ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第105話「友釣り」

 バキ、ボリッ!

 

「うめぇぇぇえええ!」

 

 うめ!

 うめ!

 

「うんんんんーめぇぇえええええええ!」

 

 ゴリリリ──バリッ!

 

 いやー!

 やっぱガキ肉はサイコーだぜ。

 

「ちょっとレベルが低いせいか、味が薄い気もするけど、それはそれで乙なもんだね」

 

 高レベルでは味わえない、

 人間本来の味がする~。いや、しみじみとうんめぇぇ……。

 

「案外、それが貴族だの王族だのとの違いかなー」

 

 抉り出した骨で、シーハーしつつ、

 いま食ったばかりのガキの残骸を舌で持ち上げてマジマジと観察。

 

「ふむ。絶対忘れる顔だね」

 

 あどけない顔をした少年だ。

 熟成しようとしたらすぐ死んだので新鮮なママで喰ったけど、まーだ上半身がしっかり残ってる。

 

 おかげで面影がしっかりわかる。

 

 それからしても、こいつってばどう見えもただの村人Aだ。

 そんなのが、な~にをトチ狂ったか、単身ダンジョンに降りて来たもんだからさ──そんなん、即捕まえるやん? 絶対逃がさないやん?

 

 ゴブリンだのにやられる前に速攻で罠に嵌めて生捕りにして、ボッコボコに熟成しようとしたんだけど、ボコーってしたら、即死んだ。

 

 ちょっと力加減を間違えたらしい……まぁ、しゃーない。

 

 いつもは軍人だの冒険者だのを相手にしてたけど、本来人間はクッソ雑魚だったわ。

 一般人は、ゴブリンにすらやられるという話だしね。

 

「ま、喰えれば何でもいいやー。ミンチちゃんもナイス働きー」

 

 舌でぐー♪

 

「ぐー……」

 

 相変わらずうつろな表情でへらっと笑うミンチちゃん。

 

 うんうん、いいねいいね。

 最近はこうしてさ。

 新鮮な冒険者を誘い出すために、首輪をつけたミンチちゃんを適当にダンジョンの入口付近歩かせるようにしてるんだけどさ。

 そしたら、こうしてたまーに獲物を連れてきてくれるんだけど……今回はこのガキだったわけ。

 

 いやー大収穫ですよ!

 

「多分あれかねー?」

 

 バキボリリッ。

 背骨をかみ砕きながら、物思うのは、当時の状況の再現だ。

 

「……おそらく、少年なりの好奇心でダンジョンを覗き込んだら、可愛い女の子がいたからついてったーみたいな?」

 

 ケケケッ。

 同情か好奇心かシモ(・・)関係か知らんけど、ばっかでー。

 

 のこのこと間抜け面で入ってきたもんだから、

 その先で、バグーーーーッ! って食ってやったわー!

 

 ぎゃはは!

 慈悲などないわー!

 

 見逃すと思ったか!

 

「ざーんねん! 食いま~~~~す!! 生きてたらレイラちゃんコースを100周はさせてさるつもりだったのに、惜しかったぜー」

 

 ガキ肉を熟成させると絶対うまいだろうしなー。

 ちなみに、今のところガキ肉に限っては成功例はなし。

 

 一応、わっかい女の冒険者を捕まえてボーーッコボコにしたことはあるよ。

 

 レイラちゃんコースを20周くらいで我慢できずに食ったけど、まー……うまいうまい!! 今、その半身をジャーキーにしてるけど、やっぱり手間暇かけて熟成させると超美味いわー。

 

 その点でいくと絶対ミンチちゃんも美味いんだけど──これは非常食だしね!

 

 

  ジュルリ……。

 

 

(……おっと、涎よだれ)

 

 ついついミンチちゃんの味を想像しちゃうぜ。

 いっけね、貴重な生き餌をを食材として見ちゃダメだねー。

 

『あいっかわらずサイテーね』

「あ~ん?……どしたん? ガキ食ってんのに、今日はあんまし言わないのね?」

 

 サイテー云々(うんぬん)は置いといて。

 

 いつもは、子供は、子供はーってうるせーのに。

 

「あ、見る? ほら、ガキを咀嚼中だよー」

 

  ぐぱぁぁ……!

   にちゃっぁあ……!

 

『見せんなし! すーぐ死んだし、マシよ……』

「はーん。そういうこと」

 

 苦しめずに殺してあげてってやつー?

 

「なら、今度はもうちょっと工夫するねー!」

 

 具体的には、すぐに死なないようにー!

 ぎゃははあー!

 

『さいってー!』

「サイッコーだよ!」

 

 しかし、まぁ、なかなかガキ肉はねー……。

 やっぱ外にいかないと無理かー。

 

(外……。外かー)

 

 

  ぎゃっぁああああああ!

