モンスターハンター ~恋姫狩人物語~   作:黒鉄大和

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第233話 彼女の軌跡 時を越えて動き出す物語

 鋼龍迎撃戦から二ヶ月後の月日が流れた。

 村の復興速度は著しく、すでに瓦礫の撤去は終わり、住居の建設と村の設備の設営が同時進行で行われていた。エルバーフェルド帝国国防海軍陸戦隊の兵達、更に精鋭設営部隊として名高い第8設営隊の技術力に助けられた村の復興は村長の予想を遥かに上回る速度で続いていた。

 更に海上経由でエルバーフェルド帝国から木材や石などの資材が大量に送られ、陸上からは大陸通商連合の商隊が次々にイージス村へと入り支援物資を供給し続ける。それらの代金は全てアルトリア王政府が負担するなど、大陸最大の奇跡と言われる村の復興は急ピッチで進んでいた。

 そんな村の復興の中、クリュウ達は――

 

「のあぁッ!?」

 慌てて横へと跳んだクリュウのすぐ脇を、数百度に熱せられた火炎の柱が突き抜ける。目が焼ける程に眩い炎の稲妻は、一瞬にして漆黒の地面を焼き、真っ赤に融解させる。その様はまるで、一瞬にして一筋の溶岩の川が生まれたかのようだ。

 何とか炎撃を避けたクリュウは改めて今の攻撃を放った巨大な重戦車を見詰める。全身を岩のように硬い灰色の鎧で覆っているのは、幼竜バサルモスと酷似しているが、その硬度は更に高く、並大抵の一撃ではその鎧に傷ひとつつける事はできない。何せあの鎧は、溶岩の中であっても溶ける事なく彼の竜を守る程だ。

 胴体下部には通気口のような穴が数ヶ所開いており、その中から様々な毒ガスを噴出させる事ができる。可燃性ガス、毒性ガス、睡眠ガスなど、ただでさえ強力な鎧に加えて接近を阻む技術にも優れているときた。

 そして何よりも脅威なのが先程の一撃。体内の火炎袋を食した燃石炭を使って溶鉱炉のような状態にする事で、すさまじい熱量を持つ事ができる。その中で圧縮された火炎ガスを口から体外に放出すると同時に発火。凄まじい爆発は正面に一直線にガスを噴出させ、それらが次々に引火。結果、それは凄まじい炎の柱のような攻撃となる。これを狩人達は熱線と呼び、恐れ戦いている。

 体内の火炎袋が怒りのあまり激しく燃焼している証拠だ。口の端からは黒煙が漏れ、血走った眼光が今しがた熱線を避けた自分を射抜く。かなりの距離があっても、その威圧に思わず腰が抜けそうだ。

 鎧竜グラビモス。人々からそう呼ばれる火山最強とも謳われる重量級モンスターを前に、クリュウは冷や汗を流しながらも不敵に笑う。

「やっぱり、一筋縄じゃいかないよね。でも……ッ!」

 クリュウが手にしたオデッセイ改を掲げると、背後から次々に銃撃が放たれた。それらの一撃の全てが鎧竜グラビモスに命中し、その厚い装甲を砕いて貫通する。

 クリュウの上空を通り抜けたのは貫通弾LV2。それらを放ったのは、背後の高台に構えたフィーリアだった。

 次々に命中する銃弾を確認し、相棒のハートヴァルキリー改に次弾装填(リロード)するフィーリア。全身を世にも珍しい桜色の桜火竜リオレイア亜種の素材を使って作られたリオハートシリーズを纏い、長く美しい金髪を優雅に流し、そのエメラルドグリーンの瞳でスコープを覗き込む。射撃時の安定とグラビモスの視界にこの瞬間まで入らないように地面に伏せていた彼女の奇襲攻撃に、グラビモスは混乱する。そこへ、同じく鎧竜を挟んで左右の岩陰に隠れていたサクラとシルフィードが突撃する。

 姿勢を低くして突撃する肩口程にきれいに切り揃えた黒髪を優雅に揺らしながら突撃する凜シリーズを纏った紅の侍サクラ。開かれた右目が、グラビモスの視線と重なる。だが、もう遅い。

 グラビモスの腹の下へと滑り込んだサクラは、真上に広がる先程の爆撃で装甲が剥がれて顕になった肉目掛けて鬼神斬破刀を突き立てる。両足と腕をバネにして、雷を纏った鋭い刺突の一撃は肉を斬り裂き、血と雷撃を迸らせる。

 鈍い悲鳴を上げるグラビモスは体を震わせると、腹部の至る所にある噴出口から可燃性ガスを噴き出す。慌てて撤退するサクラだったが、それよりも早くガスが引火して爆発が起きた。グラビモスの周りが爆発したかのような衝撃に、サクラは吹き飛ばされるも何とか綺麗に着地して再び刀を構える。

