【悲報】目覚めたら巨人だった【敵じゃないよ】   作:佐東

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いっぱい感想ありがとうございます!

今まで嬉しくて全部返信してたんですけど、今見てみたらすごい返しきれないくらい沢山来てて、返信するとネタバレになっちゃうものも多くてですね……返信する人としない人作っちゃ感じ悪いかなと思って今誰にも返信出来てないんです。

でもめちゃくちゃ感想嬉しいので!

全部ちゃんと見てるので!

返信は出来ないかもしれないんですけどいっぱい送ってきて欲しいです!!以上です!!いつもありがとうございます!!!


第二章
1


 

 壁の穴を塞いでから二日が経った。

 

 昨日は丸一日続いた掃討戦があった。訓練兵は駆り出されなかったが、砲撃の音は一日中止むことが無かった。残った巨人も調査兵団が残らず討伐したらしい。

 

 今日は兵団総出で死体の回収作業を行っている。知った顔の死体がいくつもあった。そもそも顔が無い死体も。しかし訓練兵の制服を来ているので、きっと仲間だったのだろう。

 

 ジャン・キルシュタインは疲弊していた。仲間達と共にかつての仲間を回収していく。名前を上官に報告し、担いで荷台に乗せていく。死体はずしりとしていて想像よりもずっと重かった。

 面布をしていても防ぎきれない悪臭が鼻につく。いまだかつて嗅いだことの無い腐臭だ。

 

 クソッ、なんでこんな目に。

 

 ジャンは心の中で今日何度目か分からない悪態をついた。本当ならば今頃内地で憲兵として悠々自適に生活していたはずなのに。

 

 

 午前の作業が終わり、休憩に入っていいとの指示が出た。

 ジャンは食事をとることもなく、ある場所へ一人向かった。

 

 

 そこは野戦病院だった。ジャンはこの2日ほど、どんなに短くとも休憩や、少しの暇さえあればここに訪れていた。理由は彼の親友のマルコがここに昏睡状態で眠っているからである。

 あの日、見覚えのある謎の奇行種に襲われそうになっていたマルコをジャンは助けた。意識を失っていたものの目立った怪我はなく、無事後方に預けることが出来た。しかし、彼はまだ目を覚まさない。

 

 いつものように病院内に入ると、衛生兵に呼び止められた。

 

 「君、よくマルコ・ボットの見舞いに来てる子だよね」

 

 はい、と返事をする。すると衛生兵はにぱっと笑って、

 

 「良かった、知ってる子が来てくれて。ついさっき彼が目を覚ましたんだ」

 

 言い終わる前に、ジャンは駆け出していた。とっくに覚えたマルコの寝ている場所に急ぐ。

 

 着くなりバッと幕を払い、マルコの姿を確認する。

 

 「マルコ!」

 

 マルコは上半身を起こした状態でこちらを見ていた。顔色も悪くなく、健康そうに見える。

 ジャンは安堵のため息をついた。

 

 「心配したぞ、マルコ……」

 

 「……あっ、えっ……と……」

 

 何だかマルコの様子が変だ。どうしたんだよ、と声をかけようとした時、後から追いついてきた衛生兵が駆け込んできた。

 

 「待って、待ってよ訓練兵くん……」

 

 少し息を整えて、彼はジャンに言った。

 

 

 

 「どうも彼は()()()()みたいなんだ」

 

 

 

 「…………は?」

 

 

 一瞬ジャンの頭は真っ白になる。が、すぐに正気を取り戻し、冷や汗を流しながらマルコに問いかけた。

 

 「ハハ、おいおい、何の冗談だ?マルコ。オレのこと分かるよな、な!」

 

 マルコの肩を掴み、軽く揺さぶる。ジャンは「当たり前じゃないか」と言っていつものように笑うマルコの姿を期待した。

 しかしその期待は裏切られる。

 

 「…………ごめん、わかんないや」

 

 思わず肩を掴む手に力が入る。「いたっ」とマルコが身を捩った。

 

 「っあ、すまん……」

 

 ジャンはマルコの肩から手を離し、行き場の無くなったその手をぶらりと下げた。

 後ろの衛生兵が少し言いにくそうに説明してくる。

 

 「たまにあるんだ。あまりの恐怖に晒され、その記憶を脳が無理矢理忘れようとした結果、他の記憶も忘れてしまうケースが」

 

 ()()()()忘れてしまうのも珍しいけど、と衛生兵は続ける。その言葉に違和感を持ったジャンはその衛生兵に尋ねた

 

 「『()()()()』って……こいつは、マルコはどこまで忘れたんですか?」

 

 「……ここ数日の記憶はもちろん、()()()()()()()()()()()()()、と言われたよ」

 

 わなわなと口が震える。ああ今の俺は酷い顔をしているだろうなと思った。

 

 「だから知り合いのことを探してたんだけど……君のことも覚えていないということは、

 

 おそらく、『()()』だ」

 

 その言葉は最後通告のように聞こえた。見ると当の本人は気まずそうに目を逸らしている。

 

 「……もしくは、巨人の粘液によって呼吸困難に陥った結果、脳に障害が残ってしまったのかも……」

 

 衛生兵が何か詳しく説明しているが、ジャンの耳には入ってこなかった。

 

 あんまりじゃないか。こんなに頑張って、生き残ったのに。そう、生き残ったんだ。

 生きてて良かった。良かったけれど。

 

 ジャンには分からなかった。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 もうオレの知るマルコは居ないのだ、とジャンの胸を途方も無い喪失感が支配する。絶望に心が黒く染まっていく中、マルコはジャンの方を少し困ったような笑みを浮かべて見つめていた。

