからず動揺が広がるクリュウ達だったが、その眼前には未だ健在のイャンガルルガが低く唸り声を上げながらこちらを睨みつけている。その口端からは怒り状態を意味する火の粉と黒煙が噴き出している。

 確かにイャンガルルガはまだ立っているが、その姿は決して無傷ではなく、むしろ満身創痍と言っても過言ではない。これまで与えたダメージは相当なもので、体力も残り僅かなはず。決して、これまでの努力は無駄ではない――あともう少しで、勝敗が決しようとしていた。

 ゆっくりと引き抜いた蒼刃剣ガノトトスを前方へ構えるシルフィード。その横顔には多少の疲労が見えるが、それでもその表情には一切諦めはない。瞳には猛烈な闘志が燃え盛っている。

「あともう一息だッ。ここで一気に畳み掛けるぞッ!」

 巨大な大剣を振り上げ、頭上で一回転させて再び構えるシルフィード。体の奥底から放たれた勇ましい声は一瞬戦意を失いかけていた仲間達を鼓舞する。

 頂の風は強い。流れる風は彼女の白銀の髪を靡かせる。後頭部に纏められたポニーテールはまるで尻尾のように彼女の闘志に呼応して風に激しく揺られる。

 揺れる髪の間から見える彼女の凛々しい横顔を見たクリュウは自らを鼓舞するように道具袋(ポーチ)に手を伸ばす。その手が握り締めたのはルフィールから分けてもらった怪力の種。ヘルムを上げ、種を一つ口に放り込み咀嚼する。ヘルム越しに見える彼の瞳にもまた、シルフィードと同じまだ諦めていない闘志が轟々と燃え盛っていた。

「ラストスパート、張り切って行くよッ!」

「はいッ!」

 彼の勇ましい声にルフィールは満面の笑みで答えると、すぐさま表情を戦姫のものへと変える。矢筒の中へ手を伸ばすと、残りの矢が少ない事がわかる。体力的にも矢の本数的にも、ここが正念場だ。

 矢を一本引き抜き、そこへ同じく残り僅かな強撃ビンを手早く結わえ付けると、弓を構えて弦に番える。ギリギリと軋む音を響かせながら弓はしなり、鏃が引き寄せられる。狙うはイャンガルルガの顔面。もはや握力も限界が近づいているが、そんなもの親友直伝のド根性で捻じ伏せる。

 フッ、と口元に自虐的な笑みが零れた。

「……ボクも、存外バカのようです」

 いつも気楽に笑っている大バカな親友の笑顔を振り払い、ルフィールは矢を放った。まるで空気の壁を貫通しながら飛翔する矢は一直線にイャンガルルガの頭部に命中。続けてビンが割れて爆発を起こす。それが戦の再開の号令となった。

 爆発を物ともせず、イャンガルルガは反撃とばかりに三連ブレスを撃ち放った。轟音を立てて飛翔する火球はクリュウ達の接近を阻むように炸裂。地面が吹き飛び、土や小石の礫となって彼らを襲う。シルフィードは構わず突っ込み、クリュウも盾で礫をガードしながら遅れて突撃する。

 左右から接近する二人に対してイャンガルルガは毒針のついた尻尾を振り回して接近を阻む。しかしシルフィードは姿勢を低くしてこれを回避し、クリュウは尻尾が通り過ぎた後に突っ込み、難なく接近を果たす。まず最初に到達したシルフィードは勇ましい咆哮を上げながら大剣、蒼刃剣ガノトトスを振り下ろす。その芸術品のように美しくも鋭い蒼色のヒレ状の刃先は硬い黒狼鳥の鱗に触れた瞬間、まるで金属同士を打ち鳴らしたかのような高音と共に火花を迸らせて弾かれるが、シルフィードは構わず弾かれて振り上がった剣を再び全力で振り下ろす。その強烈な一撃は鱗に炸裂した瞬間、その鱗を粉々に砕き、中の肉を斬る。大気中の水分を凝固させて大量の水を発生される刃先と、傷口から噴き出すイャンガルルガの血が混ざり合い、地面を薄っすらと赤く染めていく。

 夏とはいえリフェル森丘の山頂付近は冷える。肌寒い程度の寒さではあるが、巨大な剣を振り回す彼女の額には大粒の汗が浮かんでいる。むしろこれくらいの気温の方が動き回って熱くなった体にはちょうどいい。

