あと赤青轟轟轟覇道使ってNDランクマ回してたんだけど俺には合わないデッキでエグザイル使ってる。でもデスザークの方が強いのか?
村の中央、新築されたばかりの広々とした休憩所。そこには、ドワーフたちが腕によりをかけて作った木のテーブルが並び、ホウリンが監修した「村一番の馳走」が所狭しと並べられていた。
カバル「う、うっまーーーい!! 何これ、この肉のジューシーさ、反則でしょ!?」
ギド「このスープ、ダシが効いてて五臓六腑に染み渡るぜ……。俺たち、今まで何を食ってたんだ?」
エレン「ギド、カバル、食べ過ぎよ! ……モグモグ、あ、このパンもふわっふわ……!」
エレン、ギド、カバルの三人組は、ここ数日のサバイバル生活で極限まで空腹だったのか、なりふり構わず料理に食らいついていた。その食べっぷりは、見ていて清々しいほどだ。
一方で、その喧騒から少し離れた席。
シズは、自身の隣に静かに伏せる白銀の巨狼――連の存在を、ごく当たり前のように受け入れ、静かに匙を動かしていた。
シズ『……美味しいですね。この村の料理は、どこか……懐かしい味がします』
シズが微笑むと、連は魔力感知を通じた低い、しかし穏やかな声で応じる。
連「……そいつは良かった。……ここのメニュー、俺とリムルが『前世』の記憶を掘り起こして、ホウリンに再現させたものが多いからな」
リムル「そうそう。特にそのソースの味付けなんかは、俺たちの故郷の『洋食』に近いんじゃないかな」
リムルもスライムの体でポヨンと跳ね、満足げに頷く。
やがて食事が一段落すると、連はシズを誘い、村の喧騒が届かない小高い丘へと向かった。リムルもそれに続く。
夜の帳が下りつつあるジュラの大森林。そこから見上げる星空は、前世の都会では決して見ることのできない輝きを放っていた。
連「……シズさん。……さっき、俺を見て驚いてたろ? ……いや、俺が取り乱したから当然か」
連は丘の草の上に腰を下ろし(狼の姿のままだが)、遠くの地平線を見つめた。
シズ『……いえ。……ただ、あなたの瞳の中に、とても深い悲しみが見えたので。……それと、あなたが私を「母さん」と呼んだこと。……それが、どうしても気になって』
シズの言葉に、リムルが口を開いた。
連「シズさん。……実は俺たち、この世界の住人じゃないんだ。……元々、別の世界……日本っていう国から来た『転生者』なんだよ」
シズの瞳が大きく見開かれた。
シズ『……日本? ……あなたたちも、あの大地の?』
連「ああ。……俺たちの時代は、シズさんのいた頃よりずっと未来だと思うけどな」
連とリムルは、互いにアイコンタクトを取ると、魔力を集中させた。
『魔力感知』と『思念伝達』を応用し、自分たちの記憶にある「現代日本」の風景を、直接シズの脳裏へと投影した。
高層ビルが立ち並ぶ新宿の夜景。
煌々と輝くネオンサイン。
整然と行き交う電車や車。
そして、平和な街角で笑い合う親子や学生たちの姿。
シズは、その光り輝く「未来の故郷」の情景に、言葉を失った。
彼女の記憶にある日本は、空襲の炎に包まれ、黒煙が空を覆う絶望の風景だったから。
シズ『……あぁ……。あんなに……あんなに綺麗に……。街が、直ったのですね。……皆、笑っている……。……良かった……。本当によかった……』
シズの目から、一筋の涙が溢れた。
彼女は、自分が守りたかった、けれど守れなかった故郷が、遥かな未来でこれほどまでに豊かに復興していることを知り、心の底から救われたような表情を浮かべた。
リムル「シズさん。……あんたがいた頃の日本は、大変だったんだろ。……第二次世界大戦、東京……」
シズ『……はい。……私は、空襲の中で母の手を離し……気がついたら、炎の魔王によってこの世界に喚び出されていました。……母は、あの炎の中で……』
シズはそれ以上言葉を続けられなかった。
その時、連が重く、静かな口調で語り始めた。
連「……俺の母親も、死んだんだ。……前世の俺と一緒にな」
シズがハッとして連を見る。
連「……俺のいた時代は平和だった。……だけど、不運な事故……ガス爆発に巻き込まれた。……雪の降る朝だった。……『いってらっしゃい』って、母さんが玄関で見送ってくれたのが……最後の記憶だ」
連の紅い瞳に、切ない光が宿る。
連「……だから、さっきシズさんの顔を見た時、脳がショートしたんだ。……雰囲気が、あまりにも似てて。……それに、あんたの手の温もりが、……母さんのそれと、瓜二つだったんだよ」
連は、ずっと胸の奥に仕舞い込んでいた「未練」を、初めて言葉にした。
連「……なぁ、シズさん。……失礼を承知で聞きたい。……あんたの名字……は、何て言うんだ?」
シズは少し驚いたように瞬きをし、懐かしむようにその名を口にした。
シズ『……私の名は、静江。……名字は、井沢(いざわ)と言います。……井沢静江』
その瞬間、連の思考が停止した。
ナビの演算すら追いつかないほどの衝撃。
連(……井沢? ……今、井沢って言ったか?)
