拾ったのは、外伝ゲームの主人公でした   作:異星人アリエン

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切り所の関係で、少し短いです。


『三大罪人』

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》を追いかけるオレたちだが、その道のりは決して楽ではなかった。

 それは大樹海特有の入り組み、鬱蒼と生い茂る植物のせいなのもあるがそれ以外の方が問題だった。

 

「報告! 左より新手が接近! 木々を薙ぎ倒しています、あれは……棘弾蟲だ! 更に背後からは黒牙蛇も確認!」

 

「またか! いく先々でこうも妨害を受けるのは……!」

 

 ウィルディも思わず苛立った様子で吐き捨てる。

 

 バレットトリガー隊はカンネビュラ大樹海にて晶獣からの猛攻撃をうけていた。進めば進むほどに現れる晶獣の群れ。これ自体はいつものことなのだが、今回は明らかにおかしい。

 

 何故なら草食、肉食問わずにこちらに向かってくるからだ。そして件の《純白毛の天角馬(ユニコーン)》は付かず離れずの距離で、こちらを伺い、近づいたら逃げるを繰り返している。

 

 なんだか妙だ。向こうがこちらをおちょくっているのはわかるが、それに対して何かしら反応をしない。

 

「っと、考えている暇はねぇなッ!」

 

<ギチィッ!?>

 

 槍を振るい。またも晶獣を倒す。

 

 だがその死体を乗り越え、またも別の晶獣が迫り来る。

 

「むにー……」

 

「うなっている暇があれば身体を動かせ、ルルカ!」

 

「でも、タイチョー。なんか切る感覚が変で……、晶獣の身体がこわばってる? にぃ〜……」

 

 現れる晶獣の猛攻を、身軽な体捌きで捌いていくルルカが、奥歯にものが挟まったかのような物言いをする。

 

 だがそんな言葉を気にする暇もない。

 

 襲いくる晶獣は、激しさを増す。

 

「ぐっ!」

 

「危ねぇなッ!」

 

<ギ、ギッ>

 

 晶獣に態勢を崩されたカエルム人兵士を庇うため、槍を突き出す。棘弾蟲と呼ばれた蟲は、殻の隙間を突いて倒すことができた。

 

 だが、死んだ瞬間身体がこわばり殻の隙間が閉じられ、槍が抜けなくなっちまった。

 

<シャアァァァッッッ>

 

「ちっ!」

 

「マルドラーク!」

 

 ウィルディの声と共に、何かが投げられた。

 

 《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》で作られた剣だ。すぐにそれをキャッチし、迫ってきた黒牙蛇を口から貫いて殺す。

 通常であれば、輝征装(エアラリス)は適合者以外が使えばとんでもない副作用や拒絶反応が出るが、《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》はその手の心配が少ない。

 

 元々『リベリオン/戦禍の夜明け』でも、自らの兵士に《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》で作っていた武装を施したくらいだ。滅霊装(パルバースト)化していたら断固拒否したが、今はその心配もないしな。

 

「助かりました」

 

「構わん。それよりも早くしろ、追いかけるぞ」

 

 剣を返すとあっという間に、ウィルディの鎧に融合した。

 

 オレはすぐさま槍を引き抜く。……雷が使えればな、もっと楽ができるんだが。流石にこんな木々が生い茂るところで使ったら、火事待ったなしだからできねぇが。

 

 周囲の部隊も巻き込んじまうしな。

 

「追い詰めたぞ! さぁ、我々と勝負を──ッ!?」

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》が湖を前に止まる。

 いよいよ追いつき、ウィルディが《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》を変化させた武器を構えた瞬間。

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》がそのまま倒れ伏した。

 

 思わぬことに呆気を取られる。しかし、《純白毛の天角馬(ユニコーン)》を観察するとより驚くべき事実があった。

 

「ばかな、既に死ん(・・・・)でいるだと(・・・・・)……!?」

 

「うぇー? 寿命でお陀仏?」

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》は既に息絶えていた。

 

 ありえない事態に、部隊が騒つく。

 

 オレだってそうだ。なにせ《純白毛の天角馬(ユニコーン)》はさっきまで普通に歩いていた。ルルカの言う通り、寿命だとしてもおかしい。ならば外傷によるものかだって、身体に巻き付いている植物(・・)以外、傷らしい傷も──

