貞操逆転世界の退魔師   作:青ヤギ

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 みるくふぁくとりーの新作が発表されてウキウキです。


オペレーションO(おっぱい)

 

 

    * * *

 

 

「デザートに甘いフルーツを切りましたのでよろしければリビングへいらしてください……っと。はい、送りましたよユアちゃん」

「よし。まずはこれで雄護を呼び寄せよう」

 

 ユアの指示で、七乃花がグループチャットに雄護宛のメッセージを送った。

 部屋にいる雄護からすぐに「行く」と返信が来る。

 

「さすが甘い物好きの雄護。まんまと引っかかったね」

 

 恐るべき罠が待ち受けているとも知らずに、雄護は呑気にリビングにやってくるであろう。

 

「くくく、これで雄護がむっつりスケベか暴いてやるぜ」

「いったいどうやって暴くつもりなの?」

 

 不敵な笑みを浮かべるユアに羽月が問う。

 

「リビングに来る途中の廊下に、私はあるものを置いた」

「あるもの?」

「羽月のブラジャー」

「なんで私のブラジャーなのよ!?」

「ちょうど洗濯籠に入ってたから使えると思って」

「自分の使いなさいよ!」

「どうせなら高級品のほうがいいじゃん。さすが赤凪家のご令嬢は良いもの使ってますわね~」

「いえ~それほどでも……って誤魔化されないわよ!」

「雄護が部屋から出たなら、そろそろ羽月のブラジャーと遭遇しているはずだよ」

「いや~! 雄護様に下着を脱ぎ捨てるはしたない女だと思われる~!!」

「だ、大丈夫ですよ羽月ちゃん。誰のブラジャーかなんてきっと男の子は見分けつきませんから」

 

 頭を抱えて騒ぐ羽月を七乃花がそっと嗜める。

 

「はたしてそうかなナノちゃん? 雄護がむっつりスケベなら私たちのブラジャーの見分けがつくどころか、バストサイズだって把握しているかもしれないよ?」

「雄護くんが、そんなまさか……」

「いずれにせよ間もなく答えが出るよ」

「普通の男の子なら廊下に女性の下着が落ちていたら悲鳴を上げるか『こんなもの置くな!』って怒るかの2パターンですよね」

「普通ならそうだね」

 

 だが雄護がむっつりスケベであるなら行動パターンは変わってくる。

 

「痴女なら男の下着が落ちていた場合こっそり盗むなりクンカクンカ匂いを嗅ぐもの」

「雄護くんがそんなことをするとでも?」

「目が怖いよナノちゃん」

「すみません、雄護くんが痴女と同列に扱われるのが我慢ならなくて」

「けれど何かしら似た反応を起こすんじゃないかと私は期待しているよ」

 

 少女たちは思い浮かべる。

 顔すらも包み込める羽月のクソデカブラに興奮する雄護の姿を。

 

「そ、そんな。雄護様が私の下着に……」

 

 羽月が羞恥で顔を赤くする。

 しかし瞳には若干期待が滲んでいた。

 

「もしも雄護が手ぶらで来たら『ブラジャー見た?』と聞く」

「それで『知らない』と言ったら……」

「廊下にブラジャーが無くなってたら100%クロだね」

 

 緊張と好奇心が少女たちを包む。

 はたして雄護はブラジャーを盗むのか。

 

「……あれ? 来ませんね雄護くん」

 

 雄護がいつまでもリビングに来ないので少女たちは首を傾げる。

 

「むむ? まさかブラに顔を埋めてクンカクンカするパターンだったか?」

 

 ユアは忍び足でドアに近づく。

 

「しまった。こんなことなら廊下にビデオ通話状態のスマホを監視カメラ代わりに設置しておくべきだった」

「作戦ガバガバじゃないのよ」

「まあ慌てないでよ羽月。扉の隙間からこっそり廊下の様子を見て……ぷぎゃっ!?」

「ん? 何やってるんだユア」

 

 ユアが扉をそっと開けようとしたところで雄護がやってきた。

 額にドアが直撃したユアは(うずくま)った。

 

