【TS】兄だった人は姉になりました。   作:R884

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小さいハッピー見つけた日は。

LaLaLa~~~~~~~~~~~~~♪

 

「いや~、UTUMIの歌は最高だなぁ、このハスキーボイス痺れるわぁ」

 

文化学園長野高等学校2年生 塩入美幸(しおいりみゆき)17歳 バスケットボール部

 

最近の私はスマホにダウンロードしたUTUMIの曲をヘビロテして毎日聴いている、噂ではUTUMIはここ長野市の出身らしく何度か目撃情報がSNSに飛び交っている、どこかの高校の学園祭にも出たとか出ないとか、なんと羨ましい、私も会ってみたいな。

最初にミュージックセッションで見てから一発で彼女の大ファンになった、デビューした頃はあまりTVにも出なかったので残念だったけど、なぜか地元のワインのCMには出ていた、あの女神ってどう見てもUTUMIよね。

あの美貌は間違いようがないわ、最近では色々な音楽番組に出演するようになって色々な顔が見れてとても嬉しい。

最近流れるようになったコーヒーのCM、あれもデビュー曲と同じM-HOTOMIの作詞作曲でツインギターが凄いカッコいいんだよね、早く音源ダウンロード出来るようにならないかな。

 

 

 

部活帰りに、安いお弁当を求めてチャリを漕ぐ、運動系はどうしてもお腹が空くのよ、やはり値段で選ぶならデリシアよりラ・ムーか、あそこのお弁当は他と比べても安い、ちょっと味が落ちるのが難点だが、学生にとっては安さはなによりも正義だ。

あそこだったら余ったお金でデザートも買えちゃうから、ついつい足が向いてしまう。

あ、ラ・ムーと言っても菊池桃子じゃないからね、あ〜今の子は知らないか?お母さんの受け売りだから気にしないで。

 

ヴァボボ

 

出入り口横の駐輪場でチャリンコに鍵を掛けていると、ちょっと大きな音の白い車が駐車場に入って来た、最近はああ言う走り屋さんみたいな車も少なくなったよね。

 

バタン

 

何気に見ていると中から運転手さんが出て来た、わ、女の人だ、背ぇ高い。

 

「……綺麗な人だな、ん、ん、ンンン、えっ、あれ?」

 

自分の目を擦ってもう一度見直す、あれってもしかして。わ、当然だけどこっち来た。

 

「…………」

 

フンフンフ~ン♪

 

ハミング来ましたぁーーーっ!すれ違いざまに聞こえたハミング、あれ、キムタクの映画の主題歌だぁ、UTUMIご本人様確定!

ほ、本当に長野にいたんだ、わーわーわー!

でも、いざ本人を前にするとビビって声がかけられない気の弱い私、ジャージ姿だしどう見てもプライベートよね、白ジャージでちょっとヤンキーぽい姿なのに、あんなに綺麗なのって反則だわ!

 

「あ、もやし買ってる、やっぱ健康に気を使ってるのかな、今度はペヤング買ってる?ペヤング美味しいよね、私も好き、ついつい夜食に食べちゃう、あ、118円今日特売じゃん」

 

気づかれないように店内で後をつける、ふわぁ、買い物カゴ持って歩いていても様になってるな。愛する者の後をつけ回すストーカーになった気分。

 

「ん、卵売り場の所でめっちゃ喜んでる、私は卵は自分では買わないから分からないけど安いって真顔で呟いてる、198円って安いの?2パックも買ってるし」

 

今度はお弁当のコーナー、今日は唐揚げ弁当にしようかな、チラチラと横目で見ているとUTUMIはハンバーグ弁当を手に取って悩んでる、あ、戻した。え、100円のコロッケパン?あれ、安いけどチープな味するんだよね。

最後は本日特売のみりん、ホクホク顔でカゴには放り込む、お料理もするんだろうか?

 

「田中さん、毎度〜」

「お、姉ちゃん今日も綺麗だね、それにしても今日も特売品ばっかだな、給料多い所に行った方が良いじゃねえか?」

「最近は物価も高いからね〜、節約しないと貯金できないもん」

「そりゃそうだ、まぁ頑張んな」

 

レジの白髪混じりのおっちゃんと楽しげに話してる、あのおっちゃんは自分が話しているのがあのUTUMIって知ってるのかな?

あ、頑張ってって応援されてる、やっぱり知ってるのか。

 

「次の方どうぞ~」

 

あ、次私か。やばっ!何も買わずにレジ並んでた、白髪のおっちゃんに首を傾げられる。

私は慌ててお弁当コーナーに戻って唐揚げ弁当を引っ掴む、急げ!せめて一声だけでもお話ししたい!

 

あぁ、こう言う時に限って前の人の品数が多いのはなんでなの、あ~UTUMIが行っちゃう!

 

ヴァオン、ヴァボボ

 

外に出るとゆっくり走り去ってゆく白い車が視界に入る。

 

「あぁ~~~~~、行ってしまわれたぁ~」

 

駐輪場で膝をつく私に、知らないおばちゃんが大丈夫?と声をかけてくれた。大丈夫、ちょっとショックだっただけです、ご心配ありがとうございます。

 

 

「また、来るかな」

 

私はその日から、毎日ラ・ムーに寄るようになった。間食が増えて、おかげで2kg太った。

 

「毎度あり〜!」

 

ハッ、頭の中にレジのおっちゃんの声が!

 

 

 

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