【TS】兄だった人は姉になりました。   作:R884

59 / 59
開幕

トゥルルルル、カチャ

 

「はい、スタジオエムです」

 

「あ、UTUMIちゃん!ようこおばちゃんだよ、見たよYouTube、やだな〜、あんなに色々歌えるんなら最初に言ってくれないと〜、アイディア湧き出て困っちゃうよ。それで今度の曲はソウルフルなのとジャズバラードどっちが良い?春アニメで1曲頼まれてるんだけど迷っちゃてさぁ」

 

会社の電話に出てみれば菅野(すがの)よう子さんからだった、相変わらず元気なおばちゃんだなぁ。

 

「は、はぁ。何故、その相談を私にするんです」

 

知らないよ春アニメなんか、仕事だったら中山さん通せよ。

 

「え、だってまた()ろうって約束したじゃん、紅白はHOTOMIさんの曲だって言うから私は我慢したのよ」

 

「社交辞令って知ってます?私今、年末の仕事が忙しいんですよ」

 

「もう、我が儘だなぁ、しょうがない、じゃあデモ作って送るからちゃんと聴いといてね」プチ

 

「……………」

 

 

「お〜い、内海、このデータ印刷に回しちゃって良いのか」

 

「あ、あぁ、お願い藤崎」

 

うん、俺は真面目に仕事しよう、人間最後は真面目に生きてる奴が勝つんだ。

きっと。

 

 

まったく、ようこさんの曲だって紅白のトリで福山さんと()るでしょうが、才能ある人ってのはどいつもこいつも自己中なんだから。

 

あ、やべえ、夏元さんに頼まれたイラスト仕上げないと印刷間に合わねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなであっという間に、12月31日水曜日

 

ヒュ〜

 

「ウヒィ、寒っ!」

 

地獄の年末進行のお仕事が終わり、最後のデータを印刷所に送り終えた俺は眠い目を擦りながら東京駅に降り立った。(年明けすぐに印刷するデータに修正が入ったのだ)マジでもう休みたい、新幹線は寝心地良かったのが救いだった。

しかし、今の日本は暑いか寒いかしかないん?ちょうどいい気温とかないんかい!まぁ、長野よりはマシなんだが今日は服装が薄着なんだよな、東京は風がちべたい、めっちゃ寒いわ。

うん、駅員くん毎度お出迎えご苦労、あ、鞄持ってくれるの、今日はギター2本だから重いよ、ありがとうね。

 

 

 

タクシーに乗り込み目指すのは国営放送ホール、今夜のライブ会場だ。

 

 

国営放送ホールに到着すれば、中山さんが玄関先で出迎えてくれる、あれ、夏元さんまでどったの?

 

「おせえよ、前日入りぐらいしろ。こっちは色々打ち合わせがあるんだよ」

 

そうか俺トップバッターだしプロデューサーとしては言っとかなきゃいけない注意事項も多いだろうな。前回のリハは欠席しちゃってるしな。

 

「他のメンバーの方々はもう、楽屋入りしてますよ」

 

「え、マジで。だって番組始まるの夜じゃん、まだ昼前だよ、気が早くない」

 

 

 

ガチャ

 

「おっ、忘れずに来たな、偉い偉い♪」

 

夏元Pに小言と愚痴を聞かされ、楽屋に行けばジャーさんがギター弄ってた、失礼だな、あれだけ春夏に念を押されれば俺だってちゃんと来ますよ。

 

 

ボッボボン

「HOTOMIさん、エフェクターこれで良いですか?」

 

「ん、ベースは光ちゃんの好きにして良いよ」

 

HOTOMIさんと光さんが俺に気づかず打ち合わせしてたので声をかける、光さん今日も可愛い。

 

「ちぃ〜す、UTUMI参上です!」

 

「「あ、ちゃんと来た」」

 

こいつら〜、さぼりゃ良かったかな。あれ?ドラムの神保さんは?

 

「あぁ、神保さんはまだ来てないよ、私達は待ちきれなくて早く来ちゃっただけだから」

 

「なんだ〜全然遅刻してないじゃないですか、私、夏元Pに遅い!前日入りしろって言われたんですけど」

 

「「まぁ、UTUMIはなぁ〜」」

 

何その俺が問題児みたいな表現は?こんな真面目でまともな人間なのに。

 

「じゃあ、UTUMIもちゃんと来たし、神保が来たら音合わせでもしとくか」

 

「えぇ〜、本番まで休みましょうよぉ」

 

こっちは徹夜明けなんですよぉ。

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年紅白歌合戦

 

19時20分、番組の始まりを告げるファンファーレと共にステージに一斉に飛び出す20人の少女達。

 

ステージの左右に並び立つのは夏元に選ばれたakbと椿坂の選抜メンバーだ、予想外の演出に観客がざわめく。

 

「あれ?トップバッターはUTUMIじゃないの?」

「オープニングアクトにakbと椿坂を使うのか!なんつー勿体ない使い方!」

「えっ、今年って乃木坂以外は落選してたんじゃ」

「akbはこの前追加発表あったぞ、OBメインでやるらしいけど」

 

 

司会の綾瀬はるかと有吉がステージ中央に現れるとマイクを持った。

 

「さぁ、2025年紅白歌合戦、開幕です!!、オープニングダンスはakbと椿坂の選抜メンバーの皆さんです!」

 

ドンッ!!

