拾ったのは、外伝ゲームの主人公でした   作:異星人アリエン

43 / 43
切り所の関係で、少し短いです。


『三大罪人』

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》を追いかけるオレたちだが、その道のりは決して楽ではなかった。

 それは大樹海特有の入り組み、鬱蒼と生い茂る植物のせいなのもあるがそれ以外の方が問題だった。

 

「報告! 左より新手が接近! 木々を薙ぎ倒しています、あれは……棘弾蟲だ! 更に背後からは黒牙蛇も確認!」

 

「またか! いく先々でこうも妨害を受けるのは……!」

 

 ウィルディも思わず苛立った様子で吐き捨てる。

 

 バレットトリガー隊はカンネビュラ大樹海にて晶獣からの猛攻撃をうけていた。進めば進むほどに現れる晶獣の群れ。これ自体はいつものことなのだが、今回は明らかにおかしい。

 

 何故なら草食、肉食問わずにこちらに向かってくるからだ。そして件の《純白毛の天角馬(ユニコーン)》は付かず離れずの距離で、こちらを伺い、近づいたら逃げるを繰り返している。

 

 なんだか妙だ。向こうがこちらをおちょくっているのはわかるが、それに対して何かしら反応をしない。

 

「っと、考えている暇はねぇなッ!」

 

<ギチィッ!?>

 

 槍を振るい。またも晶獣を倒す。

 

 だがその死体を乗り越え、またも別の晶獣が迫り来る。

 

「むにー……」

 

「うなっている暇があれば身体を動かせ、ルルカ!」

 

「でも、タイチョー。なんか切る感覚が変で……、晶獣の身体がこわばってる? にぃ〜……」

 

 現れる晶獣の猛攻を、身軽な体捌きで捌いていくルルカが、奥歯にものが挟まったかのような物言いをする。

 

 だがそんな言葉を気にする暇もない。

 

 襲いくる晶獣は、激しさを増す。

 

「ぐっ!」

 

「危ねぇなッ!」

 

<ギ、ギッ>

 

 晶獣に態勢を崩されたカエルム人兵士を庇うため、槍を突き出す。棘弾蟲と呼ばれた蟲は、殻の隙間を突いて倒すことができた。

 

 だが、死んだ瞬間身体がこわばり殻の隙間が閉じられ、槍が抜けなくなっちまった。

 

<シャアァァァッッッ>

 

「ちっ!」

 

「マルドラーク!」

 

 ウィルディの声と共に、何かが投げられた。

 

 《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》で作られた剣だ。すぐにそれをキャッチし、迫ってきた黒牙蛇を口から貫いて殺す。

 通常であれば、輝征装(エアラリス)は適合者以外が使えばとんでもない副作用や拒絶反応が出るが、《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》はその手の心配が少ない。

 

 元々『リベリオン/戦禍の夜明け』でも、自らの兵士に《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》で作っていた武装を施したくらいだ。滅霊装(パルバースト)化していたら断固拒否したが、今はその心配もないしな。

 

「助かりました」

 

「構わん。それよりも早くしろ、追いかけるぞ」

 

 剣を返すとあっという間に、ウィルディの鎧に融合した。

 

 オレはすぐさま槍を引き抜く。……雷が使えればな、もっと楽ができるんだが。流石にこんな木々が生い茂るところで使ったら、火事待ったなしだからできねぇが。

 

 周囲の部隊も巻き込んじまうしな。

 

「追い詰めたぞ! さぁ、我々と勝負を──ッ!?」

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》が湖を前に止まる。

 いよいよ追いつき、ウィルディが《戦装銃刃/メタリック・アーマメント》を変化させた武器を構えた瞬間。

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》がそのまま倒れ伏した。

 

 思わぬことに呆気を取られる。しかし、《純白毛の天角馬(ユニコーン)》を観察するとより驚くべき事実があった。

 

「ばかな、既に死ん(・・・・)でいるだと(・・・・・)……!?」

 

「うぇー? 寿命でお陀仏?」

 