 一方、ガスの噴出が収まったのを見計らって今度は全身を蒼火竜リオレウス亜種の素材で作られた、耐久性と耐火性に優れたリオソウルシリーズを纏ったシルフィードが近づき、サクラ同様に腹の下へと入って同じように肉目掛けて振り上げた蒼刃剣ガノトトスを叩き込む。この強烈無比な一撃にグラビモスは悲鳴を上げて仰け反る。そこへクリュウが投擲した閃光玉が着弾し、鎧竜の視界を奪って動きを封じた。

 動きを止めたグラビモス目掛けてクリュウとサクラが一斉に突撃を仕掛けるが、グラビモスは視界を奪われた中でも敵の接近を阻むように咆哮(バインドボイス)を辺りに放つ。

 洞窟内という事もあり、咆哮(バインドボイス)は外へ逃げる事もなく乱反射を繰り返し、洞窟全体に響くような大音量となってクリュウ達を襲う。まるで全方向から受けているかのような大音量の本能を揺さぶる一撃に、クリュウだけではなくサクラとフィーリアまでが耳を塞いで動きを止めてしまう。

 本能に直接作用する強烈な叫び声に目を閉じ、苦しげに顔を歪めながら耐えるクリュウ。だが、その口元が次の瞬間には笑みに変わる――計算通り。

「うおおおおおぉぉぉぉぉッ!」

 鎧竜グラビモスも咆哮(バインドボイス)にも負けない雄叫びを上げながら、怒涛の剣撃を放つのは、蒼銀の烈風シルフィード・エア。彼女のリオソウルシリーズは高級耳栓というモンスターの咆哮(バインドボイス)を無効化するスキルが備わっている。つまり、彼女には咆哮(バインドボイス)は通用しない。それどころか、咆哮中はモンスターハンターの多くが無防備になる為、彼女にとっては――怒涛の攻撃チャンスとなる。

 雄叫びを上げながら、シルフィードは右へ左へと蒼刃剣ガノトトスを振るう。次々に肉を切り裂き、噴き出た血が雨のように降り注いで彼女の蒼色の防具を朱色に変えていく。

 グラビモスの視界が回復したのはその瞬間だった。すぐさま迎撃しようと、閉じられていた噴出口が再び開く。今度はどんなガスかはわからないが、これを防ぐ術は彼女にはない。

 舌打ちしつつも、シルフィードは攻撃の手を緩めたりはしない。ザッと地面の上で左足を滑らせ、右足を軸として、一度引いた剣を再び前で構え直し、気合と共に頭上の肉目掛けて力強く刺突する。

 勇ましく突き上げられた蒼刃剣ガノトトスは吸い込まれるようにグラビモスの腹の中深くへ刀身を沈める。同時に夥しい量の血が溢れ出る。

「ゴオオォォァッ!?

 くぐもった悲鳴と共に、グラビモスの口からも大量の血が吐き出された。

 全身を自らの真っ赤な血で染めた鎧竜に対し、遅れてクリュウとサクラも突っ込む。背後からは再びフィーリアからの支援射撃が続く。

 懐で暴れる敵に対し、グラビモスは再び火炎ガスで撃退する。吹き飛ばされたシルフィードはすぐに立ち上がり、剣を構える。その間もフィーリアの攻撃は続き、グラビモスは怒りに任せて彼女が陣取る高台目掛けて熱線を放つ。

 下から上へと流れるように放たれた高熱の一撃は一瞬で岩を溶解させ、高台は音を立てて崩れ落ちた。

「フィーリアッ!」

 焦るクリュウだが、彼女の心配をしている余裕はなかった。前方のグラビモスは彼目掛けて突進して来る。一歩一歩の進撃で洞窟が震えるのは、それ程までに奴が重量級のモンスターだという証拠だ。あんな奴の突進をまともに受けたら、それこそ一撃で圧死する。

 クリュウはガードは諦めて横へと走ってこれを回避した。背後へと突き抜けていくグラビモスを一瞥し、瓦礫と化した高台へと走る。すると、瓦礫の中からフィーリアがゆっくりと這い出して来た。彼と目が合うと、大丈夫だとばかりに手を振る。その顔はずいぶんと汚れてしまってはいるが、幸い大した怪我はなさそうだ。

 彼女が無事だとわかり、ほっとしたのも束の間。振り返ったグラビモスが再び突撃して来る。三人はこれを走って回避すると、すぐさま後を追い掛けて背後から襲撃する。フィーリアも銃を構えながら突撃し、支援攻撃を再開する。

