【TS】兄だった人は姉になりました。   作:R884

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モテる女は辛いぜ

アミュズプロダクションの中山が自分のデスクで資料を読んでいると、部下がファイルを抱えて部屋に入ってきた。

 

「おう、ご苦労」

 

中山が部下に頼んでいた調査の報告だとわかった時点で笑顔を見せる、その笑顔に部下が若干引いているのはご愛嬌。

 

「UTUMIのアンケート結果はどうだった?」

 

ここ最近はCM効果やアリアンティの件など話題に欠かないUTUMI、中山は世間の反応を改めて文字や数字で実感するために調査を命じていた。

 

「いや驚きましたよ、こんなにすんなり結果が出るとは思いませんでした」

 

部下がファイルを机に広げながら説明を始め、中山も真剣に資料を見つめる。

 

「このファンの男女比率は合っているのか」

 

「はい、男50%女50%であっています、どう言う事でしょう?」

 

普通女性アーティストのファンは7対3の割合で男性ファンの方が多い、その逆に男性アーティストは女性ファンが多くなる事が通常だ、そう考えると5対5の比率は珍しい結果と言える。

 

「このファンの年齢比率も面白いですよ、男性のファンは中・高生の若年層と年配の中年層が多く、女性ファンは中年や同年代にも好意的に捉えられていますが、圧倒的なのは男性と一緒で中・高生の若年層なんです」

 

「ふむ、UTUMIの25歳と言う年齢を考えると確かに面白いな」

 

「アンケートの声がこちらです」

 

ペラリとページを捲る中山、びっしりと書かれたアンケート結果に目を通すとニヤリと笑う。

 

・とにかくUTUMIお姉様はカッコいいのよ

・なんか惹かれるの、私今までは女にときめいたことなんてなかったのに

・私UTUMIとだったら結婚しても良いわ

・まるで宝塚のトップスターを見る気分になるのよ、あんなに女性的なのに不思議よね

・あの声は性別を超えてるわ、天使に性別はないのよ

・声が色っぽいのに凄い声量なのよね、ゴスペルみたい

 

まだそれほど知名度が無いにも関わらず女性ファンからは非常に好意的に思われている、UTUMIはどこか男っぽい所がある所為か女性に反感を買うことが少ない、男性ファンにはそこが魅力になっている感がある。

 

・家の姉貴と交換して欲しい

・綺麗なお姉さんを嫌いな男なんていませんよ

・姉御って感じで引っ張ってくれそうなんですよね

・あのスタイルと色気は若造には出せない

・踏まれたい、罵って欲しい

・あのサビの部分の迫力はゾクゾクする

なんだ踏まれたいって、よくアンケートで自分の性癖晒したな。

 

「この結果面白いですよね、批判とか悪意が凄く少ないんです、匿名アンケートだともっとそう言う意見が出るのが普通なんですけどね、この“あのスタイルと美貌はずるい”ってこれ褒めてるだけですよね」

 

「この女子高生の声は、まるで恋する乙女だな、雑誌のモデルに対しての憧れとは少し違うな」

 

中山にとってこの調査結果は非常に悩ましいものになった、そりゃ社長にももっと出演を増やせとせかされるのも納得だ、まさに今が売りのタイミングなのだ。

 

「でも、UTUMIって基本的に週末しかウチの仕事受けれ無いんですよね、勿体無いなぁ、仕事のオファーなんてひくて数多(あまた)なのに」

 

「言うな、さっき社長にも言われたよ」

 

 

 

 

 

 

 

内海がこのミュージックセッションに出るのはもう3回目になるだろうか、この番組は収録が土日のどっちかが多いので週末アーティストとしては出演しやすいのだ。

 

「今日の朝は寒かったな、昨日は志賀高原で雪が降ったってニュースでやってたもんな、そりゃ気温も一桁になるっての、もうスタッドレスタイヤに履き替えるかな」

 

今日はソロでしかもアンプラグドなので一人寂しく駐車場の喫煙所でボッチ煙草をふかしていた、中山さんはTV局の人に捕まっている、そんな俺の前に1台のミニバンが目の前で止まった。

 

「UTUMIお姉様!」

 

ガラリと開いたドアの中から勢いよく出て来たのは確か椿坂46のセンターを務める松田由莉奈(まつだゆりな)ちゃんだった、煙草の匂いつくから近寄らない方がいいよ。と思っているがお構いなしに勢いよく迫って来る。

 

「UTUMIお姉様も今日のミュージックセッションですか!ご一緒出来るなんて光栄です」

 

「お、おう、えっと松田ちゃんも?」

 

「お、お姉様に私の名前を覚えて頂けてるなんて凄く嬉しいです!」

 

この娘、どこか陽子ちゃんに感じがそっくりだよな、女になってからの方が女にモテるのは複雑な気分になるけど、今の所男には興味ないからいいか。煙草を灰皿で揉み消すと松田の頬に手を添えながら顔を近づけると口を開いた。

 

「松田ちゃんみたいな可愛い子忘れるわけないだろ」

 

UTUMIの美しい顔が松田の視界いっぱいに広がる、まつ毛長ぁ!

 

「キュン死しそうですお姉様ぁ〜」

 

顔を真っ赤にしてそう呟く松田ちゃん、やっぱアイドルだけあってスッゲェ可愛いよな。

 

「ああ~ーーーっ!由莉奈、何UTUMI様と見つめあってるのよ!」

 

その現場に割り込んで来たのは、え〜と松田ちゃんと同じグループの山口ちゃんだったよな。

君達未成年なんだから喫煙所に用はないでしょ。なんで集まって来るのよ。

 

「何よ結衣、いい所なんだから邪魔しないでよ」ガルル

 

松田ちゃんと山口ちゃんが睨み合う。

 

「まぁまぁ、松田ちゃんも山口ちゃんも仲良くする、同じグループでしょ」

 

「UTUMIお姉様、結衣と私は違うグループですよ」

 

「UTUMI様、私はakbですけど、由莉奈は椿坂です」

 

あれ?そうだっけ今のアイドルって同じような名前が多くて覚えづらいんだよ、◯坂だの◯kbだのいくつあるんだよ。

 

「あぁ、ごめんごめん、私可愛い子の顔だけで覚えてたから間違えちゃった」テヘ

 

「「UTUMIお姉様♡」」

 

良し誤魔化せた、乗り切ったぞ!(浮気がバレた時の二又男かこいつ)ん、誰か来た。

 

「UTUMIさ〜ん、リハの準備OKです!そろそろお願いしま〜す」

 

「あ、は〜い、すぐ行きま〜す!じゃ、松田ちゃんも山口ちゃんも今日はお願いね」

 

タッタッタッ

 

 

ハァ〜

「「UTUMIお姉様♡カッコいい〜」」

 

キッ

「「今日は負けないから!!」」

 

残された二人が睨み合う、視線の火花が飛び散る。グループにとって良い刺激にはなっているようだ。

でも未成年の二人が喫煙所でたむろしてると変な誤解を生むぞ。

 

 

 

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