黄金樹から出禁くらったので、フォドラで生きていきます。   作:エクストラ・バージニアオイル

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オリ主の処遇を決めたので初投稿です。

学級紹介をしていくのですが、長くなりそうなので結構割愛してます。
好きなキャラが飛ばされてしまった方には本当に申し訳ない。

けど、今後しっかり各キャラしっかり絡ませていきたいと思うのでご容赦を。


「この先、秘密が有効だ。」

 

 「んん.....。にわかには信じ難いが.....。」

 

 「ふむ、私も初めて聞きます。」

 

 

ここはフォドラと呼ばれる大陸が中心、そこにそびえる『ガルグ=マク大修道院』に併設された士官学校。

 

その2階部分にある大司教の執務室へ通じている広間である「謁見の間」。

 

煌びやかなステンドグラスや調度品に彩られた清浄な空間で、今まさに褪せ人である「メリク」は話題の渦中にいた。

 

 

 「狭間の地、という場所がある事は君の持っている様々な文章からも理解は出来る。が、我々としては素性の分からぬ者を士官学校に入れる訳にはいかない。」

 

 

厳しい表情でそう告げるのは、大司教の補佐官であり教団の実質No,2。

 

濃い緑の髪と僅かにある顎ひげが特徴的な「セテス」だ。

 

 

 「しかしセテス。私はこの者を置く事には意味があると考えます。私達を含めたフォドラの者には無い技術や知識、これらは生徒。そして大修道院に集う信徒達にとっても新たな発見の知恵の糧になるでしょう。」

 

 

そんなセテスを嗜めるように横から柔和な表情を浮かべる、薄緑の髪をした女性。

 

彼女こそ、フォドラの一大宗教勢力である【セイロス教】の大司教である「レア」だ。

 

彼女がメリクの入学を一考すべきと言うものの、セテスの姿勢は頑として変わらない。

 

 

 「大司教。これはそのような範疇を超えています、ダスカーやブリギットそしてパルミラといった周辺諸国ならばいざ知らず。未開の国から来た来訪者となれば一体どのような軋轢を生むか...。」

 

 「それこそ、私達が為すべき事に他なりません。この大修道院に集まる者は誰であろうと皆が家族であり仲間です。多少の文化の違いに戸惑う事はあると思いますが、大きな混乱は無いと考えられます。」

 

 「.....大司教がそこまでおっしゃるのであれば、決定はお任せします。だが『メリク』と言ったな?」

 

 「はい。メリクです。」

 

 

大司教に説得され表情を少し柔らかくしたと思ったのも束の間。

 

すぐに目つきを鋭くしてメリクの方へ向いたセテス。

 

 

 「当士官学校は、このフォドラに集う前途有望な若者達ばかりが集う学び舎だ。君にも当然、丁寧な話し方の習得は無論のこと。食事作法から貴族社会での儀礼、魔法学に紋章学に植物学に実践訓練といった多種多様な生徒が習得する知識や能力を学び会得し、ひとりの生徒として扱う事は覚悟して頂きたい!」

 

 「はい。かくご、です。」

 

 

彼に釘を刺したつもりのセテスであったが、どこ吹く風といった風のメリク。

 

それもそのはず、彼の目は終始この空間を隅々まで興味深そうに見回し続けているためだ。

 

誰が言うまでもなく、非常に失礼極まりない行動。現にセテスのこめかみには青筋が浮かんできている。

 

 

 「えーっと.....それじゃ俺はこの辺りで...。」

 

 「ええ、ジェラルト。あなたが戻ってきてくれた事も心から嬉しく思います。再び、セイロス騎士団を導いてください。」

 

 「はっ。ジェラルト・アイスナー、本日より再びセイロス騎士団の一員として職務に励ませて頂きます。では...。」

 

 

もうすでに空気に耐えられなかったジェラルト。

そそくさと挨拶を済ませて、先に部屋から退室してしまった。

 

後に残るのはメリク。

 

そして隣に立つベレスのふたりだけだ。

 

無表情で無機質な彼らに対し、レアが話を続ける。

 

 

 「ではベレス。改めて、貴方を当士官学校の教師として迎え入れます。そのためにまずは3つの学級を回り、自分に最も適した学級がどれか見定めてください。いいですね?」

 

