代わりにといってはなんですが、明日も投稿します。
大きな被害を受けたパイオニア基地。
ウィルディは戦力の立て直しを図るべく、情報の収集に努めた。そして、知る。予想以上に事態は悪いということを。
「報告します。ガメツイ将軍は
ウィルディは確かに数少ない《
本来であれば次席が後を引き継ぐが、その人物らも一気に死亡したことにより、ここまで落ちたことが、上層部が軒並み壊滅したことになる。
事態の深刻さを物語る報告に、ウィルディは努めて冷静に問いかける。
「先ずは情報の整理だ。奴はどのように現れた?」
「は! 大量の鳥が発生。その後、奴等の運んできた種子や糞に紛れ込んでいた種が、急激に成長。あとは知っての通り、植物の大繁殖によって駐屯地の機能を破壊されました」
「あの時と同じ手段かッ……!
生き残った守備隊の話を聞き、ウィルディは苦虫を噛み潰した顔をする。
「何たることだ。指揮を取るはずの上層部が軒並みやられただと。これでは、軍としての体裁を保つことが出来ん。一度の襲撃でここまでやるか、カヤノスィノ」
「どうするのー、タイチョー?」
「どうすることも出来ん。駐屯地としての機能が半壊している以上、攻勢に出る事は出来ない。帝国へ連絡し、援軍が来るまで耐え忍ぶしかあるまい。至急、司政官とも連絡し人々を一か所に……」
矢継ぎ早に指示を出そうとするウィルディの元に、伝令が部屋に入って来る。
「報告がございます! 今現在、街の方で商人どもが騒いでます! どうやら多くの者が攫われたようでして……。しかもその多くが、パイオニア駐屯地に居たと」
「……つまり、いつも通り過度な接待が行われていた所を狙われたという訳か。ガメツイめ、厄介なことを」
上司に向ける言葉ではないが誰もそのことを指摘しない。全員、内心は同じ気持ちであったからだ。
「……死体は兵士たちしかなかった。つまり、連れ去られた可能性が高い。カヤノスィノは大樹海で待つと言っていた。このまま我々が動かなければ、それは今後大きな火種となる」
「しかし、奴の戦力は異常です! このまま無策で突撃しても絶望的です! 《サイデリアル》、それかせめて他に《
「わかっている! しかし、実際問題今現在近くにいる者はいない。質も、数も向こうが上、これでは勝てる道理はない。しかし、ここで人質を見捨てれば民からの信頼を失う! 否、それだけならともかく貴族からの反乱を起こしかねない!」
進むも地獄。退くも地獄だ。
更には此処は、《
何の手も打てずに《
それを防ぐには、やはり首謀者であるカヤノスィノを討つ必要がある。
だがそれが至難なことをウィルディは誰よりも理解していた。
「既に指揮系統はズタズタです! この状態でまともな攻勢などできるはずがございません!」
「それに、駐屯地の守りはどうするのですか!? 我々主力が出て行った所を再び狙われたら、今度こそ壊滅致します! そうなれば、先の襲撃以上の被害が街に広がります!」
「加えて、そのような事態になればこの機を革命軍が見過ごす訳もないかと」
精鋭であるバレットリガー隊は、精鋭であるがゆえに現状のまずさを理解できてしまっている。だからこそ、会議はから回る。
「タイチョー、どうするの?」
ルルカの問いに、ウィルディは答えられない。上官として、情けない姿を見せるわけにはいかないのに、状況があまりにも詰み過ぎていた。
「こんな時……姉上なら……」
ポツリと誰にも聞こえないくらい小さい声で呟く。
いつだって自身の憧れで、皆を導ける人だった。ウィルディはその背中をずっと見てきた。
そうなりたいと、思っていた。
でも、そんな姉はもういない。
会議は続く、どこまでも。時間がないにも関わらず、誰もが答えを出せないままに、熱意だけが先走っていた。
◇◇◇
襲撃が止まり、ひとまず駐屯地の被害を確かめるために部隊は別れた。オレもまた、駐屯地を見てまわっていた。
パイオニア駐屯地はもはや原型を留めていなかった。
ありとあらゆるところに草木が生い茂り、カンネビュラ大樹海とそう変わらない環境に成り果てた。違いは建造物が多少は残っているくらいで、いわゆる、
こんな状況じゃなきゃ、 諸行無常でも感じていたかもしれねぇがな。
「お? バレルじゃねぇか! 無事だったか!」
「……ゲドウ」
見慣れた禿げ頭を見つけ、声をかける。
これだけの被害を受けたんだ。顔見知りを見つけただけでもほっとする。バレルは、オレの顔を見るなり、わずかに破顔させるもすぐに顔を引き締める。
「すまないが、来てくれないか」
「あん? 唐突だな、別に良いが。てか、ライフとリグはどうした?」
「……」
バレルはオレの言葉に答えず、無言で案内する。
あぁ。
それを見ただけで、ある程度わかっちまう自分が嫌だ。
やがて案内されたのは、遺体安置所だった。
安置所と言っても、無事だった施設に遺体を集めたに過ぎない名ばかりの場所だ。そこには多くの遺体が無造作に寝かされていた。
そこでリグを見つけた。
リグの姿もぼろぼろだったが、それでも生きていた。問題は、リグが跪き嘆いていた相手。
「ライフ……」
見知った顔が、その命を終えていた。
「私を庇って……! ふ、ぐぅぅぅ……っ!」
「……多くが死んだ。奇襲に対処できずに、遺体すら残っていない者も多い」
ライフだけじゃねぇ。
多くの顔見知りが死んでいた。アニキ、アニキとライフといっしょに騒いでいた、バカな連中だ。だが、そんなバカな言葉すらもう聞くことができない。あいつらが口を開くことは、もうない。
アスデブリは捨て駒だ。
オレだってこれまでに同じような連中を何人も見てきた。だけどよ、こいつらはともに言葉を交わしたんだ。ともに寝食だってした。
仲間だったんだ。
「……」
これだけの被害を生み出したんだ。
これだけの顔見知り達が、仲間が殺されたんだ。
これらを見て、何もしないだなんてだせぇ選択をするだなんて。
「男が廃るよなァ」
「……どこに行く?」
「決まってんだろ?」
バレルの問いかけに端的に答える。
「ケジメをつけさせんだよ」
待っていろよ、カヤノスィノ。