 三方向から剣士三人が襲いかかるが、グラビモスは体を回転させるようにして尻尾を振るって接近を阻む。だが、

「……見切った」

 振るわれる槌のような巨大な尻尾を前にサクラは逃げる事なく刀を構えて迎え撃つ。隻眼を鋭く細め、揺れる黒髪を優雅に流しながら、鬼神斬破刀を構えるサクラ。主の想いに応えるかのように、鬼神斬破刀は眩い激雷を刀身に纏う。迸る稲妻が辺りに飛び散り、転がっている石や岩を砕く。静電気が彼女の黒髪をふわりと揺らし、雷撃が更に濃密なものに変わっていく。そして――

「……ッ!」

 ――鎧竜グラビモスの尻尾を、一刀両断に切断した。

「ゴアアアアアアァァァァァッ!?」

 サクラの背後へ切断された尻尾は音を立てて転がり落ちる。それに一瞥もくれる事なく、目の前で激痛に堪らず倒れ込んだグラビモスを睨みつけるサクラ。未だに雷撃を纏う鬼神斬破刀を再び構え、容赦なく突貫していく。

 顔色一つ変える事なく襲い掛かって来た尻尾の一撃を切断してみせたサクラに対し、クリュウとシルフィードは互いに顔を見合わせて苦笑を浮かべ合った。

「相変わらず、常人のそれを凌駕しているな。彼女は」

「技術もすごいけど、やっぱり気迫が違うよね」

「さぁ、我々も負けてはいられないぞッ」

 剣を担いで再び倒れてもがいているグラビモスへと突撃するシルフィードに「もちろんッ」と答え、クリュウも彼女を追って突撃する。

 立ち上がったグラビモスは再び怒りの咆哮(バインドボイス)を轟かせるが、構わずシルフィードが突っ込みその顔面に向けて蒼刃剣ガノトトスを叩き込む。血と悲鳴を吐くグラビモスに、遠距離だった為に咆哮(バインドボイス)の影響を受けなかったフィーリアの支援射撃が続く。

 怒り狂う鎧の重竜は咆哮(バインドボイス)でまだ動けずにいるクリュウとサクラを狙って熱線を吐こうと構える。口を開き、口腔が真っ赤に染まる。これに気づいたシルフィードは雄叫びを上げて蒼刃剣ガノトトスを横薙ぎにフルスイングして熱線を撃つ為に地面に固定している脚を斬り殴る。体を固定している状態で軸足に強烈な一撃を受けたグラビモスはバランスを崩す。しかしそこは重鎧竜。ゆっくりと横倒しになる中でも狙いを定め、熱線を放った。しかしわずかに逸れ、二人の横を掠る程度に終わり、横倒しに倒れた。

 すぐ横の地面が溶岩化するのを見て冷や汗をかくクリュウだったが、顔色ひとつ変えずに倒れたグラビモスに襲い掛かるサクラを見て苦笑を浮かべながら、彼女を追ってグラビモスへと襲い掛かる。

 横倒しになった事で頭上にあったグラビモスの装甲が割れた腹が攻撃しやすい場所に降りてきた。そこへ向かってシルフィードを筆頭にサクラ、クリュウと剣士が総攻撃を仕掛ける。中距離へと距離を詰めたフィーリアも容赦の無い銃撃を浴びせる。

 倒れた事で抵抗できないグラビモスは四人の猛攻をただ受けるだけ。悲鳴と怒号が混じった叫びを上げながら必死に暴れるグラビモスに対し、四人は全く攻撃の手を緩めない。

 だが、ようやくグラビモスが立ち上がると深追いはせずに一度距離を取った。この判断が功を奏し、立ち上がり直後の毒ガス攻撃を回避する事ができた。

 態勢を立て直す四人に対し、グラビモスは怒り狂いながら突っ込んで来る。迫り来るグラビモスに対し、四人は回避せずに真正面から迎え撃つ。一見無謀にも見えるこの構えだが、四人には策があった。

 先頭に立つクリュウがディアブロヘルムの下で笑みを浮かべた瞬間、鎧竜グラビモスは彼らが事前に設置した落とし穴を踏み抜いてその進撃を阻まれた。

 突然身動きを封じられたグラビモスは慌てふためいて暴れるが、ハンターズギルド公認の落とし穴の拘束力は例え飛竜種最重量級モンスターと言われるグラビモスであってもそう簡単には抜け出す事はできない。

 落とし穴にはまり、更に下半身が穴に埋まった事でまたしても腹の破損箇所が攻撃しやすい場所へと変わる。そこ目掛けて剣士三人が再び一斉攻撃を仕掛け、フィーリアも銃撃を続ける。

 三人の強烈無比な斬撃の嵐に、顕になった肉の部分からはおびただしい量の血が飛び散り、流れ続ける。三人の防具も鎧竜の血で赤く染まるが、構わず力の続く限り剣を振るい続ける。

 一方、銃撃を続けていたフィーリアは三人の猛攻を見届けると、ハートヴァルキリー改をしまって背負う。すると道具袋(ポーチ)の中から閃光玉を取り出す。

 その間に、グラビモスはようやく落とし穴から脱してその巨大な翼を広げて天へと舞い上がる。鎧竜は角竜ディアブロスと同様に翼が退化しており、長距離飛行はできない。だがその巨体を浮かべる事くらいはできるのだ。