   うぎゃぁぁぁあああああ!

 

 

 今日も今日とて、ダンジョンは盛況だ。

 ダンジョンのどっかで軍隊が「私」の配置した眷族たちの部屋で惨殺されているらしい。身体がポカポカするので、ポイントが多少なりともフィードバックされているッポイね。

 

 あとは援護に行くかどうか迷ったけど──……この分だと、全滅だな。

 

 罠部屋(トラップベース)眷族(壺っく)どもだ。

 

 (はま)れば最凶にして最恐。

 逃げられはすまーい。

 

 ちなみに、喰いまくり~の殺しまくり~ので、今の眷属レベルは、なんと「Lv4」!

 

 思った通り、Lv2で『肉食タンス』、Lv3で『吸血ベッド』の召喚が可能となったので、宿屋風トラップ部屋に設置しといた。

 さすがに寝るアホはおらんだろうけど、普通の家具に混ぜておけば、気づかずに部屋に入った連中がいつのまにかタンスとベッドの眷属のど真ん中──という状況が作為できるというわけさー。

 

 そして、まさにその中に今、どっかの軍隊のアホどもが捕らわれている。

 けけけっ、ば~かめ。宿屋風のトラップベースを宿営地か中継点にでもしようとしたのかな?

 

 残念、そこは特大の罠部屋だよ────って、

 

「あ、全滅したかな~?」

 

 うすぼんやりと、

 眷族がボリボリとそれらを(むさぼ)っているのが分かるわー。

 

 んー。「私」も交じって食いに行こうかと思ったけど──……いいや、軍隊飯あきたー。

 つーか、もう……今日だけで何度目ー?

 

「いい加減、鬱陶しくなってきたなー」

 

 やぶ蚊みたいにしつこく来る割に、ギャーギャーうっせーし、肉としてはまぁ、普通だし。イマイチ、面白みに欠けるんだよねー。

 せめて見習いのガキが来ればまだしも、オッサンばっかだもん。いい加減、飽きるわ~。

 

「はーっ。子供か貴族が食いてーな……」

 

 理想は貴族の子供!

 

「すると、やっぱりなんとか外に行くしかねーわけだけど……」

 

 うーん、困った。

 「私」はどうやっても自力では動けないからなー。

 

 まぁ、ミンチちゃんを囮にすれば、こうして、たま~~~~にはガキ肉も食えるっちゃ喰えるからね。贅沢は言えない。

 それで満足するのもありだけど、でも、できれば高級ガキ肉が食いたいなー。

 

 あれ、やっぱうめーわ。

 

 なんつーかね、味がね。

 全ッ然違うのよ。

 

 干してなお、あの美味さ。

 

(……生だともっとうまいんだよなー)

 

 はぁ……。

 

「なんとかしてリーデルちゃん級をもっとたくさん食う方法はないものか」

『ないない、諦め~ぃ』

 

 ばっか、

 諦められるかよッ!

 

「くっそー。今度リーデルちゃんを捕まえたら、ボッコボコのボコボコリンにして、数年は生かして苦しめてやるぞー!」

 

 けけけっ、

 そんで熟成に熟成を重ねて最後は、泣きじゃくるところをじっくりと眺めながらジワジワと踊り食いじゃぁぁあ!

 

「ぎゃはー!」

 

 そのことを考えてたら、な~んか楽しくなってきたー!

 

『サイッテー』

「だから、最高だっつーの」

 

 というわけで、

 

「貴族肉を食うための方法をいくつか考えてみたんだけどね」

『はいはい。無駄な思考実験してどーぞ』

 

 ムッカー。

 無駄じゃないもん! トロ食いたいたもん!!(某、有名アニメ映画の幼女風に!)

 

『──で、どうするつもり? 全力で阻止してあげる』

「やれるもんならやってみろ、喰いカスがよー」

 

 けっ。

 

「ま、どうせ聞くだけしかできないし、教えてやるぜー。なにを言ったところ、君には何もできないからねー!」

『ふんっ。いつまでも言ってろ、バケモン』

 

 はいはい。

 ゴーストがなんかほざいとるわー。

 

「んで、考えたのはいくつかー。まず一点!」

 

 

 ダラララララ──ディンっ♪

 

 

「このダンジョンを脱出ー!」

 

 いえー、

  どんどんぱふぱふ~♪

 

『無理ー』

「わーってるわ!」

 

 出来たらとっくにやってるわーーーい!

 言ってみただけじゃ~い!!

 

「あー、くっそー。レベル上がったら足生えるとかねーかなー。舌は伸びるんだけどねー……」

 

 バカ貝みたいにして移動できないか考えなくもないけど、

 さすがにそんな移動方法で、外に出たら文字通り餌食だわ。

 

 つーか、シュールすぎん?

