『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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あーでもないこーでもないと書き直し続けたりドライブ見直していたらかなり時間がかかってました。


第55話『早贄』

 とにかく俺は、リリィとアイシスの手を引っ張り、人込みをなんとか掻き分けながら走る。

 ようやく知ってる人に会えそうなんだ、そんな気持ちを心に持って。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

第55話『早贄』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 突然の痛みってのは彼氏とのデートに遅れた彼女みたいなモンなんだと今ハッキリと理解した。

 だってほら、唐突に『ごめ~ん待った~?』なんて事を言いながら俺の身体を雪降った後の犬みたい元気に走り出しやがってるし。……とりあえず痛みに対する俺の返事は血反吐を鼻と口の両方から吐き出すって事しか出来ない。

 ……なんというか、今の気分はさながら百舌鳥の早贄になった感覚だ。まだ生きてるけど。しかもその爪っぽいものを立てるようにしてるから俺の体重の重さで身体がどんどん沈んでって深く刺さってってるんだよ。

 かなりどころか結構辛いが、ゆっくりと顔を上げるとしゅてるんの姿が溶けて中から金髪ウェーブの少女が出てきた。

 …………どういうことなの。

 

「まだ動ける力があるとは驚きです。……が、それが限界でしょう」

 

 勝手に限界を決めんじゃねぇこのジャイオーン擬きがと言おうとするが、カヒューカヒューって音だけで言葉が紡げない。

 

「あおな!」

「あおな君!」

 

 そんな時に唐突に閉められた襖が開き、そこからバリアジャケットを纏ったカッコいいフェイトさんと高町が現れた。

 しかし俺の返事は無い。まるで屍になった気分だ。

 ……くそう……折角フェイトさんが俺の名前を呼んでくれたってのに返事できないなんて……。

 

「……シュテルのオリジナルとようやくオリジナルとなったレヴィのオリジナルですか……。正直、私としては貴女方も殺すべきだと考えてました」

 

 なんだと!?コイツ……フェイトさんを……!

 ちくしょうめぇ!なんだよこれ!身体が全然動きやしねぇ!それどころか意識がだんだん、ぅ、す……()……()……って駄目だ駄目だ何勝手に寝ようとしてんだよ俺は!

 頭ん中じゃこんなに騒がしいのに口はただ血液を出すだけのホースに成り下がっちまってるし……。

 

「ですが、貴女方はシュテルとレヴィの意思を生み出す為に一役買ってくれました。これは最後の夜天の主も然り、です。よって私は貴女方は殺さない」

 

「……で、でも!それならあおな君だって……何か……」

 

「…………何か?……そうですね。彼は何か、との言葉だけでは到底足りない事をしてくれましたよ……」

 

 ……あの、高町さん?その、時間を引き伸ばしてこの金髪娘を留めとくってのは戦術的にはいいんだろうけど……その、もうそろそろ俺の体力ゲージが赤ゲージ(レッドゾーン)からワンフレームまで逝きそうなんですが…………。

 

「彼は!」

 

 金髪娘が叫んだと思ったらいきなり降り下ろされて叩き付けられた。そのお陰で俺は爪からすっぽ抜け、叩き付けられた衝撃でワンバウンドの後フェイトさんの方へと転がる。なんと言うか、ありがたくは無いが意識がはっきりした。

 

「あ、あおな!」

 

 転がる勢いはフェイトさんが止めてくれたのでなんとかなった。ありがとうございますと開かない口でお礼をした後、首だけ動かして金髪娘の方を見ようとすると床(畳)に見事に血液のレッドカーペットが敷かれてた。

 

「彼は!彼のその(レアスキル)が!『闇の書』の管制人格のみならずディアーチェシュテルレヴィそして私を侵食してきた!」

 

 八つ当たりとばかりに振るわれる左爪がこちらに来る。その軌道は完全に俺を狙ってる物だったが、フェイトさんと高町はシールドを展開してそれで受けようとしている。……守られる、なんて情けないって思うけど首ぐらいしか動かせない今じゃ、どうしようもできない……。

 

「その程度の強度で止められるとでもぉぉ!!」

「なっ!?」「えっ!?」

 

 フェイトさんと高町の展開したシールドは冬に水溜まりに張った薄い氷を地面に叩き付けたように粉々になる。

 そのまま左爪が『バルディッシュ』と『レイジングハート』に深々と突き刺さり

 