 「はい、分かりました。」

 

 「よろしい。そして、メリク?」

 

 「はい。」

 

 「あなたはベレスの生徒であり、補佐として学級に編入します。あなたもこの学園の生徒たちを知っておく必要があります。あなたも彼女と共に学級を見て回るのです。」

 

 「わかりました。」

 

 「良い返事です。では、見終わった後にまたこの部屋へ来る事。あなた達がどの学級を選ぶか楽しみにしています。」

 

 

と、青筋を浮かべて爆発寸前といったセテスに変わってレアが伝え終えた。

 

聞き終わったふたりはお辞儀をし、部屋を後にする。

 

彼らの退室後。

人払いはあらかじめ済ませていたのか、謁見の間はしばしの間セテスとレアのみになる。

 

すると堰を切ったようにセテスが話し始めた。

 

 

 「レア、あの者らを士官学校に入れるとは!あまりにも不用心なのではないか?ベレスというあの傭兵、生徒らを助けてくれた事はアロイスからも聞き及んでいる。だが!今はフレンもいるのだ...あまり信用のおけぬ者を学校へ通わせ、それどころか教師に推挙してしまうのは!」

 

 

セテスの考えは尤もであろう。

 

恩義こそあれど、毎日祈りを捧げる大切な信者らが集う大聖堂と。

青年少女ら、特に各国の有力貴族の子息らが多く在籍する士官学校に、かつてセイロス騎士団長だった男の子供だという少女を教師に。

 

あげく、異邦から来たという彼らの仲間の傭兵も編入するとなれば一大事である。

 

そこまでする義理も、道理もないはずだ。

 

しかしレアはゆったりとした雰囲気を崩す事はなく返答する。

 

 

 「セテス、どうか安心してください。ジェラルトは行方不明の期間こそありましたが彼は私自ら血を分けた者。だからこそベレスも私にとっては孫同然の存在です。...そしてあのメリクという若者、彼もまた我らの同胞となるかもしれない存在なのですから。」

 

 「同胞!?レア、それは一体どういう...!」

 

 

レアからの「同胞」になるかもしれないという言葉を聞き、セテスは大きく狼狽えた。

 

その様子を見つつ、周囲の気配がまだ無いと判断したレアはさらに続けた。

 

 

 「ここから先は他言無用です、セテス。彼に関する報告の中に『竜になる魔法』を見たという内容がありました。」

 

 「竜....!いや、だが彼は異邦の者だ。決めるのは早計だろう?もしも、万が一にでも、彼が『ネメシス』と同じ“簒奪者”であれば一大事だ!」

 

 

 

少し説明を交えよう。

フォドラの歴史に登場する人物である「ネメシス」。

この人物はかつて「聖者セイロス」と所縁ある人物であった。

 

そしてその「聖者セイロス」とはまさしく、この大聖堂の管理者であるセイロス教の開祖に他ならない。

 

そんな聖人にも並ぶ偉人であり、女神から「炎の紋章」と「英雄の遺産」を賜ったフォドラ解放の王。それがネメシスだという歴史がある。

 

だが彼らの会話からは解放の王などとは程遠い「簒奪者」という言葉がネメシスに当てはめられていた。

 

さて...歴史の話はこれくらいにして。

 

彼らの会話はまだ続いている。

 

 

 

 「セテス。実際に話してみて彼を、どう思いましたか?」

 

 「それは、ううむ。忙しくなく辺りに気が散る子供のような感じ、というのが正直な所だが。」

 

 「それです、セテス。彼の情緒は幼いまま、何も知らぬ赤子のように周囲のものへ興味関心を持つ無垢な者に見えます。これは自身の力をまだ理解していないからやもしれません。」

 

 「あり得るのか?そのような事が...『ナバテアの民』と同じ様な者が異なる場所にいて、ここへ流れ着くなどという事が...?」

 

 

様々な専門語句が飛び交う謁見の間。

聞く者が聞けば、世界の秘密を大きく知ってしまい消されかねない程に濃縮された情報が開示されていた。

 

竜、ネメシス、ナバテアの民。

 