「あー、こほん。それより廊下にこれが落ちていたんだが……」

 

 雄護が気まずそうに手に持ったものを差し出す。

 羽月のピンク色のクソデカブラジャーであった。

 

「あ、ああ~っ! 私の下着ですが決して私が放置していたわけではなくて~!」

「わかっている。どうせユアのイタズラだろ。だが自己管理くらいはしっかりしておけ」

「は、はい気をつけます~……」

 

 雄護から下着を受け取り、シュンと項垂れる羽月。

 見たところ、雄護に変わった様子はない。

 実に涼しい顔であった。

 

「……下着は盗まず、平然と持ってきた上に無反応か」

「や、やっぱり私たちの勘違いなんじゃないの?」

「でもリビングに来るのに間があったのが気になるね」

 

 雄護に聞こえないようユアと羽月がコソコソと話し合う。

 

「……ねえ雄護? リビングに来るのに時間かかったけど何かあったの?」

「ん? べつに。トイレに行ってただけだが?」

「トイレ、ね……」

 

 雄護の発言にユアは引っかかりを覚えた。

 やはり怪しい。

 決定的瞬間は見れなかったため、雄護がむっつりスケベと断定することはできない。

 だがまだ調査すべきだと乙女の勘が告げていた。

 

 そしてユアの予想は正しい。

 雄護がリビングに足を運ぶ前にトイレに行ったのは事実だ。

 羽月のブラジャーを手に持った状態で。

 トイレで何をしていたかは言うまでもない。

 

 

    * * *

 

 

「さあ、どうぞ雄護くん。お好きなフルーツをお召し上がりください」

「おう」

 

 色とりどりのフルーツが盛られた皿を七乃花が置く。

 皿を置くために七乃花が屈んだ瞬間、

 

「っ!?」

 

 雄護の表情に露骨な変化が現れた。

 

「ああ、その……七乃花」

「はい?」

「今日は珍しく薄着なんだな」

「え、ええ。先ほど上着に果汁が跳ねてしまったので」

「そうか」

 

 いま七乃花は上にキャミソール一枚という際どい格好であった。

 もちろんユアの指示で上着を脱いだのである。

 

 護衛の中で最も豊かなバストの持ち主である七乃花。

 キャミソールといった薄着だと、大玉スイカのように巨大な膨らみはこれでもかと主張される。

 屈もうものなら、どっしりとした深い胸の谷間が見えてしまう。

 

「……淑女ならあまり肌を露出するな。すぐに着替えてこい」

「は、はい。でもいま紅茶用のお湯を沸かしていますので。淹れたら着替えに行きますね」

 

 雄護の前で素肌を滅多に晒さない七乃花。

 作戦とはいえやはり恥ずかしいのか、お盆で胸元を隠す。

 胸がデカすぎるのでまったく隠せていないが。

 

「……反応している。やはり雄護はおっぱいに反応しているよ!」

 

 小声でそう言いながらノアはガッツポーズをする。

 

「決まりだ。雄護はおっぱい星人だ」

「あ、あの反応だけで決めつけるのはどうなの?」

「だってナノちゃんのおっぱいを凝視してたよ?」

「露出過多、注意してるじゃない」

「そりゃ見てたらムラムラしちゃうからね」

「ま、まさか本当に雄護様が……」

「けれど、確かにもう一押し証拠が欲しいところだね」

 

 現段階では七乃花の目立つ部分に意識が向いているだけだ。

 そこに好悪どちらの感情が宿っているか、確かめねばならない。

 

「ナノちゃんにはもうちょっと体を張ってもらおう」

 

 ユアの赤い瞳に「キラン」と怪しい光が瞬いた。

 

「はい雄護くん。紅茶をどうぞ」

 

 七乃花がテーブルに紅茶を置く。

 その背後にユアが忍び寄る。

 

「もひもひ。ああ、そうしたら早く何か上着を着て……」

「おっと~手が滑った~」

 

 棒読みでユアが七乃花のキャミソールの肩紐に手をかけた。

 ずるん、と下に向けて。

 

