転生したらフェンリルだった件   作:ぐちロイド

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第11話 リムル達の帰還

ジュラの大森林の入り口に、賑やかな足音が響き渡った。

リムル率いるドワルゴン遠征隊の帰還だ。村の入り口では、数日間の「素材狩り(ファーム)」を終えて悠然と構える白銀の巨狼、連。そしてその左右を美しく彩るシルフィエッタとホウリンが、静かに一行を迎え入れた。

 

リムル「ただいま、連! いやー、色々あったけど、最高の人材をスカウトしてきたよ!」

 

スライムのリムルがポヨンと跳ね、背後に続く一団を紹介した。

そこには、筋骨隆々とした体躯に職人の気骨を漂わせるドワーフの男――カイジンと、それぞれ個性の強そうなドワーフ三兄弟(ガルム、ドルド、ミルド)が立っていた。

 

カイジン「……ほう。これがリムルの旦那が言っていた、もう一人の『主』か」

 

カイジンが腕を組み、連のフェンリルとしての威圧感を真っ向から見据えた。その瞳には恐怖ではなく、一級の職人だけが持つ、優れた「素材」や「存在」に対する純粋な敬意が宿っていた。

 

連「……よろしくな、カイジン。ドワーフの技術、期待してるぜ。俺が溜め込んだ最高級の建材(リソース)、腐らせるには勿体なさすぎるからな」

 

連が魔力感知を通じた低い声で応じると、ドワーフ三兄弟もそれぞれに反応した。長男のガルムは連の毛並みに見惚れ、次男のドルドは連の爪の硬度を解析しようとし、三男のミルドは無言で村の防衛設備の「設計の甘さ」をチェックしている。

 

リムル「よし、挨拶はこれくらいにして……カイジンさんたちはリグルドたちに案内してもらうよ。連、ちょっといいか?」

 

リムルが目配せをし、二人は村の喧騒から少し離れた、見晴らしの良い丘へと向かった。

 

---

 

夕暮れ時。茜色に染まる空の下、巨大な銀狼と青いスライムが並んで座っていた。

シルフィエッタとホウリンは、空気を読んで少し離れた場所で、ドワーフたちの荷解きを手伝いに行っている。

 

連「……で、どうだったんだよ、ドワルゴンは。お前のことだ、ただ職人を雇って終わりってわけじゃなかったんだろ?」

 

連が前足を組み、リラックスした様子で問いかけた。

 

リムル『いやー……もう、波乱万丈(イベントだらけ)だよ。着いて早々、行列の割り込みを注意したら喧嘩になってさ。警備隊に捕まって、地下牢(プリズン)行きだよ』

 

連「ハハッ! 初日から投獄かよ。お前、完全にトラブルメーカー(主人公属性)だな。……それで? 脱獄でもしたのか?」

 

リムル『まさか。そこでカイジンさんたちと知り合ってさ。軍事ポーションの納品ノルマで困ってたから、俺の『捕食者』で解析して、一晩で完遂(クリア)してやったんだ』

 

連「……解析して複製か。相変わらずお前のスキルはチートだな。生産職のアイデンティティが崩壊するぞ」

 

連は狼の顔を緩めて笑った。リムルが話すドワルゴンの様子――巨大な地下都市、高度な鍛冶技術、そしてエルフの店『夜の蝶』でのエピソード(ここは連が「羨ましすぎるだろ!」と食いついた)を聞きながら、連は自分のインベントリにある魔鉱石や鋼鉄杉のリストを思い浮かべていた。

 

リムル『それでさ、結局裁判沙汰になって……軍事宰相のベスターって奴が嫌な奴でさ。カイジンさんたちが国を追放される形になっちゃったんだけど、結果オーライ。俺たちの国に最強の技術者が来てくれたってわけだ』

 