これらは全てフォドラの歴史の根幹に関わるものであり、隠された真実そのものである。

 

レアとセテス。

彼ら真実を知る者からは決して聞く事が出来ないが。

 

いずれこの真実は明らかとなっていく。

 

他ならぬベレスと、メリクの手によって。

 

さて。ここまで話し終えたレアとセテスであったがひとまずの結論をレアがまとめる。

 

 

 「可能性は大いにある。と考えました。もしもメリク、彼がベレスと共に歩む者ならば...このフォドラの安寧にも直結する鍵を握る者に他なりません。」

 

 「今は何も言うまい。だがレア、何かあればその時はすぐに対処する事を約束して欲しい。」

 

 「ええ。分かりました。ですが今はただ彼らが良き者であると信じましょう。」

 

 

大司教とその補佐。

彼らの会話を盗み聞く者はなく、全てを語り終えてしばらくした後にノックの音が響いた。

 

 

 「かまいません、入りなさい。」

 

 

と、レア。そして隣に立つセテスも毅然とした顔で対応する。

 

こうして何事もなく、今日も大修道院の1日が始まったのである。

 

 

 

 

一方そのころ。

 

 

 「よかったねメリク、学校入れて。」

 

 「ようへい、できなかったのはざんねん。」

 

 

士官学校の一階、教室棟のある中庭への途中。

 

大広間から続く渡り廊下を歩きながら話すベレスとメリク。

 

紆余曲折はあったが、彼らは士官学校に入る事になった。

 

それもこれもジェラルトがセイロス騎士団の団長として復帰する事や、それに伴って傭兵稼業を休業するなどがあった為である。

 

メリクに仲間にならないかと誘った手前、こうなった事は残念ではあったが当人はそうでもなかったらしい。

 

というのもベレスの中?にいる幼女。ソティスからの使命を受けて、ベレスを守るために行動したいと言うからだ。

 

 

 「いいの?メリク。私と一緒に士官学校にいるとフォドラを見て回るのは難しいよ。」

 

 「まえにもいった。べれすをまもるしめい、ついでにせかいをみてまわる。べれすが、いちばんだいじ。」

 

 「...そう。」

 

 

本人がこういうのである、さして押しの強く無いベレスとジェラルトはそれ以上何も言わない。

 

ことジェラルトに至っては、騎士団に復帰する以上ベレスの様子を知る機会が少なくなり心労が増える。

 

そのため、メリクがそばに居るのは有り難いと考えたのだ。

 

...が。そもそもトラブルメーカーになるであろうメリクを同行させる事自体が間違いでは?

と気づくのは最初の任務を受けて出掛けてしまった後だったそうな。

 

 

 「それじゃあ、どこの学級から見て回る?」

 

 「いちばんとおいところから。」

 

 「それだと、黒鷲の学級(アドラークラッセ)からだね。」

 

 

目的地を定めた二人は、新入生達の交流の場となっている中庭を抜けて一番奥。

 

赤と双頭の鷲がシンボルとなる黒鷲の学級へと入った。

 

 

 

 

 「あら?先ほどぶりね2人とも。今朝は助けてくれて本当にありがとう。ようこそ黒鷲の学級へ。私が級長のエーデルガルト、改めてよろしく。」

 

 「礼には及ばないよ、エーデルガルト。今は少し色々な学級を見て回っているんだ。」

 

 「ええ、聞いているわ。私達のクラスについて説明してあげる。この学級は大半が帝国貴族の者で構成されているの。今年の特殊なケースだと交換留学生の「ペトラ」と、元ミッテルフランク歌劇団の歌姫「ドロテア」くらいが帝国貴族とは無縁の生徒になると思うわ。」

 

 「貴族出身の子が多いんだね。」

 

 「他のクラスよりも、というだけよ。それに皆気のいい子達ばかりだから良かったら仲良くしてあげてね。」

 

 「うん。それじゃ、あれ。メリク?」

 

 

少しエーデルガルトと話をしているうちにメリクの姿が消えている。

 

少し周りを見渡すベレス、どうやら誰かと話していたみたいだ。

 

 

 「うおおお!!やっぱりそうだ!見た事ない鎧だぁ!なぁアンタ、どこの騎士団の人なんだ!?」

 

