学園都市の決闘者   作:逆襲

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ユウカ、初めての…

「んー……!」

 

凝り固まった体をほぐすように、大きく伸びをする。

長時間同じ姿勢でいたせいか、肩や背中がじんわりと軋んだ。

 

ようやく、各部活動の部費や修繕費の処理がひと通り終わった。

小さく息を吐く。

 

机の上には整然と積み上げられた書類。

やりきった達成感と、わずかな疲労が同時に押し寄せていた。

 

「次は……」

 

予定を確認しようと、スマホへ手を伸ばす。

 

——その瞬間。

頬に、ひやりとした感触が触れた。

 

「ひゃっ……!」

 

思わず肩を跳ねさせる。

 

この時間、ここにいるはずの人間は限られている。

 

コユキは反省部屋。

他のセミナーの部員も外出中。

 

こんな悪戯をする人物など——一人しかいない。

 

「根を詰め過ぎるのは、あまり感心しませんよ?」

 

落ち着いた声が、すぐ背後から降ってきた。

 

「……ノア!」

 

振り返ると、そこには予想通りの姿。

どこか余裕を感じさせる微笑みを浮かべたノアが立っていた。

 

「ごめんなさい、ユウカちゃん。少し驚かせてしまいましたね」

 

そう言って、頬に当てていた冷たい缶をそっと離す。

その指先の動きすら、どこか優雅だった。

 

「朝からずっと同じ働き詰めでしたし……」

 

机の上の書類へと視線を落とし、軽く目を細める。

 

「一度、休憩にしませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

冷たいコーヒーが、ゆっくりと喉を通っていく。

火照っていた頭が、じんわりと冷えていく感覚。

張り詰めていたものが、少しだけほどけた。

 

「大分、お疲れだったようですね?」

 

向かい側で、ノアが穏やかに微笑んでいる。

その視線は、どこか全部見透かしているようだが、もう二年以上の仲だ。

既に慣れてしまった。

 

「……なんで皆、あんなにわがままなのかしら」

 

カップを持ったまま、小さく息をつく。

 

「ちゃんとしてくれれば、私達の苦労も減るっていうのに……」

 

「ふふっ」

 

くすり、と柔らかく笑う声。

 

「まぁまぁ、そんなに怒ると、可愛いお顔が台無しですよ?」

 

「むー……」

 

思わず頬を膨らませる。

 

その様子を楽しそうに眺めながら、ノアは静かに立ち上がる。

そして、棚の方へと歩いていった。

 

整然と並べられた備品や箱に、指先を滑らせるように触れていく。

 

「あら……」

 

ふと、手を止める。

 

「ノア?どうかしたの?」

 

「いえ、先生からいただいたお茶菓子が、まだ残っていると思ったのですが……」

 

そう言いながら振り返る。

 

 

その手にある箱の中には——

 

「……あと一つしか、残っていませんでした」

 

ぽつり、と告げる。

 

中に入っているのは、たった一つの個包装。

 

「私は別にいいわよ?」

 

あっさりと返すユウカ。

だが、ノアは小さく首を横に振った。

 

「いえ……せっかくですし」

 

ほんのわずかに、目を細める。

何かを思いついたような、楽しげな表情。

 

「こうしましょうか」

 

人差し指を、すっと立てる。

 

「ある“ゲーム”で勝った方が、これを好きにする……というのはどうでしょう?」

 

「ゲーム?」

 

予想外の提案に、少しだけ目を瞬かせる。

 

「はい。ちょっとした息抜きにもなりますし。どうでしょう?」

 

どこか自然で、けれど断る理由のない言い方。

 

「……いいけど。何をやるの?」

 

ユウカが問い返すと。

 

「そうですねぇ……」

 

ノアはわざとらしく、少しだけ考える素振りを見せる。

だが、その間はほんの一瞬。

すぐに、答えは用意されていたかのように。

 

「これ、なんていかがでしょう?」

 

差し出された手の中。

 

そこにあったのは——

見覚えのあるカード。

 

