バサリ
「あ〜ぁ、UTUMIさん、この前のバスケ大会の記事また載ってるよ」
日刊スポーツを広げれば、デカデカとUTUMIさんの記事が、廣瀬さんとのツーショット写真と共に載っている、あ〜、ハチ村選手なんか顔切れちゃってるよ。初回の記事は「UTUMI日韓戦観戦で会場大騒ぎ!日本の勝利を祝福」みたいな見出しだったのに、今じゃ「UTUMIにレズ疑惑、廣瀬すずと熱愛か?」の流れになって来ている、UTUMIさんがマスコミに取り上げられるのって大抵が女絡みなのも原因だ、前もサッカーの試合でも綺麗なお姉さんと観に来てたし、男の噂がまるっきり無いからね。
「あ、椿坂の松田ちゃんのインタビュー載ってるよ、うわ、盛ってるな」
UTUMIさんの女好きが大分世間様に広がっちゃってる、まぁ、本人全然隠す気無いししょうがないよね。ここ最近は女性ファンが急増してる、けど男性ファンも負けじと結構増えてるのよね、やっぱり顔か?それともあのプロポーションか?(歌とギターは?)
「あ、荒川さん、あの飛行機に乗るんですよ!、あの後ろの方がピンクの奴、ああいう飛行機のラッピングシートっていくら位かかるんだろ、高いんだろうな〜」
こうして話している分には、問題ないんだけどなぁ〜。
アミュズプロダクション営業部 中山班と呼ばれる部署に私、荒川静華《あらかわしずか》(29)は所属している。
そして先日から我が社の所属アーティストUTUMIのマネージャーを任されている、実際には中山さんも一緒だから、どちらかと言えば私はUTUMIさんの世話係と言っていいだろう。
現在、日韓文化交流音楽フェスティバル「Xnterstellar Music Festival (インターステラミュージックフェスティバル))にUTUMIさんが出演するので日本の空の上を飛んでいる。
成田空港発、仁川《インチョン》国際空港行き(約2時間30分)朝出て昼には韓国に着いちゃうんだから、世界も狭くなったものね。
後ろの方がピンクの飛行機だ、これって全日空、JAL?ん、ピーチ、ANAの子会社なんだ。
実は、私は海外の仕事はこれが初めてなので、凄く緊張している、韓国語もまだカタコトしか話せない、中山さんは今はスマホに翻訳させればなんとかなると言われたが、本当なのだろうか、自信がない。
あの人何気に英語はペラペラだし、韓国語も普通に話せるのよね、最近ではロシア語も習い始めたようだ、私も見習わないと。
出がけの第一ターミナル北ウイングではUTUMIさんが中森明菜の北ウイングを歌いながら楽しそうにしていた、この人緊張感がまるっきり無いんだよな。
今もCAさんと楽しそうに話してる。
仁川《インチョン》国際空港に到着、韓国最大の空港だけに実に広い、到着後は、案内表示に沿って入国審査、荷物受け取り、税関の順に進む。仁川空港は案内表示が整っていて、日本語表示も多くてわかりやすい、初心者には助かる。UTUMIさんが天井を見上げながら呟く。
「空港ってどこか未来的な造りの建物が多いらしいですよ」
「あぁ、吹き抜け多いし無駄な空間が多いからじゃ無いですか」
到着ロビーに出ようとすると黒スーツのサングラスの男達に囲まれる、な、何?私達は犯罪者じゃないですよ!
「アミュズプロダクションのUTUMI様ですね、李社長の命でお迎えにあがりました、どうぞこちらへ」
先頭の男が社員証らしき物を見せてくるが、私じゃ本物かわからない、中山さ〜ん!
ちょうどこの場面を見ていたかのように、中山さんのスマホにナインの李社長から電話がかかって来て、すぐに確認は出来た、私達はゴツい男どもに囲まれてロビーに入る。
「「「「キャァーーーーーーーーーッ!!!UTUMIイ!!!」」」」
うわっ、びっくりした。思わず耳に手を当ててしまう、広いロビーにはもの凄い人々でごった返して、皆がUTUMIと大声で叫んでいる。
それに気づいたUTUMIさんがサングラスを外して、笑顔で手を振る。
「「「「ギャァーーーーーーーーーッ!!!UTUMIイ!!!」」」」
いや、だから投げキッスはやめて、ジャケットを脱いで振り回すな、騒ぎが大きくなる!あんた自分の立場わかってるかな。
空港に横付けされていた真っ白な長いリムジンに乗り込む、えっ何でこんなVIP待遇なの!
「あ、道路の案内看板は日本と同じ青地に白文字なんだ、韓国語読めねぇ」
て言うかこんなリムジンなんぞ乗らんでもホテルすぐそこやん、マジか〜こんな豪華なホテルに私も泊まれるのぉ!
5分とかからずホテル到着、フェスの会場もココだから泊まれるのは嬉しいけど、初海外の仕事でこれはUTUMIさんに感謝だな。
あれ?他の日本人アーティストもここに泊まるのかな?飛行機乗ってたっけ?
「ウェルカーム!UTUMIさん!」
「あっ、李さんだ、アンニョンハセヨ!」
ホテルのロビーで両手を広げている男性、おいおいこの人ってナインエンターテイメントの李華雄じゃん!