 「ふわぁぁぁ....カスパル、初対面の人を急に引っ張って問い詰めるのはどうかと思うよ....。」

 

 「仕方ねぇだろリンハルト!二刀流と思ったら杖も持ってるし、白い鎧だと思ったらセイロス騎士団の文様が付いてないなんて、気になるに決まってんじゃねぇか!!」

 

 

少し離れた教室の隅っこ。

 

背の低い男子生徒に捕まって、やたらキラキラとした目線を受けるメリク。

その横には眠そうにあくびをする生徒が横の子を呆れた目で見ていた。

 

まだ話すのがそれほど上手くないメリクはどう受け答えするか迷っている様子。

 

そのままにするのも可哀想なので、顔を見合わせたベレスとエーデルガルトが近づいていくと。

 

横から、ずずいと。誰かが先に彼らへ話しかけた。

 

 

 「待ちたまえカスパル!そんなに質問をされては、この方もどう話せばいいか分からないだろう?それに、まだ君は彼に名を名乗ってすらいない!!これでは答えてもらえないのも道理ではないかね!」

 

 「あっ、そっか自己紹介がまだだった。すまねぇ!教えてくれてサンキュー、フェルディナント!俺はカスパル!そんでこっちの眠そうなのがリンハルト!」

 

 「どうも、僕にはお構いなく...ふわぁぁ。」

 

 「なまえ、めりく。よろしく。」

 

 

と、軽く互いに自己紹介。

握手するべく手を差し出すカスパル。

リンハルトはもう自分の出番は終わったとでも言うべく会釈した後、近くの机に突っ伏している。

 

そして、おずおずとカスパルの手を握ったメリク。

なのだが、カスパルに話しかけた男子生徒が近づいてくる。

 

 

 「メリクさんか!素晴らしい名前だね。そしてこの私こそ、帝国に燦然と輝く一番星にして努力を惜しまない男ッ!!その名は、フェルディナント・フォン・エェェェェェェ!!」

 

 「彼はフェルディナント・フォン・エーギル。仲良くしてあげてね、メリクさん。」

 

 

思わず、ずっこけたオレンジ髪のフェルディナントと呼ばれた生徒。

 

 

 「エッ、エーデルガルト!君という者は今私が誠心誠意自己紹介をしていたというのに!」

 

 「ええ、ごめんなさいね。まだ他の子達が自己紹介できてないから端的に済ませて欲しかったの。」

 

 「にしてもやり方というものが..!ぐぐぐ.....!!まぁ良い!改めて、どうぞよろしくメリクさん!そしてそちらの方は?」

 

 「ベレス。よろしく。」

 

 「ああ!ベレスさんだね、よろしく頼むよ!」

 

 

色々とさっぱりしている生徒だったが、すごく癖のある人物だなとも感じた。最初のカスパル達含め。

 

その後、結局根掘り葉掘りカスパルから質問攻めを受けるメリクをおいて、クラス内を回ったベレス。

 

あれよあれよと自己紹介をする生徒が続き...。

 

 

 「...ひとつのクラスを見るのにかなり時間を取られたね。」

 

 「カスパル、すごく、ぐいぐいくる。さいごのほう、なにはなしたかおぼえてない。」

 

 

少しメリクも疲れた様子だ。

 

あの後、留学生のペトラ。歌姫だったというドロテア。話しかけるとすぐ逃げてしまったベルナデッタ。ずっとエーデルガルトの側で立っていたヒューベルト。

 

というかなりアクの強い生徒がいたのが印象深いと感じたベレス。

 

メリクはただカスパルに質問され続けた印象しか残っていなかった。

 

 

 「それじゃあ次は、青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)か。」

 

 「もうしつもん、こりごり。」

 

 「静かな子達が多いといいね。」

 

 

などと話しながら、青と獅子がエンブレムになっている学級へ入っていった。

 

 

 

 「ん?おお、誰かと思えばベレスさんとメリクさん。先ほどは助けてくれて本当にありがとう。」

 

 「.....殿下。こちらの方々は。」

 

 

学級に入って早々に会ったのは、金髪の級長ディミトリ。

そして従者と思しき、逞しいガタイの青年。

 