「……えっ?」

 

思わず声が漏れる。

それは間違いなく、昨日見ていたものと同じ。

 

「デュエマ……?」

 

「ふふっ」

 

ノアは楽しそうに微笑む。

 

 

「あら?そんなに意外でしたか?」

 

 

差し出されたカードを前に、ユウカは一瞬言葉を失う。

 

「……い、いや、その」

 

ユウカはほんのわずかに視線を逸らす。

 

「私は別に……そこまでカードゲームに興味があるわけでは……」

 

「……そうですか」

 

ぽつり、と。

それまでの柔らかな空気が、ほんの少しだけ静まる。

 

「やっぱり……」

 

ノアはカードをそっと胸元に引き寄せる。

その表情が、わずかに曇った。

 

「私とは、やってくれないんですね……」

 

「えっ?」

 

思わず顔を上げる。

 

「コユキちゃんとは、あんなに楽しそうにやっていたのに……」

 

「なっ——!?」

 

空気が、一瞬で固まった。

ノアは視線を落とし、小さく肩をすくめる。

 

 

その仕草は、どこかいじらしくて——

 

「ちょ、ちょっと待ってノア!なんでそれを知ってるのよ!?」

 

ユウカが慌てて身を乗り出す。

 

「……さぁ?何故でしょうか」

 

ちらりと視線を上げるノア。

その瞳の奥には、ほんのわずかな悪戯っぽさが宿っていた。

 

だがすぐに、またしゅんとした表情に戻る。

 

「別に……無理にとは言いません」

 

小さく首を振る。

 

「ただ、少しだけ……一緒に遊べたら、楽しそうだなぁって思っただけですから」

 

「うっ……」

 

言葉が詰まる。

完全に、断りづらい空気になる。

 

「……べ、別にやりたくない、とは言ってないじゃない」

 

ぽつりと、観念したように呟く。

 

「本当ですか?」

 

ぱっと顔が明るくなる。

さっきまでのしおらしさが嘘のように微笑むノア。

 

その表情はどこか——

最初からこうなると分かっていたようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「「デュエマスタート!」です♪」

 

 

 

 

 

 

 

先行 ユウカ マナ3 シールド5 場:≪オンソク童子〈ターボ.鬼〉≫

後攻 ノア マナ3 シールド4 場:≪異端流し オニカマス≫

 

 

 

オンソク童子〈ターボ.(オーガ)〉 コスト2 パワー4000 ソニック・コマンド/鬼レクスターズ 火

・スター進化:レクスターズまたは火のクリーチャー1体の上に置く。(このクリーチャーが離れる時、かわりに一番上のカードが離れる)

・このクリーチャーが出た時、自分の手札を1枚捨て、その後、カードを1枚引く。このクリーチャーがタマシードから進化していれば、カードをもう1枚引く。

 

 

異端流し オニカマス コスト2 パワー2000 ムートピア 水

・このクリーチャーは、相手に選ばれない。

・相手のターン中に、相手が召喚以外の方法でクリーチャーを出した時、そのクリーチャーを持ち主の手札に戻してもよい。

 

 

ユウカ ターン4

 

(オニカマスが厄介ね…)

 

「ドロー。マナをチャージして2コストで≪未来設計図≫を使うわ」

 

未来設計図 コスト2 呪文 自然

(シールド)・トリガー

・自分の山札の上から6枚を表向きにし、その中からクリーチャーを1体選び相手に見せてから手札に加える。その後、残りのカードを好きな順序で山札の下に置く。

 

 

 

 

1枚1枚慎重に確認しながら山札の上からカードをめくる。

 

(あった……!)

 

「≪轟く侵略 レッドゾーン≫を回収するわ!」

 

ユウカの視線が鋭くなる。

 

「そしてオンソク童子で攻撃する時!」

 

手札から先程回収したカードを場へと出す。

 

「さっき回収したレッドゾーンへ侵略よ!」

 

「あら、結構大胆なんですね♪」

 

ノアの声は、どこまでも穏やかだった。

 

「レッドゾーンの効果でオニカマスを破壊よ!」

 

「では、こちらもオニカマスの効果を使用してレッドゾーンを手札に戻しましょうか」

 

お互いの場からクリーチャーがいなくなる。

 

(次のターン、もう一度タマシードから展開すれば……!)