「うらあああぁぁぁッ!」

 勇ましい声を上げながらシルフィードは剣を横殴りに叩きつける。狙うは鱗の薄い膝の裏、生物の構造上そこを狙えば脚のバランスが崩れる。まだ普通の女の子――ちょっとやんちゃだったかもしれないが――によく弟相手にやっていたイタズラ、膝カックン。ハンターとなった今ではその経験が役立っている。つまり――

「ギャワァッ!?」

 膝の裏に炸裂した剣先はそのまま力づくで膝を後ろから押し、無理やり膝を曲げさせる。全く予想だにしていなかったこの攻撃にイャンガルルガは体勢を立て直す事ができず、そのまま正面へ傾き、顔面から地面に倒れ、横倒しになった。そこへシルフィードの猛攻に邪魔しては悪いと閃光玉を構えて待機していたクリュウが近づく。手には閃光玉ではなくオデッセイ改が握られている。全力で走りながらイャンガルルガの背後へと回り込むと、そこには無防備に転がっている黒狼鳥の尻尾があった。

 クリュウはその場で足を止めると、両手でオデッセイ改の柄を握り締め深呼吸。そして、

「せいッ!」

 振り上げたオデッセイ改を全力で黒狼鳥の尻尾へ振り落とす。

 ゴリッ……

 今までとは違う感触。見ると、これまでの攻撃で鱗が弾き飛ばされた部分には鱗の下に隠されていた血に濡れた肉の部分がむき出しになっていた。それを見てクリュウはそこに狙いを定めて、大きく振り上げた剣を力の限りに振り下ろす。

「うあああああぁぁぁぁぁッ!」

 気合裂帛。放たれた一撃は的確にイャンガルルガの装甲を失った部分へと振り下ろされる。そして、確かな手応えと共に刃先は肉の壁を突破し、中に潜む尾骨を断ち、反対側の肉を引き裂く。それはつまり、

「ギャアアアアアァァァァァッ!?」

 壮絶な激痛にイャンガルルガは悲鳴を上げながら吹き飛んだ。体の構造を無視したかのような動き。悶え苦しむ激痛の正体。

 荒い息を繰り返しながらクリュウが握るオデッセイ改の刃はイャンガルルガの血でベットリと汚れ、刃先からはポタポタと赤い滴が垂れる。その先には、血溜まりの中に無造作に放置された巨大な肉の塊が横たわっている――黒狼鳥の尻尾だ。

 尻尾を切断され、千切れた部分から吹き出す血に自らの紫色の鱗を染めながら悶え苦しむイャンガルルガ。その周囲を包囲するようにシルフィードとクリュウが動く。彼らの背後からは新たな矢を番えたルフィールが弓を構えている。

「一気に畳み掛けますよッ!」

 そう言ってルフィールは強撃矢を一斉に五本放った。飛翔する五本の矢は今まさに起き上がろうとしていたイャンガルルガに命中。爆発の中でイャンガルルガの悲鳴が響く。その時、突如イャンガルルガの足下の土の一部が吹き飛ぶと、そこから現れたのは……

「レイヴンッ!?」

 驚くクリュウを無視し、レイヴンは穴の中から何かを取り出すとそれをイャンガルルガの足下へと仕掛ける。次の瞬間、

「ギャワァッ!? グエェッ!?」

 突如イャンガルルガは痙攣してその場から動けなくなった。見ればイャンガルルガの足下にはシビレ罠が仕掛けられている。そしてその横ではさらに穴から打ち上げタル爆弾二つを取り出しセットするレイヴンの姿が。

 レイヴンは手早く打ち上げタル爆弾をセットすると、その場から離脱する。次の瞬間、打ち上げタル爆弾は下部から炎を噴出させながら上へと飛翔。その先にはイャンガルルガの頭部がある。

 一発目が炸裂し、イャンガルルガの頭部に炸裂。その衝撃でイャンガルルガの不気味に大きな耳が砕け散った。続けて二発目が腹部に炸裂。鱗などを無視した衝撃にイャンガルルガは悲鳴と共に口から血の塊を吐き出した。

 だが、彼の苦痛はこれで終わらない。

「さすがレイヴンッ。グッジョブッ」

 レイヴンの活躍にヘルムの下で笑顔を浮かべながら親指を立てるクリュウはシルフィードと共にイャンガルルガに接近する。レイヴンはそんな彼の言葉に鼻を鳴らすと、これまで何度も投げたブーメランを再び投げ放つ。