 例えるなら、先日観たエルバーフェルド帝国海軍の戦艦のような重圧感と巨体を持つグラビモスが天へと飛び立つ様は、衝撃的だ。だが、彼らは冷静だった。

 浮かび上がったグラビモスに対し、先程閃光玉を構えていたフィーリアがすぐさま背後へと投擲。炸裂した閃光が空中にあるグラビモスの視界を再び奪った。バランスを崩した鎧竜はその巨体を維持できずに落下。地面へと叩き落とされた。

 地面が激しく揺れる程の衝撃で地面へと倒れたグラビモスに対し、再びクリュウ達は総攻撃を仕掛ける。

 巨体故に一度倒れたらそう簡単には起き上がれないグラビモス。その間はクリュウ達にとっては格好の攻撃のチャンスとなる。その僅かな隙を逃さぬ為、クリュウ達の怒濤の攻撃は続く。

 倒れていた巨体がゆっくりと起き上がるのを見て、三人は攻撃を断念して後方へと退避する。

 血まみれとなって起き上がったグラビモスは、包囲する敵を睨みつける。しかし、更なる追撃を警戒する四人に対して鎧竜は突如彼らに背を向けると、そのまま後方にある溶岩の方へと退避していく――巨体を支える、脚を引きずりながら。

「弱っているぞッ! 追えッ!」

 シルフィードの再突撃指示に剣士組は一斉に突撃する。俊足のサクラがすぐさまグラビモスの前へと躍り出ると、雷刀鬼神斬破刀で襲い掛かる。クリュウとシルフィードも脚を狙って剣撃を浴びせ、フィーリアも徹甲榴弾LV2で攻撃を浴びせる。三人の猛攻、徹甲榴弾LV2の爆発に耐えながら、グラビモスは逃げ続ける。そして、ついには溶岩の中へと消えて行ってしまった。

「……逃がしたか」

 舌打ちし、サクラは見事な剣捌きで背なる鞘へと納刀する。

「だが、ペイントの効果は残っている。場所は見失ってはいないさ」

 蒼刃剣ガノトトスを背負ったシルフィードはそう言って近くにあった岩に腰掛けて息を整える。

「あと、少しだね」

 クリュウも水筒を取り出して水を飲む。氷結晶が入った水筒の中身の水は、ここが日火山地帯であっても良く冷えている。

「長かったですが、ようやく追いつめる事ができましたね」

 フィーリアも武器をしまい、少し疲れた様子だが勝利を目の前にして意気軒昂だ。

「ここでグラビモスを討伐できれば、グラビモスの出現で身動きが取れなくなっている商隊がこのラティオ活火山から脱出できますね」

「そうなれば、村の燃石炭が補給できるね」

 クリュウとフィーリアも、あと少しでの勝利とその先の展開に頬を緩ませる。そんな二人に釘を差すのはリーダーであるシルフィードの役目だ。

「だが、追い込まれている以上相手も文字通り死に物狂いで抵抗するはずだ。油断はするなよ」

「……問題ない。死に損ないに遅れは取らない」

 短く返すサクラの言葉に苦笑を浮かべながらも、この三人なら釘を刺すまでもない事もわかっているシルフィード。手短に最後の作戦会議を済ませ、いよいよクリュウ達は出立する。

 これまでの長戦に疲れはあるが、四人全員が士気高く意気軒昂。気合十分に鎧竜グラビモスが休む巣に向けて歩み出す。

 ――この後、鎧竜グラビモスとの激しい死闘の末に勝利を収めたクリュウ達。その戦い模様はまた別の機会に。

 

 大陸通商連合所属のイージス村支援部隊の一つ、第7方面商隊がラティオ活火山に村で使う燃石炭の採掘に来た際、鎧竜グラビモスと遭遇してしまった。何とか逃げられたものの、火山の中で身動きがとれなくなってしまった。

 これを知ったクリュウ達が、今回救援の為にこのラティオ活火山へとやって来て、鎧竜グラビモスと交戦したのが、今回の戦闘の原因だ。

 鋼龍クシャルダオラとの死闘から二ヶ月。村の復興は村人の誰もが思っていたよりも早いスピードで続けれている。すでにエルバーフェルド帝国の独立歩兵師団やカレン率いる大洋艦隊も引き上げており、イリス以下の王軍艦隊も去っている。村にはカレンが派遣した陸戦隊と設営隊が中心となって村の再建にあたっている。大陸通商連合も約束通り補給を続けてくれており、誰もが悲観した村の復興はもうすでにあと少しの所まで来ていた。