 

「ターンエンドよ!」

 

 

 

ノア ターン4

 

ノアは表情一つ変えず、カードを引く。

 

「ドロー。マナをチャージして…3コスト」

 

マナを丁寧にタップしていく。

 

「≪天災(ディザスター) デドダム≫を召喚です!」

 

 

天災(ディザスター) デドダム コスト3 パワー3000 トリニティ・コマンド/侵略者 水・自然・闇

・このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から3枚を見る。そのうちの1枚を手札に加え、1枚をマナゾーンに置き、残りの1枚を墓地に置く

 

 

「効果で山札を3枚を見て…これは手札、これはマナ、これは墓地に置きましょうか」

 

「大分強いわねそれ…」

 

「ふふっ。まだ終わりませんよ?」

 

更にマナのカードをタップする。

 

「2コストで≪ゴースト・タッチ≫を唱えます♪」

 

 

ゴースト・タッチ コスト2 呪文 闇

(シールド)・トリガー

・相手の手札から1枚見ないで選び、捨てさせる。

 

 

「手札を捨てる…!そんなカードまであるのね…!」

 

「ふふふ……さぁ、どれにしましょうか」

 

ノアの視線が、ゆっくりと手札をなぞる。

まるで中身を見ているかのように。

 

(まずい…っ!)

 

無意識に、指先がわずかに動いてしまう。

そのほんの些細な変化すらノアは見逃さなかった。

 

「では……一番左のカードにしましょう」

 

「くっ…」

 

選ばれたのは、≪ヘルコプ太の心絵(メモリー)≫だった。

 

「あら。大当たりのようですね♪」

 

そう言いながら微笑むノア。

表情はいつもと変わらないが悪魔のように見えた。

 

「ターンエンド、です♪」

 

 

 

ユウカ ターン5

 

「ドロー!」

 

カードを引くが、残念ながら進化元は引けなかった。

 

(くっ……でもこれで!)

 

「マナをチャージ!2コストでまた≪未来設計図≫を唱えるわ!」

 

(このデッキにはクリーチャーの進化元もいたはず…!)

 

そう思いながら山札をめくる。

だが、そこに並んでいたのは、進化クリーチャーとタマシードばかり。

 

「お目当てのものは見つかりましたか?」

 

静かな声が横から差し込まれる。

 

「……っ」

 

その中から一枚を選びノアに見せる。

 

「《カチコミ入道〈バトライ.(オーガ)〉》を手札に加えるわ」

 

(手札には進化クリーチャーだけ…何もできないわね)

 

わずかに唇を噛む。

 

「ターンエンドよ」

 

 

ノア ターン5

 

「ドロー。……あら?」

 

カードを見た瞬間。

その笑みが、ほんのわずかに深くなる。

それだけで嫌な予感が確信に変わる。

 

「マナチャージして、4コスト」

 

カードが静かに場へ降りる。

 

「《奇天烈 シャッフ》を召喚します」

 

 

奇天烈 シャッフ コスト4 パワー4000 マジック・コマンド/グレート・メカオー/侵略者 水

・このクリーチャーが出た時または攻撃する時、数字をひとつ言う。次の自分のターンのはじめまで、相手はその数字と同じコストを持つ呪文を唱えられず、同じコストを持つ相手のクリーチャーは攻撃もブロックもできない。

 

 

「シャッフの能力で「2」を選びます。次の私のターンまでユウカちゃんは2コストの呪文が使えません♪」

 

「ええっ!?」

 

「そして、デドダムで攻撃する時に」

 

ノアの手札から、更に一枚が滑り出る。

 

「侵略発動!《超奇天烈 マスターG》へと進化です!」

 