 高速回転しながら滑空する二つのブーメラン。地面スレスレを草の葉を斬り刻みながら突進し、一方は左の太腿の外側を斬りつけ、もう一方はイャンガルルガの右目の部分に炸裂し、まぶたごと一気に左目を斬り裂いた。

 シビレ罠から抜け出せないまま絶叫するイャンガルルガに対し、クリュウとシルフィードが一気に接近する。先頭を走るクリュウはそのままイャンガルルガの頭部に向かってオデッセイ改を叩き込む。続けざまに左へ斬り上げ、そして再び頭部中央へ剣先を叩き込む。その瞬間、イャンガルルガはシビレ罠から解放されて威嚇するように咆哮(バインドボイス)を轟かせる。直下にいたクリュウには逃げる術はなく、その場で耳を押さえてしゃがみ込んでしまう。だがヘルムの下の彼の口元には、確かな笑みが零れていた。

 咆哮(バインドボイス)を終え、許し難い敵を吹き飛ばそうとブレスを溜めるイャンガルルガ。口の端からチラチラと火炎の木漏れが迸る。だが次の瞬間、彼が感じたのは口から発射されるブレスの衝撃ではなく、頭部への強烈無比な一撃だった。

「りゃあああああぁぁぁぁぁッ!」

 攻撃を重ねていたクリュウのすぐ背後で溜め斬りの構えを取っていたシルフィード。レイヴンが左目を潰し、右目も自らの血でボヤけていたイャンガルルガは、目の前で暴れるクリュウの姿しか見えていなかった。そこへ隠れながら溜め斬りの構えをしていたシルフィードはイャンガルルガの咆哮(バインドボイス)にも負けない咆哮を轟かせながら蒼刃剣ガノトトスを振り落とした。彼女の筋力を極限まで溜めて爆発させた一撃はイャンガルルガの頭部を打ち砕き、顔面を顎から地面へと陥没させる。そしてそのままイャンガルルガはバランスを崩して横転する。

 だが、まだ攻撃は終わっていない。空気を斬り裂く無数の飛翔音に視線を上げると、自らに向かって無数の矢が降り注いで来た。いずれもルフィールが放った強撃ビンを備えた強撃矢の連射。横倒しになった事で晒している面積は広くなり、結果的に無数の矢のほとんどが命中。爆発に爆発を重ねるような連撃にイャンガルルガは悲鳴を上げる。

 放たれた全ての矢が降り注ぎ、無数の爆発が止む。砂煙と黒煙が入り混じった濁った煙の中で、イャンガルルガはゆっくりと起き上がる。

 イャンガルルガの目の前に立ち塞ぐ二人。まだ立ち上がれるイャンガルルガを前にわずかに動揺するも、まだ終わっていない戦いに剣を下ろしはしない。

 次の行動は何か。ブレスか、突進か、咆哮(バインドボイス)か。どの攻撃にも対応できるよう身構えながらその時を待つ二人。だがイャンガルルガが取った行動はそのいずれでもなかった。

 突如二人から目を逸らすと、そのままゆっくりと歩き出した。脚を引きずりながら、とにかくここから逃げる。そんな行動だった。それは大型モンスターが弱っている証拠だ。

「いかせるかッ」

 すぐさまシルフィードが立ち塞がり、蒼刃剣ガノトトスを顔面へと叩き込む。だがイャンガルルガも一度逃げると決めた以上その意志を曲げるつもりはなく、血だらけの頭で蒼刃剣ガノトトスの刃を耐えながら押し返そうとする。弱っているとはいえ、相手は自分より数倍も大きなモンスターだ。どちらも譲らない力比べだが、次第にシルフィードが押され始める。踏ん張る両足は地面を抉りながら後退する。

「く、くそぉ……ッ!」

 何とか全力で押し込みを掛けるが、力の差は圧倒的だった。ちらりと覗けば、クリュウもイャンガルルガを転倒させようとアキレス腱を狙ってオデッセイ改を必死に振るっていた。だが、明らかにダメージは与えているものの、転倒するだけの威力はない。

 もはやこれまでか。また場所を変えて、おそらく山頂の巣で最後の戦いを挑む事になる。そう諦めかけた時だった。

「離れるニャッ!」

 背後から響いたレイヴンの声に思わず剣を滑らせるように移動させ、そのままイャンガルルガの前を離れた。身を翻し、背後を確認すると、そこにはいつの間にかレイヴンが愛くるしいアイルーの顔には似つかわしくないような不敵な笑みを浮かべて立っていた。その背後には、いつの間にか仕掛けられている落とし穴。そして、そのすぐ後ろには両手に何かを握り締めたルフィールが立っている。