「きゃっ!?」

「ぶっ!?」

 

 ──どたぷん♡ ばるんばるんばるぅぅぅん♡

 

 零れ出る七乃花の巨大な双丘。

 雄護の目の前で丸裸の乳房が暴れ馬のごとく弾んだ。

 

「あ、あわわわわわっ!」

 

 七乃花の色白の顔が一気にリンゴ色になる。

 

 貞操逆転世界の女性は胸を丸出しにしても恥じる者はいない。

 だがすべての女性がそういうわけでもない。

 大きすぎるあまりコンプレックスを感じて異性に見せることを躊躇う者もいる。

 七乃花はそのひとりだった。

 

 雄護が望むのであれば見せる覚悟でいた七乃花だが、それにしたって心の準備というものがある。

 完全なる不意打ちでのおっぱい丸出し。

 しかも見られている相手は思い人である。

 

 元の世界で例えるならば、そう。

 好きな女の子の前でイタズラでズボンを脱がされ、股間を見られた。

 それと似たショックを七乃花は感じていた。

 

「ユアちゃんのバカぁぁぁぁ!!!」

 

 なので七乃花が涙目でリビングを去るのも無理はなかった。

 

「やりすぎたか。あとでナノちゃんに謝っとこ」

「あなたという人は! 繊細な七乃花さんになんてコトするの!」

 

 さすがに度が過ぎるユアの行動に羽月も作戦を忘れて怒りだす。

 

「反省している。詫びとしても私も脱ぐよ」

「どういう理屈!?」

 

 言うが早いか、ユアは雄護の目の前でショーツ一枚だけの格好となった。

 

「どうかな雄護! この裸体を見て何か感じ入るものはない!?」

 

 ご自慢の胸を張って仁王立ちするユア。

 彼女はもはやヤケクソであった。

 

「……から……してきやがって……」

「ん? なんだって?」

「……ブチ……すぞ」

「ゆ、雄護?」

 

 顔を伏せた雄護が椅子から立ち上がる。

 ゴゴゴゴゴ、と凄まじい気を滲ませながら。

 

「いい加減にしろよぉ、このデカ乳メスガキがぁ」

「あ、あれ? 怒った? え? 鬼哭刀を抜くくらい? ちょっ、待って待って弁明させてちょ」

「ゆ、雄護様! どうかお怒りをお鎮めに……」

「待機中に何考えとるんじゃ、お前らああああああ!!!」

「「確かにおっしゃる通り~!!!」」

 

 リビングの窓がすべて割れ、墨柘榴の墨汁が外に溢れ出した。

 

 

    * * *

 

 

「はぁ~私としたことがあんなバカな誘いに乗ってしまうだなんて……」

 

 我ながらどうかしていた。

 羽月はそう深く自省する。

 

「とにかくもう一度雄護様にお詫び申し上げなくては」

 

 部屋に籠もってしまった雄護に改めてお茶を持っていく羽月。

 きっと拒否されるだろうが、せめてひと言謝りたい。

 

 雄護の部屋の前に来る。

 気持ちを落ち着かせてノックをする。

 

「こほん。雄護様、お茶をお持ちに……」

「うおおおおおおお!!」

「ぴっ!?」

 

 扉越しに響く雄護の叫び。

 やはりまだ激怒している!?

 羽月は子ウサギのようにプルプル震えた。

 

「ったくよぉぉ!! どいつもこいつも人の気も知らねえでよぉぉ!! ブラぁぁぁ! チチぃぃぃ! パンツぅぅぅ!」

「ふえええ。よくわからないけど怖いよ~。お母さま~」

 

 謎の怒号を聞いて羽月のメンタルは幼児に後退した。

 

「悪いメスガキにはお仕置きしてやるぅぅぅ! オラッ! オラッ! オラッ! ……うっ!」

「ふえええ。鉄砲みたいな音までしてきた~」

 

 聞き馴染みのない「パンッパンッ!」「ドドドドッ!」という怪奇音。

 羽月はますます怯えた。

 いったい扉の向こうで何が起きているというのか。

 

