【TS】兄だった人は姉になりました。   作:R884

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グルーブ魂

ドパラッ!ドパッ!ズドンドンドン!!

 

ベキョベキョベキョベキョ!ボムッ!

 

頭ツルツルの黒人ドラムが重低音のリズムを響かせると長身のベースがボムボムとそれに続く。ヒュー、流石世界レベルだ、良い音出すなぁ。

スポットライトが中央に立つ私達を照らせばライブのスタートだ。

 

 

ヴギャあぁーーーーーーーーーーーーーーーー~!!!!!

 

アリアンティとUTUMIにスポットが当たる、それだけで悲鳴のような歓声が上がる。

二人で目配せ、お互いニヤリと笑みが溢れる。

 

ジャージャジャ、ジャ!ジャージャジャ!

ジャージャジャ、ジャ!ジャージャジャ!

 

1発目、挨拶がわりのオープニングナンバーはホワイト&ブラック、誰もが知るメジャーな曲のイントロに観客が沸く。

 

 

 

 

 

UTUMIと私のギターの音が綺麗に重なる、鳥肌が立つような衝撃、映像で彼女のテクニックは知っているつもりだったが、こうして隣で生で弾かれると全然迫力が違う、これなら私も遠慮なく本気で行ける!

 

ジャージャジャ、ジャ!ジャジャジャ!

 

LaLaLa~~~~~~~~~~~♪

LaLaLa~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪

 

「……OH!」

 

隣で歌い出したUTUMIに一瞬で魅了される。

何よ、このUTUMIの声、普通声を大きく出そうと思えば苦しそうになったり、ピッチが外れたりするものなのに、この楽器の大音量を凌駕する声量、シャウトするでもなくどこまでも自然に伸びる声、この娘の本当の武器はギターなんかじゃない、この声なんだわ。

集まったオーディエンスが私達のツインギターに、ツインボーカルに、初めてのグルーブ感に心が歓喜する。

本当に彼女にはずっと驚かされてばかりだわ。

 

LaLaLa~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪

 

ジャーーガッガガ!

 

キャァーーーーーーーッ!!

 

続けてUTUMIのCMで流れている曲。

あのCMで見た映像のように互いの背中を預けて二人でギターを掻き鳴らす、今日の私は指が凄く走ってる、あぁ、なんて楽しい、この時間が永遠に続けばいいのに。

日本に来てUTUMIに会えて本当に良かった。

 

UTUMIと弾くのは2曲だけと予定していたのに、結局10曲全部、一緒にセッションしてしまった。彼女は耳もいいのね、バッチリ私に合わせて来たわ、あっという間の2時間が過ぎて行く。

 

ジャジャン♪

 

「「センキュー!!アイラブ、ジャパーーン!」」

 

ヴギャあぁぁーーーーーーーーーーーーーーーー~!!!!!

 

UTUMIと一緒にステージから手を振る、観客は正直ね、こんなに盛り上がったライブは久しぶりよ、そしてこんなに残念なのも、日本でしか彼女と演れないと思うと喪失感が凄い、私もうアメリカに帰りたくない気分だわ。

これがUTUMIロス?このまま彼女との関係を終わらせるわけにはいかない、思わずマイクを取った。

そうよ、一緒にツアーを回れば良いのよ、全米ツアーなら彼女も喜んでくれるはず。

 

「ヘイ!UTUMI、貴女アメリカに来なさいよ、私と一緒に全米ツアーを回りましょうよ」

 

ステージ上、マイクでで彼女に呼びかけるが、一瞬キョトンとした顔をすると彼女はペコリと頭を下げた。

 

 

「ごめんなさい、私まだパスポート持ってないのよ」

 

「ファッツ?」

 

「チョット、ナニイッテルカワカラナイ」

 

 

 

 

次の日、ネットニュースのトップを飾ったのは。

 

昨夜ZEP!ダイブシティ東京で女性ギタリストの代表格アリアンティの日本ライブが行われた、そのゲストに最近日本で話題のUTUMIが急遽参加した、二人の女性ギタリストによる超絶技巧・豪華なステージが繰り広げられ観客を大いに沸かせた。ラスト、アリアンティがステージ上で自身の全米ツアーにUTUMIを誘うが。

 

“UTUMI、世界のギタークイーンの誘いを断る!理由はまだパスポート持ってないから。”

 

これにはアリアンティも詰めかけた観客も呆然としていた。

日本人アーティストとして世界に羽ばたけるチャンスなだけに残念に思う。

 

 

 

 

 

 

「ワァーハハハハ!バッカでぇ!パスポートぐらいすぐ取れるだろ」

 

「うるさいな、あんま笑うなよ、俺まだ飛行機にも乗った事ないんだぞ、外国だって行ったこと無いし、パスポートの取り方なんて知らないわ!それに英語はちょっと苦手なんだよ」

 

日本の英語教育ってもう50年も前から学校でやってるのに、なんでこんなに英語を喋れる日本人が少ないんでしょうね。

(ちなみにUTUMIはお母さんが小・中学と英会話を習わせたので会話はなんとかなるんですが、書くことが苦手なので英語の成績は微妙で苦手意識があります)

 

「フフフ、藤崎くんもそんなに笑わないであげて、内海くんが可哀想よ、プフ」

 

丸山もちょっと笑っとるぞ。

 

「え〜ん、丸ちゃん先輩ぃ!藤崎がいじめるぅ!」ダキッ

 

「うへへ、よしよし♪」ナデナデ、サワサワ

 

「コラコラ」

 

大好きな内海に抱きつかれ丸山は幸せな一時を噛み締める、だが、手つきがやらしいのが君のダメなところだぞ。

 

 

 

ちなみに作者もパスポートは持ってない、取得するには県庁に行けばいいらしいよ。知らんけど。

 

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