 夜風が彼女の紺色の髪を優雅に靡かせ、月明かりを反射する知的なメガネの奥では二色の瞳が自信満々に煌めいていた。ゆっくりと目の前から迫るイャンガルルガに対し、ルフィールが動く――そして同時に、イャンガルルガは落とし穴へと落ちた。

 下半身を埋没し、粘着質のネットが体を縛るように取り付き、穴から逃れる事ができなくなる。必死になって暴れるイャンガルルガに対し、ルフィールはその肩に脚を掛けると、左右に激しく揺れる首にしがみつき、そして――

「――もう朝になりますけど、眠ってもらいます」

 つぶやくようにそう言うと、ルフィールは両手に持った捕獲用麻酔玉を口の中に直接捩じ込んだ。暴れるイャンガルルガはとっさにその異物を噛む。その瞬間、口の中いっぱいに麻酔効果のある煙が爆発し、反射的に口を開いて息を吐き出すが、すぐに失った空気を戻すように吸い込む――目の前に滞留している麻酔薬も一緒に。

 効果はすぐに現れ、イャンガルルガはゆっくりとその場に倒れ込む。そして、そのまま意識を失い、眠りについた。辺りに撒き散らされていた殺気や圧迫感は全て消え去り、静かな夜――否、暁色に染まり始めた夜明けへと戻る。

 捕獲されたイャンガルルガを前に、ルフィールは満足気にうなずくとクリュウに向かって親指を立てる。それを見たクリュウもヘルムを脱いで暁色に染まり始めた空をバックに笑みを浮かべながら親指を立てた。そんな二人を見ながら、シルフィードも口元に笑みを浮かべながら戦闘態勢を解除し、いつの間にか刃先がボロボロになった蒼刃剣ガノトトスをゆっくりと背負う。その隣では腕を組みながら同じように口元に微笑を浮かべたレイヴンが立っている。

 そして、全ての戦いが終わった事を告げるように、ゆっくりと西の空に朝日が上り始めた……

 

 拠点(ベースキャンプ)へと戻った一行はすぐに帰路の準備をせず、まずは休憩となった。と言っても拠点(ベースキャンプ)にはクリュウとレイヴンの姿はなかった。どちらも現在は隣のエリア1の川辺で釣りに興じていた。朝食用の魚を確保する事が目的だが、本当の目的はと言うと……

 

 拠点(ベースキャンプ)には二人の戦姫が残されていた。否、そのどちらも今は戦姿ではない。拠点(ベースキャンプ)には滝が流れており、膝下くらいまで水が溜まっている場所がある。そして二人は今、そこで水浴びをしていた――もちろん、一糸纏わずに。

 滝の水を浴びながら汗を流す二人。お互いに狩りをしているとは思えない程に白く美しい肌を水で濡らし、木漏れ日を浴びて二人の美少女は神秘的に煌めいていた。

 水を浴びながら、ルフィールは小さくため息を零す。

「先輩も一緒に入ればいいのに……」

 残念そうにつぶやく彼女の言葉に苦笑を浮かべながら、シルフィードも水を浴びる。もしもここにサクラがいれば、クリュウを拘束して無理矢理にでも一緒に水浴びをしただろう。そしてそれをフィーリアが全力で阻止する。そしてタイミングを見計らってクリュウを助ける。それがいつもの流れだ。

 そういう騒動がない分、今回の狩りは静かだった――というより何だか物足りない。二人のケンカがもはや恒例行事となっている以上、それがないと寂しく思う。どうやら自分は本当にあの三人と一緒に慣れてしまったらしい。昔なら想像もできないような事だ。だが、決して悔いてはいない。むしろそんな気持ちを抱く自分が嬉しかった。

「――それよりも」

 そんな事を考えて口元に笑みを浮かべていたシルフィードを、ルフィールは背後から接近すると両手を伸ばし、彼女の豊満な胸を鷲掴みにした。途端にシルフィードは「ひゃんッ」と滅多に見せない可愛らしい悲鳴を上げて顔を真っ赤に染めると、慌てて胸を隠しながら後退し、仁王立ちするルフィールから離れる。