連の脳裏に、前世の記憶が鮮明に蘇る。
法事の席で見た古い家系図。
母が誇らしげに語っていた、「うちの先祖には、戦時中に行方不明になった女の子がいたのよ」という、お伽話のような、けれど悲しい親族の歴史。
連「……嘘、だろ……」
連は震える声で呟いた。
連「……俺の母さんの、結婚する前の名字も……『井沢』なんだ。……井沢冷寒。……東京出身で……。……親戚から聞いたことがある。……戦時中、空襲で亡くなった……親戚の『静江』って人の話を」
シズ『……え……?』
シズの手が、震えながら口元を押さえた。
連「……シズさん。……もし、もしこれが偶然じゃないとしたら。……俺は、あんたの……ずっと先の未来の、子孫……あるいは血の繋がった親族ってことになる」
リムル「……マ、マジかよ……。そんなことってあるのか……?」
リムルも驚きのあまり、スライムの体が波打っている。
丘の上に、沈黙が流れた。
風が草原を揺らし、三人の「日本人」を包み込む。
シズは、信じられないものを見るように連を見つめ、やがて、溢れ出す涙を堪えきれずに嗚咽を漏らした。
彼女はこの世界で、孤独だった。
魔王に喚び出され、イフリートを宿され、人として生きることを許されず、ただ「兵器」として生きてきた。
故郷を想い、母を想いながら、自分には帰る場所も、繋がる血も、もう残っていないのだと絶望し続けてきた。
けれど。
目の前にいる、この誇り高く、誰よりも強い銀狼。
自分を助けてくれ、自分のために取り乱してくれた、この「連」という少年が。
自分がかつていた世界の、自分が繋ぎたかったはずの未来から来た、「家族」かもしれない。
シズ『……ああ……。神様……。……こんな奇跡が……あるのですね……』
シズは膝をつき、連の首元に抱きついた。
銀狼の硬い毛並みに顔を埋め、声を上げて泣いた。
連もまた、自身の大きな前足を彼女の背中にそっと回し、彼女を包み込んだ。
狼の姿では抱きしめることはできないが、その温もりを分かち合うことはできる。
連「……ごめんな、シズさん。……ずっと、一人で頑張らせて。……でも、もう大丈夫だ」
連の声は、優しく、そして力強かった。
連「……俺が、あんたを守る。……この世界のどんな『理(システム)』が相手でも、俺が全部ぶっ壊してやる。……あんたは、俺の……俺たちの『家族』だ」
その言葉に、シズはただ、嗚咽と共に何度も頷いた。
リムルは、その二人を優しく見守っていた。
自分にも、彼女の……シズの運命が、深く関わっていることを、その時のリムルは予感していた。けれど、今はただ、この「再会」を祝福したかった。
リムル「……良かったな、連。……シズさんも」
シズ『……はい。……ありがとうございます。……私……生きていて、良かったです。……あなたたちに会えて……本当に……』
シズが顔を上げ、涙を拭って微笑む。
その笑顔は、かつて連の母が見せてくれた、世界で一番温かい笑顔そのものだった。
ジュラの大森林の丘。
そこには、時を超え、次元を超えて繋がった「絆」があった。
白銀の狼と、仮面の女性。
二人の運命は、この夜、血の繋がりを超えた「不滅の約束」へと昇華した。
連「……よし、シズさん。……明日は、もっと美味いもん作らせる。……ポテチの完成版も食わせてやるからな」
シズ『ふふ……。楽しみにしていますね、連さん』
連は満足げに、空を仰いで遠吠えをした。
その声は、かつての悲しみを振り払うように、どこまでも高く、澄み渡っていた。