 鎧竜グラビモスを討伐し、商隊と共にドンドルマへと引き上げた四人はそこで商隊と別れ、久しぶりに大衆酒場へとやって来た。

 

「あら、久しぶりじゃない。みんな元気そうね」

 そう言って明るく出迎えるのは、ハンターの心のアイドルことギルド嬢長を務める人気ギルド嬢、ライザ・フリーシアだ。

「……お茶」

「……あんた、久しぶりの再会だってのに開口一番にそれ?」

「……ライザは店員。私は客。間違ってはいない」

「それはそうだけど……友達でしょ?」

「……お茶と茶菓子」

「……はいはい。緑茶と茶菓子セットね」

 サクラに一蹴されしおしおとオーダーを取るライザの姿に苦笑を浮かべながら、クリュウ達は席につく。

「それで、今回はどうしたのよ? 今は村の復興中でしょ?」

「あぁ、その関係でちょっとラティオ活火山に用があってな」

 そう言ってシルフィードは事の顛末を説明する。それを聞いたライザは「それはまた、大変だったわね」と同情してくれる。

「でも、もう結構村の復興は進んでるんでしょ?」

「まぁな。カレンがかなり尽力してくれているらしく、海上経由での物資補給に人員の派遣など本当に助かっている。もちろん、アルトリアからの援助や大陸通商連合の協力、それにハンターズギルドも力を貸してくれているからな。信じられない速度で復興は進んでいるぞ」

「改めて考えても、夢物語みたいな展開よね」

「まぁ、だから大国二国が関わっている事は極秘にはなっているがな。西竜洋諸国を刺激しない為だそうだ」

 カレンやイリスは、クリュウの為に今回の支援を申し出てくれた。だが実際この二人が動くと何かと外交面で波が立つ為、その行動は極秘とされている。その辺はハンターズギルドや大陸通商連合も把握しており、二ヶ国の事については関係者全体に緘口令が敷かれている。

「陸戦隊の方からは、あと一ヶ月もすれば作業は完了するとの事だ。すでに住民も大半が仮設の天幕(テント)暮らしだが、戻って来ている。皆、一致団結して村の復興に勤しんでいるよ」

 シルフィードの説明にライザは嬉しそうに「そっか。良かったわね」と笑みを浮かべる。彼女は本来の仕事の為に早期に村を離れた為、村がどういった現状になっているか良く知らなかった。ずっと気にはなっていたが、何かと忙しい立場。どうしても確認する事ができずにいたのだ。心残りがなくなって、安堵したのだ。

「それで? あなた達はすぐにでも村に戻る訳?」

「そうですね。復興には人手はたくさんあるに越した事はないので」

 そう言うクリュウに「そっか。がんばってね。応援してるから」と言い残し、オーダーを取って別のギルド嬢へと渡すと、別の席のオーダーを取りに入口付近の席へと向かう。その時、ちょうど酒場へと入って来る者がいた。ライザはすぐさま営業スマイルを浮かべて迎えるが、次の瞬間、その顔から笑みが消えた。

「わ、びっくりしたぁ……帰ってたのね」

 驚くライザの目の前に立っていたのは二人組の女ハンターだった。一人は星の輝きを集めたかのような光り輝く銀色の髪で左目を隠し、右後ろでサイドテールを結ったキリンテールと呼ばれる髪型をした、意志の強い碧色の瞳をした女性。

 全身を物々しく刺々しい銀色の防具、ギザミUシリーズで武装し、背には強力な雷刀として有名な鬼哭斬破刀を下げている。

 もう一人は青みがかった白色の髪をショートヘアに纏めた謎めいた蒼色の瞳をした女性。全身を防具と呼ぶにはあまりにも軽装で、至る所を肌に晒した幻想的な蒼白色の毛や皮で縫われた一見すると服のように見えるそれは、幻の古龍と呼ばれる幻獣キリンの素材を使った伝説の英雄級でしか装備できないキリンXシリーズと呼ばれる防具。背には硬度の高そう鈍色の巨大な鉄銃が装備されている。二つ折りのそれはヘヴィボウガンであり、その流れるような流線型の美しい研磨された銃は、鋼龍クシャルダオラから採れる厳選素材を使って作られたコルム=ダオラと呼ばれる伝説の銃。

 前者はクイーンクラス、後者に至ってはエンペラークラスに分類されるハンターズギルドでも数少ない強者だ。普通なら大衆酒場ではなく、直接上の階にある上級ハンター専用の酒場へと行くはずだが、なぜか二人は直接下の大衆酒場に現れたのだ。そして、突然の伝説級の二人の登場にざわつく酒場内を見回し、目的の人物を発見する。すると、