 

 「さっき振りだね、ディミトリ。隣の子は?」

 

 「うん。こっちは、俺の従者をしてくれているドゥドゥーだ。」

 

 「ドゥドゥーだ。....殿下を助けてくれた事、俺からも感謝を。」

 

 「どういたしまして。おれ、メリク。」

 

 

と、ディミトリ。そしてドゥドゥーと軽く挨拶した後。

 

クラス内をざっと見て回ることに。

 

 

 「あっ!メーチェ!あの人たちが、殿下の話してた傭兵の人たちかな?」

 

 「あらぁ?確かに、そうかもしれないわねぇ。」

 

まず目に入るは、オレンジ髪の小柄な女の子と、対照的におっとりとした雰囲気のお姉さん。

 

 

次に

 

 「おおぉっ!?これはこれは!お美しいお嬢さん、一体どちらからお越しですか、あ痛たたたた!」

 

 「もうシルヴァン、あなたは目を離すとすぐに誰彼構わず口説くんだから!いい加減その癖をやめたらどうなのです?」

 

 

赤毛のナンパな男子生徒と、実直で生真面目そうな金髪ポニテ女子。

 

 

 

そして

 

 「あはは...イングリット、シルヴァンも反省してるみたいですし。それくらいにしてあげていいと思いますよ?」

 

 「はっ、コイツは一度痛い目を見たほうがいいだろう。...だが、あの男も女も。只者じゃなさそうだな。おい、お前たち2人とも時間に余裕はあるか?手合わせに付き合ってもらうぞ。」

 

 

イングリットと呼ばれた金髪の女の子に、耳を引っ張られる赤毛のシルヴァンをフォローしようとしている、灰色髪にそばかすが特徴的な優男。

 

そして、目からギラギラとした剣気を感じさせる濃紺の髪をした男子生徒。

カミソリのように鋭い剣気をものともせず、ほいほいと訓練場について行こうとしてしまうメリク。

 

まだ別のクラスに行く必要があるのでは?

と、ディミトリが止めたので行方不明にはならずに済んだのであった。

 

このクラスもまた一癖も二癖もありそうな生徒ばかりだった。

 

 

 

 「ふぅ、次で最後だね。」

 

 「フェリクス、けんで、たたかおうと、さそわれた。」

 

 「あの紺色髪の子だね。あとで時間があったら私も見ていいかな。」

 

 「うん。」

 

 

と、話しつつ。

 

最後のクラスである、黄色に角の大きな牡鹿が特徴的な「金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)」へと入っていく2人。

 

 

 

 「お、お二人さん!さっきはありがとうな!今は士官学校の散策中かい?」

 

 

もう大体予想はついていたが、学級に入ると出迎えてくれたのは級長のクロード。

 

焦茶の髪に、褐色の肌。片方だけ三つ編みにしたお下げがあるのがトレードマークだろうか。

 

彼に礼を言われつつ、学級を見て回ることになる。

 

 

 「ほう、クロードの話していた傭兵とは君たちかい?」

 

 「あっ、どうも。僕はイグナーツです。」

 

 

まさしく貴族といった話し方で、胸に薔薇の花をつけている紫髪の男子生徒。

そして律儀に名前を教えてくれるメガネをかけた金髪おかっぱイグナーツ。

 

 

 「どうも〜、クロードくんがお世話になった傭兵さんたちですよね!私はヒルダ・ヴァレンティン・ゴネリルです〜!お兄さん、その鎧とってもカッコいいですね、触ってみてもいいですかぁ?」

 

 「私...マリアンヌ・フォン・エドマンドです...。その、こんにちは...。」

 

 

これまた対照的な2人。

桃色髪のツインテをした快活な雰囲気のヒルダと、青い髪に病的にも見える青白い肌と少しクマが見えるマリアンヌ。

 

青獅子の学級では誰かに強く引き留められなかったメリクはヒルダにとっ捕まる事になった。

 

 

 「おや。あなたが噂の傭兵さんですか?私はリシテア・フォン・コーデリアです。」

 

 「おぉ!傭兵さんかぁ!お話聞かせてくれよ、オデはラファエル・キルステンだぁ。よろしくなぁ!」

 