「侵略……!」

 

 

超奇天烈 マスターG コスト8 パワー9000 マジック・コマンド/侵略者 水

・進化 水のクリーチャー1体の上に置く

・侵略 水のコマンド

・このクリーチャーはブロックされない。

・W・ブレイカー

・このクリーチャーがバトルゾーンを離れるとき、奇数か偶数のどちらかをひとつ言う。その後、相手は自身の山札の上を表向きにし、そのカードのコストが自分が言ったものと同じの場合、このクリーチャーはバトルゾーンを離れるかわりにとどまる。

 

 

「そのままシールドを攻撃です♪」

 

音を立てて二枚のシールドが割れていく。

 

「くっ…(シールド)・トリガー発動!SMAPON(スマッポン)!」

 

 

 

SMAPON(スマッポン) コスト7 パワー2000 ジョーカーズ 火

・スーパー・(シールド)・トリガー(盾が無かったら●の効果を追加で使用できる)

・このクリーチャーがバトルゾーンへ出たとき、相手のパワー2000以下のクリーチャーを全て破壊する

●このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、このターン、自分はゲームに負けず、相手はゲームに勝てない。

 

 

「効果ではなにもできないけど…進化元は用意できたわ!」

 

ノアはそんなユウカの様子を見てくすり、と微笑んだ。

 

「あらあら、怖いですねぇ♪」

 

だが、その声には余裕しかなかった。

まるでそれすら、想定内であるかのように。

 

 

ユウカ ターン6

 

「ドロー!マナをチャージして…」

 

マナゾーンのカードをタップしていく。

 

(アポロヌス・ドラゲリオンが無いけど…待ってたら不利になる!)

 

「3コスト!《SMAPON(スマッポン)》を《カチコミ入道〈バトライ.(オーガ)〉》へ進化よ!」

 

 

「タマシードから進化してないからバトルはできないけど…そのままノアへ攻撃する時に!」

 

手札から二枚のカードがバトルゾーンへ重なる。

 

「《轟く侵略 レッドゾーン》を二枚侵略よ!!」

 

重なる衝撃。

盤面の圧が、一気に跳ね上がった。

 

「効果でパワーが大きいクリーチャーを破壊!まずはマスターGよ!」

 

「その時、マスターGの効果を使用しますね♪」

 

食い気味に割ってきたノアの言葉に、セリフが詰まる。

 

「こ、効果……?」

 

「ええ」

 

ノアは、ほんの少しだけ考える素振りを見せてくすり、と笑う。

 

「では……“偶数”にしましょうか」

 

その声音は、自分が攻められているというのにどこまでも軽やかだった。

 

「ユウカちゃん。山札の上から一枚、表向きにしてください♪」

 

「……どういう能力なのよ、それ……」

 

ユウカは困惑しながら山札の上から1枚をめくる。

そのコストは……6だった。

 

「私が宣言した偶数奇数とユウカちゃんのめくったカードの数字が一致すれば……マスターGは場を離れません♪」

 

「ええっ!?」

 

本来なら破壊されるはずのマスターGが、何事もなかったかのように場に留まる。

 

「レッドゾーンはもう一体出したので、もう一回ですね♪」

 

ノアは楽しそうにまた考える素振りをする。

 

「では次は……そうですね、奇数で」

 

まるでディーラーのように、軽やかに宣言する。

 

「さぁ、どうぞ♪」

ユウカは息を飲む。

 

(ここで外せば……まだ……!)

