Prologue①
この世の中には、⬛︎⬛︎が沢山います。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎人、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎人、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎人。
数え出したら、キリがありません。
あなたは、どちらでしょうか?
恐らくは、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎側の人間かと思います。当然です、それが⬛︎⬛︎ですから。
そう、⬛︎⬛︎なのです。おかしいのは、⬛︎⬛︎です。
⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の人間。
そんな人達が⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。
そんな⬛︎⬛︎に私達⬛︎⬛︎は、取って代わられ虐げられてきたのです。
⬛︎⬛︎の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎に成り下がる他、なかったのです。
おかしいですよね?
⬛︎⬛︎がいない⬛︎⬛︎ 。⬛︎⬛︎だけの⬛︎⬛︎。真に、⬛︎⬛︎な⬛︎⬛︎。
こんな⬛︎⬛︎に興味があるなら、是非あなたの指を上に向けてみてください。
一緒に、手を叩いて笑い合いましょう。
Prologue
痛い。何かが痛い、どこかが痛い。
本能的に頭を押さえて初めて、私は頭が痛かったのだと理解した。
私は机に突っ伏している状態だった。
至って普通の机だ。教室にいくつも置いてあるような、画一的な机。
念の為周りを確認してみるが、当然のようにここは教室だった。
少し薄暗く、それが私の不安を
電気は点いている。じゃあ何で、大して明るくないのだろう。
ああ、そうか。この部屋には窓がないんだ。
いや、厳密には窓が塞がれているんだ。鉄板で。
————
近づいて横から覗こうとしても、そこには一切の隙間がなかった。
全く、知らない場所だった。
頭の中で“誘拐”や“監禁”の文字が踊り始める。けれど、もし誘拐だったとしても監禁場所に学校の教室というのはおかしな話のように思える。ここが倉庫とかなら断言できたけれど、そのせいで私の置かれている状況を断定することもできなかった。
見た感じ、教室の設備はどちらかと言えば綺麗だ。廃校ではないのだろう。
じゃあ、本当にこれはどういう状況なのだろうか。
意識が明瞭にならないまま私は立ち上がり、自分の状況の整理を試みる。
試みようとした。
「あ、起きましたぁ?」
間延びしていて、妙に能天気な声。
「……え、気絶しましたぁ? なんか言ってくださいよぉ」
さらに声が聞こえてきて、私はようやく意識を取り戻した。
昔からの癖だ。予想外のことが起きると数秒意識が飛んでしまう。
……だけど、これは予想外なんて次元の出来事じゃない。
「…………き、君が、喋ってるの?」
「そうですよぉ! 人間が喋るように、ジブンだって立派に喋れるんですよぉ!」
教卓の上に立つ白黒のぬいぐるみは、私の問いかけに誇らしげに返答した。
「ぬいぐるみが喋ったくらいで信じられないような顔をするんじゃないですよぉ、全くぅ……。ジブンだって苦節何十年、ご立派リッパに生きてる生き物なんですからねぇ……」
そのぬいぐるみはブツブツ愚痴を呟いて、少し恨みがましそうに私の方を見る。
どちらかと言えば私に落ち度はない気がするけれど、そこを突いても面倒そうなのでやめておいた。
「まぁ無事に起きたってことでぇ。キサマにはいくつか質問に答えてもらいますよぉ」
「質問……?」
「そうですぅ。あんまり待たせても悪いから、手早く答えてねぇ」
質問されるも何も、今の私の頭は疑問符でいっぱいだ。
けれどそんな私を無視するかのように、このぬいぐるみは一つ目の質問をぶつけてきた。
「自分の名前、覚えてますぅ?」
「……天雲、舞衣奈」
「はぁい、正解。次行きますよぉ」
輪をかけて簡単な質問に、私は拍子抜けした。
どういう意図があるんだろう。私は記憶喪失にでもなりかけていたのだろうか?
