いや、その……久々過ぎて文章が大変な事になってまして……。
その……。はい。すいません……。
「パパ!その腕どうしたの!?大丈夫!?」
パパと呼ぶなとゆうたのに。
どうやら援軍というのはヴィヴィオちゃんと緑さんのようだ。結局名前はなんなの?アインハルト(仮)って事にしてるけど。
視界が霞んで頭がふらふらして片手がぶっ飛んでバランスが取れないのを一般的には大丈夫とは言わず大惨事だと言うと思うんだけど。まぁでも、来てくれてありがたい。
今の内にトドメさしたいけどなぁ……。
「……あぁ、まじかよ……」
そんな考えしてたら奴は再び立ち上がりやがった。
足元はおぼついてないけども。
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第68話『とてもだいすきなひと』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
正直な話、お互い部位破壊成功してる訳だし、それに向こうの方が被害でかく見えるから俺としてはもう二度と立ち上がって欲しくなかったんだけども、奴はその瞳に殺意を込めてその二本の足で立つ。
「……ははは。びっくりしたよ。おかしいなぁ。オレ、さ。頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って訓練したのによぉ!フェイトさんの隣に立つためにさぁ!」
乾いた笑いが響いたかと思いきや砕けた地面の石ころを蹴飛ばして来た。
文面にすればかわいいもんだけど、速度がね?速すぎる。
「ふっ!」
それをヴィヴィオちゃんが弾いた。
……素手で。うーんそれ絶対いたいよね?
「……ハァ……ハァ……。ちくしょう……ちくしょうが!なんでオレには振り向いてくれないんだよ!あいつにばっかり微笑みかけるんだよ!」
目の前の俺はわめき散らす。欲しいもんが買って貰えない子供、とまでは行かないが、その目にたっぷりの涙を浮かべて。
「何が違うってんだ!オレとあいつは!オレとお前は!一体どこが違うんだよ!お前に至ってはフェイトさんを愛してる所も顔も性格も声も同じなのに!同じ筈なのにィ!」
同じ、かぁ……。そっかぁ……。同じかぁ……。
俺はユーノ君に一言ありがとうと告げ、"俺"の目の前までふらふらと歩く。
「……なんだよ。お前、オレを笑いに来たのかよ」
どうやらもう反撃とかそんな余裕は無さそうだ。まぁありゃここで俺殺されてるし?
丁度いい。
まず左手で拳を作ります。そんでそれを振りかぶります。
後は振り下ろして殴るだけ。
「ぶぇ……」
鈍い音が響き、目の前の"俺"は倒れた。卑怯とか罵られるかも知れないが、こうでもしないと怒りが収まらない。それに
「まず一つあなたに言わないといけない事があります。
……お前俺の癖になんでフェイトさんの幸せを願ってねぇんだよ」
こいつと殺りあってて一番に疑問に思ったのがこれだった。
なぜ俺なのに自分の事しか考えてない行動をするのだろうか、何故こんなにも独りよがりなのか、と。
「フェイトさんがお前以外の奴を好きになったってそれはフェイトさんの意思で、自由なんだ。それを害していい権利なんざねぇだろうが!」
久々に、まぁ最近はかなりの確率で頭に来る事が多いが、今回ばかりはマジで許せない事なので、口調が乱れに乱れる。
「……尽くして、来たんだぞオレは。フェイトさんの為に!」
「だから?選ばれなかったから殺そうとしたってか?バカじゃねぇか?それをフェイトさんが望んだってのか?『選ばなくてごめんなさい殺してください』って望んだのか?望むわけねぇだろうが!」
俺だってフェイトさんの全部を知ってる訳じゃない。一面だけ知ってて、それを全てと思い込んでいるのかも知れない。
だけど、だけども、俺はフェイトさんの優しさを知っている。はにかむような笑顔も、誰かの為に流す涙も、……自分を抑えすぎてる所も。
「俺とお前は決定的に違うんだよ!お前は自分の幸せしか望んでねぇんだよ!俺は、フェイトさんの事が全面的に大好きなんだ!だから例え俺はフェイトさんにフラれたとしても、拒絶されたとしても、……それこそ、殺されたとしても!フェイトさんの幸せを何よりも誰よりも願ってんだよ!」
本当に、心から愛しているんだ。
嫌いな部分なんて無い。無いけども、仮にあってもそこを含めて愛する。それが俺なんだ。
「……俺は、フェイトさんが好きなんですよ。この世の中の誰よりも。そんな好きな人が幸せそうに笑ってくれるのが、特に嬉しいんですよ……。だから、俺はそれをぶち壊そうとするお前が許せないんだ」
いかん。一気に怒った所為か、頭がふらっふらする。
ただここまで思いをぶちまけたんだ。流石に少しは答えてくれるといいんだが。
「は、ははは。ははははは……。そう、か。オレは……。足りて、無かったんだ……。愛が……一方通行、だったのか……まじかぁ……」
空虚な笑いが出て、なにかを悟ったような顔……。言い過ぎたか?でもま、俺も頭の中纏まって無いのを思うまま吐き出して更にフェイトさんが愛しい気持ちが高まったよ。
「あーぁ。負けだ。完敗だよ。もう立つための力も無いですよ……」
倒れた姿のまま仰向けに寝転がった。どうや、本当に大丈夫そうだ。
そう思うと俺も力が抜けたのか、足が力を手放してへにゃへにゃと地面にうつ伏せで崩れ落ちる。
「俺も……もう動けないですよ……」
「ははは……お前もですかぁ……」
憑き物の取れたような声出しやがって。
実際の所、俺がどれだけ気持ち悪いかを熱弁してたようなもんだし、それで憑き物が取れたってのはなんか釈然としないでもない。
「……一つ」
「ふぁひ?」
まぁた口が仕事ほっぽってるよ。
「なんですかその返事……。まぁいいか。一つだけ約束してください」
あ、もう金魚みたいにしか口動かせねぇ。ついに仕事放棄しやがった。
「……。ちゃんと、貴方が口にしたこと、守って下さいね。オレは守れなかった人を、ちゃんと大事にしてください」
そんなこと、言われるまでも無いっての。
俺はあの、海のそばの公園でフェイトさんに一目惚れしたその日から、全身全霊で幸せにするって心に決めてたんだからよ。
「その顔、自分の顔ながら腹立ちますけど、安心……しまし……た」
その時、俺はどんな顔をしていたのだろうか。
気になりはする、するけども、今はとてつもなく眠い。
地面に倒れた時からもう割りと限界だった。右腕いてぇし体ズキズキするし、で、俺の意識は吸い込まれるように落ちた。
一一その傍らに、主人の消えた真っ黒なフライパンを置いて。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その日、ヴィヴィオ・テスタロッサは知った。
自分の父親になる少年が、どうして右腕を失ったのか。
その日、ユーノ・スクライアは知った。
彼が選択を、感情をしくじればこうなる可能性があることを。
その日、フェイト・テスタロッサ達はまだ知らない。
大切な友人がひっそりと再び傷ついている事を。
~その頃の『U-D』~
(あ、あぁぁぁ。崩れる。私が、ワタシが、崩れる。駄目だ。ここで死んだら、また、また離ればなれになる……)
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超お久しぶりです。
生きてます。
死んでないです。
卒論がね……強敵なんですよ……。
就活がね……難敵なんです……。
前の携帯のリチウムイオン君がパンパンになっちゃいましてね……。
いや、本当に申し訳ないです……。
……感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回も出来ればよろしくお願いいたします……。