【TS】兄だった人は姉になりました。   作:R884

62 / 73
蒲田行進曲のヤスって風間杜夫だっけ?

昨日の晩は、中山さんが国営放送ホールの真ん前のホテルを予約してくれたので非常に助かった、結局朝方まで飲んでいたのでホテルに着いた時には朝食の時間になってしまっていたのだ、流石に番組終わったらハイさようならとは社会人としてはいかないしね。そのおかげでHOTOMIさん達メンバーの皆んなと実に美味い酒が飲めた。

結果的にホテルには昨晩泊まる予定が朝になってしまい随分と迷惑をかけてしまった、いやどっかの世界的ギタリストが二人揃ってはしゃぐもんだから。(こいつが一番はしゃいでます)

う〜ん、せっかくだし代々木公園で散歩でもすればよかったかな?いや新年だし行くならお参りついでに明治神宮か?

 

結局仮眠しただけのホテル泊で、チェックアウトの時に受付の綺麗なお姉さんにまたもやサインを頼まれたので、似顔絵付きで描いて渡したらめっちゃ喜んでた、やはり全国放送は知名度が上がるんだな、紅白さまさまだ。昨日の居酒屋のお姉さんにも描いたし、サインの大安売りだな。(実は2枚しか描いてないけどな)

 

二日酔い状態で新幹線に乗り込めば、長野に着く頃には夕方になっていた。E7系新幹線マジで寝心地良い、普通席でこれならグランクラスの座席だともっと寝心地が良いんだろうな、今度中山さんに交渉してみよう、一度は乗ってみたい。

 

「ふわぁ〜、良く寝たぁ」

 

 

長野駅到着。

今日は須坂の実家に帰ることになっているので東口から駅を出る、長野駅東口から見える通り向かいにはコメダ珈琲長野2号店が去年出来たんだが、立地的に待ち合わせに便利だけどコメダって夏は冷房効き過ぎて逆にかき氷が食いづらいのが欠点だ、やはりかき氷は暑い所で冷たいのを食べるから美味いのだ。今は冬で寒いから食わないが。

 

「うひゃー雪景色じゃん。さて、タクシー乗り場ってどこだっけ?あ、階段の下か」

 

 

長野駅の東口、昨日の夜から降ったのか雪で世界が凄く白い、そして寒い、一応長野は雪国なんだよな、場所によってはほとんど降らなくなったけど、雪国だけど年々降雪量は減っているこれも地球温暖化かね?

昼までは東京にいたのでこのギャップに感心する。

お母さんに押し付けられた毛皮コートがこんな所で役に立つとは。コレ何の毛皮?やけに高そうだけど。

 

駅のロータリーに降りる階段もまだ雪かきしてないのか凍っているな、今履いてる靴はヒール高いからちょっと怖いぞ。

 

ザワザワザワ

 

「ねぇねぇ、あれUTUMIじゃない、長野出身って言ってたし絶対そおよ、あのスタイル、あの脚の長さは何!」

「本当だ、サングラスしててもあの美貌は全然隠せてない!」

「昨日の紅白凄かったよね、圧巻だった」

「マジでカッコ良い!サインもらえないかな?」

 

階段を降りようと一歩踏み出せば、下から登ってくる女子高生のグループが俺を見てヒソヒソと話しながら指さされる、あ〜、バレたかな、まぁ今日はウィッグで変装してないしな、でも人を指差しちゃいけませんよ。

まぁ、とりあえず笑顔で手くらい振っておくか、芸能人ぽく優雅に歩き出す。

 

「ハ〜イ!」ヒラヒラ

 

ズルッ

 

「あれ?」

 

「「キャーーーーーーーーッ!」」

 

「へっ?」

 

 

 

 

ピーポー、ピーポー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガサガサ

 

「お兄ぃ、はいこれ着替えね」

 

「春夏ぁ、いつも苦労かけてすまないねぇ〜、ゴホゴホ」

 

「つまらん小芝居をすな!!」

 

