「吹き荒れろ──【
ユアを中心にして、凄まじい竜巻が起こる。
空気の操作──これぞユアの鬼哭刀【
巨大な竜巻は
ユアめ、最初から全力か。
真空の刃によって河原が削岩機で抉られるように荒れ果てていく。
結界内に漂う霊子によって後でいくらでも再生するが、それにしたって遠慮というものがない。
相変わらず力加減を知らないやつだ。
しかし、だからこそ。
こちらも気兼ねなく全力を出せるというもの。
「塗り潰せ、
黒い刀身から大量の墨汁が溢れる。
迫り来る暴風に向かって、墨汁が渦状に絡みつく。
墨汁は風圧で吹き飛ばされることもなく、一瞬で竜巻を黒く染め上げる。
もしも、この竜巻がひとつの絵であるならば。
それはあたかも
墨汁が水で洗い流されるように霧散する。
同時に、巨大な竜巻も一瞬で消失した。
「……イヒッ! 相変わらず反則な鬼哭刀だよね!!」
渾身の一撃を無効化されたにもかかわらず、ユアは楽しそうにはしゃいでいる。
「物体も、気体も、事象すらも、墨で塗り潰したものを何でも消せてしまう! さっきの竜巻出すのに私がどれだけ霊力込めたと思ってるの!? もう! 本当にぶっ壊れな能力!」
風を纏わせた白刃で斬りかかりながら、ユアが距離を詰めてくる。
「雄護! あなた唯一の男退魔師ってだけでも凄いのに、鬼哭刀まで異次元染みてる! ああ、だからあなたに興味が尽きないの!」
熱気に満ちた顔がキスできそうな距離まで近づく。
その昂ぶりは戦闘による興奮か。あるいは別の感情か。
「そんなあなたを、私の力で屈服させたい! そして今日こそあなたを私のものに!」
「勝てればの話……だっての!」
鬼哭刀で押し返し、ユアを彼方へ吹っ飛ばす。
「イヒヒヒ。つれないね」
すかさず空気の塊が弾丸のごとく飛んでくる。
立て続けに真空の刃が。風の矢が。
息を吐く暇も無く、多彩な攻撃によって翻弄される。
さすがはユアだ。
先刻の雌鬼との戦闘とは比較にもならないほどの攻防。
鍛錬としては打ってつけだ。
戦闘面だけでなく……精神面の鍛錬においても。
「楽しい! 雄護と戦うのは楽しいなァ!」
まるで風の妖精のように宙を舞うユア。
その姿は華麗でありながら苛烈。
……まあ、要するに動きが激しいんで、とにかく揺れるわけだよ。
おっぱいが。
──ばるん♡ ぼるん♡ たっぷたぷん♡
弾んでるな~。もう、ぶるんぶるんに。
戦いのたびにそんな揺らしてクーパー靱帯は大丈夫なのか心配になるぞ。
しかし、この世界の乳は奇跡の力で守られているのか、ユアの双丘は相変わらず美しい形とデカさを
そしてユアのスリットまみれの霊衣もたいへん刺激的だ。
ユアの霊気孔は二の腕、胸の中央、太ももの三箇所だ。
つまり眩しい二の腕は剥き出し。
胸の真ん中は「くぱぁっ」と開いているので白い谷間が丸見え。
付け根から太ももが露出しているので、まるで水着にニーソックスを履いているような格好だ。
後ろからだと「ぷりん」とスーツが食い込んだ大きな尻肉が眺められる。
ついでにお洒落なのか、腰周りにはヒラヒラとしたフリルレースが付いている。
まるで極ミニスカートが翻っているように見えるので、これがまた股間に悪い。
ああ、勃起して動きにくい。
「どうしたのかな雄護! もうバテちゃった? 『弱所』が見え始めてるよ! 私の【赤の魔眼】の前では誤魔化せない! 未熟な羽月のとは
ユアの赤い瞳が光を放つ。
三大魔眼のひとつ【赤の魔眼】。
退魔師でも限られた者にしか発現しない、生まれながらにして強力な霊力を宿した特殊な眼。
その眼は本来ならば目にすることができないものを知覚する。
羽月も持つこの【赤の魔眼】は、相手の『弱所』を視覚情報として認識することができる。
──『弱所』。即ち攻撃されたくない部分だ。
「見える! 見えてるよ! 下半身周りが赤く明滅し始めた! 特に股間が一際強く光ってる! やっぱり雄護はそこが弱いんだね!」
当たり前だボケ。男共通の最大の弱点だわ。
まあ、いまは勃起っていうデバフもかかってるから【赤の魔眼】が『弱所』として知覚してるんだろうけど。
「今日こそは勝つよ雄護! 大人しく私のものになって!」
さて、このまま勃起した股間を庇いつつユアの猛攻に対応するのはキツい。
そろそろ
「まさか忘れてないよなユア?」
「なにを!」
「俺も魔眼持ちだってことを」
