ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第115話「強襲」

 バッコーーーーーーーン!!

 

「うらぁぁ!」

 

 潜伏場所(・・・・)から、一気に蓋を跳ね上げ「私」はそこなクソアマ(アマリア何某)に向かって舌撃をくれてやる!

 防御魔法かなんだか知らんが、こっちは国宝級の剣──グラハム君ソードであーーーーーる!

 

「ふふっ。やはりいましたか。っていうかバレバレです」

「ちっ、やっぱり気づいていやがったな!!」

 

 どう見てもハッタリじゃない。

 

 まさかまさかの「ミミック×人食い箱」の二段構えで潜んでいたのに──最初から、それすらも気づいていたという!

 

 性格わりーな、おーい!

 

「まったく、探知魔法持ちの魔法使いは厄介だぜー!」

「それはどーも」

 

 だけど!

 

「そ・れ・が・どうしたぁっぁああ!」

 

 ここまで至近距離にくれば「私」の間合い!

 つまり、しょーーーーーーーり(勝利)!

 

「死ねぇ! 四の五の言う前に、殺して食ってや──……」

 

 ありゃ?

 なんか、違和感……。

 

「ふふっ。まだわかりませんか?──死ぬのはアナタですよ、ミミ~~ック」

 

 

  ニチャッァア

 

 

「うっ!」

 

 奇襲から強襲を仕掛けたというのに、逃げもしない女エルフ!

 それどころか、その余裕を浮かべたような笑みは、実に無機質であった。

 

 そう。

 

 なんというか、笑っているのに笑っていない。

 見た目はエルフの女なのだが、どこかこう、人とは違うなにか。

 

 ……口は三日月を逆さにしたようだし、そして、二つの瞳はただの虚ろ────。

 まるで置物の笑顔のような無機質さ……。

 

 

「ッ! まさか!」

 

 

 ──ドシュ!!

 

 

 もしやと思ったがとりあえず貫く!

 するとあっさりと命中。だけど、おかしい……!

 

「……この手ごたえ。やっぱり、デコイか!」

 

 分身?

 それとも、コピー?

 

 まさか、防御魔法付きのデコイ(・・・・・・・・・・)とは恐れ入った!!

 

 妙な手ごたえだと思えば、目の前の女エルフの体がボロリと崩れ落ちる。

 まるで、そう……砂人形のように!

 

「ちぃぃい! 質量をもった幻覚ってやつかー?!」

 

 おかしいとは思ったんだよ!

 

 無謀にノコノコとくるし、

 舌撃で貫いたにも関わらず、なんと血の一滴すら吹き出さないんだもん。

 

「やられたぜ……。囮をしかけたこっちが、逆に囮に騙されてちゃ世話ないね!」

 

 しゅるる~と舌撃を戻しがてら、周囲を捜査(スキャン)……どこだ! どこにいる?

 

「本物はどこに──」

「──ふふっ。今(・)ですよ、二人とも」

 

「は? え?」

 

 周囲を見渡し、本物の女エルフを捜そうとしたら、崩れ征く幻覚がそんなことを宣いやがった。

 

 いや、二人ともって……。

 

「──はっ!」

 

 し、しまったーーー!

 なにが「今」なのか気づいた時はすでに時遅し!

 

「「おりゃーーーーー!!」」

「ち、ちぃぃい!」

 

 慌てて防御姿勢を取ろうとしたまさにその瞬間!

 

 

  ゾンッ!!

   ゾゾゾンッ!!

 

 

「がはーーっ!」

 

 思わず口から吐血する。

 

(い、いってぇ……!!)

 

 な、なんてこった。

 罠に嵌められたのはこっちか?!

 

 見れば、女エルフの幻覚ごしに突き出されていたのは、ハルバードの刃先に、杖にまとった魔力の刃!

 

「て、てめぇらぁ……」

 

 くそっ!

 こっちが本命だったか!