「クー君。久しぶりなのです。お姉さんは感激のあまり涙が止まらないのです」

 先程までの何を考えているかわからない無表情から一転して目を両の拳で押さえ、子供の文字通り泣いてますアピールをしながら口で「うえーん、なのです。うえーん、なのです」とあからさま嘘泣きを始めるキリン娘。あまりの三文芝居っぷりに笑いすら起きず、場は凍りつく。そんな彼女の様子に隣のギザミ娘は「相変わらず訳わかんねぇぜ」と呆れ顔。

 目の前で寒い漫才を見せつけられたライザはきょとんとしたまま動けない。すると、そんな彼女の隣からクリュウが顔を出した。

「……どうしてこんな所に居るのか。尋ねる前にまずは騒ぎを起こさないでよキー姉ぇ」

 ギザミ娘と同じく呆れ顔のクリュウ。だがその表情は隠し切れない嬉しさの笑みもまた浮かべていた。クリュウが声を掛けるとキリン娘は手を外して「クー君、会えて嬉しいのです。ギュッってしちゃうのです」と言って今度はクリュウを前から抱き締める。

 嫌がるクリュウだが、心から嫌な訳ではなく、ただ恥ずかしいだけ。キリン娘の方も離す気はないらしく、抱き締めたまま今度は頬ずりを始めてしまう。

 隣のギザミ娘はキリン娘の度を超えたブラコンっぷりに呆れつつ、いつの間にかクリュウの背後で殺意を噴出させている三人の娘を牽制する。

「あぁ、まぁ気持ちはわからなくはないが久しぶりの再会だから許してやってくれ。それとフィーリア、お前まで何て目で見てやがんだ」

 大衆酒場に現れたのは、クリュウ達も良く知る人物。

 クリュウの姉的存在であるG級ハンター、キティ・ホークラントとフィーリアの実の姉である上位ハンター、シュトゥルミナ・レヴェリの二人だった。

 

「ちょっとまぁ、ギルドの極秘任務ってのでキティの姉御と二人とコンビを組んでな。その任務を終えて帰って来た所だったんだ」

 紅茶を飲みながら事の顛末を説明するのはフィーリアの姉、シュトゥルミナ。フィーリアと同じく名門レヴェリ家出身、それも次女という立場ながら全く貴族っぽくない。だが下手に堅苦しいよりも彼女くらい大雑把な方がハンターの世界では受け入れられやすい。

「あの、極秘任務って何だったの?」

 フィーリアが数少なく、タメ口を利ける相手。それが姉であるシュトゥルミナだ。妹の問いに対しシュトゥルミナは苦笑を浮かべる。

「バァカ。極秘だから極秘任務って言うんだよ。内容なんて言えねぇよ」

「――東方大陸に、応援に行ってたのです」

 えっへんとばかりに腰に手を当てて、ものの見事に極秘任務の内容を明かしたキティ。その発言に隣に座っていたシュトゥルミナは紅茶を零す始末。フィーリア達もまさかこんなにも簡単に言ってしまうとは思っていなかったらしく呆然としてしまっている。

 一方クリュウは姉のアホっぷりに頭を抱え、キティはというと「クー君、お姉さん偉い? お姉さんすごい? 誉めていいのですよ? 頭撫でなでしてくれてもいいのですよ?」とクリュウに褒めてもらいたいとアピール。

 しばしの間があって、ようやく平静を取り戻したシュトゥルミナはクリュウを睨みつけ、

「なぁ、お前の姉貴はアホなのか?」

「……否定はしません。天才とアレは紙一重と言いますし」

「クー君が天才と褒めてくれたのです。お姉さん、感激なのです」

「……姉御、全然褒められてねぇぞ」

 どうやらキティとシュトゥルミナは旧知の仲らしく、シュトゥルミナとクリュウはお互い残念なキティを抱える悩みを持つ者同士、一気に距離が近くなった。

 そしてキティが暴露してしまった為、もはや隠す必要もなくなってしまった極秘任務について、改めてシュトゥルミナが説明してくれる。

「東方大陸にもハンターズギルドはあるんだが、後発組織の為にまだ俺達級のハンターが少なくてな。時々東方大陸に俺達級のハンターが応援って形で行くんだよ」

「東方大陸に、ですか?」

「おうよ。こっちじゃ見れねぇ固有のモンスターから、こっちでお馴染みのモンスターも向こうじゃ変わった動きをしやがる。なかなか有意義な時間だったぜ」

 楽しげに笑う彼女の姿に、東方大陸のモンスターに興味が湧くクリュウ。彼もハンターの端くれだ。見た事もないモンスターに興味を持つのは当然だ。

「特にユクモ村って場所は最高だったぞ。温泉が湧いててな、それが最高の心地でよぉ。湯に浸かりながら飲む酒ってのは最高だぜ」

「しかも混浴なのです。私達美人さんだから、男の人の情熱的な視線に思わず身を震わせてしまったのです」

「まぁ、近づいてきたバカな男共は俺が全部蹴り飛ばしてやったがな。もちろん、全部股間にな」

 その時の事が余程楽しかったのか大声で下品な笑いを響かせるシュトゥルミナ。これが本当にフィーリアの姉で、あの名門貴族のお嬢様だとは未だ信じられないのが本音だ。

 一方のクリュウは何を想像したのか、顔を真っ青にして股間を押さえている。隣に座るシルフィードは自分には想像できない痛みに怯えるクリュウの姿が妙に可愛らしく見えたのか、クスクスと笑う。

