ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第119話「足を引っ張る」

「ぐわーーーっ!」

「あうッ!!」

 

 すると、

 見事に弟子ともどもアマリアにも爆炎が被弾!

 

「ぐぅぅ……!」

「ひゃは♪」

 

 やった!

 ついに命中!! 大ヒットだぜ~!

 

「よーし、この一本を大事にしていこう~!」

 

 もちろん、あれしきで全滅させるほどの威力はないが、無傷ともいえないダメージを与えることに成功した。

 

 だが、さすがは大賢者アマリアといったところか。

 炎を多少食らったところで動揺を見せないで、むしろ、弟子を庇ってその火のほとんどを受けやがった!

 

「ぐぅぅぅ……」

「おっほぉ~、やーるぅ」

 

 だけど、どうする?

 そのまま燃え落ちるかぁ? 美味しい焼肉になるぁぁぁ──……おぉ?

 

「ほぅ!」

 

 そう来たか!!

 

 なんと、ごうごうと燃えたまま、「クソがぁ!」と捨てセリフを吐きながら弟子を庇いつつそのまま水路へ──……ドッパーーーン!!

 

 ひゅ〜ぅ♪

 

「やっぱ逃げたかー、もうちょいだったのに、惜っしい~」

 

 舌でパチンッと指(?)を弾くも、さほど悔しくない。なかば予想通りだったしね。

 

 なにより、ちょうどこっちも燃料切れだったんだよねー。

 

「仕留め切れないならいらなーい」

 

 ぽーい!

  がらんがらーん!!

 

 燃料切れの火炎放射器を惜しげもなく投げ捨てる。どうせ鹵獲品だし、なにも惜しくない。

 予備の燃料もないし、今はこれでカンバン!

 

「──だけど、十分!」

 

 これで、勝機はみえてきたぞ!!

 

「け~けけけっ! 勝負はまだまだイーブンだけど、ガキが足かせになったなー、大賢者さんよぉ!!」

 

 ひゃはぁぁ!

 

 そんな身近に弱点があるなんて驚きだね。

 

 弟子は足手まといだし、

 ガキのアンデッドごときに心を奪われるとはね──……エルフめ、お優しいことで!

 

「そして、いい具合に水路に入ってくれたな!」

 

 はーっはっは!

 

 その水路──ただの飾りだけの水路だと思ったか!!

 

「ざーんねん! 入ったが最後──……そいつも立派なトラップだぜぇ!」

 

 

 ──ざぱぁぁ!

 

 

「ぷはぁ!」

「げほ、げほっ! ア、アマリア! 無茶すんじゃねー!」

 

 勝ち誇る「私」の眼下には、水路から顔を出した弟子二人。

 慌てて、水間に浮かぶ師匠の負傷したアマリアを担ぎ上げてるが、ケケケッ、どいつもこいつも無防備極まりないぜぇ……。

 

「ふ、二人とも今のうちに撤退しなさい!」

「何言ってんだよ! その傷でどう戦うって言うんだよ!」

「そうです。それにお一人では──」

 

 ケケッ。

 

 馬鹿め、一人のほうがそいつは戦えるんだよ。

 ホンっト、足を引っ張ってる自覚もねーんだな。

 

 おめでたい奴等だねぇ。

 

 そして、そのおめでたい頭にコイツ(ボウガン)をお見舞いしてやるぜ!

 

 ──ジャキンッ!

 

「っ! 二人も早く岸に! 奴が──」

「遅いわぁ!」

 

 ドシュンッッ!

 

「ぐぁ!!」

「おっほー?!」

 

 すかさず発射したそれ(ボウガン)をなんと、アマリアが素手で受け止める。

 

「おまえ、マジかー?」

 

 アマリアの手を貫いたそれは、鮮血を水路に滴らせるが、弟子はとりあえず無事ってかー?

 やーるねー。

 

「そんなに弟子が大事かーい?」

「ぐぅぅ……!」

 

 ケケケ。

 そんなに大事なら金庫にでもしまっときなー!

 

「ア、アマリア?!」

「なんてこと……! ル、ルドルフ、今はとにかく水の上に! 今のままでは私たちが──……え? な、何かが足を……」

 

 お、来たかな?

 

 ようやく、不利を悟った二人であるが、そろそろ、仕込みが作動し始めたらしい。

 

「ど、どうしたってんだよ? とにかく、俺がなんとか奴の攻撃を弾くから、お前が魔法でアマリアを──って、おい! 今ふざけてる場合じゃねーぞ、足を掴むなっての!」

「ち、違う、私はなにも────……ッ!」

 

 なにか足下に違和感を感じた二人。

 そして、恐る恐る水路の下を覗き込んで絶句する!

 

「ひっ!」「うわっ!」

「こ、これは──」

 

 そして、アマリアもようやく気付く。

 深い深い、暗い水路の下──そこにひしめく存在に!

