[短編集] 異世界で暮らす女の子達の日常、又は夢の中で見るような非日常   作:よちぇさん

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布団のなかの温さとシャンプーの香り 春風 誰もいない安心感

 ツノがちょっと軋む。

 

 この体は横向きに寝ることができない。だってツノがあるんだもの。でかくはないにしてもこんな硬いものが顔の近くにあったらそれは痛い。

 だから必然と選択肢が仰向けかうつ伏せしかない。仰向けからうつ伏せにオセロみたいにひっくり返る。

 昨日は友達からもらったシャンプーを使ったのだ。ヒルメニアの花の香り。薬草にも使われるその花は清涼感がありながらも安心するような優しい香りだ。ほんとにあの子によく似合う優しい香りだ。私まで優しい気持ちになる。

 

 

 枕を吸う。 匂いを嗅ぐ。

 

 

 シャンプーの匂いがバッチリする。ほんとに言い香りだ。朝の眠気顔から満足顔に変わっているだろう私は気分が良くなったので少しは起きてやろうかという気持ちになった。

 

 フラッと立ち上がってカーテンをガラッと避ける。窓を開け空気を取り込む。春先の空気は美味しい。自然の香りがする。自然っていいなぁ。朝だから考えもてきとー。全部朝のせい。

 

 

 おし。起きれた。こんな朝早く。自分はえらい。ご褒美にもうちょっと寝ることにしよう。

 後ろ向きに戻ること半歩一歩数歩。どっさっと布団に逆戻りした私は髪を掻き分け頬に風があたるようにする。気持ち良い風を楽しむ。

 きっと自分はこの時間が好きなのだ。寝るか寝ないかの選択権が自分にあってそれでも結局寝ちゃうような時間が。

 今日は何にも予定がない。だから責任もない。他人に迷惑も罪悪感も縛られることもない。それでいい。それがいい。

 

 しかし何にも目標を立てないのもなんか手持ち無沙汰な気持ちになる。

 

 

 

 そうだ、

 

 最近買ったレモネードがあるんだった。

 

 それを開けて、開けた日付をビンの蓋にかいて、紅茶に入れて飲もう。きっと美味しいだろう。だってなかなか行けない市場で買ったものなのだから。

 窓のそばの棚のほうに目をやると、綺麗な黄土色のレモネードが朝日に反射して美味しそうに存在感を発揮している。

 蓋には細工がしてあって、蓋に取り付けらてた金属の取手に穴が空いていて、綺麗に装飾されたヒノキの国家紋章が紐で繋がれている。国の許可を得て販売がなされているプレミアム品の証だ。

 

 楽しみだなぁ。あとであの子にも分けてあげるのもいいかもしれない。

 

 

 むふぅー。

 鼻から心地良く息が漏れる。

 

 私はここにいる。ここで生きている。

 日々を忘れ空気と風と自分の体の重さを感じる。

 今日くらいはこれでいいのだ。今日くらいは。

 そう考えてうたた寝をする。

 

 春の風が優しく私の頭を撫でてくれた気がした。

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