いやぁ~~~良かった!何とか話を聞いて貰えたぞ!嬉しい~~~!!
やっぱ俺の見事な敬礼が効いたね!!ピクシス司令がいたら絶対言ってくれてたよ!「あの者の見事な敬礼が見えんのか」って!なんか団長も似たようなこと言ってくれたし!
こーれ、完全に味方判定でしょー!今回大した話も出来ず途中で帰っちゃったけど、次ゆっくり話せばいいもんね!もてなすために家とかDIYしちゃおっかな!巨人の家とかハンジさんめっちゃ喜んでくれるでしょ!
……いやーハンジさん思ったより凄かったな!凄いグイグイ来る。命とか惜しくないのかなあの人。兵長は相変わらず怖かった!何回か凄い殺気出してきたし!あとなんかミケさんっぽい人も居たね!団長はもうホント最高!ありがとう話聞いてくれて!何でも答えてあげるからねー!!
ふふん、これで俺は善の巨人間違いなし!酷いこともされないだろうし、次の壁外調査で俺も壁内に招かれちゃったりしてね!
件の巨人がそんなことを考えているとき。
壁外調査から帰還した調査兵団はすぐに緊急の会議を開いていた。副分隊長以上の幹部達が集まっており、その様相は混沌を極めていた。
「なんッだ!あの巨人は!!」
「報告は聞きましたが、本当なんですか?巨人と意思疎通が出来た、なんて……」
「我々の言葉を解し、あまつさえ文字まで書いて見せたのだぞ!危険すぎる!!」
「我々の足留めが狙いだったに違いない!現に大群が現れたではないか!」
「巨人が人の味方なんて有り得ません!」
思い思いに皆が意見を叫ぶ。
エルヴィンは淡々と論を述べた。
「危険なのは間違いない。しかし、身体能力は他の巨人とそう変わらず、ここにいるリヴァイ兵士長なら問題無く殺せる」
現に五ヵ月前には予想外の逃亡さえされなければ間違いなく討伐出来ていた、と付け足す。
「そうだな?リヴァイ」
「ああ」
「そんなの関係ありません!知性があるんですよ!?我々を罠に嵌めて、今日みたいに大群に襲わせるんです!」
「今日のは我々が同じ場所に留まり過ぎたのが原因だ。もし仮にヤツが我々を嵌めたのだとしても、あれだけの知性があるのならもっと上手くやれる」
「……えぇ、まぁ実際ほぼ損害はゼロでしたが……」
「何故あれだけの巨人に襲われて我々が無傷で帰還できたか分かるか?」
「……え?いや……」
「あの巨人が、足留めしてくれたからだ」
あの巨人の危険性を説いていた者たちがぐっと押し黙る。
「……いやっ、演技、かも……!」
「そうだな。その可能性ももちろんある。私もまさかアレに絶対の信頼を置いているわけではない。しかし少なくとも今は、こちらに敵対する意思が無いことは確かだ」
「しかしっ」
「はいはーい!」
場違いな明るい声。ハンジが手をぴんと挙げ、立ち上がった。
「我々は、次回の壁外調査で、あの巨人の捕獲作戦を実行します!」
「捕獲……!?」と場がザワつく。
「ね、エルヴィン」とハンジがエルヴィンの方を見る。エルヴィンは頷き、顔の前で手を組んだ。
「あの巨人は調査兵団が求め続けていたものそのものだ。絶対に手に入れる」
「解剖、尋問し得られた情報によって調査兵団は、いや我々人類は大きくその歩みを進めることができるでしょう」
ゴーグルを怪しく光らせ、ニヤリと笑いながらハンジが続ける。
「……捕獲、ならば……」
「そうだ、我々を罠に嵌めるより前に捕まえてしまえばいい」
「しかし、危険すぎませんか……?」
場は先程よりも沈静化している。
よし、今はこれでいい。
エルヴィンは思索を巡らせた。
当然これは建前だ。アレに過酷な仕打ちをして敵対でもされたらたまったものではない。ただ話を聞きたいだけだ。
しかし、調査兵団の面々は皆巨人をこれ以上ないほど憎んでいる。巨人相手に交渉の真似事など認められないだろう。ならば表向きは一方的な捕獲からの搾取という形にするしかない。
壁外調査からの帰還中にハンジと話し合った。捕獲という形であの巨人との話し合いの場を設けることを。
申し訳ないが、あの巨人が危険であるのは間違いないので、我々の安全のためにも拘束は必須だ。そこは甘んじて引き受けて欲しい。
しかし拷問や解剖などは行う気はない。解剖の方は……ハンジは本気で言っているのかもしれないが。