 

祈るように、カードへ手を伸ばす。

目を閉じ、カードを引いた。

そしてゆっくりと開かれていく視界に映る数字。

 

 

 

 

 

「……1」

 

「やりました♪」

 

ノアの声が弾む。

 

「こちらも一致したので、効果でマスターGはバトルゾーンを離れません♪」

 

再び、マスターGが場に留まる。

まるで——最初から動くつもりなどなかったかのように。

 

その圧に、わずかに息が詰まる。

それでも。

 

「くっ……ただじゃ終わらないわ!」

 

ユウカは顔を上げ、鋭くシールドを指さした。

 

「レッドゾーンの攻撃はさせてもらうわよ!」

 

三枚のシールドが、連続して砕け散る。

 

ノアは慌てる様子もなく、その破片のように散ったカードを一枚ずつ手札に収めていく。

その指先の動きすら、どこか余裕に満ちていた。

そして、ふっと、口元が緩んだ。

 

(シールド)・トリガーです♪」

 

「くっ……!」

 

嫌な予感が、的中してしまう。

 

「《闇参謀グラン・ギニョール》を召喚します」

 

 

闇参謀グラン・ギニョール コスト8 デーモン・コマンド/チーム零 水・闇

(シールド)・トリガー

・ムゲンクライム2(今回は使用しないので割愛)

・次の中から1つ選ぶ。

①他のクリーチャーを1体選び、手札に戻す。

②自分の山札の上から2枚を墓地に置き、その後、置いた中からどちらかを手札に戻してもよい。

 

 

「②の効果で、山札から2枚を墓地へ……」

 

カードがめくられ、墓地へと落ちる。

 

「……《奇天烈シャッフ》を回収します♪」

 

「……っ」

 

完全に、次の展開まで整えられている。

歯を食いしばる。

 

だが、もう打てる手はない。

 

「……ターンエンドよ」

 

 

 

ノア ターン6

 

「名残惜しいですが……」

 

カードを整えながら、穏やかに微笑む。

 

「このターンで終わりにしましょうか♪」

 

その言葉は、まるで雑談のように軽い。

だが、その実——完全な“詰み宣言”。

 

「マナチャージして……5コスト」

 

場に流れる空気が、わずかに張り詰める。

 

「《本日のラッキーナンバー!》を使用します」

 

 

ツインパクトカード

クリーチャー面

機術士ディール コスト6 パワー6000 マジック・コマンド 水

・W・ブレイカー

・このクリーチャーが出た時、数字を1つ選ぶ。その数字と同じコストの相手のクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。

 

呪文面

「本日のラッキーナンバー!」 コスト5 呪文 水

・数字を1つ選ぶ。次の自分のターンのはじめまで、相手はその数字と同じコストのクリーチャーを召喚できず、同じコストの呪文を唱えられない。

 

 

「なにそれ……!?」

 

思わず声が漏れる。

 

「クリーチャーと呪文が一緒になってる……!?」

 

「あら、ご存じなかったですか?」

 

ノアはくすりと笑う。

 

「ツインパクトカードと言って、状況に応じて使い分けられる便利なカードなんです♪」

 

ノアは再度考え込むような素振りをする。

 

「さて……」

 

少しだけ考える素振りを見せてから、

 

「コストは“7”を選びます」

 

ぴたり、と言い切る。

 

「次の私のターンのはじめまで——コスト7のクリーチャーは召喚できず、呪文も使えません♪」

 

「また……コスト指定……!」

 

じわじわと、選択肢が削られていく。

 

「グランギニョールで攻撃する時!S級侵略「不死(ゾンビ)」を発動です!」

 

「S級侵略「不死(ゾンビ)」!?」

 

「はい。本来は侵略は手札からしかできませんが…この侵略は墓地からもできます♪」

 

ノアは墓地へ手を伸ばし、一枚を取り出す。

 

「《S級不死(ゾンビ) デッドゾーン》をバトルゾーンへ!」

 

 

S級不死(ゾンビ) デッドゾーン コスト6 パワー12000 ソニック・コマンド/S級侵略者 闇

・進化 闇のクリーチャー

・S級侵略「不死(ゾンビ)」 闇のコマンド

・T・ブレイカー

・このクリーチャーがバトルゾーンへ出たとき、相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーをー9000する。

 

 

「デッドゾーンの効果でレッドゾーンをー9000!そしてシールドを攻撃です!」

 

三枚のシールドが、一気に砕ける。

 

ここで止めなければ、終わる。

 

(来て……!お願い……!)