 

20人の完璧に揃ったキレキレのダンスパフォーマンスが始まった、その間にアナウンスと共に出演者がステージに登場してくる。

 

 

 

「凄ぇ、完璧じゃん!いつもよりダンスのキレ良くねぇ、K-POPにも全然負けてねぇよ」

「違う2グループ合同なのに息ピッタリ、カッコいい!」

 

ステージ上では乃木坂のメンバー達が、キレキレのダンスを踊る選抜メンバーを見て心の中で叫ぶ。

 

「ちょっとぉ、アイツらどんだけ気合い入れてるのよ、私達の時はどうすんの!見劣りしちゃうじゃない!」

 

 

ダンス中の椿坂の松田由莉奈(まつだゆりな)とakbの山口結衣の目があう。

 

「フフ、いつも40人ですら動きを合わせて踊れるグループなのよ、選抜された10人でなんか簡単すぎるわ、ねぇ松田!」

 

「ふん、負けないわよ、私の方が会場を沸かせて見せる!」

 

二人は夏元に言われた言葉を思い出す、「お前達の役目はオープニングで出来るだけの視聴率を稼ぐことだ、日本全国のお茶の間でチャンネルを紅白に変える時間を稼ぐ、その為の選抜メンバーだ、日本中が注目してる、気合い入れていけ!」。

 

アイドルなんぞ注目されてナンボの世界、こんな美味しいポジション完璧にやり切ってみせると、二人のテンションは最高潮に達する。

オープニング、会場はまだ温まっていないがその場を盛り上げる重要な役目だ、これでトップバッターのUTUMIは会場が盛り上がった状態で演奏を始めることが出来る。

 

ダダンッ!

ウワァーーーーーーッ!!

 

 

開始10分、会場の熱気がグングンと上がって行く、今視聴率を調べたらきっとパーセンテージが跳ね上がっている最中だろう。

 

「「「ありがとうございました!!」」」

 

ダンスメンバーが一斉に頭を下げ挨拶すると再び綾瀬がマイクを持った。

 

「凄かったですね〜、akbと椿坂の選抜メンバーの皆さん、素敵な応援ダンスを紅組の為にありがとうございました、それではお待ちかね紅組のトップバッター!UTUMIさんに歌ってもらいましょう!!」

 

 

「「「うおぉーーーーーーっ!!」」」

 

 

 

今日の役目を終えた松田達が舞台裏に下がる。

 

UTUMIお姉様が私達の横を通り過ぎる瞬間に目が合うとニコリと微笑まれた、思わず笑みが溢れる。

 

「会場は盛り上げときました、後はUTUMIお姉様におまけせします、思う存分やっちゃってください!」

 

ダンスを終えた椿坂とakbの選抜メンバー達とすれ違いざま次々ハイタッチして行くUTUMI、その仲良さげな光景に歓声がさらに大きくなる。

夏元がステージ裏でニヤリと笑った。

 

 

ウワァーーーーーーッ!!

 

 

「松田ちゃん達が会場を盛り上げてくれたせいで凄くやり易い、これに応えなきゃ男じゃないよね」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

夭折した天才漫画家だけど、転生したらTS美少女だったから勝手に続き描く(作者:匿名TS美少女)(オリジナル現代/日常)

夭折した天才漫画家が転生して続きを書く話。


総合評価:2769/評価:7.38/未完:17話/更新日時:2026年03月03日(火) 12:04 小説情報

ロマン職は異世界から帰りたい(作者:庶民ザウルス三世)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

これが絶対浪漫の力だ!▼人は夢を見る。▼そして、効率よりも自分の“好き”を信じて、浪漫を追いかける者たちがいる。▼ソロ専、人見知り。▼だけど、クリティカルが決まった時の一撃だけは誰よりも重い。▼そんな趣味全開のロマン職キャラを愛した男は、課金帰りの事故をきっかけに、ゲームで使っていた女性キャラ――ラシア・ラ・シーラとして異世界で目を覚ます。▼しかも、レベルも…


総合評価:4233/評価:8.65/連載:91話/更新日時:2026年05月26日(火) 07:11 小説情報

TSエルフ、赤ん坊を拾う(作者:面相ゆつ)(オリジナルファンタジー/日常)

ちょっとした事情で故郷を離れたTS薬師エルフさんが森で赤ん坊を拾って子育てやら何やらでわちゃわちゃする話。▼


総合評価:4379/評価:8.82/連載:35話/更新日時:2026年05月24日(日) 08:37 小説情報

朝起きたら猫耳の美少女になっていたが、肉球が邪魔でスマホのロック解除すらできない(作者:灯火011)(オリジナル現代/コメディ)

おっさん、現代社会でTSして獣人(手足耳が猫で他は人間)になる。▼一話だけ、と思いましたが感想と評価が付いて嬉しかったので、ぼちぼち継続します。


総合評価:2962/評価:8.55/連載:24話/更新日時:2026年02月27日(金) 21:02 小説情報

強化人間がTSしたら魔法少女が戦う世界でメカ美少女になってました(作者:Yura0628)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ミサイルの爆発に巻き込まれた強化人間イーグル1。目覚めた先は、魔法少女が戦う過去の地球だった…!▼自身の体が女性に成っている事に困惑しつつ、元の世界に戻るため、イーグル1は魔法少女として戦う事の対価に、この世界の組織に協力を取り付ける。だが、襲いくる強力な魔獣を相手していく上で、身体的損傷を許さざるを得ない状況に追い込まれ…彼女に救われた魔法少女達は、目から…


総合評価:1868/評価:8.5/連載:37話/更新日時:2026年05月09日(土) 11:11 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>