て言うか後一時間ぐらいしたら転スラ4期始まるんですが?!やばくないか?!
やばくね~よ(k4senミーム)
ジュラの大森林の北西、かつて「鋼鉄杉」が鬱蒼と生い茂っていた場所は、今や見渡す限りの更地と化していた。切り倒され、枝打ちされ、寸分の狂いもなく『貯蔵者(ミタスモノ)』の異空間へと吸い込まれた原木の山。そして、背後の断崖から削り取られた数トンの金剛石。
連「……ふぅ。これでドワーフが十人来ようが百人来ようが、素材不足で嘆くことはねぇな」
白銀のフェンリル姿の連は、満足げに鼻を鳴らした。インベントリのログには、国一つをゼロから再建してもお釣りがくるほどの「建材(レア素材)」が並んでいる。
シルフィエッタ「お疲れ様です、連様。これほどの量を一日で揃えてしまうとは……。リムル様が戻られた時の顔が見ものですね」
シルフィエッタが、汚れ一つないワンピースの裾を整えながら、優雅に微笑む。その隣では、ホウリンが召喚した巨斧を光の粒子に還し、静かに呼吸を整えていた。
ホウリン「……素材、十分。……でも、まだ、日は高い」
ホウリンの桃色の瞳が、じっと連を見つめる。彼女の戦士としての本能が、激しい伐採作業の余韻で昂っているのが、連の『魔力感知』にはっきりと伝わってきた。
連「……ああ、そうだな。村に戻るにはまだ早いし、かと言ってこれ以上素材を毟り取ると生態系が壊れそうだ。……ナビ、今の俺の『縛り』の状況は?」
『解。個体名:連の現在の出力は12%に固定されていますが、長時間の魔素行使により、鎖の中に蓄積された余剰エネルギーが飽和状態に近づいています。……適度な「放電(アウトプット)」を推奨します』
連「ナビもそう言ってることだし……。なぁ、二人とも。村に帰る前に、ちょっと『デバッグ』に付き合ってくれないか?」
連がニヤリと狼の顔を歪めると、シルフィエッタの目がスッと細まった。
シルフィエッタ「ふふ……。それは、私とホウリンを同時に相手にする、ということでしょうか?」
ホウリン「……二対一。……いいの?」
ホウリンが既に短剣を両手に具現化させている。彼女に迷いはない。
連「ああ。さっきのホウリンとの手合わせは一対一だったろ? 今度はシルフィの魔法も含めた『フルパーティ』の連携を、俺が一人で受けて立つ。……もちろん、俺も少しだけ『遊び(出力)』を上げるぜ」
連の首元と手首の鎖が、カチリと音を立てて赤黒く光る。
連「20%限定解除。……さあ、レイドバトルの開始だ!」
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シルフィエッタ「――『魔術創造』、三連構築――風刃、雷鎖、重圧!!」
シルフィエッタの無詠唱魔法が、開始の合図だった。
レンの周囲に真空の刃が荒れ狂い、逃げ場を奪うように雷の鎖が地面から這い出る。さらに重力魔法による「移動速度低下(スロウ)」のデバフが、フェンリルの巨体に重くのしかかる。
ホウリン「……逃がさない」
その魔法の嵐を裂いて、ホウリンが音速で突っ込んできた。
彼女の背後には、サイコキネシスで操られた十数本の槍が、まるでファンネルのように連の急所を多角的に狙っている。
連(――いい連携だ! 魔法で盤面を制圧して、物理アタッカーがトドメを刺す。……TPGの基本にして王道!)
連「『思考加速』……。――遅いぜ!」
連は重力魔法を強引に跳ね除け、地面を蹴った。
20%に引き上げられた魔素は、フェンリルの巨体を「質量を持った残像」へと変える。
ヒュンッ!
ホウリンの槍が空を切る。連は既に彼女の頭上を飛び越え、後方に控える「後衛(バッファー兼デバッファー)」であるシルフィエッタへと肉薄した。
シルフィエッタ「あら、狙い通りですね」
シルフィエッタが微笑む。彼女の足元には、最初から「カウンター」用の魔法陣が設置されていた。
シルフィエッタ「――氷鏡の盾(ミラーシールド)!」
連が放った冷気の波動が、シルフィの魔法陣に触れた瞬間、そのまま同等の威力で連へと跳ね返される。
連(反射(リフレクト)か! ……なら、こっちも『貯蔵者』で吸い込む!)
連は咄嗟に影を広げ、反射された氷の弾丸をインベントリへと没入させた。
着地と同時に、今度は背後からホウリンの「武器豪雨」が迫る。
ホウリン「……囲んだ。……逃げ場、なし」
連「ハハッ、そう来ると思ったぜ。……よし、ここからは『人型形態』のテストだ!」
眩い光が弾ける。
巨大な狼の姿が収束し、銀髪の少年へと変わった。
だが、その変身の間すら、連は無防備ではない。
連「『縛る者』――強制拘束鎖(グレイプニル)!」
連が人型になった瞬間、その首元から伸びた赤黒い鎖が、周囲の武器を一斉に絡め取った。
ガキィィン! と、ホウリンが操っていた槍や剣が、連の周囲数メートルでピタリと停止し、その場に力なく落下する。
ホウリン「……!? ……武器が、死んだ?」
連「『グレイプニル』の効果範囲内じゃ、魔力による遠隔操作(サイコキネシス)は無効だ。……悪いな、ホウリン。お前の『武器召喚』の天敵は俺なんだよ」
連は、右目に前髪を垂らしたまま、不敵に笑って一歩を踏み出した。
手には、魔素で編み上げた一本の「氷の直刀」。
連「シルフィ、広域魔法を撃て。……その隙にホウリンがインファイト(近接戦)を仕掛ける……だろ?」
シルフィエッタ「……っ、見透かされているのは癪ですが、その通りです! 『九天落雷(ジャッジメント・ボルト)』!!」
シルフィエッタが空を指差すと、更地になった広場に巨大な雷柱が降り注ぐ。
逃げ場のなくなる広域攻撃。
その閃光の中に、ホウリンが新たな大剣を手に、影のように滑り込んできた。
ホウリン「……一撃。……もらう」
連は思考を加速させ、フレーム単位で雷の落ちる位置を予測する。
左、右、そして真上。
流れるような動作で雷を回避し、ホウリンの大剣の「面」に氷の刀を添え、その威力を逃がしながら回転。
連「――パリィ成功」
ホウリン「……あ」
ホウリンの体勢が崩れる。
連はそのまま、彼女の懐に潜り込み、刀の柄で軽く彼女の腹部を小突いた。
連「よし、一機(イチキ)撃破。……次はシルフィ、お前だ」
シルフィエッタ「いいえ、まだですよ、連様。……『並列構築』――二重反転魔術!」
連の足元から突如として熱波と冷気が同時に噴き出した。相反する属性が混ざり合い、局地的な「水蒸気爆発」を引き起こす。
ドォォォォン!!