 

「植物?」

 

 意識してすらなかった。

 

 だってカンネビュラ大樹海は、文字通り樹木がひしめきあっている。だから、そこに生息する晶獣が体のどこかに植物をつけていたって、なんの不思議もないからだ。

 

 まさか。

 

 先ほどまでの晶獣の異常なまでの猛追。これが偶然じゃなくて、必然だとすれば。

 

 近くの斬った晶獣を詳しく見る。

 

 分たれた身体。そこの根を張るように筋肉や骨に纏わりつく植物。

 

 それも一体や二体じゃない。

 

 全て(・・)だ。

 

「植物……いや、まさか。そうなのか(・・・・・)?」

 

 嫌な予感に冷や汗をかく。

 ルルカが言っていた、晶獣の身体がこわばっているというのも、重要な情報だ。おそらく、晶獣どもはこの植物によって寄生されていた。

 

 そしてなぜ、オレがここまで焦るのかというと、心当たりがあるからだ。

 

 それも『リベリオン/戦禍の夜明け』の方ではなく、『シャヘル=シャレム/薄明の境界線』の方に。

 

 《改革》ルート。

 

 《革命軍》ルート。

 

 《人類の悪魔》ルート。

 

 メリスが選択によって変わる3つの未来(ルート)であるが、実はそこで厄介な輩が現れる。

 

 『三大罪人(シン・トリアス)』と呼ばれる、分岐するルートでそれぞれ立ちはだかる、最悪の輝征装(エアラリス)使い達の方だ。

 

 元々ルートによっては、《サイデリアル》や、《エニアグラム》が敵として登場する訳なのだが……この『三大罪人(シン・トリアス)』は史上最悪の犯罪者というのをコンセプトにした敵だ。

 

 その実力足るやBADエンドで『シャヘル=シャレム/薄明の境界線』の主人公であるメリスが死ぬのは勿論、《サイデリアル》も《エニアグラム》も敗北することすらある、正に大ボスと言っても差し支えねぇ。

 

 さらにその中の一人が、手口によっては晶獣すら操れるということを、オレは知っている。

 

「いや、だが……」

 

 口元を抑え呟く。

 

 今ウィルディたちにこのことを語った所で、結局憶測にしかならないのだ。

 

 そもそも『三大罪人(シン・トリアス)』という呼び名も、ゲームにおける攻略雑誌でそう呼ばれていただけであり、作中自体で呼ばれていた訳じゃない。

 

 実際、オレはこの名称をこの世界で生きていて聞いたことがない。

 

 それどころか、その存在の影すら掴めねぇ。だけど、存在しているとしたらそいつらは革命軍、帝国問わずに要注意人物なのだ。

 

 

 

 《人類の悪魔》ルートで、唯一メリスと行動を共にし、相棒と称しながらも最期はメリスに討たれた『戦争屋』、ジョゼ・ノーバディ。

 

 《革命軍》ルートで、人を人だと思わない機械との融合により、粛清と殺戮を尽くしたカエルム人貴族『機巧卿』、デクスギア・ティスゴードン。

 

 《改革》ルートで、統治領(コルニア)一つを丸ごと植物で多い尽くし、土壌を汚染した『悠久なる大自然』、カヤノスィノ。

 

 

 

 この中で最も可能性が高いのがカヤノスィノだ。

 

 奴の輝征装(エアラリス)は文字通り自然を、つまりは植物そのものを操る。そしてその応用で自らが植え込んだ種を発芽させることで晶獣を操ることが出来るのだ。

 

 今の状況と完全に一致している。

 

 だが仮にオレの憶測が正しいとして、カヤノスィノが今この場に現れる理由はなんだ? それがわからない。何せそれぞれのルート以外には、姿形も現さない三人なのだ。

 

 でも、オレは長年この世界で住んでいたからわかるんだ。

 

 こういう時って大抵悪い方向に予想が当たるってな。

 

 

 

 

「報告! 報告! 現在、パイオニア駐屯基地が突如として出現した巨大な植物と晶獣に襲撃を受けています! 守備隊は既に壊滅状態! 街も甚大な被害を受けているとのこと!」

 

 先に負傷者を抱え撤退した部隊から、オレたちに急な報告が伝えられたのはそれからすぐあとのことだった。

 

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