「お〜い、内海、
「へっ、母さんが」
事務所で諸橋さんの会社のチラシをデザインしていると、藤崎の奴が嬉しそうに声をかけて来た、何やら母さんが来たらしい、藤崎って母さんの事名前で呼ぶんだよな?何で?
事務所の入口に行くとお母さんが立っている、良い歳してミニスカ履くなよ。
「来ちゃった♡」
「何しに?」
「まぁまぁ、
「あら、藤崎君は気がきくわね、偉い偉い」
「いえ、これぐらい男として当然のことです」
藤崎、お前が客に茶を出す所初めて見たぞ、どういう風の吹き回しだ。
応接のソファーで長い脚を組んで、コーヒーを飲んでいるお母さん。
「へぇ、美味しいわね」
「あざます!ウチの事務所も先日良いコーヒーメーカーをとうとう買いまして」
何で藤崎が隣に座ってんだよ、それに俺の分のコーヒーは?
隣でニコニコと笑ってる藤崎はほっとくとして、母さんは何しに、と後ろのハンガーラックに目を向ける。
「もう、何難しい顔してるの、お母さん、頼まれていた衣装が出来たからこうして態々持ってきてあげたのよ」
「頼まれていた衣装?」
誰に?って中山さんしかいないか、今度使うステージ衣装か。
「中山さんに聞いてないの、来週の日曜日に撮影があるんでしょう、細かいフィッテングもあるから、お隣さんにワンボックス借りて早めに持ってきたのに」
あぁ、母さん普段はバイクだもんな、だから今日はミニスカなのか。
チャンチャラチャラリラ〜♪
あ、噂をすれば中山さんから電話だ。
ポチ
「あぁ、UTUMIさん、さっきお母様から電話があって衣装が出来たのでそちらに行くそうです、一度着てみて問題ないか確認お願いします」
「いや、母なら今目の前に来てますが、それに何の衣装ですか?」
「ああ、マキュロスの衣装ですよ、前にキャラクターデザインがメールで来てたでしょう」
「はぁ、来てましたけど、あれってアニメの方の話ですよね」
「何言ってるんです、宣伝用のMVは作るに決まってるじゃないですか、まずは予告編から撮ってロングバージョンにいきましょう、コンテは川森監督からすでに貰ってます」
「聞いてないですけど」
「あれ?菅野さんやそちらの丸山社長には伝えてあるんですけど」
「丸山はちょっと出張してて今日帰ってくるんですけど、何で本人以外にはちゃんと伝えてるんですか?」
「…………そうそう、お母様が随分と張り切っておられましたよ」
誤魔化したな、これは確信犯だな、外堀埋めなきゃ俺が断ると思ってやがったな、一体何やらされるんだ。
中山さんからの電話を切って、お母さんに向き直る。
「…………はぁ、今中山さんから撮影の事は聞いたけど、今日持ってきた衣装ってあのアニメのキャラデザから作ったの」
「当たり前じゃないの、すごく良い出来よ、自信作」
「じゃあ、お母さんが着てもいいよ」
「え、着れるけど、お母さんももう良い歳だからこの衣装はちょっと恥ずかしいわ」
そんな恥ずかしい衣装を息子に着せようとすんなよ。
「
「あら、藤崎君たらお上手ね」ニコッ
藤崎、お前何言ってんだ、人妻だぞ。
は、コスプレ?俺だって25歳でそんなのは恥ずかしいぞ、見るのはいいが自分でやるのは…。
「とにかく、1度着てみなさい、この手の衣装はちゃんと調整しないとカッコ悪いんだから」
「え、何着あるの?」
ハンガーラックから降ろされたちょっと派手な衣装が6着、これライブでもいけそうだな、けどなんかバニーガールみたいなのまであるんだけど、そんなデザインあったっけ?露出増やせって言ってた夏元のおっちゃんの指示か。
「お母さんがキャラデザやった人に電話したら、絶対これもって追加発注されたのよ、ほら、一応お母さん貴女のサイズ全部わかってるから仕事早いのよ〜」
いや、そこで胸を張られても、別にアニメの宣伝MVなんだからアニメでやれば良くない?俺が実写でやる必要ある?ほら今ならAIで実写変換でちょちょちょいっとさぁ〜。
「アニメ版は貴女のMVを元に制作するって、監督さん言ってたわよ」
「制作の順番逆じゃねソレ」
ガチャ
「たっだいま!いや〜道混んでて時間かかっちゃたよ〜、あ、お母様いらっしゃい、ん、もしかしてそれって、あの衣装もう出来たんですかぁ!」
「ふふ、バッチリですわ、今から試着して最終のチェックですの」
「おお〜っ!グットタイミング私!じゃあUTUMI君早速お着替えタイムだね♡」
ちょうど出張から帰ってきた丸ちゃん先輩がテンション上がっちゃって、今日の仕事は早上がりで急遽試着会となった、まだ仕事途中だったんだけど〜。それより丸ちゃん先輩は、先に俺になんか言う事あるんじゃないかな。
あ、藤崎どこ行くんだよ、え、外で仕事してくるの、追い出すみたいで悪いな〜。
「いや、お前の女装姿を見せらてもな〜」
「女装言うな!」
「…………」
鏡に映る自分を見つめる。
なるほどこれがコスプレか、普通の服より身体ピッタリに作られている、身体のラインが強調されてちょっとエロいんだな。こんなんお母さんが着たらダメな奴やん。
確かにこれはピッタリに作らないでダボついてるとカッコ悪く見えるかも、母さんの裁縫の腕無駄にすげえなぁ。
ちょっと丸ちゃん先輩、息が荒くて怖いんですけど、何で1眼レフ持ち出してるんですか。
大体いつの間にこんな撮影ブース作ったんです?あぁ、YouTubeで使うからって夏元さんが持ち込んだ、じゃあしょうがないか一々東京行くの面倒臭いしな。
「ハァハァハァ、良いよ〜UTUMI君、次は脚開いて腰を突き出してみようかぁ、目線もらえるかなぁ!あぁ良いよ最高!」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ!
「貴女の会社の社長さん、楽しい方なのね」
「前はもっとちゃんとしてたんだけどね〜」
後日
「陽子ちゃぁ〜ん、UTUMI君のお宝写真があるんだけどぉ、ちょ〜っとエロい奴」
「買います!いくらですか!!」
ペラ
「ぶっ!こ、これは!何で私はこの場にいなかったんですか」
「いや、陽子ちゃんウチの社員じゃないし」
「くぅ〜〜、私もお姉様の生着替え見たかったぁーーーーーーーーっ!!」ダンダン