【悲報】目覚めたら巨人だった【敵じゃないよ】   作:佐東

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主人公の胸についてなんですけど、これは私の表現がちょっと悪かったかもしれないんですが、私の「谷間」のイメージはこんな感じでして↓

【挿絵表示】

そんな爆乳ってわけでも無いんです。もちろん皆様の好きな大きさで想像してもらって良いので爆乳でも良いんですけど、一応私の中ではこんなイメージでしたよ、とだけ……


4

 

 「オイ、エルヴィン」

 

 地下牢から出た後、歩きながらリヴァイがエルヴィンに声をかける。

 

 「お前、まさか本気であの女を信頼してるのか」

 

 「む……」

 

 「さっきも謝ったり感謝したりして、その前もアイツの行動に胸を痛めたりしてたじゃねえか。らしくもねえ」

 

 エルヴィンは思案顔で答える。

 

 「信じたいのは山々だが、その答えは『否』だな」

 

 「ほう。お前がそう容易く巨人を信じる阿呆じゃなくて良かったが、何故だ?」

 

「敵だと睨んでいる訳では無いが、彼女の我々への好意や信頼度の高さは少々不自然だ。言い方は悪いが、味方であるというアピールが()()()()()()

 

 「……諜報員(スパイ)か」

 

 「そこまでは言わない。私は彼女が人間になったと知った時、『ではやはり彼女は元調査兵に違いない』と思っていたんだ」

 

 「あぁ、前にも言ってたヤツか」

 

 「しかし、イオリという名前は少なくとも私が団長になってから()()()()()()()()()()()。それより前の世代である可能性もあるが、それだと私やリヴァイを認識し、信頼した理由が分からなくなる。

 

 結論、()()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということになる。壁が破られることを知っていた理由も分からない。人類を救ってくれた恩もあることだし、とても敵だと断定はできないが、彼女には()()()()()()

 

 エルヴィン達は執務室に到着し、扉を開ける。

 控えていた団員にハンジとミケを呼ぶように伝える。

 

 「巨人達がエレンには群がって行ったのに、彼女には興味を示さなかった、という報告も気になるしな」

 

 エルヴィンは椅子に腰掛けた。

 

 「前は信頼する気持ちも大きかったが、エレンという存在の出現から少々事情が変わってきた」

 

 机に肘を置き、顔の前で手を組む。リヴァイは机の前のソファに腰を下ろした。

 

 「兎にも角にも、彼女とエレンの身柄をこちらで預かれるようにしなくてはならない。どう話をつけるか、ハンジ達とも話し合おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、団長達は行ってしまった。あと二日三日はこのままかな。なんかめっちゃ感謝とかしてくれたし、団長さんの信頼は完全に勝ち取ったと言っていいでしょうね!

 あとなんか全然関係ないけど、胸が擦れてちょっと痛い。うーん、『痛い』なんて感覚も久しぶりだなあ、と感慨にふけってみる。

 結局その日は何だか疲れたのでそのまま眠った。巨人の時は気絶に近くて、眠ってはいなかったから、久しぶりの睡眠はとても気持ちが良かった。

 

 

 

 その数日間、何とかいつもの調子を取り戻した俺は隣のエレンと話したり話さなかったりして久しぶりにのどかな時間を過ごした。

 

 

 「ふふ、こういうの修学旅行の夜みたいで楽しいよね。今が夜かも分かんないけど、眠いから夜だ!エレン、好きな子いるー?」

 「なんだそりゃ……。いませんよ別に」

 「またまたー!」

 

 「やい、もっと美味いもん食わせろー!てか風呂入らせろー!」

 「イ、イオリさん……」

 「エレンもそう思うでしょ!言いたいことがあるならちゃんと言わなきゃ!」

 「じゃあちょっと静かにしてください……」

 「え!?」

 

 「イオリさんはどこから来たんですか」

 「えーと、南の方……?」

 「何故疑問形……」

 

 

 時間が全く分からないがそろそろ二日くらいは経ったんじゃないだろうか。

 今は特に話すこともなく、お互い拘束されたままベッドの上に座っていた。 

 

 ふむ、今一度落ち着いて自分の身体について考えてみようか。

 

 多分、俺は転移じゃなくて転生か憑依したんだろう。

転生して巨人になった後に前世の記憶を取り戻したか、巨人になったこの子に俺の意識が憑依したか。巨人になる前の記憶は全くないから、後者の方かな。

 しかしそうなると俺の意識がこの子の自我を殺してしまったことになる訳で。どうせパラディ島の巨人は全滅する運命だったとは言え、何だかなぁ。

 まだ俺が知性巨人である可能性は捨てきれないけど、まぁ無いだろ。無垢の巨人である俺がうなじを削がれて人間に戻った理由は定かではないが、俺が憑依して人間の意識を保ったから巨人の肉体と同化せずに人間の身体が残った、とか?