「……ふぅ」

 

 雄護の溜め息を最後に、嵐が静まったように急に沈黙が訪れる。

 

「も、もう大丈夫そうかしら?」

 

 勇気を出して羽月は改めてノックをする。

 

「っ!? だ、誰だ」

「は、羽月です。先ほどのお詫びをしたくてお茶をお持ちに……」

「す、少し待て」

 

 慌ただしい音が響く。

 何かを必死に片すような。

 やはり時間を改めるべきかと思ったが「もういい。入れ」とすぐに声がかかる。

 

「し、失礼します」

 

 おずおずと羽月は入室する。

 雄護はベッドの上で夜風を浴びていた。

 筋トレでもしていたのか、顔が妙に火照っている。

 

「あ、あの。先ほどはとんだご無礼を……」

「もういい。どうせユアに唆されたんだろう?」

「え、ええ。まあ……」

「アイツのイタズラはいまに始まったことじゃない。気にしていたらキリがない」

「か、寛大なお心に感謝いたします」

「まあ、今後はアイツに流されない自制心を持つことだな」

「肝に銘じます」

 

 羽月は安堵する。

 護衛解雇も正直覚悟していたのだが、雄護にその気は無さそうだった。

 

(雄護様……やはり、お優しい人……)

 

 窓の外を眺める雄護の姿に、羽月は思わず見惚れる。

 

 今日のことは、バカなことをしたと我ながら思っている。

 けれどユアの誘いに乗ったのは、羽月なりに理由があった。

 

 雄護のことを、もっと知りたかったのだ。

 

 あれだけのことがありながら、女である自分をこうして部屋に入れてくれる雄護。

 そんな男がこの世にいったいどれだけいることか。

 

 やはり、この人は他の殿方とは違う。

 羽月はそう改めて感じ入る。

 

 雄護は優しい。

 それでも。

 

 護衛である自分たちに心を開いてくれたことは一度もない。

 それが寂しく、切なくて、しょうがない。

 

 だから知りたかった。

 自分の知らない雄護の一面を。

 

 ワガママなのは承知だ。

 それでも気持ちが先走ってしまう。

 

 雄護の理解者となりたい。

 何かを抱えて葛藤しているのなら、自分にも背負わせてほしい。

 

(どうずれば、あなたのお心に近づけるのでしょう?)

 

 締めつけられるような思いを抱えながら、羽月はお茶を雄護のもとへ運ぶ。

 

 ここで悲劇が起きた。

 あるいは喜劇か。

 

 ──つるん。

 

「へ?」

 

 (ぬめ)りのあるものを踏んで、羽月の体は傾いた。

 

 とある行為の後始末を慌ててやっていた雄護は気づかなかった。

 床に垂れ落ちた透明な粘液の掃除を。

 

 粘液の名をローションと呼ぶ。

 

「っ!? 危ない!!」

 

 気づいた雄護が咄嗟に動く。

 

 湯飲みとお盆が落ちる音。

 床に倒れ伏す雄護と羽月。

 そして。

 

 ──ちゅっ♡

 

「「っ!?」」

 

 倒れた拍子に重なる、ふたつの唇。

 

 

 

 

 

 事故である。

 同時に、これは奇跡の瞬間でもあった。

 すれ違っている男女が、互いを意識するきっかけ。

 本来ならば、そうなっていたかもしれない。

 

 だが。

 この時点では。

 それどころではない。

 そんな摩訶不思議な現象が起こることになる。

 

 

    * * *

 

 

 ──ビビビビビビビビビビビ!!!!

 

「「んんんんんんんんん!!!!!?」」

 

 それは、まるで電流だった。

 そう例えるしかない感覚だった。

 

 事故で俺と羽月がキスをしている……そう認識する前に起こった現象。

 

 熱い! 体が熱い!

 女の子とキスをして恥ずかしいから?

 いや、そんなレベルじゃないってこれ!?

