転生したらフェンリルだった件   作:ぐちロイド

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リゼロ4期1話最初から泣かせに来てないか?ガーフの奴?
あれでうるっと来たんだが!?


第15話 旅立ちへの選別

シズという一人の偉大な女性が、その波乱に満ちた生涯に幕を閉じた。

静寂が支配する丘の上、水色の髪をなびかせる少年――シズの姿を継承したリムルと、その隣で佇む白銀の巨狼、連。

悲しみと決意が入り混じる空気の中、リムルがふと、隣の相棒を見上げて口を開いた。

 

リムル「……なぁ、連。今更な質問なんだけどさ」

 

連「ん? なんだよ、リムル」

 

リムルは自分の新しい「人の体」の手のひらを握ったり開いたりしながら、ジト目で連を凝視した。

 

リムル「お前さ……何時から人型になれたんだ? さっき、シズさんを助ける時に一瞬でシュッて人の姿になってたよな?」

 

連は事も無げに、狼の顔のまま鼻を鳴らした。

 

連「ああ、あれか。……何時って、転生した時からだが? 初期スキルというか、基本アバターの一つだろ」

 

その言葉を聞いた瞬間、リムルの顔が(スライムではないのに)引きつった。

 

リムル「はぁぁぁ!? なんで人型持ってるならもっと早く言わないんだよ! お前、ずっと狼の姿で飯食ったり寝たりしてただろ!」

 

連「……いや、必要無かったから? 狼の姿の方が移動速いし、嗅覚も鋭いし。それに、わざわざ人の姿になるイベントも無かっただろ」

 

リムル「イベントとか言うな! こっちはずっと『人型になりてぇなぁ、エルフの店に行きてぇなぁ』って切望してたんだぞ! お前、さらっとチート機能隠し持ってやがったな!」

 

連「隠してたわけじゃねぇよ。お前が聞かなかっただけだろ」

 

連がケロッと言い放つと、リムルは「この効率厨め……」と項垂れた。シズを失った悲しみの直後ではあったが、二人の間に流れる「いつもの空気」が、少しだけ夜の重苦しさを和らげていた。

 

---

 

その後、二人は村の大きなテントへと場所を移した。

そこには、不安そうな表情で待ち受けていたエレン、ギド、カバルの三人組がいた。

 

テントの中、ランタンの灯りが揺れる。

リムルはシズから受け継いだ『抗魔の仮面』を傍らに置き、三人の正面に座った。連はその横で、今は少年の姿へと擬態している。

 

リムル「……シズさんは、亡くなったよ」

 

リムルの静かな言葉に、エレンが息を呑み、カバルとギドが俯いた。

 

連「彼女は、最期まで立派だった。……彼女の願いで、俺が彼女の体を取り込んだ。この姿は、彼女から託されたものだ」

 

連も、深く澄んだ声で付け加える。

 

リムル「……シズさんは、この世界の土に還ることを拒んだ。自分を呪縛した世界ではなく、俺たちの『一部』になることを選んだんだ。……三人も、彼女と一緒に旅をしてくれて、ありがとうな」

 

エレンの瞳から涙が溢れ出した。

 

エレン「……そう、だったんだ……。シズさん、最期に……笑ってた?」

 

連「ああ。最高に綺麗な笑顔だったよ」

 

連の言葉に、三人は静かに泣いた。

自分たちが憧れ、共に歩んだ偉大な先輩の最期。それは悲しい結末ではあったが、同時に、彼女がようやく苦しみから解放され、信頼できる「家族」を見つけたという救いの物語でもあった。

 

---

 

翌朝。

朝靄に包まれたジュラの大森林。村の入り口には、旅立ちの準備を整えた冒険者三人の姿があった。

 

リムル「本当に行くのか? もう少しゆっくりしていってもいいんだぜ」

 

リムルが声をかけると、リーダーのカバルが照れ臭そうに鼻を擦った。

 

カバル「ああ。俺たちも一応、自由組合(ギルド)に報告しなきゃいけないことが山積みだしな。それに、シズさんの遺志を継いで、少しはマシな冒険者にならなきゃ格好つかねぇだろ」

 

エレン「そうそう! 次に会う時は、もっと驚かせてあげるんだから!」

 

エレンが無理に明るい声を出して笑う。すると、連が背後から「待てよ」と声をかけ、大きな包みを三人の前に置いた。

 

連「……手ぶらで帰すわけにいかねぇだろ。これ、持ってけ」

 

包みを開けると、そこには鈍い銀色の光沢を放つ、見事な防具一式が収められていた。

 

エレン「えっ、これって……!?」

 

連「カイジンとドワーフ三兄弟の特製品だ。素材は俺が昨日ファームしてきた最高級の魔鉱石と、鋼鉄杉の繊維を織り込んだ強化レザー。……お前ら、装備がボロボロすぎたからな。特にカバル、その盾じゃ次のボス戦で割れるぞ」

 

カバルがその盾を手に取り、その軽さと頑丈さに驚愕の声を上げた。

 

カバル「マジかよ……これ、王都の高級店でも買えないレベルだぞ……!」

 

連「……シズさんの、お礼だ。……あんたたちが彼女の側にいてくれたおかげで、彼女は孤独じゃなかった。……これは俺とリムルからの、せめてもの餞別(せんべつ)だ」

 

連が少年の姿のまま、不器用に視線を逸らして告げると、エレンが「……連君、意外とツンデレよね」とクスクス笑った。

 

連「……うるせぇ。……死ぬなよ、お前ら。」

 

カバル「よし! じゃあな、リムルさん! 連君! またいつか、どこかで!」

 

三人は新しい防具を身に纏い、力強く手を振って森の奥へと消えていった。

その背中は、以前よりも少しだけ大きく、頼もしく見えた。

 

リムルと連は、彼らが見えなくなるまでその場に立っていた。

 

リムル「……行ったな」

 

連「ああ。……さて、リムル。センチメンタルな時間は終わりだ。……職人も揃った、素材も溜まった。……次はこの村を、本当の意味での『魔国連邦(テンペスト)』に作り変えるステップに進むぞ」

 

連が紅い瞳を輝かせ、不敵に笑う。

 

連「……まずは、お前のその『人間形態』の操作訓練からだな。……格闘戦、魔法の媒介、インベントリの同時展開……。教えることは山ほどあるぞ、相棒」

 

リムル「……うげぇ。やっぱり連は、休みをくれないんだな……」

 

リムルが肩を落とすが、その顔には、これから始まる新しい物語への期待が満ち溢れていた。

 

白銀の少年と、水色の髪の少年。

二人の転生者による世界攻略は、一人の女性の遺志という最強のバフを得て、いよいよ本番へと突入していくのだった。

 

リムル「……あ、連。一つだけ言わせて」

 

連「なんだ?」

 

リムル「……お前の人型、俺より背が高いのがちょっとムカつく」

 

連「……知るかよ。成長期なんだろ、多分」

 

二人の笑い声が、朝の清々しい森に響き渡った。

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