 原作で巨人のうなじを開いても何も無かったって説明があった気がするけど、あれは意識が飲み込まれると人としての肉体が巨人に同化してしまうってことなんじゃないか?無垢の巨人でも、九つの巨人のように意識を保ってさえいればうなじに人間の身体が保たれる、と仮説を立ててみる。要は呪術廻戦の真人が言うように、『肉体は魂の形に引っ張られる』んじゃないかということだ。通常は巨人になると意識が飲み込まれ、魂が巨人に同化するので肉体も巨人に同化する。俺は意識を保てるので、自我も人間の肉体も保てる。

だとするとそれは『憑依』という異質な意識の持ち方をしている俺にしかできないことだ。

 

 

 今の俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのでは?

 

 

 うーん、やはり微妙だ。じゃあ今の俺は本当にただの無力な人間じゃないか。

 

 

 ……俺はもう人間なのか?

 

 俺はもう、巨人(化け物)じゃないのか?

 

 

 …………そっか。

 そっかぁ。

 

 

 

 

 「すいません、便所に……」

 「さっき行ったばかりだ」

 

 「……水をください」

 「オイ、立場を弁えろ……化け物め……」

 

 横を見るとエレンが見張りの憲兵達に冷たくあしらわれていた。流石のエレンも意気消沈しているようだ。

 

 化け物扱いは、仲間外れは悲しいよな。この数ヶ月で俺もそれが身に染みるほど分かったんだ。

 怖がられるのは、寂しい。

 

 俺は暗い表情をしているエレンに声をかける。

 

 

 「エレンは、巨人(化け物)じゃないよ」

 

 

 「え……」

 

 「私が保証しちゃうぜ。君は人間だ!」

 

 ニカッと笑ってみせる。

 

 「君を信じて、怖がらないで一緒にいてくれる子達が、いるだろ?」

 

 そういう存在は本当に有難いものだ。俺にもそんな存在がいて、俺の心はその人に救われたんだ。

 

 ガチャと音を立て、部屋の扉が開いた。コツコツと歩いてきたのは、ハンジさんとミケさんだ。

 

 「ごめんね二人とも。待たせてしまって。

 でもやっとここから出られそうなんだ」

 

 ハンジさんはそう言って、見張りの憲兵達に牢屋を開けさせる。

 

 ハンジさん!!

 

 エレンと共に外に連れ出され、後ろ手に手錠をされる。

俺は牢屋を出た途端にハンジさんに飛びついた。両手が後ろで拘束されているので抱きつくことは出来ないが、ハンジさんの首元に顔をうずめる。ハンジさんの身長は俺より少し高いみたいだ。

 あぁ、人が俺より大きいだなんて。

 

 「うぇえっ!?」

 

 ハンジさんが素っ頓狂な声を上げる。

 

 この人だ。俺は壁外でハンジさんが俺を全く怖がらずに、心の底から楽しそうに俺に話しかけてきてくれたのが、たまらなく嬉しかったのだ。

 その後も、壁の上から手を振り返してくれたのだって嬉しかった。あの時だけは、俺は孤独を忘れられた。自分が化け物であることを忘れられた。ハンジさんがただ巨人が好きなだけの変人だってことは分かってる。それでも俺は救われたのだ。

 

 ハンジさんは俺の恩人だ。

 

 「えと……イオリ……?」

 

 「ありがとう、ございます……」

 

 「えぇ……?」

 

 ハンジさんは困惑している。

……どうもテンションを間違えた気がしてきた。そういえば風呂も入ってないし、汚かったかな。何だか恥ずかしくなってきた俺は一歩後ろに下がってハンジさんから離れた。

 

 「すっ、すみません……行きましょうか」

 「う、うん……」

 

 

 きっとこれから審議所に向かうのだろう。俺達の身柄が憲兵団に引き渡されるか、調査兵団に引き渡されるかが決まるのだ。エレンは原作通り調査兵団に行くだろうが、俺はどうなるだろうな……。ワンチャン俺だけ解剖コース?

