ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第102話「眷属召喚」

「はぁ!」

 

 

 ──ぼーんっっ♪

 

 

 掛け声とともに、眷属召喚のスキルを使用。

 すると、コミカルな白煙とともに出て来たのは、一抱えはあろうかという物体だった──。

 

『わ、わぁー………って、なにこれ? ()ぉ?』

「うん、壺」

 

 そう。

 「私」が召喚したのは、なんと壺ぉー!!

 どっからどうみても、何の変哲もない壺だー!!

 

『って、しょぼ!』

「ショボい言うなや……」

 

 立派な壺やろがい。

 

『いやいやいや! 壺じゃん! どっからどうみても壺じゃん!』

 

 だからそう言うとるやんけ。

 

「あ。一応、ポイントの割り振りで大きさ変えれるよ? それは標準サイズ~」

『どーでもいいわ、その情報! つーか、今までだって家具買えたでしょ! それでいいじゃん』

 

 いやいや。

 あーた(アナタ)、『眷属』や言うてるでしょ。

 

「中見て見」

『中ぁ?』

 

 恐る恐る──。

 

「ゲシャァァァアアア!!」

『ぬがぁぁぁあああああ!』

 

 ぎゃはははは!

 ぎゃはははは!

 

「ビビってる、ビビってるー!」

『ビ、ビ、ビ、ビビるわぁぁぁあ! し、心臓停まるかと思ったわ!!』

 

 あははは!

 面白いね。心臓ないのに心臓って──ぎゃはは!

 

『ムッカつくわねー……っていうか、なによこれ? 魔物?』

「ゲシャ! ゲシャァァァア!!」

 

 壺のなかには、「私」と似たような奴が出現。

 舌と牙があって、異空間のごとき喉と胃がある。そして、叫んでいる。

 

「そうそう。魔物だね──ミミックの一種かな。……名前は、なんだろ『壺っく』??」

『いや、語呂悪いな──え~っと、あれじゃない? 水を飲みに来た人を丸飲みにするっていう魔物。 たしか『悪魔のるつぼ』っていったかしら』 

 

 るつぼ(・・・)ー?

 いや、それ意味ちがくね?

 

「っていうか、そういうのがいるんだ?」

『いるいる。廃村とかにたまにいるらしいわよ。アタシは見たことないけど」

 

 へー。

 

「初めて聞いたー」

『……ミミックよりは有名じゃないしね──そも、ダンジョンに壺がまずないし』

 

 それはそう。

 

『で、なにこれ? これが新しい能力?』

「そうそう。こうやってポイントを使用して仲間(?)を召喚できる能力だね。これでようやくボッチを回避だぜー」

 

 いや、別にボッチでもいいんだけどねー。

 

『アンタ、ミンチちゃんいるじゃん』

「ミンチて……」

 

 「私」が言うのはともかく、ミユちゃんさー。

 まぁ、君がええならええけど──。

 

これ(・・)は非常食枠だしなー。……あ、君は論外だよ。友達じゃねーしー」

『ったりめーよ、化け物』

 

 うっせーわ。

 ゴーストのくせに。

 

『でー。これがなに? こんなんいる?』

「いるとか、こんなんいうたんなや……ほら、しょげてるぅ」

 

「──ぎ、ぎゃしゃぁぁ……」

 

 心なしかしょんぼりの……壺っく。

 

『「壺っく」で決定かーい。っていうか、感情あんの?』

「あるある。おいしいと多分喜ぶ──ミンチちゃん、骨あげてー」

 

 こくり。

 

 ミンチちゃんがさっき齧ってた骨を壺に投げると、バクゥゥ!!

 

 凄い勢いで壺から舌が伸びてキャッチ。

 そのまま、ボーリボリとよく噛んで食べてる、食べてるー。

 

『つ、壺に骨って……』

「まさに骨壺!」

『だれうまよ!』

 

 ほんとほんと。

 

『で、それがー?』

「いや、これがすごくってさ。……なんとコイツが食ったものって、ポイントとかが「私」にフィードバックされるみたい。まぁ、ほんのわずかだけど?」

『ま、まじ? あー……それで眷属か。悪魔の契約みたいなもんね』

 

 たぶんそう。

 知らんけど──。

 

「まぁ、フィードバックはともかくとして、使い方は色々だね。ま、主に囮とかだろうけど」

 

 強さはお察しだけど、さすがはミミック型なだけあって気配の絶ち方はピカイチ。

 そんな『壺っく』を囮にすることで、より「私」のカムフラージュ効率もアップするってものです!

 

 なにせ、ダンジョン内だと宝箱よりも壺の方が怪しいもんね。

 

 そんで、わざと壺っくを見せつつ、

 冒険者どもに倒させて……あとは、背後からぐさーっ! みたいな使い方を想定。

 

 あるいは集団戦闘に備えて壺っく部屋を作るのもありだね。

 大群が来て、一人じゃどうにもならないときに、壺っくで物量押しというのもありだろう。当然、私は最奥で待ち構えるってわけだ。ということをミユちゃん相手にツラツラ説明して見せる。

 

『はー……。色々考えるわねー』

「あったりまえでしょー」

 

 何人食ってると思っとんねん。

 王族含めて4桁くらいいってんじゃね?

 

「他にも熟練度で召喚するものが変わるっぽいよー。今はほら、Lv1で『壺』だけど、それ以降となるとさらには『タンス』とか『ベッド』とか色々ミミック系の眷属が出てくるみたい」

『タンスにベッドって……。それダンジョンにいる?』

 

 それな。

 

「まー、使い方次第だよ。とくにベッドは割とありかと思ってる」

『寝たら血が吸われる的な?』

「多分そう。……吸血ベッドとかそーいう感じだと思う」

『えっぐ……』

 

 んねー。

 

「ま、見たことないから想像だけどね。案外チューチュー血を吸うタイプじゃなくて、こう……寝ころんだら、マットレスがガバーッ! て、開いて、寝てる間抜けを丸々捕食とかそういうのかもしれないよ」

『怖すぎでしょ!』

 

 うん。

 結構なホラーだよね。

 

「ま、いずれにしても、それなりに使えそうでしょ? タンスと壺はともかく……ダンジョンで寝るような間抜けがいるかは知らんけど」

『それはそう』

 

 いたら、そんな奴食われてもまえ。

 ホラー映画で余計なことして事態を悪化させる奴じゃん、絶対。

 

『……つーか、眷属召喚とか急にどうしたのよ? ただの自慢?』

 

 あーね。

 まぁ、自慢が半分で……。

 

「やー。ほら、最近ちょっと冒険者にせよ、軍隊にせよ、多いべ?」

『多いわねー。そのまま死ねばいいのに』

 

 うん。

 相変わらず、お口の悪いことで。

 

 まぁ、ミユちゃんも軍隊ごときで「私」が倒せるとは到底考えていないみたいだし、スルーするとして。

 

「連中ごときにやられる「私」じゃないんだけどさー……さすがにちょ~~~~~っとキツクなってきたかなって」

『は? 今更ぁ?』

 

 

 うん、今更だけどね。今更です。

 

 

「こーみえて反省してんのー」

 

 

 

 さすがに、やりすぎ(食いすぎ)たわーって。

 




お読みいただきありがとうございます!


次回、
眷属とはいったい……!

あと、並行投稿中の新作です

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