ほへぇ、ナインの社長自らお出迎えとは、どれだけUTUMIさんの評価高いのかわかるな、あ、中山さんがすかさず横に並んだ、私は怖いから1歩後ろで。
「どうも、来ちゃいました♪」
「歓迎しますよUTUMIさん、中山さんもようこそ韓国へ」
「ご招待感謝します、李社長」
中山さんと李社長が笑いながら握手を交わすんだけど、なんか怖っ!
「UTUMIさんこのホテルにはカジノもあるんですよ、今夜是非遊んでみて下さい」
「カジノですか、うわぁ、本当に外国に来た感じがしますね、見に行ってみたいな」
「私もご一緒しましょう」
李社長のエスコート付きか、UTUMIさんの出番は2日目のトリだから今日明日は結構余裕あるんだよね、流石に私はカジノで遊ぶお金は出せないからお留守番かな。
タキシードを着た李さんからUTUMIさんと私のカジノ会員カードを手渡される。
「えっ、私はカジノはちょっと」
「荒川、マネージャーなんだからUTUMIさんNIちゃんとそばについてるんだぞ」
中山さんだってマネージャーでしょ、何打ち合わせがあるって、私も一緒に!置いてかないで。
UTUMIさんと私にはドレスまですでに用意されていて逃げ道を塞がれた、このドレス、キンキラツルツルでなんか露出多くないですか!それにしても自分の担当アーティストにメイクされるとは、メイク上手いなUTUMIさん。
「荒川さん、脚綺麗♡」
いや、あんたの脚のほうがめっちゃ長くてお綺麗ですよ、比べられるから隣に並ばないで、腕組まないでください。
「UTUMIさん、ドレス姿とてもお綺麗ですよ、まるで女神のようだ」
カジノの前で出迎えた李社長がUTUMIさんを見て褒める、ほら見ろ私なんか見てやしない。
周りにいた男どもの熱い視線も感じる、あれ?私の事も見てる?
うおっ、凄え本当にカジノだ!
李社長からチップを貰って席に着く、やっぱカジノと言ったらルーレットとスロットよね。ゲーセンでしかやった事ないけど。
本来はキャッシャーでウォンに換金してから、カードとウォンをディーラーにパスポートを出すんだけど、会員カードでも良いらしい。(100円=1,000ウォンで考えてますがこれは変動してます)
「えっ、このオレンジ色のチップ1枚で10万円!紫も1万円なの!いやそっちの緑や白ので良いですから、UTUMIさんそれはポケモンバトリオのコインです!なんでそんなの持ってるんですか」
「ルーレットは50,000ウォン(約5,000円)から遊べる台がありますよ」
李社長にエスコートされて席につく、渋いおっさんディーラーがニコッと微笑む。あ、ちょっとかっこいいかも。
ディーラーがノー・モア・ベットを告げるルーレット初心者の私達はストレート・ベット(1つの数字だけに賭ける)でゲームを進める、スクエア・ベット(4つの数字に同時に賭ける)のように複数に賭けるのはもう少し様子を見てからだ。
あ、UTUMIさん、何ちまちまカラー・ベット(赤か黒で賭ける)してるんですかそれじゃ配当低いですよ。
見た目はゴージャスなUTUMIさんとカジノを歩いていると、男の人から凄く声をかけられる、やはり金持ちは自信に溢れているな、その度にシャンパン片手に笑顔であしらうUTUMIさんの姿は妖艶で流石だと思う。でもあまり飲みすぎないでくださいね。
スロットマシン、これはゲーセンでやったことあるから親近感がある、クレーンゲームやプリクラはないよね?
「あ、ジャックポット」
コインの落ちる音が鳴り響く。おぉ!上がるぅ!
スロットをやめて席を立つ、レシートの金額がすごい事になってない!てか私が勝っても隣でUTUMIさんが負けるから全然増えてる気がしないんですけど。
勝ってると思ったら次のゲームでは負けてるんだもん、いや、楽しそうだから良いんですけど。
最後にキャッシャーで換金。
「うおっ、儲けが88万だと、危ねえもう少しで確定申告が必要になるとこだった」
臨時ボーナスゲットだぜ!あれ?UTUMIさんはプラス5,000円、よかったですね、マイナスにならなくて。
この人ギャンブルには向かないな、勝ち負けが激し過ぎる。
あ、このお金って中山さんに報告しなきゃダメだよね、李社長に元金出して貰っちゃってるから賄賂になっちゃう?
「どうでしたUTUMIさん、カジノは楽しめましたか」
「はい!ゲーセンみたいで凄く面白かったです!李さんありがとうございました」ニコッ
まぁ、UTUMIさんも楽しんだようだからよしとしよう。でも、その笑顔は反則です、貢ぎたくなる人いっぱい来ちゃいますよ。
それにしても、ディナーも美味しかったしカジノも初体験して、ついでだからUTUMIさんを誘ってナイトプールも入っちゃおうかな、韓国初日から充実してるな、役得役得♪
あ、中山さんが私を手招きしてる。
海外ね、韓国とか台湾ぐらい行ってみたいな。
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