春夏に頭を軽く引っ叩かれた。相変わらずツッコミが上手い妹だ。

病院の面会室で春夏から着替えを受け取る、コロナ禍からこっち、病室での面会が出来ない病院が多い、ここ長野赤十字病院もその方針で営業中である。だから肉親といえど時間と場所が決められおり気軽には会えないのだ。

 

おかげでこうして車椅子に乗って待合室まで春香達に会いに来る羽目になっている、自分の脚を見ればギプスがまだ痛々しい。春夏と一緒に来た母さんが苦笑いで口を開く。

 

「それにしてもお兄ちゃんもドジねぇ、元旦早々に階段踏み外して骨折なんて、中山さんも新年早々予定が狂ったって言って嘆いてたわよ」

 

予定ってマジか、あの人今度は俺に何させようとしてたんだ?まったくどいつもこいつも。

大体が紅白出演で結構貯金出来たみたいだから、しばらくは芸能活動は控えようと思ってるんだけどなぁ。

 

「月岡先生は私を見て、このチャンスに色々検査しましょうって喜んでたけどね、ハァ〜、元旦早々に入院とは本当についてないわぁ」

 

俺が車椅子でガックシしてると春夏がニコニコとのたまった。

 

「まぁ、この所忙しかったし正月休みだと思ってゆっくりしなよ、入院費は心配しないでいいよ、保険も使えるしお兄ぃの通帳は十分潤ってるから」

 

「俺が稼いだ金だよね、それに仕事の方は昨日藤崎の奴がノートパソコンをお見舞いだって持ってきたんだよな、絶対あいつ病院でリモートで仕事さす気だぞ」

 

「でも芸能界は会社と違って脚が治るまでは休めるんでしょ、よかったじゃない」

 

「う〜ん、休めるのかな、菅野(すがの)さんやHOTOMIさんからは、デモ音源がメールで届いてるんだよな、あと、夏元さんからも、正月くらいちゃんと休め、本当売れてる人ほど行動力あるよな」

 

「「あ〜、それは…」」

 

春夏とお母さんが揃って苦笑いする、畜生ぉ人ごとだと思いやがって。リモートで入院中でも仕事が出来る時代が恨めしい。

 

 

実は今日はすでに1月4日になっている。

 

俺が長野駅で階段から転げ落ちた瞬間は、ちょうどその光景をスマホの動画で撮られていたらしく随分と正月のニュースに取り上げられたらしい、俺もその映像をスマホで見たが、チラッとパンツ見えてた。白いの履いててよかった、紅白の時に履いてた紫のじゃなくて。やっぱ白の方が清楚に見えるよね、お母さんにもらったレースの奴だけど。と言うか普通のギタリストの骨折の件をどれだけ全国ニュースで流すねん、速報でテロップ出た時は呆然としたわ、これが紅白の影響か!もし犯罪者になったら日本中どこに逃げても顔バレするぞコレ。

 

 

 

「「それじゃあ、またね」」

 

「は〜い、着替えあんがとね〜」

 

ナースセンター前のエレベーターに乗り込む春夏と母さんを見送る、後ろを向けば月岡先生がニッコリと笑って立っていた。

 

「はい、内海さん、今日は血液検査とMRIとエコー検査をやりましょうね♡大丈夫これも医学の進歩に必要なことですから」

 

月岡先生が実に楽しそうだ、俺が入院している間は貴重なTS病患者の生態を調べ放題だからな。

 

「休めねぇ〜」

 

 

 

それにしても兄から姉になってからこっち、本当に慌ただしい毎日だ、まさに人生が一変してしまった、ある日突然女になり妹の学祭行ってカラオケ大会参加、とんとん拍子で芸能界デビュー、世界的ギタリストや作曲家と仲良くなって、音楽番組や紅白にも出た。

う〜ん、まるでラノベの主人公だね。

 

 

そして新年早々、入院生活を余儀なく送るハメとなってしまった。実についていない、トホホ…。

 

 

 

第1章 完

 

 

 





とりあえず第1章完結となります、ここまで読んで頂きありがとうございます。第2章 はどうしましょうかね、ストックないからペース下げるか、書き溜めてからにするか悩む。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。