結局その場の話し合いは、あの巨人を捕獲するという方針で定まった。細かい作戦内容は追々詰めていくとしよう。
会議の後、団長の執務室でエルヴィン、リヴァイ、ハンジ、ミケの四人が集まっていた。
「ねー、エルヴィン。『あのこと』は言わなくて良かったの?」
ハンジがエルヴィンに問う。『あのこと』とは当然あの巨人が最後に残したメッセージのことである。
『カベ ガ ヤブラレル』
エルヴィンは目を細めながら頷いた。
「ああ、今は混乱を招くだけだろう」
「……近い内に超大型巨人及び鎧の巨人の襲撃があるということか?」
「チッ……、それが本当だとして、なんでそれを知ってる?」
「巨人の裏切り者で、情報を私たちに伝えに来てくれたのかも」
「巨人が俺らみたいに組織立って動いてると?ゾッとしねえな」
「あり得ると思うよ。何せ、『一番目』は
「……何?」
皆の視線が一斉にハンジに集まる。
「みんな覚えてない?『イルゼ・ラングナー』。一時期彼女の遺した手記は話題になったでしょ。内容は巨人との会話記録」
ハンジは早口で捲し立てる。
「誰もがあの内容は極度のストレスによる精神異常の産物、妄言だと判断した。でも実際知性のある巨人が確認できた今、彼女のアレは妄言なんかじゃなかったと分かる。私たちは『二番目』だ。
エルヴィンも口を開く。
「たしかに、私も以前その手記は読んだが、アレは会話とは呼べないだろう」
「確かにね。知能は圧倒的に今日会ったあの子の方が上だ。でもイルゼ・ラングナーが遭遇した巨人にも知性があったことは間違いない。
ふむ、とエルヴィンは口元に手を当て思考に耽ける。
何故あの巨人は命懸けで我々に接触してきた?知性があるだけの巨人なら、我々人類に協力する意味が分からない。
やはり何かの罠?
いやそれならやり方は他にいくらでもある。勘でもあるが、本気で我々の味方をしようとしていると感じる。
言葉を解し、文字を書き、そして敬礼。
見て覚えた?いやあの様子は……
「アレは、元人間だと、私は思う」
くだらない直感に近いものだ。ただ、確信に近い何かがあった。
エルヴィンの言葉に他の3人が一斉に振り向く。リヴァイとミケは怪訝な表情をしていたが、ハンジはその言葉に同意した。
「うん、私もいくつか質問してみたんだけど、人間と話してる気分だったな。知性だけじゃなく理性も感じられる」
「……人間が巨人になると?」
「いや、そうとは限らないだろう。アレが特別なだけかもしれない」
「巨人は人間の近縁種で、アレだけが人間に近い意識を保ち進化した巨人、ってのはどうだ?」
「巨人の繁殖方法は長年謎だったけど、こう、喰われた人間が次の巨人になる、とか……」
とにかく、中身が人間のそれである可能性は高いと思うな、とハンジは述べた。
エルヴィンは少し沈黙し、再び爆弾発言を放った。
「……その場合、彼は元調査兵団所属の兵士ではないだろうか」
流石のハンジも苦言を呈す。
「いや、それはどうなの?さすがに……」
「あぁ、いや、すまない。これは完全に私の妄言だ。
だが、彼は知っていた。我々の気を引くのに最も有効なのはあの敬礼だと。それだけじゃない。彼はリヴァイを警戒し、私を認識していた」
「……考えすぎじゃないのか?」
「少し落ち着け、エルヴィン」
ミケとリヴァイの二人にもたしなめられ、エルヴィンは身を背もたれに預けた。顔を両手で覆う。
「……そうだな。全ては推測だ。考えても仕方がない」
「そうだよ。それよりも捕獲方法とか考えよう。流石に壁内には運べないでしょ?どこで拘束するの?」
「ふむ、そうだな……」
そうだ。今考えるべきことは他にも沢山ある。捕獲方法もそうだが、壁が破られるというメッセージもだ。
駐屯兵団に警戒を厳にするよう伝えてみるか。あぁ、あと壁から奇妙な巨人が確認できた場合に報告してもらえるようにもしておこう。
しかし、本当に今回の壁外調査で得られたものは凄まじい。ろくな成果をあげてこなかった調査兵団の初と言っていい成果だ。
エルヴィンは天井を見上げ、ボソリと呟いた。
「これは歴史に残るぞ、今回の……
あっ、そういえば今が何年かとか、壁外調査何回目かとか聞くの忘れた!
まぁいっか!次の壁外調査で聞こ!
感想嬉しいのでいっぱいください!