「っ!?」
瞳に神経を集中させる。
瞬間、世界が変容する。
正確には、俺が見ている視界が、だ。
すべてのものがまるでスロー再生動画のように緩やかに動く。
鬼哭刀の動きも。気流の動きも。もちろんユアの動きも。
思考速度と反射速度の強化。
これぞ三大魔眼のひとつ──【金の魔眼】の力だ。
霊力による動体視力の強化は退魔師の基本中の基本だが、【金の魔眼】はそれを遙かに上回る。
どう避ければいいか。どう攻撃すればいいか。
現実世界では瞬時に起きている出来事を、俺だけはじっくりと観察し、判断することができる。
緩慢になった世界で、俺の体はすでにユアを迎え撃つ構えを取り始めていた。
悪いな、ユア。
お前のような美少女に激しく求められるのは歓迎だが、俺はまだ誰かのモノになるわけにはいかないんだ。
雌鬼を全滅させるその日までは。
魔眼を解除し、鬼哭刀を一閃。
勝負はそれで決した。
「……は、はは。本当に、男のくせに、強すぎるでしょ……」
前のめりに倒れ伏したユアが乾いた笑いを浮かべる。
深刻な怪我は負っていない。
霊子結界を張っている限り、退魔師同士の戦いで死ぬことはない。
なので遠慮無く追い打ちをかけることにする。
「まだ笑っていられるとは余裕だな」
「あうっ」
ドスン、とユアの背中に尻を乗せて座る。
反抗期のユアは特に容赦なく躾けないと反省しないからな。
ついでに、より嫌われるために惨い仕打ちを与えてやる。
「どうした? あれだけイキっておいてこのザマか?」
「くっ、うぅぅ……」
「どれだけ成長したか期待していたんだが、呆気ないな。それでも
「こ、このぉ……バ、バカにしてぇ」
ふははは。悔しかろう?
文字通り男に尻に敷かれて罵詈雑言を浴びせられるのは!
ちょっと心が痛むけど、生意気なユア相手にはこれくらいがちょうどいいはずだ。
「お前は所詮、口先だけのザコだ。情けないな。男に負けて悔しくないのか? ほれ、何か言い返してみろ?」
「……く、くぅぅ♡ ま、負けないもん♡ つ、次は負けないんだからぁ♡ こ、これくらいのことで諦めないもん♡ ふ、ふうぅぅぅ♡」
……あれ? なんか興奮してね、この娘さん?
いや、そんなはずないよな。
これだけ煽られてキレないわけがない。
よし、もっと言葉責めしてやろう。
「敗者は勝者に従う約束だったな? お前は変わらず俺の犬だ。これからも俺の手となり足となり、絶対服従を誓うんだ。わかったな?」
「こ、この鬼畜男がぁ♡ あうっ!?」
パシンッ、と夜空に向かって肉が弾ける音が響く。
──たぷん♡ ぽゆん♡
そして波打つユアの真っ白い尻。
うんうん、実に叩きがいのある尻だ。
戦いの際に布が食い込んだのか、まるでTバックみたいに露出したユアの尻にビンタをお見舞いする。
「あう♡ ひぅ♡」
「まだ躾けが足りないようだな? 返事は『ワン』だろ? 何度言えば学ぶんだ、この駄犬め」
「ワ、ワンワン♡ ご、ごめんなさいワン♡ 生意気言ってすみませんワン♡」
よしよし。これだけ躾ければ当面の間は反抗しなくなるだろう。
俺への好感度も激下がりになったに違いない。
嫌われ者ムーブは順調だ。
それにしてもユアめ、なんてエロい尻をしてやがるんだ。
若いくせに南米人とも張り合えるようなデカケツを見せつけやがって。
せっかくだからもう一発叩いておこう。
「くぅぅぅん♡」
……ん?
心なしか、ユアの尻と俺の掌があったかくなったような。
ついでに霊力も跳ね上がったような。
……気のせいだよな?
* * *
今日も負けた。
悔しい。
今度こそ勝つつもりだったのに!
でも諦めない。
必ず雄護を私のものにしてみせるんだから!
半年前の私がいまの私を見たら、さぞ困惑するに違いない。
男嫌いの私が、ひとりの男にここまで執着するだなんて。
私にとって、男はずっといけ好かない生き物だった。
そんな私を周りは変わり者として扱った。
でも私としては男相手なら無条件に媚びへつらうような連中のほうが異常に見えた。
だって、アイツらのどこに魅力があるの?
弱いくせに、守られているくせに、ワガママで、被害妄想が激しくて、私たち女を目の敵にする。
命をかけて戦っても、それが当たり前だとばかりに感謝もしない。
ずっと疑問だった。
アイツらは何のために存在してるの?
なぜ、あんな連中のために戦わなければならないの?