 

そのまま砕いて薙いだ。

 

 

 いとも容易く、安っぽいプラスチックの玩具を壊したらこうなるんだったっけ、と場違いな感想が頭をよぎった。

 金髪娘は右爪で照準を俺に定めたのか、『バルディッシュ』を折られたが、俺を抱き締めるように庇うフェイトさんごと降り下ろす。

 このままじゃ、フェイトさんが………と、フェイトさんの盾に…………と思うも体が反応しやがらない。無理矢理動かすと新しく開いた穴から赤き生命が活火山の大噴火だが気にしてる暇じゃ断じてない……地面に手をつけて気付く、いや、気付かされた。両手骨折してんじゃんって。

 いやぁ身体が痛すぎて両手の事なんかちっとも痛く無かったから考えてなかったよちくしょうが。

 その一瞬の差の壁を超えられず、爪は真っ直ぐと、フェイトさんと俺を貫くようにやって来る。

 

 俺も、フェイトさんも、避けられない。

 

 ならばせめてフェイトさんだけでも、死なないように、とフェイトさんを致命傷になるであろう位置からなんとかズラす。

 俺が死んでも、フェイトさんが生きてればそれでいいやって覚悟完了し、あとは来るべき()を受け入れるばかりだと思っていたが、目の奥から何か、高速で飛んでくる桃色の物体を捉えた。そして、その桃色の物体は家のガラス戸を割り、その勢いで爪を大剣で切り落とした。

 

「残念だけど、彼らには死んで貰う訳には行かないのよねぇぇ!」

 

 着地し、フェイトさんと俺達を庇うように金髪娘の正面に立つ。よくよくみればこの桃色さん、ヤガミモドキやしゅてるんとどっか行った人と同一人物に見える。……右腕損失、背中に斜めの線(/←こんなの)の切り傷からコードがはみ出ている、右脇腹に横一文字でそこからバチバチ言ってる電流部分からは目を逸らせば、だが。

 

「……ッ!?貴女……何故生きて!?……いえ、ここで止まる訳には行かない。生きているならばもう一度壊すまで!」

 

 金髪娘の明らかな動揺。しかしそれも一瞬で、爪は再生し再び振るわれる。

 ……しかし、その一撃は紫色の亀の甲羅のような防壁が防いだ。

 

 

 

「一瞬。その一瞬があったからこそ、私の魔法が発動出来たわ。今度こそ、ちゃんと娘の命を助ける事が出来て良かった……。……そこの桃色に感謝、ね」

 

 

 

 そこには、少し赤くなった左頬を慰めるようにさするお義母さんがいた。

 その後ろからはひょこっとリニスちゃん。

 

「幾らなんでも、娘の危機に起きないなんて駄目だと思いまして、私が(全力の)ビンタで起こしました」

 

「…………そうね。確かにリニスのビンタで起きれたわ。お陰様でね」

 

 お義母さんは睨むようにリニスちゃんを見ている。……だけど助けて貰えたのにフェイトさん唖然な顔してる。

 

「……まぁ、リニスのビンタの事は置いといて…………さて、後ろの二人、行けるわね?」

 

「「はいっ!」」

 

 お義母さんの後ろから元気な声が聞こえたと思ったら閉じてる方の襖を突き破りどこかヴィヴィオちゃんに似ている大きい娘さんとどこか見たことあるような無いような緑髪の女性が飛び出てきた。

 ……なんか家がどんどん破壊されてる気がするが背に腹は変えれないか……。

 

「アインハルトさん!少しの間、時間稼げます?」

 

「ヴィヴィオさんのおb……プレシアさんが張ってくれた障壁もありますし、暫くはなんとか!私も、この人相手にどれだけやれるか試してみたいですし!やってみます!」

 

 ヴィヴィオさんと呼ばれた人物、アインハルトと呼ばれた人物が桃色さんを押さえて目の前に立ち、構える。

 

 

 

 

 

「それじゃあいっちょ、私の未来のパパとママとママを守るために全力を出させてもらいます!」

 

 そう言った彼女からは虹色と玉虫色の魔力が溢れだしていた。




~その頃の熱血赤髪さん~

(キリエってば……いったいどこに行ったのかしら……)


◆◇◆◇◆◇◆◇


怪我が酷いのに意識を長く保ってるあおな君についてはもう人間やめてんじゃね?感覚で見ていただければ幸いです。

さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。
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