「それで向こうのギルド指定の任務を幾つか終えて、こうして凱旋して来た訳さ。しかし、やっぱり酒はこっちの方がうまいぞ。向こうにはビールがないからな」

「そうなのか。それは残念だな」

 お酒の中ではビールが好きなシルフィードは少し残念そうに答える。ワインと言えばガリア、ビールと言えばエルバーフェルドとそれぞれブランドがある。全く別の地へと行けば、当然そういった品に出会い辛くなるのだろう。

「だったら、何でそのまま上の酒場に行かないのさ。大衆酒場にキー姉ぇが来れば大騒ぎでしょ?」

 クリュウの指摘はもっともだ。実際、さっきも軽く騒ぎになった程だ。彼の疑念に対し、シュトゥルミナが「おぉ、そうだった」と思い出す。

「いや、ちょっと東方の方で興味深い情報を得てな。それをお前に話したくてすぐにでもイージス村に行こうとしてたんだが、ちょうどお前達がここに居るという情報を得て来た訳さ」

「……クー君、お姉さん達が居ない間、大変だったのですね。肝心な時に力になれなくて、ごめんなさいなのです」

 それまでの天然っぷりから一転して、申し訳なさそうに謝るキティ。村の窮地に駆けつけられなかった自分に責任を感じているのだろう。そんな彼女に対し、クリュウはゆっくりと首を横に振った。

「キー姉ぇが気にする事じゃないよ。何とか撃退はできたし、村も今復興中だけど何とかなりそうだからさ」

「でも、お姉さんはクー君のお姉さんなのです。クー君のピンチに力になれなかった。お姉さん、失格なのです」

 しょんぼりとする姉を前に、弟としてどうしたもんかと考えるクリュウ。落ち込む姉に対し、クリュウは言葉を選びながら慰める。

「僕だって、もう一人前のハンターだし男だよ。いつまでも、キー姉ぇに守られたり、心配されたりされるだけじゃない。だから、キー姉ぇは気にしなくて大丈夫。実際、僕はこうして元気なんだし。せっかくの再会なんだからさ、そんなにキー姉ぇの悲しい顔、見たくないよ」

 困ったように苦笑を浮かべるクリュウの言葉に、キティは伏せていた顔をゆっくりともたげる。弟の優しげな笑みを見て、キティは先程とは違って本当の涙を目の縁に浮かべながら、小さく笑みを浮かべる。

「……クー君は本当に優しい子なのです。お姉さんの自慢の弟なのです。大好きなのですよ。愛しているのです、クー君」

 そう言って、キティは優しくクリュウを抱き締めた。今度は恥ずかしいからとか言って抵抗せず、素直にそれを受け入れるクリュウ。抱き合う二人の姿は本当に姉妹のようで、見ているこっちまで幸せになりそうな光景だ。二人のそんな姿に、シュトゥルミナもまた静かに笑みを浮かべる。そして――

「……感動のシーンを前に、何でお前らは全員そんな怒り狂った目をしてやがんだ」

 ――嫉妬に狂う三人の娘を静かにたしなめたのであった。

「それで、興味深い情報というのは? それをクリュウに知らせる為に、ここに来たのでしょう?」

 いち早く平静を取り戻したシルフィードの促しに「おう、それがなぁ……」と、なぜか話しづらそうにキティの方を見る。

 クリュウを解放したキティは、シルフィードと同じく二人の説明を待っているクリュウの方を見ると、いつになく真剣な表情を浮かべる。姉の真顔に、事の重大性を悟ったクリュウも自然と表情を引き締めた。

 しばしの無言の後、キティがゆっくりと口を開く。

「クー君。もしも、もしもの話なのです」

「うん」

「もしもアメリアさん――あなたのお母さんが生きているとしたら、どうするのです?」

「え……?」

 真剣に彼女からの話を待っていたクリュウは、思わぬ問いかけに呆然としてしまう。それは周りで話を聞いていtフィーリア達も同様だ。特に三人の中では唯一生前のアメリアと親交があったサクラも隻眼を大きく見開く。