 

祈るように、カードを手に取る。

 

一枚目。

——何もない。

 

二枚目。

——何もない。

 

(そんな……!)

 

指先が震える。

 

 

 

だが——

三枚目。

 

「……来たっ!」

 

視界が一気に開ける。

 

「スーパー・(シールド)・トリガー発動!《SMAPON(スマッポン)》!」

 

(これで……このターンは耐えられる!)

 

安堵が胸を満たしかけた——その瞬間。

 

「あら……ユウカちゃん?」

 

静かな声が、差し込む。

 

「そのクリーチャーのコスト……いくつでしたっけ?」

 

「えっ……?」

 

嫌な予感。

ゆっくりとカードを見る。

左上に書かれている数字。

 

「……7」

 

一瞬、思考が止まる。

 

「あっ……」

 

さっきの宣言で指定された数字。

 

「と……いうことは……」

 

ノアはすでに次の動作に入っていた。

まるで最初から、こうなると分かっていたかのように。

 

「良い勝負でしたよ♪では————」

 

その声音は、どこまでも優しかった。

 

「マスターGで——ダイレクト・アタックです♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふっ♪私の勝ちです♪」

 

どこか弾むような声で、ノアは上機嫌に微笑む。

 

「ノア……結構強いのね……」

 

ユウカは小さく息を吐きながら、肩の力を抜いた。

 

「そうですか?先生やコユキちゃんには及びませんよ」

 

そう言いながら、ノアは棚の方へと歩み寄る。

そして、先ほど話していたお茶菓子をひとつ手に取った。

 

「では、こちらは私のものです♪」

 

くるり、と振り返るその仕草はどこか楽しげで——

そのまま、個包装を丁寧に開ける。

 

中から現れた小さなお菓子を、指先で軽くつまみ——

 

パキッ、と、小気味のいい音とともに、二つに割った。

 

「……どうぞ♪」

 

何事もなかったかのように、片方を差し出す。

 

「え?」

 

思わず間の抜けた声が漏れる。

ノアは柔らかく微笑んだまま、こくりと頷く。

 

「今回のルール、“勝った方がこれを好きにできる”……でしたよね?」

 

「あ……」

 

確かに、そう言っていた。

 

「なので、どうするかも私の自由です♪」

 

さらりと言い切る。

 

「一人で食べるのも良いですけど……私は、ユウカちゃんと一緒の方が良いです」

 

「ノア……」

 

ユウカは差し出されたお菓子と、ノアの顔を交互に見た。

その表情はいつも通り穏やかで、どこにも打算は見えない。

 

ほんのわずかに息をついてから、手を伸ばす。

 

「……ありがたく頂くわ」

 

「はい♪」

 

短いやり取り。

それだけで、先ほどまでの張り詰めた空気が、ゆっくりとほどけていく。

 

二人の間に流れる時間は、どこまでも静かで、穏やかだった。

勝敗の熱も、読み合いの緊張も、すべてが遠のいていく。

 

ただ——

同じ場所で、同じ時間を過ごしているという事実だけが、そこに残っていた。




本日のキーカード

超奇天烈 マスターG コスト8 パワー9000 マジック・コマンド/侵略者 水
・進化 水のクリーチャー1体の上に置く
・侵略 水のコマンド
・このクリーチャーはブロックされない。
・W・ブレイカー
・このクリーチャーがバトルゾーンを離れるとき、奇数か偶数のどちらかをひとつ言う。その後、相手は自身の山札の上を表向きにし、そのカードのコストが自分が言ったものと同じの場合、このクリーチャーはバトルゾーンを離れるかわりにとどまる。



「なんでこの構築済みデッキはアポロヌスが1枚しか入ってないのかしら?」

「それは殿堂カードといって1枚しか入らないカードなんですよ」

「そんなのもあるのね…」




※ノアが使用した「機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」はそれより上のプレミアム殿堂ですがデュエプレスペックにすることにしました。でも実際に紙に来ても大暴れしそう…
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