 

 箱が舌出してガコガコ動いてるのって!

 

「なので、まぁ、うん……とりあえず『なし』かな」

『とりもあえずも、なにもないわよ。いや、いっそやってみたらー。プークスクス』

 

 そんであわよくばやられろってか?

 ジョーダンきついぜ。

 

「ま、ミンチちゃんに運ばせるっていう手もないではないけどね。この子結構力持ちだし」

 

 しかも、文句ひとつ言わずに黙々と動く動く。

 ただし、その分、休ませどころが分かりづらいけど。

 

『無理無理。アンタ自体がそこそこ重いでしょうが』

 

 それはそう。

 まぁ、そもそも、手運搬(てうんぱん)ってのは、持久力とか自衛戦闘のことを考えるとちょっと厳しい……。

 

 いくら力持ちでも限界はあるしね。

 そして、ミンチちゃん自身はさほど強くないうえ──女の子だもんなー。

 

「まぁ、そんな状態でのこのこと外を歩いてたら、色んなのに狙わるわなー」

 ロリコンとかゴブリンとか盗賊とか──……あと、ロリコンに狙われてしまうだろう。

『当たり前でしょ。つーか、ロリコン多いな……』

 

 なので、それもなしー。

 となると、

 

「まあ、順当な案でいけば、ほら……軍隊みたいに貴族を誘い込むのがベストかなーって」

 

 貴族と言えばお金が大好き。

 権力大好き!

 そして血縁が大好きー。

 

「なので、こう……名声アップアップなもので誘い込むとか?」

『無理無理。いくら手柄を餌にしても、普通に考えて、本人じゃなくて騎士がくるわよ』

 

 だよねー。

 

「なら、ここは生徒肉で釣るとかどうかなー?」

 

 干した生徒の首とか身体の一部を持ち返らせるねん。

 そしたら当然、全部回収したがるんじゃね?

 

『それでも、親本人は来ないっての。首実検たって、持ち返ってからでも十分でしょうが」

「だよねー。……ってことは、やっぱり貴族が直接来るように仕向けるには──権力かねー」

 

 それが一番な気がする。

 

『権力ってのは?』

「んー……。見たことないけど、ほら、上の村って結構な田舎らしいじゃん?」

『そーね。寒村……からは、ちょっと発展した程度ね』

 

 それそれ。

 

「ならさ。なんかこう……カネが回れば領地が増えたりして貴族が来るとかあるんじゃね? リーデルちゃん級はともかくとしても、モブ貴族Aくらいは統治にさー」

 

 なんつーの、準男爵程度ならワンチャン!

 

『無理なんじゃないのー? 詳しくないけど、多分、ここ王国の直轄領よ』

「はーん?!」

 

 直轄領ぉぉおおお?

 

「え? 寒村なのに?」

『寒村だからでしょ? だれも統治したがらないわよ、そんなとこ』

 

 あー……。

 たしかに。

 

『村があるくらいだし、昔は領主とかいたかもだけど、そういう話を聞かないってことは多分直轄領。それか、権力の空白地帯かしらね』

「まぁ、空白はないわなー」

 

 だって、そんなところに村をつくったら絶対問題しか起きないもん。

 

「でもそっか、それで軍隊だのなんだのが我が物顔で来るのかー」

『多分ねー』

 

 人様の土地なら、そう簡単に軍隊は派遣できない。

 王族の命であっても同じ。貴族領なんてのは、ちっさい国と同じだからねー。下手すりゃ、領地戦になるわな。

 

「くっそー。ってことは、『村を発展させよう’98』は無理かー」

『98?』

「いや、そういう古めのゲーム……って、何の話だよ」

『こっちのセリフー』

 

 それはそう。

 

「あー……ってことは、現状はあれかー。前みたいなチャンスを待つしかないのかー」

『もう二度と来ないチャンスをねー』

 

 ぐぬぬぬぬ……。

 たしかに、あれ(・・)は偶然に偶然が重なっただけのラッキーでしかなかったのだろう。

 

 ならば、くっそー。

 リーデルちゃんを一口で半分も食うんじゃなかったぜ……。

 

「もっと味わってこう……舌で転がして、喉で圧搾して、絶望の悲鳴をあげるがいいわぁぁあああ!」

 

 ギャーハハハハ!!

 

『なんでいっつも後半でテンションあがんのよ』

「ほんそれー」

 

 えへへ。

 ついつい……。

 

 しかし、そうか。

 いつ来るともしれぬチャンスを待つしかないのか──って…………ん?

 

 

「んん?」

 

 

 

 

 

  ビーーーーン!

 

 

 

 

 

「……ありゃ? な~んか変なのが来たぞ?」

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