連「追放(エグゾースト)された精鋭を拾い上げる……。ギルド運営の王道だな。……カイジンたちの腕、俺が見た感じじゃ相当なもんだ。あいつらなら、俺が採ってきた『金剛石』や『鋼鉄杉』を、ただの壁じゃなく『魔導建築(アーキテクチャ)』に昇華させてくれるはずだ」

 

連の言葉に、リムルも満足げに頷いた。

 

リムル『そうなんだよ。カイジンさんたち、連が用意した素材の山を見て、さっき裏で「なんだこの化け物染みた純度の魔鉱石は!」って叫んでたぜ。……連、マジで助かったよ。これなら、俺たちが理想とする「多種族が共生する町」の土台が、一気に完成する』

 

連「……協力するって言ったからな。俺は効率重視のゲーマーだ。やるなら徹底的に、最高効率で最高の結果(エンディング)を目指す。……なあ、リムル」

 

連が少しトーンを落とし、遠くで家作りの打ち合わせを始めたドワーフたちを見つめた。

 

連「お前は、この町をどこまで大きくするつもりだ? ただのゴブリンの村を発展させて終わり……じゃないだろ」

 

リムル『……正直、最初は自分が快適に暮らせればいいかなって思ってたんだけどさ。……名付けをして、あいつらの顔を見てるとさ。やっぱり、あいつらが「この国に生まれて良かった」って思えるような、そんな場所を作りたいんだ。……人間も、魔物も、関係なくな』

 

連「……綺麗事だな。だが、悪くない。……俺は『縛りプレイ(グレイプニル)』を楽しんでる身だが、お前がその「無理ゲー」に近い理想を掲げるなら、俺はその攻略を全力で手伝ってやるよ」

 

連の首元の鎖が、夕陽を受けて鈍く光った。

 

連「ドワーフが来たことで、次は『防具』や『武器』のアップデートが始まる。……そうなりゃ、次は周辺の魔物たち……例えば『オーク』とか『リザードマン』あたりが、この急成長する勢力(ギルド)を黙って見てるはずがない」

 

リムル『……連君、あんたも大賢者(俺の相棒)みたいな予測するんだな。……確かに、平和に町作りだけさせてくれる世界じゃなさそうだ』

 

連「当たり前だろ。街作りシミュレーション(シムシティ)の後は、決まって防衛戦(タワーディフェンス)が来るのがゲームの定石だ。……リムル、お前は内政を固めろ。ドワーフたちと協力して、最高のインフラを作れ。……外からの『ノイズ(敵)』は、俺と俺の配下たちが全部叩き落としてやる」

 

リムル『……頼もしいな、相棒。……あ、そうだ。ドワルゴンでさ、面白い土産(データ)をいくつか手に入れたんだ。……ポテチの味の再現、そろそろ試作してみるか?』

 

連「……っ、マジか! それだよ、それを待ってたんだ!」

 

白銀の巨狼が、まるで子犬のように(実際には巨大な地震のような振動を伴って)尻尾を振った。

 

連「素材なら何でも出す! 塩か? 油か? ジャガイモに似た芋なら、昨日シルフィが見つけてたぞ。……ナビ、最優先タスクを『ポテチ生産ラインの構築』に変更だ!」

 

『解。……主の幸福度の向上のため、最適化を実行します』

 

リムルは笑いながら、スライムの体で連の足元をポンと叩いた。

 

リムル『よし、決まりだ。……カイジンさんたちが家を作ってる間に、俺たちは「食の革命」を始めよう。……この世界、もっと面白くなりそうだな!』

 

連「ああ。……バグも裏技も全部使い切って、最高のハッピーエンド(クリア)まで突っ走ってやるぜ!」

 

夕闇が迫るジュラの大森林。

二人の転生者が語り合う未来は、ドワーフの槌音と共に、確かな形となって刻まれ始めていた。

村の明かりが一つ、また一つと灯り、銀狼とスライムの影が、長く、どこまでも力強く大地に伸びていった。

 

 

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