「な、何をするんだ一体ッ!?」

「……まったく、何て憎たらしい武器を持っているんですかあなたは」

「君もか……」

 シルフィードはやれやれとばかりにため息を吐く。フィーリアやサクラも同様に時々自分に襲い掛かっては胸をいじり倒した挙句に「胸の大きさで女の魅力は決まらない」的な発言をし、二人で堅い絆を確認し合うのが恒例行事だ。正直、もう慣れてしまった。

「他の連中にも言っているが、胸が大きいのも考えものだぞ。重くて肩が凝るし、防具の中で圧迫される。防具を作る時も基本価格に特注価格を追加で支払う必要があるんだからな」

「……それ、対局に位置する人にとっては殺意を抱く戯言だとご存知ですか?」

「言うたびに怒られてるよ」

 苦笑しながら答えるシルフィードの言葉に、ルフィールは「まぁ、いいでしょう。ボクが知る限りでは先輩は年下好きの傾向がありますので、むしろ対先輩攻略の際にはこちらの方が有利と見ました」と特に気にする事もなく自らの絶対的地位を確立する。一方で彼女の言葉にシルフィードは「やはりか……」となぜか軽くうなだれてみたり。

「それはさておき、先程は助けていただきありがとうございました」

 突然話題を変えると、ルフィールは恭しく頭を垂れる。シルフィードはそれが意味する事をすぐに感づくと「気にするな」と短く返事する。それを聞いたルフィールは「先輩と同じ事を言うのですね」とつぶやくと、どこか自虐的な笑みを浮かべた。

「クリュウと?」

「はい。先輩も、そう言ってボクを気遣ってくれます――でも正直、ボクはそれが辛い」

 濡れた髪の先からポタポタと雫を垂らしながら、ルフィールは下向き加減でつぶやく。濡れた前髪がカーテンのように彼女のイビルアイを隠し、その表情は窺えない。でも唇はキュッと閉められ、寒さとは違う震えを小刻みにする肩を見れば、彼女の心境を察するには十分過ぎる要素だ。

「別に、気遣っているつもりはないと思うがな。彼は嘘が下手だ。きっとその言葉は本心からのものなのだろう」

「わかってます。だから、余計に辛いんです……」

 ルフィールは静かに半身を水の中に入れるように腰を落とすと、自分を見詰めているシルフィードをゆっくりと見上げる。キラキラと煌めく二色の瞳が、悲しげに揺れた。

「先輩は人の為に無茶をする傾向があります」

「まぁ、確かにその通りだな。他人の為に自らを犠牲にする、ある種の自己犠牲の傾向があるのは事実だ」

「学生時代、先輩はボクやシャルルさんの為に色々と無茶をされていました。仕舞いにはボクを庇って大怪我を負ってしまいました。その事はご存知で?」

「あぁ、前に彼から聞いた事がある――傷跡も、見せてもらった」

「そうですか……」

 シルフィードの口から零れた《傷跡》という単語にルフィールの表情が陰る。それが彼女にとっての最大のトラウマであろう事は、今までの二人の口ぶりから察していたシルフィードはしまったとばかりに自らの軽はずみな言動を恥じた。

「まぁ、今ではすっかり全快している。傷跡も彼自身は特筆して気にしている様子はない。君が重荷を背負う必要はないし、彼もそれは望んではいないだろう」

「……でもボクは、当時の何も出来なかった自分が許せません。何度自分の愚行を後悔したかわかりません。だからこそ、またボクとコンビを組んでくれると言ってくれた先輩の言葉は嬉しかった」

 それは嘘ではないだろう。彼の言葉を頭の中で反芻しているのか、ルフィールは心の底から嬉しそうに語る。彼の言葉ひとつひとつが、彼女にとっては何にも代えがたいものなのだろう。その姿は宝物を大事そうに見詰める子供のよう。

 だが次の瞬間その笑顔は消え、現れたのは堅い信念を決意した戦姫の凛とした表情だった。

「その時決めたんです。もう二度と同じ失敗を繰り返さない為、ボクは強くなる。誰にも負けない、無双のハンターになると。その為に、ボクは自らを傷つける事に何の躊躇いもなく修行を続け、今の戦法(スタイル)を確立しました。これならもう二度と先輩の足を引っ張らない。先輩の背中を今度こそお守りできる。そう思いました――ですが現実は惨憺たるものでした」