 

「は、はは! 当たった、マジで当たったぞ!」

「さすがはアマリア様! 見事な作戦です」

 

 そんなことをほざくのは、崩れ征く幻覚ごしに姿を見せたクソガキども。

 

 まったくの死角をついて、ひそかに突撃。

 「私」が幻覚に気を取られた隙にそれごと攻撃(・・・・・・)とは──……や、やられたぜ。

 

「な、なるほどねー……! どこに潜んでいるかわからないなら、囮(デコイ)を使って引きずり出す……ってか?」

 

 やるじゃねーか。

 

 しかも、ガキに攻撃させたくせに、一切の手加減なしのハルバードに、魔力の刃って……殺意マシマシ過ぎん!?

 

「い、いってーじゃねーか!! 殺す気かー!」

 

 つーかさー。

 

「いくら幻覚だつっても、この女、お前らの師匠なんじゃねーのかよ!」

 

 幻覚だからってそれごと貫くか、ふつー?!

 

(……いや、それも含めてコイツらの作戦ってやつかー!)

 

 コイツ等、やるな……。

 そんじょそこらの冒険者とはわけが違うぜ。

 

「へっ! それが作戦なんだから、あったりまえだろうが! しっかし、すげぇな。まさかアマリアの狙いが成功するなんて」

「当然ですよ。いくらアマリア様でもTPOくらい弁(わきま)えてますって。魔道具なんかに気を取られる普段のポンコツも仮初(かりそめ)の姿──最初から師匠は、ここにミミックがいると知って囮を買って出た…………出たんですよね?」

 

 やや強調するシェイラから目を逸らすアマリア。

 

「モチロンデスー」

「「いや、なんで棒読み??」」

 

 どうやら多分にアドリブもあったらしい。

 二人の鋭いツッコミにもめげないのはさすがというべきかな?

 

 っていうか、

「マジでいってーんだよ! クソガキどもがぁぁ!」

 

 ブンブンッ!!

 刺さった武器ごと、振り回してやるが結構ぶっすりと突き刺さってる。

 

「うわ!」

「な?! まだ生きてるんですか? ち、致命傷のハズでは──」

 

 はっ!

 これのどこが致命傷だっつーの!

 

「勝手に倒した体(てい)で話進めるめてんじゃねーよ」

 

 こちとらよぉ~、

 しぶとさだけには定評があるんだよぉぉお!!

 

「そもそも、一撃、二撃くれたくらいでこの「私」が取れるとおもうなよぉぉ!」

 

 メリメリメリメリッ!!

 

「んな! こ、こいつ、なんて力だ──……武器が動かねぇ!」

「く! 魔力の刃が──……」

 

 ケーケケケッ!

 これくらいでビビるとか、今までどんな温(ぬる)いのを相手にしてきたんだが!

 

 

 ……舐めんな!!

 

 

「つーかよぉぉ、一撃くれたらよぉぉ……」

 

 驚くガキを尻目に、

 咥えたハルバードと、魔力の刃とやらに思いっきり力を籠めていく。

 

「──傷を抉(えぐ)るとか、ねじるとか、かき回すとか追撃すんだよぉぉお!」

 

 メリメリメリ!

   バキバキバキ!! バキンッ!!

 

「ひっ?!」

「きゃ!!」

 

 クソガキがー!!

 

「そもそも、致命傷もクソもあるかーーー!! テメェらが突き立ててるそこはなぁぁ……」

 

 「私」の自慢のお口じゃぁぁああ!

 

「ぎゃっはあぁ♪」

 

 ボーリボリ、ボリボリッ!!

 

「なー?! 折れたぁぁぁ!」

「そ、そんな?!」

 

 ひゃーはっはっはぁああ!

 

「こ~んな攻撃。屁でもねーぜ!!」

 

 ──ペッ!

 ぶち折ったハルバードを吐き捨てつつ、「私」は叫ぶ。

 

 そして、見るがいいわ!

 この圧搾機がごとき御口(おくち)をぉぉお!!

 

「何人この口で、お前らみたいなガキを食いちぎってきたと思ーう!」

 

 ひゃーっひゃっひゃ!!

 

 一人や二人じゃ利かねーぞぉぉ!

 何十、百数十と食らって千切って、泣き叫ぶ様を観察しながら飲み込んでやったわ!!

 

「そして、そうしたガキの中にお前らも入れてやるぜっぇぇええ!」

 

 よくみりゃ、実に美味そうなガキ肉じゃね~~~かぁぁあ!

 

 

 

 高級ガキ肉、

 ──いっただきまーーーーーす!!

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