 

「(何だこれ何だこれ何だこれ!?)」

 

 体中にまるで電気を流されたように霊力が活性化を始めた。

 燃えるような熱さ。

 だがそれ以上に。

 

「(き、気持ちいい~!)」

 

 先ほどのオナニーとは比べものにならない快感が駆け巡る。

 まるで俺と羽月の口を通して波が循環するかのように。

 というか密着している部分からも、それを感じる。

 

 ヤバい。この快楽に呑まれたらマズイ。

 もっとこの感覚が欲しいと思うと同時に、危機感が募る。

 

 感覚の鈍くなった手をどうにか動かす。

 震える手で羽月の体を引き剥がした。

 

「ぷはっ! は、羽月! いったん離れ……」

 

 ──むにぃぃぃん♡ もっにゅうぅぅぅん♡

 

「んひぃぃぃぃ♡♡♡ ンオオオオオオオ♡♡♡」

「おおおおお!?」

 

 肩を掴んだつもりだった。

 だが俺の手が掴んでいたのは羽月のおっぱいであった。

 男である俺の手でも掴みきれない超ビッグサイズ!

 うおおお!

 これが夢にまで見た本物のおっぱいか!

 なんて柔らかいんだああああ!

 

「ほにょおおおおお♡♡♡ にゃにこりぇ~♡♡♡ しゅごいのぉぉぉ♡♡♡」

 

 はっ!?

 引き剥がさないといけないのに揉んでしまった!

 だが手が離せない!

 まるで磁石でくっついたかのように指が乳肉に吸い付いていく!

 

「雄護しゃまぁ~♡♡♡ しょれダメでしゅ~♡♡♡ はぢゅき、おかひくなっじゃうぅぅぅ~♡♡♡」

 

 呂律の回らない羽月が首を激しく振る。

 俺もおかしくなっちゃううううう!!

 

「雄護くん! たったいま退魔庁から出撃命令が……って何してるんですかおふたりとも!?」

「羽月! いつかやると思ってたけど、ついに抜け駆けを! 真のむっつりスケベはおのれであったか!」

 

 スマートフォンがやたらと鳴ってるかと思ったら出撃命令かい!

 このタイミングで!?

 だが七乃花とユアが来てくれて助かった!

 

「七乃花! ユア! 俺から羽月を引き剥がせ! いますぐ!」

「え? は、はい!」

「羽月! 出撃前なのに、なに発情してるの! それでも淑女なの!?」

「あ、あにゃただけには言われたくにゃい~……アヘ~♡」

 

 はぁ……はぁ……。

 気が狂うかと思った。

 何だったんだ、いまの現象は?

 異性同士がくっつくとあんな感じになるものなのか?

 童貞だからわからねぇ!

 

「(くっ……とにかくいまは任務だ)」

 

 出撃命令が来た以上、行かないわけにはいかない。

 霊衣を展開して外に向かう。

 

「ゆ、雄護くん!? だ、大丈夫なんですか! お顔が真っ赤ですけど!?」

「問題ない。むしろ力が有り余っているくらいだ」

 

 強がりではない。

 事実だ。

 さっきまでは体の異変に戸惑っていたが……だんだんと体が好調になってきた。

 なんなら普段よりも調子がいい。

 どうなっているんだ本当に?

 

「ふぅ、ふぅ……私も問題ありません」

「うおっ。復活早っ」

 

 あれだけ体を痙攣させていた羽月まで回復が早かった。

 

「お見苦しいところをお見せしました雄護様。それと……先ほどの無礼な振る舞いのお詫びは、帰還したときに改めて」

「……あ、ああ」

 

 まっすぐ羽月の顔が見れない。

 だって、羽月とキスをしてしまったのだから。

 それもファーストキス。

 女の子と生まれて初めて、あんなに触れ合った。

 そうして起こった謎の現象……。

 

「(いや、いまはとにかく考えるのはやめよう)」

 

 ファーストキスの余韻に浸るのも、謎の現象について頭を巡らせるのも後だ。

 

 新種の雌鬼。

 これから相手にする雌鬼は、そんな未知数の敵かもしれないのだから。





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