 悔しげに唇を噛み、濡れた拳を強く握り締めるルフィール。シルフィードはそんな彼女を何も言わずにじっと見詰める。自らの無力さを認めざるを得ない苦しみは、理解しているつもりだった。自分も、己の無力さを何度恨んだ事か数しれない。そんな時は下手な慰めの言葉など必要ない事を、彼女は知っている。

「……ボクは、血の滲むような修行を積んできました。だからこそ、自らの実力を過信していたのかもしれません。心の片隅で、ボクは先輩をも上回ったと大それた事を考えていたかもしれません――でも実際は、ボクが努力していた間も先輩は当たり前ですが、努力して実力を上げていました。結果、ボクと先輩の距離は離れたまま。ボクは、あの人と対等の所にはまだ立てていませんでした」

 パシャリと水の中にあった右手を上げ、手の平で右目を隠すようにうなだれる。自虐的な痛々しい笑みを浮かべながら「笑っちゃいますよね。ボクは大バカ者です。シャルルさんをバカと罵倒する権利もない程の、どうしようもないバカです」と自らを蔑む言葉を並べる。

 シルフィードは何だか居た堪れない気持ちになる。まるで、昔の自分を見ているかのようだった。自らを闇から救ってくれたエルディンを出会う前の、過去のトラウマを引きずり、それから逃げるように戦いに身を投じていた、あの頃の自分と。今のルフィールは、よく似ていた。

 だからこそ見ていられない。だからこそ――あの時自分を救ってくれたエルディンと同じ事をした。

 

 ――パンッ!

 

 静かな朝に響く一発の破裂音。ルフィールは自らを襲った頬の痛みと突然の事態に困惑しながら、呆然と憮然と立つシルフィードを見上げていた。

 頬がじんわりと痛みを引きずり、次第に熱を帯びるようになるのと比例して、ルフィールの表情が怒りに染まっていく。

「な、何するんですかいきなりッ!?」

「甘えるな愚か者が。私が貴様の愚痴を聞いた所で、何ができる。言っておくが、私は弱者の愚痴を素直に聞く程甘くはないぞ」

「じゃ、弱者って……ッ」

「自ら言っていたじゃないか。自分はどうしようもないクズだと」

「そ、それは……」

 シルフィードの言葉に怒りはすれど、でも彼女が言う事に一切の嘘はない。全てが真実。だからこそ、余計に辛かった。言い返せなかった。認めざるを得なかった。

 返す言葉も見当たらず、ガックリとうなだれるように揺れる水面を見詰める。そんな彼女を見下しながら、しかし手を差し伸べるなどの優しさは決して見せず、静かに背を向けるシルフィード。

「……自らの失態を悔いる事は必要だ。己の失敗を認めずに同じ過ちを繰り返す事は、それこそ過信、愚者と言えよう――だがいつまでも下を向いている暇は、君にはないと思うぞ。悪いが、君の実力はまだまだ未熟だ。フィーリアやサクラの足下にも及ばない。彼の背中を守っているのは、その二人だ。君の恋敵(ライバル)は、想像を絶する程に強い。君が再びクリュウの相棒をなりたいのなら、二人をも上回る実力を身につける必要がある。早くそれを成し遂げる為にも、君は時間を後悔に注ぐ程暇ではないと思うが?」

 背を向けながら、淡々と己の考えを語るシルフィード。

 ルフィールは確かに強い。養成所を卒業して一年半程でこれほどの実力をつける事は、才能と言えるだろう。だが、フィーリアとサクラは互いに場数を踏んで来た才能もある強者だ。残念だが、経験も実力も現時点ではルフィールは二人に劣る。そして今、クリュウの背中を守っているのはそんな二人だ。再びクリュウの背中を守ると言うのなら、二人を上回るような強者にならないといけない。いつまでも下を向いていられる時間はなかった。

 シルフィードの言葉に、ルフィールはうつむいたまま沈黙を続ける。そんな彼女の方にゆっくりと振り返ると、シルフィードは静かに語りかけた。

「私なんかの言葉をどこまで信用できるかはわからない。だが、私が見る限りでは君はいずれ凄腕のハンターになれるだろう。それだけの才能と覚悟を、君から感じられる。だから、何だ。君には早く私と並び立てるくらいに強くなってほしいと思う。私もいずれ、君に背中を預けてみたい。そう思ったよ」

「シルフィードさん……」

 ゆっくりと上げられたルフィールの顔には、わずかではあるが笑みが浮かんでいた。先程までの自らを罵倒し、自虐に満ちた表情とは違う。どこかスッキリしたような、何か自らの中で決意が変わったような、そんな晴れ晴れとした表情をしていた。