「今日は、何月ですかぁ?」
「……4月だよ。だって私は、入学式に来たんだから」
「あはは、あははぁ。そうなんですかぁ? キサマは2月みたいな格好してますけどねぇ」
「……悪かったね」
少しムッとして、語気を強めて言い返す。
子供の時から着けている縞模様のマフラーは、こんな不可解な状況でもちゃんと私の首に巻きついていた。
「じゃあ次行きますねぇ。自分が今日から通う学校と、自分の肩書き。それぞれ言えますぅ?」
少し、質問らしくなってきた。
「……神与学園、そして“超高校級の優等生”。これで、良いのかな」
「ふふ、ふふぅ。大丈夫です、バッチリですよぉ」
何故か笑っているぬいぐるみをよそに、私も自分の状況を今度こそ頭の中で整理してみる。
入学者は全員が学園からの招待という形をとられ、一般選抜や推薦などは一切やっていない。
招待される人物の共通点。それは、全員が特別な才能を持つと見なされる高校生であるということ。
全国から才能のある高校生を集め、入学させ、その才能をさらに磨かせるという、言ってしまえば一種のギフテッド制度。それを遂行するのがこの学園だ。
当然ながら、卒業生は各分野で名を馳せる優秀な人物ばかり。
だからこの学園に入学するということは将来の成功を約束され、さらに様々な未来の偉人との繋がりを得られることに等しい。この招待は全国の高校生、いや全ての人からの羨望の対象となっている。
入学者には特別な才能の証として、“超高校級”の称号が与えられる。
——“超高校級の優等生”。それが私、
『全国模試1位の常連であり、運動能力にも秀で、人当たりも良いというまさに完璧な優等生』。
学園側が称号の欄に付けていた説明がこんな感じだった。いざ自分で言うとなると、かなり恥ずかしい。
勉強するのが苦でなかっただけ。
運動がそれなりに得意だっただけ。
人からよく頼られるようになって、人当たりが良くなっただけ。
俗に言う才能とは少し違ったような能力で、超高校級の優等生なんて
私の背景は、こんなところだ。
「今のところは問題なしですねぇ。じゃあ、最後の質問ですよぉ」
ぬいぐるみは心なしか嬉しそうな声色で、こう続けた。
「キサマは眠る前、何をしてたんですかぁ?」
……そうだ、思い出した。
「……神与学園の入学式に来たんだ。そして門を潜って……」
私は丁寧に記憶を追って、そして正直に口にした。
「それ以降の記憶が————
心の底からの本音だった。
他の記憶——例えば昨日のことなんかは鮮明に思い出せるのに、現在に近づくにつれて記憶が曖昧になってくるような感覚。むず痒くて、少し不愉快な感覚。
ただ眠る前の少しの時間の記憶が、破棄されたかのように思い出せなかった。
「はい正解、よくできましたぁ。以上で質問は終わりですぅ、ありがとうございますねぇ」
「え?」
最後の最後にして、この状況について知ることのできそうだった質問。
けれどこのぬいぐるみは、質問以上のことは何も言わない。教える気がないようにも思えた。
「ちょ、ちょっと……!? ここはどこなの? これはどういう状況なの?」
「あのねぇ、少しはジブンの身にもなってほしいんですよぉ。毎回毎回同じような反応を繰り返されて、もううんざりしちゃいますぅ。……ま、キサマに関しては少し特別ですけどねぇ」
そんな訳の分からないことを言いながら、このぬいぐるみは私のことを無視し続ける。
「キサマに今何が起こってるかなんてぇ、もう少ししたら分かりますよぉ。それじゃあ、準備ができたら体育館に向かってくださいねぇ。この教室を出て右に進んで行ったら着くと思いますよぉ」
そう言って、ぬいぐるみは教卓を飛び降りた。
「キサマで最後ですからねぇ、ちゃんとご挨拶してくださいねぇ。じゃ、精々頑張ってね? “
そしてそう言い残して、ぬいぐるみは消えた。
再び、この教室に沈黙が訪れた。
教室の扉に手をかけて、力を込める。予想通り簡単に開いた。やっぱり、私を教室に閉じ込めるといった類の話ではないらしい。
『体育館に向かってくださいねぇ』
あのぬいぐるみの言葉が、頭の中で繰り返し再生される。
「……行くしか、ないよね」
誰に聞かせるわけでもなく、私は1人でそう呟いて。
扉の向こうに、足を伸ばした。
これが、長く続く絶望への、初めの一歩であることを。
私はまだ、知らなかった。
ダンガンロンパ CLOVER
Prologue『ヨツバの貴方に死を詰める』
神与学園 名簿表
【“超高校級の優等生”】天雲舞衣奈
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【“超高校級の⬛︎⬛︎⬛︎”】⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
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