広場に煙が立ち込める。
並の魔物なら霧散して消えるほどの威力。
シルフィエッタ「……やったかしら?」
シルフィエッタが目を細める。だが、彼女は知っている。自分の主が、この程度で「リタイア」するはずがないことを。
煙の中から、静かな足音が響いた。
連「……あぶねぇな。20%まで上げてなきゃ、服が焦げてたぜ」
煙が晴れると、そこには左手を前に突き出した連が立っていた。
彼の周囲には、歪んだ空間の膜――『貯蔵者』の「攻撃吸収(アブソープション)」が展開されていた。
連「お前の魔法の熱エネルギー、半分くらいインベントリに貯蔵(チャージ)させてもらった。……おかげで、スタックが溜まったぜ」
連の左目が、紅く、禍々しく輝く。
連「お返しだ。――『放出(リリース)』」
インベントリに吸い込まれたばかりの熱波が、さらに連自身の魔素で圧縮され、一条の紅蓮のレーザーとなってシルフィエッタへと放たれた。
シルフィエッタ「――っ、くっ……!!」
シルフィは瞬時に多重魔法障壁を展開したが、その威力に数メートル後退させられる。
シルフィエッタ(強い……。なんという出力。……これが、まだたったの二割だというのですか!?)
シルフィエッタは驚愕と、そしてそれ以上の「歓喜」に震えた。
自分たちが心酔した主は、底が知れない。
その事実が、彼女の魔導師としての誇りを、女としての忠誠を、さらに熱く燃え上がらせる。
ホウリン「……まだ、終わってない。……主の背中、空いてる」
ホウリンがいつの間にか立ち直り、空中から急降下を仕掛けていた。
彼女は翼を全開にし、召喚した何十本もの投擲剣を一斉に射出する。
連「おっと、二対一だったな」
連は刀を消し、両手を広げた。
連「『遊戯者』権能――全周戦術演算・同時迎撃」
連の影から、無数の黒い触手が飛び出した。それは『縛る者』の鎖と『貯蔵者』の空間の歪みが混ざり合った、この場限りの即興魔術。
飛来する剣をすべて空中でキャッチし、そのままホウリンへと投げ返す。
ホウリン「……くっ!」
ホウリンは空中で器敏に反転し、自身の武器を叩き落とす。
その隙を突き、連はシルフィエッタの背後に『空間跳躍』で転移した。
連「チェックメイト。……二人とも」
連の手が、シルフィの首筋と、着地したホウリンの肩に同時に置かれた。
沈黙。
そして、連はぷはぁと大きく息を吐き、出力を12%まで下げた。
連「――はい、そこまで! タイムアップだ」
連が手を離すと、シルフィエッタは膝をつき、ホウリンはその場に座り込んだ。
二人とも、肩で息をしている。魔力の消耗は激しいが、その表情は晴れやかだった。
シルフィエッタ「……完敗です。……魔法のバリエーションを増やしたつもりでしたが、連様の『初見殺し』の対応力には敵いませんね」
ホウリン「……主、強すぎ。……でも、楽しい。……もっと、強くなれる」
二人の言葉に、連は人型のまま頭を掻いた。
連「いや、俺の方こそ助かったぜ。……20%の出力で人型での立ち回りを試せたのは大きい。……特に、魔法のエネルギーをそのままインベントリに貯蔵して反撃に転用するシークエンスは、実戦でも使えそうだ」
連は空を見上げた。夕闇が森を包み始め、一番星が輝き出している。
連「さて、そろそろ村に帰るか。……リムルたちが帰ってくる前に、今日採った『最高級の肉』で、ホウリンに美味いもん作ってもらわねぇとな」
ホウリン「……了解。……主のために、腕を振るう」
ホウリンが立ち上がり、パパッと服の砂を払う。
シルフィエッタ「さあ、帰りましょう。我が主、連様。……この森の、そしてこの世界の『攻略』は、まだ始まったばかりなのですから」
シルフィエッタが連の腕にそっと手を添え、歩き出す。
白銀のフェンリルの力を秘めた少年と、彼に付き従う二人の美女。
夕陽に照らされたその背中は、もはや一介の転生者のものではなかった。
それは、これから始まる激動の時代において、世界のルールそのものを塗り替えていく「超越者」たちの、静かな、しかし確かな胎動だった。
(……ドワーフの連中、どんな顔するかな。……この山のよ連うな建材(リソース)を見たら、職人魂に火がつかねぇはずがねぇしな)
連は満足げに、そして次の「イベント」を待ち望むゲーマーの瞳で、村への道を辿った。