「……先輩があなたを心から信頼されているの、何となくわかる気がします」

「よせやい。私は褒められるのが苦手だ」

 照れ笑いを浮かべながらシルフィードは静かに座り込んでいるルフィールに手を伸ばす。ルフィールもその手をしっかりと握り締める。彼女の手がしっかり握られた事を確認すると、シルフィードはその逞しい腕で引き起こす。

「今回の狩りで、ボクはまだまだ未熟者だと痛感しました――ボクはまだまだ、修行が必要なようです。まだ、先輩の隣に立つ事はできなかったんです」

「まぁ、彼はそんな小難しい事は考えていないだろうがな。今回の狩りも、純粋に君との狩りを楽しんでいたように見える」

「そう言ってもらえると、心が救われるようです。ですが、ボクの目標は先輩のパートナーになる事。狩猟においても、人生においても」

「……そうか」

「――村に戻ったら、また修行の旅に出ようかと思います。あなたに言われた通り、ボクには立ち止まっている時間などないのですから」

 クリュウと再び離れ離れになる事に若干後ろ髪を引かれる想いはあるが、それがルフィールの出した結論だった。まだまだ自分は未熟だ。一秒でも早く彼に追いつく為にも、まだまだ修行が必要なのだ。

 ルフィールの決意にシルフィードは短く「そうか……」とだけつぶやくと、滝の方へ向かう。そして流れ落ちて来る水を頭から浴び、ずぶ濡れになった状態で髪を掻き上げる。いつもは結われた髪を流した姿は、いつもとは違った美しさを魅せる。

「そろそろ上がろうか。あまり体を冷やすと風邪を引くからな」

「――シルフィードさん」

 岩の上に置いてあったタオルで髪を拭き初めたシルフィードに、背後からルフィールが声を掛ける。振り返ると、ルフィールは何かを決意した表情で彼女と向き合っていた。

「どうした?」

「……不本意ではありますが、今回の狩りであなたの実力は相当なものだとお見受けしました。ですが、いずれボクはあなたをも追い抜きます――それまでは、どうか先輩をよろしくお願いします」

 そう言って、ルフィールは深々と頭を下げた。彼女が自ら誰かに頭を下げる事はめったにない。そういう子ではないのだから。その彼女が頭を下げている。それはつまり、本当に彼の事が大好きだという証拠だ。自らのプライドを捨ててでも、彼の為にがんばる。本当にいい子だと、シルフィードは心から思った。そして、

「任せておけ。私にとってもクリュウは特別な存在だ。この身に代えても守ってみせるさ」

「……それを聞いて安心しました――が、同時に不安も抱きました」

 それまでの雰囲気とは一転して、顔を上げた途端ルフィールの雰囲気が変わった。まるでフィーリア達を前にした時のような、敵を警戒するようなそんな目。突然豹変した彼女の態度にシルフィードは困惑する。

「ど、どうした?」

「つかぬ事お伺いしますが、シルフィードさんは先輩の事が好きなのでしょうか?」

「す、好き……ッ!? いや、嫌いではないのだが、君達の想う《好き》とは違うというか……」

 同じように、それまで凛々しかったシルフィードもルフィールの唐突な問いかけに対して顔を真っ赤にして狼狽する。だがその慌てふためきっぷりが余計にルフィールの疑念を確信に近づける訳であって。

「先輩を預ける前に、シルフィードさんの真意を探る必要があります」

「し、真意と言われても……」

 頭二つ分くらい小さいルフィールを前によろよろと後退していくシルフィード。ルフィールもジロジロと見上げながら前進し、シルフィードを追い詰める。

「さぁ、素直に吐いていただきましょうか。先輩に対する想いを、全て、赤裸々に、一言一句全部ッ」

「あ、ああぁ、あぁああ……」

 顔を真っ赤にしてペタンとその場に腰を落としてしまうシルフィード。せっかく拭いた髪も水の中でフワッと広がる。羞恥心からか瞳の縁には薄っすらと涙を浮かべ、口はガクガクと震える。

 その後、ルフィールによる厳しい尋問にシルフィードが悲鳴を上げるのにそう時間は掛からなかった。

 

「……ニャ?」

「どうしたの?」

 水面に浮かぶ浮きをボケェと見詰めていたクリュウは同じように水面を見詰めていたレイヴンが振り返ったのを見て訝しげに問い掛けた。クリュウの問い掛けに対してレイヴンは「気のせいニャ」と短く答えて再び水面を見詰める。