 

またまた、対照的な2人。

白い髪が特徴的で小柄な少女のリシテアと、恰幅が良いはち切れそうな胸板をした金髪の偉丈夫ラファエル。

 

 

そして最後に

 

 

 「アンタ!師匠の娘なんだって?アタシの事は知ってるだろ!」

 

 「ええと、誰かな。」

 

 

ボーイッシュな雰囲気の短髪少女、手には弓をよく使うのかグローブを付けている。

 

彼女はベレスを見つけるや否や、指を指して話しかけてきた。

 

 

 「聞いてないのか?アタシの名前は、レオニー・ピネッリ!ジェラルト師匠の一番弟子だ!」

 

 

声高々に宣言したレオニーという名の女子生徒。

 

 

 「弟子?」

 

 

しかし、ベレスは特に聞き覚えがないのか少し首を傾げる。

 

 

 「ほ、本当に聞いてないのか...?まぁ師匠に弟子入りしていたのも村に来てくれてた間だけだったし...いや、師匠が話してないだけじゃないか...?」

 

 「大丈夫?」

 

 「心配無用!それより、アタシはアンタを超えるよ!師匠の娘だからって関係ない。師匠の教えを一番理解してるのはアタシなんだって見せつけてやるから、覚悟しなよ!」

 

 

と、啖呵を切るだけ切って教室を出ていってしまった。

 

 

 「あれ?珍しいですね、レオニーちゃんがあんな風に喋る所初めて見たかもしれないです〜。いつもは面倒見が良いタイプだから、意外かも!ベレスさんと何か因縁でもあった感じですか?」

 

 

レオニーと入れ違いにそう話してきたのはヒルダ。

 

そして彼女に腕をがっちりホールドされて歩くメリクの姿があった。

 

 

 「いや、父さんの知り合いだと思う。あとメリクはどうして腕を引っ張られてるの。」

 

 「そうそう聞いてくださいよ〜!メリクさんってばお話しようとしたらすぐ逃げちゃうんですよ〜!」

 

 「そうなの?」

 

 

と、メリクに問いかけて顔を見ると。

彼の表情がいつもの3倍増しで無表情な事に気づくベレス。

 

 

 「ひるだ、しつもん、おおい、こわい、たすけて」

 

 「そんな質問責めしてないですよ〜メリクさん!ちょーっとクロードくんがメリクさんの話をしてるのを聞いちゃって、気になってるだけなんですよぉ!メリクさんが来た場所の話とかもっと聞きたいな〜って...ダメですか?」

 

 

目を潤ませながらヒルダがおねだりを敢行する。

 

だが彼女は断られたとしても決してホールドを解いたりしないのだろう。

今のこの状況はその明らかな証左であった。

 

 

 「べれす、たすけて」

 

 「......。」

 

 

無表情仲間のベレスだからこそ分かる、メリクの動揺。

表情は変わっていないが、目を泳がせる頻度が少し増している。

 

だが、残念ながら助け舟を出すことは出来ない。

ベレスは自分の口下手さを理解していたからだ。

 

中途半端に何か話せば、すぐ彼の秘密に飛びついてくるであろう事は想像に難くない。

そしてベレスではそうなった後の対処は不可能。

 

よってここでの答えは。

 

 

 「.....。(がんばれ、メリク)」

 

 「!!(まぢむり、たすけて)」

 

 

互いのアイコンタクトと僅かな動きのみでの会話。

 

哀れメリク。彼はベレスに目で懇願するものの、教室に置き去りとなってしまったのだ。

 

 

 「さぁ、メリクさん!あなたが付けてるアクセサリーから昔の思い出まで、いっぱい聞かせてくださいね♪」

 

 「あぅ、あぅ。」

 

 

狭間の地を駆け抜けた覇者の弱点は、人とのコミュニケーションだったようだ。

 

この後、10分ほど一方的に質問され続けたところでクロードが笑いを堪えながら助けてくれたらしい。

 

 

 

 

 「大丈夫だった?メリク。」

 

 「はなすの、むり。でもたたかうの、たのしい。みんな、たたかいかた、ちがうの、おもしろかった。」

 

