日本代表VS韓国のバスケットボールのアジア地区予選の試合に、ナインの李さんが日本まで観に来ると言うので挨拶がてら中山さんと一緒にお台場のトヨタアリーナ東京に来ている。
ここってアリアンティとライブしたゼップ東京のすぐそばなんだな。
何でもバスケにもワールドカップがあるらしく、会場は超満員でまだ練習なのに凄い盛り上がっていた。
会場に入るとコートでは選手達がアップしていた。
おぉ、あの黒くておっきい兄ちゃん上手いな、ヘェ〜ハチ村くんって言うんだ、身長も2m超えてるんだ凄いね、あんな遠くから直接リングにポンポン入れちゃうんだ。
凄えな、俺なんか高校の体育でやった程度だから、あんなの無理だわ。ハチ村くんなら会社でゴミ箱に丸めた紙クズ投げ入れるのも簡単だろうな。
「あ、廣瀬すずさんだ、可愛いなぁ、あ、目合った、えっ、こっち来る」
廣瀬すず(28)、日本の人気女優の一人、2012年のデビュー以来数々の作品に出演しCMにも数多く出ている。
バスケ好きでも知られており、今日は試合の解説で呼ばれてきていた。
日韓戦の解説でトヨタアリーナに来ていたら、凄い人を発見した、え、光って見えるし本物だよね。
目が合った、このチャンスは見逃せないでしょ。
タッタッタッ
「わぁ!やっぱりUTUMIさんダァ、初めまして廣瀬すずです」
「初めましてUTUMIです、犬と喋るCM凄く綺麗で惚れました」ニコッ
(……うっ、めっちゃカッコいい、実物の笑顔は破壊力すっごいな、良い匂いする)
「なんでそのCM? あ、ありがとうございます、こちらこそ昨年の紅白ではとても感動しました、今日は応援ですか?」
「半分は仕事で、もう半分は貴女と出会うために来ましたワン」
「じょ、じょ、冗談がお上手ですね、あ、そうだ、会場でUTUMIさんを紹介してもいいですか?」
「私が貴女のお願いを断れるわけないでしょ」
じっと見つめて、そっと手を伸ばされ髪を撫でられる!何々、UTUMIさんてこんな人なの、やばい年下の女の子なのにドキドキするぅ。
「中山さん、ちょっと行ってきますね、すぐに戻りますから」
UTUMIさんはそう言うとエスコートするように私の手をとって、解説席に向かって歩き出した。
中央の大型モニターに私達の姿が映し出されている、それに気づいた観客席がざわつき始めた、ま、今話題の人だもん当たり前だよね。
て言うか、マジで背高くてカッコいいな。これであの歌声なんて反則もいいとこでしょ。
「皆さん、会場にとんでもない人が観に来てたので紹介しますね、今一番日本中を騒がせているアーティストのUTUMIさんです!」
ドワァーーーー、キャアーーーー!!
「どうもUTUMIです、廣瀬すずさんにナンパされてしまいました、凄い可愛いので逆にお持ち帰りしていいですか」
ギャアーーーー!!
「ちょ、UTUMIさん本気にしますよ、責任とって下さいね」
うわぁ、冗談でもお持ち帰りされてぇ!まさかこんな人とは思わなかった、歌ってる時とのギャップが凄すぎでしょ。
「て、そんなこと言ってる場合じゃないんです、これから試合の選手にUTUMIさんからエールをもらえますか」
「は〜い、日本の選手も韓国の選手にも、素晴らしいゲームを期待してます、頑張ってくださいね」パチィ
そう言ってウインクするUTUMIさんのアップがモニターに抜かれる。
ギャワァーーーー、キャアーーーー!
「おぉ!凄い歓声!ありがとうございました、皆んなでいっぱい応援しましょう!」
そうこうしてたらハチ村選手が解説席にやって来た、嬉しそうにUTUMIさんと握手を交わしている、絵面は美女と野獣だな、う〜んやっぱり3人並ぶと私ちっちゃいな、UTUMIさんも170cmくらいあって女性としては大きい方だけど、流石にプロバスケの選手と並ぶと普通の女の子に見える。
「すいませ〜ん、3人並んでるショット良いですか!」
スタッフが声をかける、テレビ局やマスコミとしてはこのショットは絶対に撮りたいわよね、私だって自分のスマホで撮りたいもの。
「良いですよ、ほら、すずちゃんもっとこっち寄って」
きゃっ、そんな後ろから恋人を抱きしめるように!サービスショット!お願い、誰か私のスマホで撮ってぇ!!