「サシミウオ、何匹釣れたっけ?」

「お前と合わせて八匹ニャ」

「あと何匹釣ろうか」

「知るかニャ」

 興味ないと言いたげに話を切るレイヴンを前にクリュウを苦笑を浮かべる。どうやら一緒に狩りをしたものの、自分とレイヴンの距離は縮まらなかったようだ。

 執拗に話しかけると鬱陶しがられそうなのでクリュウは黙って釣りを続ける。そうしてしばらく互いに黙る時間が続く。全く釣れなくなってしまいそろそろ引き上げようかと考えていたクリュウの隣で同じように岩に腰を掛けていたレイヴンが竿を引き上げて立ち上がった。

「帰るの?」

「魚の気配がないニャ。これ以上続けても意味ないニャ」

「そっか」

 クリュウも同意見だったらしく竿を引っ込めた。そんな彼をジッと見詰めていたレイヴンは一度すっかり明るくなった空を見上げると、再び彼の方に視線を戻す。

「……お前、ルフィールの事をどう思ってるニャ?」

 実に藪から棒な問い掛けだった。突然そんな事を尋ねられたクリュウは使わなかった釣りミミズを元の場所に返す途中で盛大にすっ転んだ。

「な、何だよ急に?」

 起き上がったクリュウが振り返ると、レイヴンは相変わらず憮然とした態度で腕を組みながら立っている。そして、その視線はしっかりと自分に向けられていた。その瞳から、彼がふざけていない事を瞬時に理解すると、自然とクリュウの表情も引き締まる。

「どう思うって、どういう意味さ?」

「質問に質問で返すのはやめるニャ。どういう意味も、言葉通りの意味ニャ。お前はルフィールをどう思っているか、そう尋ねてるニャよ」

 真剣な眼差しで真っ直ぐに尋ねて来る彼の問い掛けに対してクリュウは「どう思うも何も、可愛い後輩としか言いようがないけど……」とぼんやりとした答えで返す。するとレイヴンは幾分か目付きを厳しくさせると「それだけかニャ?」と先程よりも少し低い声で尋ねる。

 レイヴンの小さな体から発せられる圧迫感にたじろぎながら少し考える。

「……妹のように感じてる、かな」

 クリュウのルフィールに対する感情は、最も近いのがそれだった。シャルルと同様に、ルフィールの事は危なっかしくも可愛い妹、そんな印象を抱いていた。だからこそ放っておけないし、傍にいると安心できる。家族のように大切な存在だと感じていた。

 クリュウの返答に対してレイヴンは何も答えない。ただ真っ直ぐに彼の目を通してその真意を探ろうとするかのように見詰め続ける。だがそれもほんの数秒の事。すぐに「……そうかニャ」と短く言葉をつぶやくと、視線を外す。

「……瞳には一切のウソがないニャ。本気で言ってるから、余計に質が悪いニャ」

「質が悪いって、何が?」

「何でもないニャ。それよりも最初に会った時に言った言葉、忘れた訳じゃないニャ?」

 確認するように問う彼の問い掛けに、クリュウはゆっくりと頷いた。初めて彼と会った時、彼はこう言った。

 ――言っておくが、ルフィールを泣かせたら許さないニャよ。例え彼女の恩人だとしても、その時は容赦しない。覚えておくニャ――

 忘れてなどいない。アイルーに脅される事などそうそうあるような経験ではない。それに、ルフィールに関係する事をそう簡単に忘れなどしない。彼の言葉には、彼女を心配する気持ちが確かに込められていた。本人は否定するかもしれないが、彼は主であり相棒であるルフィールの事を心から心配している。だからこそ、あんな事を言ったのだろう――言われなくても、彼女を泣かすつもりなど彼には微塵もない。

「任せておいてよ。ルフィールを泣かせるような奴がいたら、それこそ僕が容赦しないよ」

「……最大の原因対象はお前だニャ」

「何か言った?」

「何でもないニャ。それよりさっさと戻るニャよ」

 クリュウの任せろとばかりの自信満々な発言に対してレイヴンは呆れたように深いため息を零すと、釣竿を持って足早に拠点(ベースキャンプ)の方向へ歩き出す。クリュウも同じように釣竿と釣り上げたサシミウオを持って彼に続いて拠点(ベースキャンプ)へと戻った。


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