内海
トゥルルルルル♪
「あ、兄さん、ご無沙汰しとります、
「おう敏夫か、本当に久しぶりだな、元気だったか」
「はは、今じゃ会社も若いもんに任せて半分隠居状態ですよ」
「そうか、それで、どうした?なんかあったか」
「いや、ウチの娘が歌手なんて目立つ事やり始めまして、下手すりゃ兄さんの所にも雑誌や新聞が取材に行って迷惑かけるかもと思いまして」
「ほぉ、あの子ももうそんな年になったか、確か春夏…ちゃんだったかな、
「いやぁ、お恥ずかしい、では何か取材の電話とか来たら適当に受け流してください」
「まぁ、お前の娘には幼稚園の頃に会ったきりだから、取材って言っても話せる事は別に無いからなぁ、じゃあ
「そうだ、兄さんってまだカローラ乗ってます?ちょっと仕事で普通車を使いたいんですけど俺の軽トラとしばらく交換してくれません」
「あぁ、あんなボロでよけりゃいつでもいいぞ、最近は歳のせいか視力も落ちちまってあまり乗ってないしな」
ガチャ
「ふぅ、兄さんの所はこんなもんで良いか」
しかし兄さんには、俺のカミさんの印象が強いから問題なさそうだな、あのスケベめ、まぁ
元々、
問題は学校関係だが、あいつ昔から目立つ奴だったから心配だけど、性別変わってるし大丈夫か?
まぁ、国の方で用意してくれた戸籍はデタラメも多いから、そうそう
なんだこの双子で片方は病弱でずっと入院生活が長かったって設定、御涙頂戴か!逆に笑えるわ。
あ、一応兄は死んでる設定だから、位牌とか用意しといた方がいいんかな。
内海
ウチの高校でお兄ぃが兄だった頃を知っていて見ているのは竜太と陽子ぐらいだ、他は全員姉になってからしか会っていないから問題はない。そう考えると現代社会は人間関係が意外と浅いな、私の小・中学校の友達にお兄ぃの事カッコいいとか抜かして奴もいたけど、あいつらまで取材される事はないだろう。今回身バレしたのってワイン会社のCMからだしね。
「陽子、お姉ちゃんのことは」
「安心なさい、お姉様の秘密をバラすようなヘマはしませんわ、父もお兄様時代は知りませんしね」
「竜太」
「馬鹿にすんな、いずれはお義姉さんになる人に失礼なことはしないよ」
「竜太♡」
「お義姉さんには胸も見せてもらった恩もあるしな」
上げて下げやがったなコイツ、私の感動を返せコラ。
長野赤十字病院 心臓血管外科 月岡
長野赤十字病院2階ナースセンター。
「月岡先生、2番にお電話入ってます」
ナースセンターで若いナース達と雑談していると電話を回される、基本的にこの病院で私に電話が来ることはないのだが?
首を傾げつつ、受話器を取る。
「はい、心臓血管外科の月岡です」
「お忙しいところすみません先生、実はご担当されている患者さんについてお聞きしたく」
「あぁ、医者はそう言ったプライバシーについては答えられませんので」
「いや、一つだけでいいんです、UTUMIと言う患者の…」
う〜ん、内海さんめっちゃ芸能人しちゃってるから、こう言う手合いも出てくるか、可哀想に。
「それ以上はやめておいた方がいいですよ、この番号も上に報告しますのでご注意ください」
「えっ、ちょっとそれって…」
ガチャン
「……」
「先生?」
「あぁ、保険の勧誘でした、まったく勤め先にまで困ったものです」
この2日後、いくつかの雑誌の編集長が会社を解雇される、その後その編集長を見た者はいなかったと言う。
この日本にも覗いてはいけない闇は当然ある。UTUMIの場合は国の保護対象者とされている為、一般人よりは厳重に守られているのだ。オカルト雑誌ムーはその点世間の信用度が低いので見逃される事があるようだ。
ある建築会社にて、事務の眼鏡美人のお姉さん。
「内海さんですか、えぇ、知ってますよウチの会社のチラシとか作ってもらってますから」
「カッコいいですよね〜、宝塚の男役って雰囲気で、私なんて冗談でも口説かれた事あるんですよ」イヤ〜ン
「あんな美人なのに工務店の人にも愛想良いし、事務の子にも何人かファンがいますよ、実は我が社の社長もファンですね、●●建設ですよろしくお願いします」
「ほら、このチラシも内海さんが作ってくれたんですよ、見やすいでしょう!ほらほらよく見て」
広告代理店K部長
「娘が学園祭のパンフレットを作った縁で知り合ったんです」
「だから彼女のデビューのきっかけは娘の学校の学園祭かもしれません(笑)」
「凄く仕事が出来る印象でしたね、ウチで依頼したCMにも二つ返事で企画・出演してくれて「やったー」って思いましたね」
「えぇ、企画からです、彼女はデザイン事務所に勤めているわけですから」
「スポンサーからの評判も良いですよ、でもあれだけ有名になってしまうと、もう前のように気軽には仕事が頼めませんね(笑)」
「あぁ、娘は一般の高校生なので取材はご遠慮くださいね」
「いや、うちも広告を扱う関係なので色々伝手はあるんで、やだなぁ、脅しじゃありませんよ、脅しじゃ…」
作曲家
「UTUMIちゃんね、あの
「人間としてどこか不自然と言うか、あの声だって不思議だよね、別に凄い高音が出るわけじゃないのに、ホールの隅々まで声が通って聞きやすい、とにかく迫力があるんだ」
「ほら、いるじゃん、誰の歌でもオリジナルより上手い歌手って、あの
「音感が良いからギターも上手いけど、1番の魅力はあの声だよね、また一緒に仕事がしたいなぁ、あの主題歌を作った時からイメージ湧きまくってるんだよね」
爆風スタンプ仲野
「えっ、この前のM-HOTOMIさんのライブ?」
「あぁ、あれね。UTUMIちゃん本人に誘われちゃったんだ、そしたらオーケストラみたいに豪華なギターをバックに武道館の玉ねぎ歌えって言われて、まいっちゃったよ〜」
「そうそう、UTUMIちゃん、僕の大ファンなんだって、そこはちゃんと記事にしといてね」