 そして、死んだはずの実の母が生きているとしたら。そんな無茶苦茶で、事と次第によっては不謹慎極まりない質問に対し、クリュウは少し狼狽する。

「いや、どうするって言われても……母さんは死んだはずじゃ」

「……そうなのです。でもクー君、アメリアさんの遺体は発見された訳じゃないのですね?」

「ま、まぁそうだけど……いや、でもそんな事ありえないよ」

 死んだはずの母が生きている。そんな事ありえないとばかりに言い切るクリュウだったが、いつになく真剣な表情を崩さない姉を前に、その否定も揺らぐ。

「どうして、母さんが生きてるなんて思うのさ」

 クリュウのもっともな問いかけに対し、キティは静かにその根拠を語る。

「実は、ユクモ村である人物の情報を得たのです」

「ある、人物?」

「それがよぉ、異国人の女性ハンターで、名前が《アメリア》って言うらしいんだ」

 半信半疑と言った様子で語るシュトゥルミナの説明に、クリュウも「同姓同名って可能性だってあるでしょ?」と否定的だ。だが、

「調べた結果、そのアメリアという人物はかなりの腕で、ライトボウガンを使うそうです」

「母さんは、ライトボウガン使いだったけど」

「会った事のある人の話によると、ハンター以外の事になると見ているこっちが不安になる程の天然で、美しい金髪の美人さんだとの事です」

「……まぁ、確かに良く母さんの特徴に似てはいるけどさ」

 半信半疑の気持ちを捨て切れないクリュウ。だが、先程までに比べれば心が揺れているのは確かだ。困惑するクリュウを守るように間に割って入ったのは、この場に居る中ではクリュウとたった二人しか居ないアメリアを知る人物、サクラだ。

「……その人物がおば様だったとして、ならば何故そんな所に居る。なぜ、最愛の息子であるクリュウの所に帰って来ない?」

 アメリアが生きているなど信じていないサクラからすれば、クリュウの心の傷を抉るような話をするキティとシュトゥルミナに対し激しい軽蔑と敵意に似た感情を抱かずには居られない。吐き捨てるようにそう疑念を投げかけた後「……悪い冗談よ。事と次第によっては、クリュウの姉だろうがフィーリアの姉だろうが許しはしない」と隻眼を険しく細め、怒りを顕にする。

 フィーリアとシルフィードもサクラ寄りであり、二人の話に少し不快感すら抱いていた。妹からの「もうこの話はやめてください」と言わんばかりの視線に、シュトゥルミナも居心地が悪そうだ。

「なぁ、やっぱりやめようぜ。俺もアメリアが生きているなんて信じられないぜ」

 やっぱりデマだったんだよ、とこの話は終わりと言いたげな視線を送るシュトゥルミナ。しかしキティは首を横に振った。

「もちろん、お姉さんとしてもデマという可能性が高い事を想定しているのです。でも、少しでも可能性があるのなら徹底検証。お姉さんは、諦めが悪いのです」

「可能性って?」

 クリュウに促され、キティは「これも人から聞いた話なので不確定要素なのです」と前置きしながら、自らの諦め切れない可能性について言及する。

「そのアメリアという女性、記憶喪失らしいのです」

「記憶喪失……」

「今から約十年前、海を漂流している所を東方人に助けられたそうなのです。ですが、その時にはすでに記憶を失い、彼女自身も大怪我を負っていたそうなのです。懸命の処置の末、何とか助かったものの結局記憶は戻らず、行く宛もない彼女はそのまま東方大陸に残ったそうなのです。当時の身なりから彼女がハンターだという事だけは確かだったようで、以後彼女はハンターとして活躍されているそうなのです。実力は相当なもので、お姉さんやルミナにも匹敵する実力者という噂も。各地を転々としているようで、正確な居場所は不明なのですが……」

 そこまで説明し、キティは一度用意されていた水を一口飲むと、改めてこの話を聞くクリュウを見詰める。彼の目は、半信半疑ながらもこの話に相当な興味があるようだった。

「クー君。もちろん、お姉さんもこの噂はデマだと思っているのです。そんな夢物語みたいな話、現実にはない。頭ではそう思っているのです。でも、クー君はわかってるのですね?」

「――もちろん、キー姉ぇは疑り深くて諦めが悪い。でしょ?」

「ビンゴ、なのです」

 昔から、興味を持ったら徹底的に調べないと気が済まないタイプだった姉。そんな姉をすぐ近くで見て育ったからこそ、彼女がなぜこんな話を自分にするかよくわかる。

「本来ならば、お姉さん直々に調査を行いたい。気持ちではそう思っているのです。でも……」

「――エンペラークラスのハンターは、ギルドの指示を無視した独断行動はできない。ずいぶん窮屈な身分だな」

 シルフィードの言葉に対しキティは苦笑いしながら「もちろん、メリットもあるのですよ。この情報だって、この身分だからこそ集まった情報なのです」と答える。

「そこで、クー君に頼みがあるのです」

「その頼みって、もしかして……」

 クリュウの問いに答えるようキティは一度うなずくと、改めて彼に相対しながらその頼みを明かす。

「――この噂の真相を確かめる為、クー君には東方大陸に渡ってほしいのです」


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