ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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新章開始ッ!

他の作品も同時掲載しているので、ぜひ~!


第100話「その時、歴史が……。(※)」

 数か月後……。

 王国及び帝国国境付近──フォート・ラグダにて。

 

 

  わーわーわー!

   うぉぉぉおおおお!!

 

 

 平原に響く怒号。

 それと同時に、金属と男たちが激しくぶつかり合う音が響きわたり、平原が大きく揺れていた。

 

  キィン、カァン!

   カキーーーーン!

 

「(怯むな、突撃ぃぃ!)」

「(破城槌ッ、(まい)へー!!)」

 

 ──ぉぉぉぉぉおおおおお!

 

 そして、怒号とともに一糸乱れる動きを見せる集団が、平原にそびえる要塞に取りつくと、

 その直後、ドーン、ドーン!! と、激しい音とともに、巨大な城塞が揺れ動きはじめた。

 

 どうやら攻城戦が行われているらしい。

 

 しかして、そのうちに何かを破壊する音が大きく響いたかと思うとついに重量物が倒壊する音が響いた。

 

 メリメリッと、

  ズシンンン……と、重々しく。

 

 それで、ほぼ決着がついたのだろう。

 さして時を置かずして要塞の上空に黒煙がたなびき始める。

 

 その勢いは激しく、瞬く間に城塞を覆っていった。

 

 

 

 

「これは……」

 

 

 

 

 荷車の上で寝ていた影が一つ。

 むくりと起き上がるなり、小さく呟いた。

 

「あ、起きた?」

「アマリア様が朝から目覚めるなんて珍しいですね」

 

 起きた隣には、荷台の持ち手に顎を載せる少年と、同じく荷台の上で暇そうに足をプラプラしている少女がいた。

 

 二人とも重武装。

 

 少年はハルバードと、服の下に軽鎧。

 少女は身体よりも大きな杖と、足先まで隠せそうな分厚いローブ。

 

 そして、荷台で寝ていたアマリアと呼ばれた小さな影は、小さく、白く、細く、美しく──。

 誰の目にも明らかにエルフであるという特徴を持ったまま、その美しい顔を難しそうにゆがめて呟いた。

 

「……フォート・ラグダが落ちましたか」

 

 何かを思い出すような、懐かしむようなそんな声だが、その呟きは存外に重い。

 

 なぜなら、長命種として知られるエルフが地名や名前を覚えるくらいには長い間、そこにその城塞があったことを意味するのだから当然だ。

 

 とくに、旅装束のエルフがいうのだから、それは本当に相当に重い。

 

「あー。百年続く城塞だっけ?」

「それが一日も持たないって……王国って今、大丈夫なんですかー?」

 

 エルフの呟きの重さに気付くこともなく少年と少女はいつものトーンでアマリアこと彼女に問う。

 彼らにとっては、初めて見る光景、そして、あくまでも他人事なのだから当然だろう。

 

「……昔はもっと小さな砦だったんですよ。牧歌的で──こう……。あぁ、今は関係ないですね。そも、大丈夫もなにも、今も昔も王国は色々あるみたいですのでいつものことです」

 

 そう。

 実際、色々あるのだろう。

 

 でなければ、百年続く要塞がああも簡単に落ちるものか。

 

「そーいや、近くの村で聞いた話では、要塞の中はスカスカ。兵士が随分と引き抜かれたって聞いたぞ」

「うんうん。精鋭と名高い野戦師団は今は見る影もないんだとか」

 

 ほう。

 

 どうやら二人して国境付近で情報を集めて来たらしい。

 

 口々に話す内容は中々に興味深い。

 

「なるほど。……ということは国内でなにかあったんでしょうね。国境からの精鋭の引き抜きとなれば……。クーデターか身内争いか。それとも、軍縮か。ともすれば、ギルドからの呼び出しもそれに関係あるかもしれません」

 

 そういってエルフは懐からボロボロの書状を取り出す。

 そこには判別しにくいが、王国の冒険者ギルドからの緊急呼び出しらしきものがみえる。

 

「いや、関係もなにも──アマリア、それって何カ月も前のことじゃ」

「アマリア様……。むしろ、今更すぎませんか?」

 

 あきれ顔の二人。

 しかして、呼び出しは呼び出しだ。

 

「わざわざダンジョン都市経由で来たんです。ただ事ではない様子──なので、行きますよ」

「行くッたって……アマリアよぉ。もうそれ意味なくね? だいぶ前の話だもんよ」

「アマリア様はのんびり屋さんですからねー……。私も意味ないほうに1票です」

 

 あははは。

 

 無駄無駄と笑う二人の弟子。

 しかして、アマリアは、あいまいに笑う。

 

「いいんですよ。ギルドの呼び出しということにしておけば──またぞろ、無理やり英雄だなんだともて(はや)されて、無理やりパーティを組まされることもありませんし」

 

「あー……アマリア様って集団行動が嫌いですもんね」

 

 ……嫌いというわけではない。

 大嫌いなだけだ。

 

「でもいいのか?」

「なにがです?」

 

 あくび混じりのエルフ。

 

「いやほら。なんか、北の大地で魔物の軍勢だかなんだのが活発化してるとかで、そっちからも呼び出しがあったんじゃ?」

「あー、魔王でしたっけ?」

「そうそう、それそれ」

 

 魔王、魔王ねー。

 

「……なんとかなりますよ。人類は数が多いですから」

 

「いや、数っておまえ……」

「名指しで、討伐隊に呼び出されてるのに……」

 

 

 二人の弟子は顔を見合わせる。

 

 どうもこのエルフ、ギルドからの呼び出しを、サボるための口実にしたいらしい。

 それも、かなりの重要案件をすっぽかしてのこと。

 

「そんなのは強い人に任せておけばいいんですよ。私はただの魔法使い──戦力に数えられても困ります」

「いやいや、アマリア様って最強戦力の一角ですよね? 世が世なら大賢者……」

「それも殲滅魔法の使い手──……ギルドの呼び出しに応じてる場合じゃないと思うけどなー」

 

 はぁ。

 さすがにため息の二人。

 

 だけど、まぁ、無駄だとわかっているので、集団行動が嫌いなアマリアに合わせて、無理強いはしない。

 

 だって、彼女は自由を好むエルフだしー。 

 

 さらに言えば、その森に引きこもりがちのエルフの中でも世界を回るとびっきりの変人エルフだしー。

 

 遥か彼方、北の大地で魔物の軍勢が活発化し、それを殲滅するための勇者パーティからの呼び出しすら無視して、割と平和な王国に向かうようなエルフだしー。

 

 

「わかったら行きますよ。シェイラ、ルドルフ」

 

「はーい」

「はいはい」

 

 どっこいせ。

 

 再び荷台に腰かけ、再び睡魔に意識を任せるエルフ。

 彼女は燃えるフォート・ラグダの落城の()を子守歌代わりにして、ただ揺蕩う……。

 

 

 

 

 そうしてこうして、

 大賢者アマリア──王国に到着す。

 




お読みいただきありがとうございます!

第二章、厄災解放編開始


次回、
さすがに食べ過ぎたことを反省するミミック……。
え~ほんとにぃ?

あと、並行投稿中の新作です

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是非とも見てください

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