ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第107話「手練れの気配」

 ピィィィイイーーーン!!

 

 

 

「ぬー……。これはなんかヤバそうなのか来たぞー」

『あーん? お前じゃなくて』

 

 あ?

 おめーにだけは言われたくねーよ、喰いカスがよー。

 

「やー、そういう、冗談じゃなくてさ。これは久々に感じる気配だけど、肌にビリビリ来る感じ。……マジですっげぇ強い奴がいると思うね」

 

 ま、肌はないんですけどねー。

 ぎゃはー!!

 

「しっかし、そうなると、本腰入れて準備しないとまずいかもー」

 

 ペッ。

 食っていた少年の残骸を適当に吐いて、ミンチちゃんに餌として与えつつ、迎撃シフトに頭を移行させる。

 

「……がつがつっ!」

『また、そんなの食べさせて──』

 

 うっさい。

 今、気配を探ってるんだから、シャーラップ!

 

 

   ぐ、ぁぁぁああああ!

   ひぃぃいいいいい!

 

 

「……ちっ。ま~だ生き残りがいたか……。先に突入してる軍人どもがうっさくて分かりづれーなー」

『ぷぷっ。アンタの索敵も雑よねー』

 

 だから、うるせーなー。

 こちとら、今、戦闘中じゃい!

 

「しっかし、この気配……いつぞやの野武士よりさらに上かな?」

 

 ただし、その分美味そうな気もするぞ~。

 

「あと、なんだこれ──なんかさっき、気配と同時になんかが身体を通り抜けたような感覚……」

 

 んー?

 こっちがビリビリ感じているみたいに、向こうからも何かを──。

 

「……あ。これ、あれだ!」

 

 そうだ!

 あの時(・・・)の!

 

「はは~ん、わかったぞ。これは、いつぞや生徒達を引率してた眼鏡ッ子女教師の魔法かー!」

 

 そうそう、あれだ、あれ!

 

 「私」はこういうのは早々忘れないのだ。

 モブ顔の肉のことはすぐ忘れるけど、戦闘ともなれば、こと頭が働く自覚がある。なんだかんだで最初に遭遇したお兄ぃのことも覚えたしね。

 

「……ってことはこりゃ、まずいぞー! あれって確か『探知魔法』だっけ」

 

 魔法使いが使う、魔物の気配やトラップなんかを探知する魔法だ。

 たしか、ローグのそれよりも範囲が広かったはず。

 

「ふむ……。そのうえ今回侵入してきた奴は相当な手練れ──ってことは、」

 

 ちっ。

 こりゃ色々バレたと思ったほうがいいな……。

 

 迎撃しようにも、侵入者をローグよりも格上と想定してかからないと足元を(すく)われる。

 今までみたいに待ち伏せとトラップのコンボも、そう上手くいくまーい。

 

「……とはいえ、これもやりようかなー」

 

 いくら強くても、

 いくら知恵が回っても、

 

 ──所詮は人の範疇だ。

 

 命が二個以上あったり、足が八本あったりするわけでもなし。

 息もすれば飯も食う──ただの人間だ。

 

(それなら、勝てる道も必ずあーる!)

 

 ふふっ。

 その点で行くとこっちは情報面では有利だよね。

 

「一回、あの女の先生と戦闘しておいて助かったぜー」

 

 ロークをしのぐ『探知魔法』にも弱点があるのは把握済み。

 

「え~っと。たしか……例の魔法は、障害物に弱く、罠とか魔物は雑な判別しかできなかったよな」

 

 うん、しっかり覚えてるぞ。

 

 まったく同じではないだろうが、魔法の本質は似通っているはず──。

 とくに、この手練れの感じなら、より精度は高い可能性はあるけどね。

 

 とはいえ、万能ではなかろう。

 そもそも、この魔法がさほど普及していないところをみるに、なんらかの制約や欠点があるに違いない。

 

「よーし、ならば、それらを加味して──……想定のポイントはここ(・・)ここ(・・)!」

 

 脳内地図をピックアップして、迎撃ポイントの選定を済ませた私。

 その場所というのは、主に二カ所。

 

 現在殺戮が行われている『宿屋風の部屋』と、

 もう一か所はあの部屋(・・・・)だな──。

 

「うん! 最近作ったばかりの宝物庫に決定ッ! そこを決戦の地とする!──ミユちゃんは自由行動、ミンチちゃんは所定の位置(・・・・・)で、たーーーいき(待機)!」

 

「こくり」

『はー?? 何勝手に決めてんのよ! つーか、アタシはメンバーじゃないわよ──って、聞けよ、ばーか!』

 

 聞かーん!

 そして、いざゆかん、新たな美食よー!!

 

 

「ジュワーーーーーッチ♪」

 

 

 ステータス『設計』!

  & 建築の配置モードからの~~移動!!

 

 

「はぁ!」

 

 どすーん!!

 

 図ったかのように、「私」は待ち伏せポイントに一瞬で到着!

 しかし、ここはただの待ち伏せポイントじゃねーぞぉ。

 

「へっへっへー。ここ(・・)にはだ~いぶ力を入れたからなー……」

 

 ──右見て、左見て、上下左右! ともによーし!!

 

 うんうん!

 みてよ、この傑作!

 

 ただの宝物庫じゃないぞ。

 

「名付けて、『いかにも伝説の装備がありそーな部屋』~♪」

 

 

  パッパラ~♪

 

 

「んふふふー。我ながらいい出来ー」

『……まーた、こんなの作ってー』

 

「お、出たなミユちゃんー」

 

 自由行動とは言ったけど、「私」のストーキングはしなくてもいいのにー。

 

 つーか、早いなコイツ。

 壁抜けできるのは知ってるけど、なんでこんな一瞬でおいつくかねー。……まぁなんでもいいけどさ。

 

「へへっ。すごいっしょー、ここ。まさに、誰しも目を奪われる作りを目指した傑作部屋でーす」

 

 えっへん!

 

『傑作~? たしかに、偉く凝ってるけど……』

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