 

「ケーケケケッ! ただの水路だと思ったか、バーカめ!」

 

 天井の魔力灯が届かぬ、そこな仄暗い水路の底にはなぁぁ……。

 

「──食いカス(食った後の骨)を溜めといたんだよ!!」

 

 ザパァァ!

 

「わ、わぁぁあ!!」「いやぁぁあ!!」

「これは、なんてこと!!」

 

 驚いたアマリアたちであったが、もう遅い!

 

 水路の底には、食いカスこと、

 ぎっっっっしりと──今までに食べに食べた腐った肉やら、主に人骨やらをた~っぷり仕込んでおいた。

 

 つまりぃぃ──……。

 

「ひ、ひぃぃ! こ、これ全部スケルトンかよ!」

「なんて数のアンデッド?!」

 

「くッ! やはりこれも罠でしたか!」

 

 ──その通〜り!

 

 もちろん、これは水路に入ってショートカットしようとする不届きものの脚を、文字通り引っ張らせるためのモノなんだけどね!

 

 だけど、今はそれが見事に成功したぜー!

 

「と、いうわけでー……。仲良く地獄に引きずりこまれちまいなー!」

 

 ひゃはー♪

 

「ごぽぉ!」

「がぽっ?!」

 

 そして、そうとは知らないアマリアパーティはまんまと引っかかり、そこで足を引っ張られて溺れかけていく。

 

「ケケケ。ソイツ等はバカだからな。生きてる人間を見ると反射的に襲いかかるんだぜぇ」

 

 骨なだけに脳みそもないしね。

 っていうか、食ったしー!!

 

「つまり、どうやっても逃げ道はなーし!!」

 

 けけけけ!

  けーけけけけ──……!

 

「……そして、そっちに必死になってところを悪いけど、その無防備なドタマに、コイツをぶち込んでやるぜぇ!」

 

 ジャキーーンッ!

 

 宣言するなり、本当に無防備な頭を晒すアマリアたちをまとめて仕留めるべく、ボウガンを準備!

 

 もっとも相手はアマリアだ。

 そして、その弟子どもだ。

 

 いくらスケルトンに足を引っ張られていようとも、さっきの奇襲のように一撃を決めるのは難しいだろう。

 

「なので、直接撃ち込むんじゃなくて、こーするのさッ!」

 

 そうとも!

 

 こんなときのために仕掛けて置いた、水路に面した起動スイッチめがけて……ボウガンを発射ぁぁあ!!

 

 ドシュン!!

 

「ひゃはぁあ♪ コイツは豪勢なトラップだぜぇ! なんたって、そこは、そうやって侵入してきたり、逃げる奴専用のトラップだからなー!!」

 

 それも、

 ポイント8000の大型トラップ!!

 

「かわせるもんなら、躱してみなぁ!!──液体窒素(瞬間冷却)ドロップ、発射ぁっぁあ!」

 

 

 カチリと、矢が命中すると当時に天井近くのトラップが起動!!

 

 刹那、

 ──ピチョーン♪

 と、小さな水滴のようなものが現出!!

 

 そのまま、水滴状の透明な極低温の雫(ドロップ)を滴らせる。

 

 

 それは、一見して、ただの水滴。

 

 

 しかして、ただの水滴なはずがない!

 そうとも、ソイツは絶対零度に近い温度にまで下がった高圧縮された液体窒素弾!!

 

 そいつが落ちて、水路全体を凍らせるのだー!!

 

「ひゃはぁ! 凍って死ねぇぇええ!」

 

 「私」の叫びとともに、雫が水面に落水!

 その直後ッ、

 

 

  ピキッ!

   ピキピキピキキキキキッッ♪

 

 

 猛烈に水温が下がっていき、あっという間に水面を凍らせていく!

 

「おーし、命中!! 後はキッチリ凍らせてから、解凍して、長期保存して食ってやるあぁぁあ!」

 

 ピキキキキッ!!

 

「ちぃッ! なんてことを!! み、水がこんなに早く?! まずい──……二人とも、息をとめて!」

 

 ぎゃはははははははははは!

 

「もう遅い!!」

 

 今からできる対処なんぞ何もないわ!!

 飛ぶのも不可能、跳ね返すのも不可能!

 不可能、不可能、不可能、不可能!!!

 

「つまり、これで「私」の、しょーーーーーーーーーり♪」

 

 ぎゃはぁあ!!

 

 高圧縮された液体窒素が、一気に水路を凍らせていくのを見て「私」は天に向かって舌でガッツポーズ!

 

 勝った!

 勝ったのだ!!

 

 あの超強敵に勝った────……ぶしゅうう!!

 

「ぶわーーーっ!」

 

 な、なんだっぁあ?!

 突如、ムワッ! と室内を覆う霧のようなものが発生。

 

 一瞬にして視界を白く染めてしまった。

 

 こ、これはまさか……!!

 

 

 

「あちちち! い、いきなり水蒸気が──って、なんだこれ?……も、もしかして湯気(・・)かぁぁ?!」

 

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