その後、日韓の選手がわらわら寄ってきて私達と写真を撮りまくった、ちょっと試合前に浮かれてんじゃないわよ!ちょっとUTUMIさんから離れなさいよ、くっつき過ぎよ。
あぁ、今日の日記には書く事いっぱいだなぁ。
UTUMIさんが挨拶に来たホーキンス選手を見上げながら呟いている。
「あれ?、この外人さんどこかで見たような」
(ホーキンス選手はアメリカ出身ですが日本国籍を取ったので日本代表でプレーしてます)
「?」
「あぁ、僕は信州ブレイブウォリアーズに在籍していた事が3年間ありますよ、長野でもCMに出てました」
「あぁ!松代のスズキ自動車のローカルCMだ!」
「すぐ戻ってくるって言いませんでした?」
中山さんにジト目で睨まれる、思ったより時間がかかってしまった。
「いや〜、廣瀬すずちゃんめっちゃ可愛くて、あれで私より年上なんて芸能人って凄いですね」
「まったくぅ、UTUMIさんもその芸能人でしょう、それでは試合前に李さんの挨拶に行きますか」
中山さんはそう言って李さんの座っている観覧席を指差した。
「あ、そうか今日はその為に来たんでした、忘れてました、テヘ♪」
私とUTUMIさんはコートを横から見える、解説席とは反対側の観覧席に向かう、途中UTUMIさんが手を振りながらついてくる、キャーキャーとうるさい。
いた、李華雄、ニヤニヤした顔しやがって、さっきのスタジアムの騒ぎは想定内か。
「どうも李さん、わざわざ日本までようこそ」
「いえいえ、我が社もこの大会のスポンサーになってますから、それに韓国代表には私の甥っ子もいますので」
私の横でUTUMIさんが頭を下げる。
「李さん、私の会社に圭さんを紹介してくださってありがとうございます、おかげで様でプロ転向がスムーズに行きました」
「それはよかった、彼女は遊ばせておくには惜しい人物だったので、UTUMIさんのお役に立てたなら私としても大変嬉しいですね」
「それに今回は韓国の音楽フェスにまで呼んでいただいて、頑張って弾きますね」
「ハッハッハッ、UTUMIさんには自然と場を盛り上げる華があります、是非アジアのアーティスト全体を引っ張って頂けると期待してますから」
なっ、アジアの。まさか、この男UTUMIを切込隊長に使うつもりか。
この世界の音楽は、どうしてもヨーロッパやアメリカが大きな力を持っている、今でこそアジアのアーティストが海外で少しは活動するようになったが、欧米諸国では未だ知名度は低いと言える。
特にロック系はどうしても白人や黒人がメインでアジア系は音楽性の違いか、なかなかトップに食い込めない。
そこでUTUMIなのか、アジア系のアーティストが世界のトップに殴り込みをかけるなら、彼女のような圧倒的な歌唱力は不可欠だ、どうしても海外は個の力が最終的にウケが良い。ビルボードのトップをUTUMIが取った前例があればアジア全体も注目される……道さえつくってしまえば。
アジア系のアーティストの地位を底上げして、後に続くように自社のタレントを売り出そうと言うのか。
李と目が合う、ニヤリと勝ち誇った目が気に入らんな、こっちもそうそう良いように使われる気はないぞ。
「李さん、韓国では美味しい焼肉屋さん紹介して下さいね」
「もちろんです、UTUMIさんには韓国No.1のお店をご案内しますよ、それと屋台飯も韓国は美味しいですよ」
「わぁ、屋台もいいですね、凄く楽しみになりました!」
「フフ、マッコリやソジュ(焼酎)もいけますよ」
だからUTUMIさん、そんな楽しそうにしないでください。やばい、この男、UTUMIさんの事を随分詳しく調べて来ている。
この後、李とはしっかりとお話ししないといけないな。
うわぁ、マジで韓国行きたくねぇ!
次話は韓国に行くと思います。
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