 《純白毛の天角馬(ユニコーン)》は既に息絶えていた。

 

 ありえない事態に、部隊が騒つく。

 

 オレだってそうだ。なにせ《純白毛の天角馬(ユニコーン)》はさっきまで普通に歩いていた。ルルカの言う通り、寿命だとしてもおかしい。ならば外傷によるものかだって、身体に巻き付いている植物(・・)以外、傷らしい傷も──

 

「植物?」

 

 意識してすらなかった。

 

 だってカンネビュラ大樹海は、文字通り樹木がひしめきあっている。だから、そこに生息する晶獣が体のどこかに植物をつけていたって、なんの不思議もないからだ。

 

 まさか。

 

 先ほどまでの晶獣の異常なまでの猛追。これが偶然じゃなくて、必然だとすれば。

 

 近くの斬った晶獣を詳しく見る。

 

 分たれた身体。そこの根を張るように筋肉や骨に纏わりつく植物。

 

 それも一体や二体じゃない。

 

 全て(・・)だ。

 

「植物……いや、まさか。そうなのか(・・・・・)?」

 

 嫌な予感に冷や汗をかく。

 ルルカが言っていた、晶獣の身体がこわばっているというのも、重要な情報だ。おそらく、晶獣どもはこの植物によって寄生されていた。

 

 そしてなぜ、オレがここまで焦るのかというと、心当たりがあるからだ。

 

 それも『リベリオン/戦禍の夜明け』の方ではなく、『シャヘル=シャレム/薄明の境界線』の方に。

 

 《改革》ルート。

 

 《革命軍》ルート。

 

 《人類の悪魔》ルート。

 

 メリスが選択によって変わる3つの未来(ルート)であるが、実はそこで厄介な輩が現れる。

 

 『三大罪人(シン・トリアス)』と呼ばれる、分岐するルートでそれぞれ立ちはだかる、最悪の輝征装(エアラリス)使い達の方だ。

 

 元々ルートによっては、《サイデリアル》や、《エニアグラム》が敵として登場する訳なのだが……この『三大罪人(シン・トリアス)』は史上最悪の犯罪者というのをコンセプトにした敵だ。

 

 その実力足るやBADエンドで『シャヘル=シャレム/薄明の境界線』の主人公であるメリスが死ぬのは勿論、《サイデリアル》も《エニアグラム》も敗北することすらある、正に大ボスと言っても差し支えねぇ。

 

 さらにその中の一人が、手口によっては晶獣すら操れるということを、オレは知っている。

 

「いや、だが……」

 

 口元を抑え呟く。

 

 今ウィルディたちにこのことを語った所で、結局憶測にしかならないのだ。

 

 そもそも『三大罪人(シン・トリアス)』という呼び名も、ゲームにおける攻略雑誌でそう呼ばれていただけであり、作中自体で呼ばれていた訳じゃない。

 

 実際、オレはこの名称をこの世界で生きていて聞いたことがない。

 

 それどころか、その存在の影すら掴めねぇ。だけど、存在しているとしたらそいつらは革命軍、帝国問わずに要注意人物なのだ。

 

 

 

 《人類の悪魔》ルートで、唯一メリスと行動を共にし、相棒と称しながらも最期はメリスに討たれた『戦争屋』、ジョゼ・ノーバディ。

 

 《革命軍》ルートで、人を人だと思わない機械との融合により、粛清と殺戮を尽くしたカエルム人貴族『機巧卿』、デクスギア・ティスゴードン。

 

 《改革》ルートで、統治領(コルニア)一つを丸ごと植物で多い尽くし、土壌を汚染した『悠久なる大自然』、カヤノスィノ。

 

 

 

 この中で最も可能性が高いのがカヤノスィノだ。

 

 奴の輝征装(エアラリス)は文字通り自然を、つまりは植物そのものを操る。そしてその応用で自らが植え込んだ種を発芽させることで晶獣を操ることが出来るのだ。

 

 今の状況と完全に一致している。

 