 「よかったね。」

 

 

しばらくして合流した2人は、大司教の部屋へ向かいながら話していた。

 

ここに至るまでの経緯として。

 

 

メリクがヒルダに解放された後。

外で待っていたベレスと移動しようとした時にフェリクスから声を掛けられる。先ほど彼と話していた手合わせの件だ、これに快諾しすぐに勝利。

 

そして試合が終わってすぐ、カスパルが乱入。これも圧勝。

 

さらにさらに、周囲の血気盛んな生徒らも相手をしてくれと申し込まれた結果。

 

メリクはものの数分で10人抜きを達成してしまった。

 

 

 

という事を経て、大司教の部屋へ向かっているのだが。

メリク当人は汗一つかいてはいない。

 

本当に余裕だったことが伺える。

 

 

 「メリク、あの受け流しは狭間の地で磨いたの?」

 

 「うん。パリィはきほん。ひとあいてなら、めをつむっても、だいじょうぶ。」

 

 「.....今度、教えて。」

 

 「いいよ。」

 

 

などと約束していたら、あっという間に到着。

 

朝とは違って既に幾人もの人が大司教の部屋へ続く広間の中にいた。

 

 

 「全ての学級を見て来たようですね、ベレス。そしてメリク。」

 

 「ただいま戻りました。」

 

 「もどりました。」

 

 「よろしい。では改めて、ベレス。貴方はどの学級を担当したいですか?」

 

 

少しの沈黙。そして彼女が選択したのは.....。

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 

訓練場では息を切らせた生徒が10人、あちこちで膝に手をつき、ある者は壁にもたれかかり、ある者は石畳に大の字で身を投げ。

 

全員が滝のような汗を流していた。

 

 

 「ははっ、あれ程強いとは思わなかった...。」

 

 

ひとりそう漏らすのは、汗を拭いながら訓練場の端で少し笑みを浮かべるフェリクス。

 

彼も先ほどまで膝をついて休んでいたひとりであったが、もうしっかりと立ち上がっている。

 

そんな彼の視線の先は、誰も立っていない訓練場の中央。

 

 

 「次は、勝ってみせる。」

 

 

そうひとり、決意を固める。

 

 

 「へへっ、だよな!お前も燃えてんな!」

 

 「ん。お前は、黒鷲(アドラー)の。」

 

 「おう、カスパルだ。さっきの試合見てたぜ!中々やるなぁ!」

 

 

手を差し出してくるカスパル。

無表情に握手を交わす。

 

 

 「フェリクスだ。お前の試合も、見応えがあった。」

 

 「そうか!?ありがとな!けど...。」

 

 「ああ。完敗だ。」

 

 

互いに健闘を讃える2人だったが、結果はどちらも完敗。

 

しかし、彼らの表情は明るく。闘志に満ちた顔をしていた。

 

 

 「次は俺が勝つ!!」

 

 「ふっ、俺の方が先に仕掛けさせてもらうぞ?」

 

 「なにぃ!?じゃあ、まずは俺と勝負しろフェリクス!」

 

 「ほう?良いだろう、今すぐにでも順番を決めてやる。」

 

 

疲れているはずの彼らは互いに木籠手、木剣を構える。

 

そして今もまだメリクが成した10人抜きに呆気に取られて人のいない訓練場の中央で。

 

 

 「かかってこい...!」

 

 「上等だっ、おらぁぁぁ!!」

 

 

2人の若い戦士がぶつかり合うのであった。

 

メリクの存在がまた一つ、フォドラの運命を動かしていく。




流石に各クラスを丁寧に書いてしまうと余裕で1万字を超えそうなため、割愛させてもらいました。

エーデルガルト、ヒューベルト、ベルナデッタ、ペトラ、ドロテア。

アン&メーチェ、シルヴァン、イングリット、アッシュ、殿下&ドゥドゥー。

ローレンツ、イグナーツ、マリアンヌ、ラファエル、レオニー、リシテア、クロード。

今回、あまり触れることのできなかった生徒はこれからもっと深掘りしていきたいと思うので何卒...。


ちなみにまだどの学級にするかは決めていません。

是非ともご意見をいただきたく存じます。
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