【TS】兄だった人は姉になりました。   作:R884

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OH!アメイジング!!

人間が生きるうえで一番重要なのは(ラッキー)だ。

こればかりは努力でどうこう出来る問題ではない、まさに神のみぞ知るである。

 

今の世の中、何がきっかけで売れるかなんて、誰にもわからない物だ。

例えばある芸人の歌動画が全米のNo1アーティストの目に留まりSNSで絶賛される、次の日にはその芸人は

世界的な知名度を得る事になる、当然だがマスコミはそれに飛び付く。

朝の情報番組で大きく取り上げられ、日本中にそれを知らないと時代に遅れてると思うような報道がなされるのだ。

一躍時の人である。

 

ここにアメリカでも抜群の知名度を誇る女性ギタリストがいる、あのキングオブポップスのマイキージャクソンのコンサートでギタリストを勤めたことで全米にその名前を知られるようになった人物だ。

当時は超絶技巧派の彼女だったが最近ではブルージーな路線で活躍している。

 

ギタークイーン、その名をアリアンティ(40)と言う。

 

「アメイジング!!彼女のギターはめっちゃクールだわ!」

 

動画のアドレスと共にSNSでつぶやかれた彼女の言葉は世界中の彼女のフォロワーに拡散される。

そのアドレスにアクセスすると、ある日本の飲料メーカーのCMが再生されるのだ。

シンプルで薄暗いセット、スポットライトに照らされる二人の男女。天使と悪魔を連想させる意図があるのか、男の方は黒を基調とした服装、たなびくロングコートはマントのように見える、手に持ったギターも黒のテレキャスターだ。

対する女性は髪こそ艶めく黒だが、服装は白を基調とし、手に持ったギターは白のストラトキャスターだ。

 

LaLaLa~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪

 

ジャーーガッガガ!ジャカジャカジャカジャカ

 

セッションが生み出す音の広がり、男のバッキングに女のソロ、途中背中合わせでギターを弾く二人をゆっくりと舐めるよう回りながら写す映像、ソロパートで手元は忙しなく動いているが、それに負けない迫力ある歌声がガツンと心に響く。

 

LaLaLa~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪

 

最後に申し訳ないように商品名と社名が入る、これが無ければ一体何のイメージビデオかと思わせる、カッコ良さに100%振ったCM。

これは日本でも放映開始とともに話題になっていた。

 

「UTUMIマジでギター上手い!」と。

 

 

 

アリアンティの呟きは止まらない、遂には共演の希望までするようになっていく。

 

「日本のゼップで今週ライブがあるの、出来れば彼女と一緒に演奏したいわ、カモンUTUMI!」

 

 

 

ここで追い討ちをかけるように連鎖反応が起こる。

アリアンティのSNSに世界3大ギタリストとして有名なエリック・クリプトン(80)が呟いたのだ。

 

「彼女の歌声はジャニスのようなブルースを紡ぎ、そのギターはその白いストラトもあってジミを思い出した、感動して思わず号泣してしまったよ」

 

エリック・クリプトンの呟き。これにはアメリカだけじゃなくロックの本場イギリスでも反響が凄かった、CMの再生回数は天井知らずに上がる。

世界中がUTUMIの存在を知る事になった。まさに運を掴んだのだ。

 

 

そしてこのタイミングでアリアンティが来日する、テンガロンハットを深く被り大きなサングラスにブロンドの長い髪、薔薇柄の服にロングブーツ、黒人のごっついSPをゾロゾロ引き連れて芸能人オーラ全開である。

 

「相変わらず、トーキョーは醤油臭い国ね」

 

アリアンティがサングラスをずらしながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピロ〜ン♪

 

「らっしゃいませ〜」

 

「ペンパイナッポー♪おっと、唐揚げ君1個増量中じゃん、後で買ってこ〜」

 

深夜のコンビニをうろつくジャージ姿の女、こんな姿をどっかの誰かさんに見られたらまた説教されるだろうに。だってジャージは楽なんだもん!雑誌コーナーで足を止めニヤニヤと立ち読みを始める。

 

「おぉ、この姉ちゃん乳デカい、俺より大きいな、じゃあ肩凝るよな」

 

最近肩が凝るようになった原因をそっと持ち上げる、昔のように素直におっぱい大きいのを喜べなくなった、男の夢を返せ。

 

「うん、重い、やっぱこれが原因だわ」

 

プレイボーイ(買うんかい!)とストゼロ2本をカゴに放り込むとレジに向かう。

徹夜明け、ちなみに帽子もサングラスもかけてはいないスッピンである、目の下にはちょっとクマが、まぁそれでも十分綺麗ではあるのだが。

 

 

「唐揚げ君を2個、それと肉まんを1個くださるかしら」

 

(さりげなく妹の春夏の分も買って一緒に太らす計画だ)

 

ピッ「レジ袋は入りますか?年齢確認お願いします」

 

このコンビニまだセルフでは無いのだ、この先のセブンは年の初めにセルフレジになった。セルフレジって店員立ってる意味あるのか?おばあちゃん困ってるだろうが、やってやれよ。

 

「持ってるから大丈夫よ、ポチっとな」

 

年齢確認のボタンをタップ。商品をエコバッグに詰め込む、だから店員がやれよこの作業。

 

「ありやっした〜!」

 

ピロ~ン♪

 

 

店を出た途端に手に持った袋に手を突っ込む、肉まんの温かさが嬉しい。

 

パクリ「うん、美味い!肉まんの季節だねぇ」

 

バタン、ヴァボボ

 

 

 

コンビニ店員が去って行くジャージ姿の女性を目で追いながら、首を傾げる。

 

「まさかね〜?」

 

芸能人のオーラとは…?

 

 

 

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