 いや!信じてるぞ!エルヴィン団長!

 

 ハンジさんに連れられ、俺達は審議所に続く廊下を歩く。久しぶりに歩いたから足が痺れる感じがあるな。そもそも人の体の軽さにイマイチ慣れない。

 

 「私は調査兵団で分隊長をやってるハンジ・ゾエ。そっちの彼は……」

 

 あっ、ミケさんがエレンの匂いを嗅いでる。

 

 「……彼も同じ分隊長のミケ・ザカリアス。そうやって初対面の人の匂いを嗅いでは鼻で笑うクセがある」

 

 フンッと鼻で笑うミケさん。結構腹立つな。

 そのままミケさんはこっちに寄ってくる。

 

 あっ、俺も嗅がれる感じ?待って、風呂とか入ってないからクサイと思うんだけど……!

 スンスンと首筋の辺りを嗅がれる。鼻息が首のこそばゆいところにかかって……

 

 「んっ…………」

 

 やべ。変な声出た。

 場が静寂に包まれる。

 いや違うんですよ、巨人のときは皮膚感覚薄かったから、刺激に慣れてなくて。

 漏れた変な声が恥ずかしくて、おずおずとミケさんの方を振り返ると、

 

 ミケさんは見たことないすげえ顔して後ずさっていた。血の気が引いて青ざめている。

 

 えっ、そんな臭かった?ショックなんだけど。

 

 両手を軽く上げ、ブンブンと首を横に振っている。臭かったわけではないっぽい。ハンジさんがこれまた見たことないすげえ顔でミケさんを睨めつけている。

 

 あっ、セクハラとか気にするんだ。

 ミケさんは冷や汗をダラダラと流している。そんな気にするくらいならしなきゃいいのに……あぁクセだからやめらんないのかな。変な人。

 

 そんなことをしているうちにあっという間に審議所に着いてしまった。

 

 「ごめん……無駄話しすぎた。もう着いちゃったけど……大丈夫!」

 

 この人結構適当だよな。「説明なんか無い方がいい」なんて言うけど、いやあった方がいいだろ!俺は事前に心の準備が出来てないとテンパってしまうタイプなので事前説明は是非していただきたいと思ってしまう。

 

 「二人が思っていることをそのまま言えばいいよ」

 

 ハンジさんが扉を開ける。

 

 「勝手だけど私達は……君達を盲信するしかないんだ」

 

 審議所の中が見える。多くの兵士達の視線が俺達の方に一斉に向いた。品定めするような嫌な視線だ。

 

 

 さて、どうなることやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 焦がれるほど会いたかったあの巨人の中身は、案外小さな女の子だった。

 ハンジと目が合った瞬間に、飼い主を見つけた犬のように顔を綻ばせ、牢屋を出るといきなり飛び付いてきた。

 それなりに存在を主張する胸部がハンジに押し付けられる。とくん、とくんと小さな心臓の鼓動が伝わってきた。首筋にすり、と顔と艶やかな髪が擦り付けられる。

 

 「うぇえっ!?」

 

 間抜けな声で驚くハンジだったが、その女の子は消え入りそうな、泣きそうな声で感謝を伝えてきた。ハンジは慣れない感覚に困惑するしかなかった。

 

 これからあの子は審議にかけられる。

 エルヴィンはあの子を疑っている。それは悪いことではない。団長として、するべきことだ。

 

 でも。

 ハンジは思った。

 エルヴィンが疑うなら、私は信じてあげよう、と。

 

 あの子とエレンが審議所の中に入っていく。

 

 頑張れ、と気持ちを込めてハンジは後ろからジェスチャーを送った。

 

 




エレンくんは原作で孤独だったので、一緒に化け物扱いされてくれる仲間が一人でも居てくれたら結構救われたんじゃないかなと思いました。主人公くんは喋れるようになったのがよっぽど嬉しいのかよく喋ります。可愛いですね。

主人公くんの巨人の設定については「はえー、そんなもんなんか」くらいで考えてくれると有難いです。要は主人公くんの本質は『巨人化出来る人間』というよりは『人間化出来る巨人』に近いということですね。
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