大人たちに尋ねると「そうしなければ人類は滅びてしまうからよ」とだけ言われた。
バカバカしい。
世の男なんて、とっくに繁殖行為という生物として最低限の役割すら放棄しているというのに。
雀の涙程度にしか種を吐き出せないような連中を守るためだけに、私たち退魔師は過酷な戦いを強いられている。
アイツらのために命を落とすなんて、まっぴら御免だった。
だから、私は戦いに快楽を見出すことにした。
私が雌鬼と戦うのは男を守るためじゃない。
己の力をふるうのが楽しいから。
すべては自分のため。
だから、その課程で命を落としても悔いはない。
そう言い聞かせることにした。
退魔師は女だけの世界。
男に干渉されないそこは私にとっての聖域だった。
だから許せなかった。
そんな聖域に男が足を踏み入れることが。
世界で唯一の男退魔師。
周りはそんな彼を持て
なのに、そんな彼の護衛を任されたときは悪夢だと思った。
『実家にうるさく言われて仕方なく護衛を引き受けたけどさ~……私って自分より弱いヤツに従うつもりはないんだよね~?』
『そうか。つまり力を示せばいいんだな?』
『……へぇ、言うじゃん? だったら見せてよ! あなたの力を!』
貧弱な男に私が負けるはずがない。
心ごとへし折って二度と戦場に出れないようにしてやる。
そのつもりで刃を交えた。
結果、私の天狗の鼻は折られた。
それはもう、完膚なきまでに。
『嘘だ……私が、男なんかにっ……』
認めたくなかった。
こればっかりは男なんかに負けたくなかったのに。
──お前は今日から俺の犬だ。返事をするときは『ワン』だ。
敗者に鞭打つように、雄護は私に絶対服従を誓わせた。
許せない! この私にこんな惨めな思いをさせるだなんて!
必ずリベンジして、立場を逆転させてやる!
護衛として雄護の指示に従うフリをしながら、私はチャンスを窺い続けた。
事あるごとに戦いを挑み……そしてやっぱり勝てなかった。
私だって成長しているのに、それ以上に雄護がどんどん強くなっていく。
本当に底が知れない成長率だった。
(この男、いったいどこまで強くなるの?)
いつしか雄護に対する感情は怒りよりも関心が強まっていった。
次はいったいどんな風に私を倒す? どんな手を打ってくる?
刃を交えるたび、彼との戦いに楽しみを見出していた。
それは雌鬼を相手にするとき以上の刺激だった。
『いいだろう。相手になってやるよ』
不遜な態度は他の男と同じはずなのに。
負けるたびに私を犬扱いして罵倒してくるような酷い男なのに。
どうしてか、それが不快じゃない。
たぶんそれは……雄護がいつも私と向き合ってくれるから。
普通の男なら、こんなにしつこい女のことなんて無視を決め込むものだ。
でも雄護はそうじゃない。
悪いことをしたら目を合わせて叱ってくる。
他の男は目線すら合わせたがらないのに。
腕を掴んだり、頭にチョップをしたり、女の体に気にせず触れてくる。
潔癖を拗らせた男どもは汚らしいものを見るように、触れることすら嫌がるものなのに。
変な男だ。
だから興味が尽きない。
からかって、イタズラして、戦いを挑んで、いろんな一面を引きずり出してやりたい。
もっと見ていたい。もっと知りたい。
もっともっともっと、雄護で刺激を得たいの。
……ああ、認めるしかない。
私も結局は女だったわけだ。
だって、仕方ないじゃん?
こんなにちょっかいをかけても、いつも相手してくれる男の人がいたらさ、夢中になっちゃうでしょ。
それに……。
この男、私へのお仕置きがあまりにもエッチすぎる!
「どうした? あれだけイキっておいてこのザマか?」
お尻ぃぃぃ!
雄護のエロ同人みたいに大きなお尻が背中に乗ってるうぅぅぅ!
あのさぁ!
やりたい盛りの処女がよぉ!
長身細マッチョイケメンにこんな大サービスされて惚れないワケがないんだよぉおぉぉぉ♡
「ざ~こ♡ 口先だけのざ~こ♡ なっさけな~い♡ 男に負けて悔しくないの~♡ ほら、何か言い返してみたら~♡(お前は所詮、口先だけのザコだ。情けないな。男に負けて悔しくないのか? ほれ、何か言い返してみろ?)」※脳内補正でこう聞こえています
こ、このオスガキ~♡
ちょっと強いからって調子に乗りやがって~♡
顔も体も声もいいからって好き放題言いやがって~♡
ブチ犯すぞこの野郎~♡
いや落ち着け、ユア。
こんなことで喜んじゃいけない!
雄護に勝って、見返してやるんでしょ?
そうだ。こんなことで私の心は屈したりはしない!
見てなさいよ雄護!
いまはあなたの犬として服従してあげる!
でも忘れないで?
いつかこの首輪をつけるのは、あなたのほうなんだからね!
そのときは、たっぷりと仕返しをしてあげるんだから!
ここまで私を狂わせた責任を取って貰うからね♡
「まだ躾けが足りないようだな? 返事は『ワン』だろ? 何度言えば学ぶんだ、この駄犬め」
わふうぅぅぅ♡
お、お尻を叩くだなんて♡
こ、こんなこと男にされるの初めて♡
これってもう実質、不純異性交遊なのでは?
なんか体も熱いし♡
霊力もさっきより漲ってるような……。
くぅ~、本当に覚悟してなさいよ雄護!
この
せいぜい偉そうにご主人様ぶってなさい!
……だ、だからもっとお尻、思う存分に叩いたらいいじゃん♡