 だが仮にオレの憶測が正しいとして、カヤノスィノが今この場に現れる理由はなんだ? それがわからない。何せそれぞれのルート以外には、姿形も現さない三人なのだ。

 

 でも、オレは長年この世界で住んでいたからわかるんだ。

 

 こういう時って大抵悪い方向に予想が当たるってな。

 

 

 

 

「報告! 報告! 現在、パイオニア駐屯基地が突如として出現した巨大な植物と晶獣に襲撃を受けています! 守備隊は既に壊滅状態! 街も甚大な被害を受けているとのこと!」

 

 先に負傷者を抱え撤退した部隊から、オレたちに急な報告が伝えられたのはそれからすぐあとのことだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?(作者:鬼怒藍落)(オリジナル現代/冒険・バトル)

一般和風好き転生者VS曇らせと理不尽と絶望▼ファイ!▼カクヨムにも出します


総合評価:3685/評価:8.05/連載:42話/更新日時:2026年05月07日(木) 07:10 小説情報

ソル&ヴァルキリー:かませ騎士に転生した俺、破滅回避のため落ちこぼれヒロインを育成していたらいつの間にか天才と呼ばれてしまう(作者:マテリ-AL)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

全51話・約32万字/完結済み▼毎日20:18更新▼『ソル&ヴァルキリー 』。神の代弁者・魂導者(ソル)となり、戦乙女(ヴァルキリー)を空へ育て導くヒロイン育成系学園RPG。▼これは、そんなゲームの世界で、▼「戦乙女という空を飛べて広範囲殲滅魔法を使える存在がいるのに、騎士になる意味はあるのか……?」▼と考えてしまい、魂導者となったやられ役のかませ騎士、ルシ…


総合評価:5259/評価:8.34/完結:52話/更新日時:2026年05月09日(土) 10:18 小説情報

厄ネタヒロインたちとラブコメをすることになった(作者:灰鉄蝸)(オリジナル現代/恋愛)

「キミが好きだよ。だから殺すね」▼「あなたが好きです。好きなので洗脳しますね」▼「俺の死因多すぎるだろ…」▼異能バトルも伝奇ホラーもある世界で、バッドエンドの元凶になるような厄い美少女に好意を抱かれる――好意全開の金髪巨乳幼馴染み、ややホラーな超能力者の黒髪ロング同級生、彼女たちが引き起こす破滅の未来に巻き込まれる少年。▼愛が重くて、死の原因になる厄ネタヒロ…


総合評価:3917/評価:8.84/連載:33話/更新日時:2026年06月01日(月) 18:10 小説情報

家事代行先は闇堕ち寸前魔法少女の家でした~貧乏一人暮らしの俺は生活力を買われて内緒の焦れ甘同棲生活を始めることになる~(作者:水瓶シロン)(オリジナル現代/恋愛)

「ぎゅって、して……?」▼「構ってくれないと闇落ちしちゃうよ……?」▼ 高校入学を機に一人暮らしを始めた『御守望』は、青春を勉強とバイトに費やすような限界貧乏生活を送っていた。▼ 幼くして両親を失っている望が頼れる人は、田舎に住む祖父母くらいだが、なるべく負担は掛けたくない。▼ そのため、睡眠時間を犠牲にして死に物狂いで勉強することによって好成績を維持し、入…


総合評価:4265/評価:8.76/連載:79話/更新日時:2026年06月03日(水) 08:07 小説情報

夢現世界の災凶姫~Disastress in the Parasomnias~(作者:サッドライプ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

或いは異世界転移して閉じ込められた遺跡ダンジョンで意味深に封印されていた眠り姫を勝手に脳内彼女にしていちゃこらする妄想電波を毎日垂れ流していたら実は意識があったので全部聞かれていた話。▼「はい♪あなた様が言っていた恋人同士の睦み合い、全部ぜーんぶやりましょうね!!」「え゛」▼脱出不可能なダンジョンに放り出されてモンスターとバトるか可愛い美少女を眺めるかしかや…


総合評価:5548/評価:8.8/連載:41話/更新日時:2026年06月03日(水) 05:34 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>