 

 何度も見た表情だ。そう、あの時もマルコは気まずそうな笑みを浮かべて、オレに……

 

 

 かつてのマルコとの会話を思い出す。

 

 『怒らずに聞いて欲しいんだけど……』

 

 『強い人ではないから弱い人の気持ちがよく理解できる』

 

 『今 何をすべきかが明確に分かるだろ?』

 

 

 

 「今……何を……するべきか……」

 

 

 

 虚ろな目でマルコを見つめるジャンを衛生兵は心配したのか、肩を叩き、明るい声で話しかけた。

 

 「訓練兵くん、記憶は戻るかもしれないんだ。断言は、出来ないけれど……」

 

 ジャンはハッと顔をあげ、衛生兵の方を見る。 

 

 「希望を捨てちゃいけないんだよ、僕たち兵士は」

 

 「……ありがとう、ございます」

 

 じゃ、他の患者もいるから僕はこれで、と出て行く衛生兵を見送り、ジャンは拳を握りしめた。

 

 

 今、何をするべきか。

 

 

 呟いて、目を瞑る。

 

 

 俺は、俺は……!

 

 

 

 

 目を開くとマルコは心配そうにこちらを見ていた。ジャンは軽く笑ってポンと肩に手を置く。

 

 「ありがとよ、マルコ」

 

 「え?……うん……」

 

 「また来る」

 

 不思議そうにこちらを見つめるマルコを尻目にジャンは立ち上がって外に出た。

 

 垂れ下がる幕を払うと、向こうに立っていた人物と目が合った。ジャンは仰け反る。

 

 「うおっ……

 

 ってなんだ、ライナーかよ」

 

 立っていたのは同期のライナー。後ろにはベルトルトもいる。二人は厳しい表情をしていた。ライナーが重苦しく口を開く。

 

 「マルコが目覚めたらしいが……

 

 

 ()()()()()()()()?」

 

 

 やけに鬼気迫る聞き方だ。

 ライナーもマルコのことが心配だったんだろうな。仲間思いな兄貴分だし。

 そう思い、ジャンは言い淀みながらも話した。

 

 「あー……それがな。どうも記憶喪失なんだと」

 

 困っちまうぜ、と空気が重くならないように笑って誤魔化す。ライナーとベルトルトは目を見開いたあと、困ったようにお互いを見た。

 そりゃ驚くよな。

 

 「それは……本当なのかい?」

 

 ベルトルトも尋ねてくる。ジャンは腰に手を当て、やれやれと言った様子で答えた。

 

 「信じられねえのも分かる。だが本当らしい。俺のことも覚えてなかったしな」

 

 ライナーとベルトルトは顔を見合せた後、厳しい表情のまま言った。

 

 「そうか。残念だが仕方がないな」

 「うん。生きてただけでも嬉しいよ」

 

 良い奴らだ。ジャンは自分の親友の心配をしてくれる二人を好ましく思った。

 

 「お前らも見舞いしてくか?」

 

 「いや、良いよ。もうすぐ休憩も終わるし」

 

 「そうだな、一緒に戻るか」

 

 「あぁ、ジャン。お前飯食ってないだろ。これでも食っとけ。食わないと午後の作業持たないぞ」

 

 「おっ、助かるぜ」

 

 ライナーが小さめのパンを渡してくる。ジャンは有難く受け取り、食べながらライナー達と現場に戻った。

 

 

 

 

  

 

 「……頑張れ、ジャン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜。

 訓練兵達は集めた遺体を燃やしていた。轟々と激しく燃え、灰になっていくかつての仲間達を眺めながら、彼等はただ立ち尽くしていた。

 泣いている者もちらほらと居る。しかしジャンは不思議なことに泣けそうもなかった。

 

 気持ちの整理がついてねえからかな、とどこか他人事のように考える。

 

 死んで行った仲間達のこと、記憶を失ったマルコのこと、そして……エレンのこと。起きたことも考えることも多すぎた。

 

 「あんなに頑張ったのに……あんなに……やったのに……全部……無駄だったのか……?」

 

 コニーが蹲り嘆いている。

 オレは立ち上がり、仲間たちの方に歩いた。

 

 痛いほど拳を握りしめる。手が、いや全身が震えている。想像しただけで怖いんだ。

 相変わらずオレは弱いな。自嘲の笑みがこぼれる。でもそれでいい。俺は、弱くていい。

 

 「おい……お前ら……」

 

 皆がジャンの方を見る。

 

 はっ、皆酷え面してやがる。

 

 「所属兵科は何にするか、決めたか?」

 

 怖い。やめろ、馬鹿なことを言うな。

 そう叫ぶオレの中の何かを無理矢理封じ込める。

 

 「オレは決めたぞ。オレは……」

 

 一層大きく震える右手を左手で抑えた。

 

 「オレは……

 

 

 調査兵団になる

 

 

 皆、呆気にとられた表情でジャンを見つめている。炎が全てを焼き尽くす音だけがいつまでもその場に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「団長!!」

 

 勢い良く団長の執務室の扉が開かれる。

 

 「何だ」

 

 エルヴィンは山のような書類に目を通しながら報告を聞いた。

 

 「エレン・イェーガーと、

 

 

 ()()が、目を覚ましました!!」

 

 

 

 ガタン、と椅子が倒れる音がした。

 

 

 

 




ここで皆さんが予想だにしないであろう私の性癖を開示します。

TSです。

……知ってた?そっかぁ。


今日は20時ぐらいにもう一話投稿しようと思います。
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