ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

123 / 123
第123話「戦いは準備が大半」

 ジーーーーーーザス!!

 

 

 おののく「私」の前で猛烈に魔力を滾らせるアマリア何某!!

 それはまるでいきなり全回復したかのごとく。

 

「──否、マジで全回復してやがるのかー!」

 

 ず、ずりー!!

 

 エリクサーって言ったら、万病の薬で、ゲームだと、HPとMPも全回復しちゃうやるじゃん!

 そんで貴重なモンだから、だいたい一本か二本しかなくて、ラスボス戦までとっといて、最後まで使わずにゲームクリアしちゃう奴ー!!

 

「いや、ゲームとかラスボスとか以下略ー」

「何をほざいていますか、箱(ハッコ)ぉぉお!!」

 

 ちぃぃ!

 

 完全復活からの一気に勝負を決めに来やがった!

 

 もはや、侮りはない!

 そして、時間もない(・・・・・)!

 

 バリアーを展開する暇もなく、アマリアは全回復の初手からなんと極大魔法やらをいきなり行使し始めやがった!!

 

「ふ、ふふふ! 息を止めて居られる時間は僅か──だから、ここで決めます!!」

「ちぃ! さすがに気づいてるわなぁぁ!」

 

 そう!

 回復したとて、時間はまったくないのだ。

 

 いまや時間はアマリアには不利に働き、「私」には有利しかない。

 

 なぜなら、

 この部屋の換気は絶望的で、今もぶくぶくと溶ける煮あがったスケルトンどもからは二酸化炭素が発生し続けている。

 

 つまり、エリクサーで回復こそすれ、それはあくまでも一時的。

 いくら魔力や体力が回復し、状態異常が治ったとてしても、見えない殺人鬼こと、高濃度の二酸化炭素はこの部屋に満ち満ちたまま!

 

 ──だから!!

 

 だから、このアマリアは今こそ一撃で勝負を決めに来たのだ!!

 

 そう、ほぼ自爆覚悟で極大魔法をぶっ放し、部屋ごと「私」を消滅させる気なのだ!

 いや、もはや部屋で済まないかもしれなほどの魔力の高まり──こ、これは、下手すると、ダンジョン丸々やるつもりか?!

 

「て、てめぇぇえ! そんなことしたら弟子も巻き込むぞ?!」

「ふふっ。そんなバカをすると思いですか?!」

 

 な、なにー?!

 どういうこった?

 

「私たちを甘く見ないでほしいですね。こんな時の行動パターンはとっくに決めているに決まっているでしょうが!」

 

「ッ!」

 

 そ、そうか!

 そういや、コイツ等演技しながら「私」に一撃くれるくらいには、顔芸も出来たし、連携もできる連中だった。

 

「って、ことはまさか──……!」

「とっくに脱出していますよ!」

 

 んなぁぁぁあああ?!

 

 なんてこった!

 戦闘に夢中で、気配探知とかはしてなかったけど、たしかに、全然顔を見せないと思ったら、そういうことかー!!

 

 たしかに、ぶっ飛ばされはしたものの、

 腐ってもこの女のパーティだ。

 

 いつまでも気を失っているとは思えない。

 ……ってことはマジで逃げてるの?!

 

「し、しまったーーーーーー!」

「というわけで、死んでいただきましょうか、クソミミックー!!」

 

 

  キュイィィィィィイイイイイイイン!

 

 

 いやーな音を立てて、魔力が猛烈にアマリアを中心に収束していく。

 それは一見して、小さな魔法に見えるがとんでもない!!

 

 あれほどの高密度の魔法が小さく小さく凝縮されていくのだ!

 その密度たるや、籠めれば籠めるほど放たれた時は最恐の威力を見せるのだろう──……!

 

 まさに小型の核弾頭のように!!!

 

「ちぃぃい! さ、させるかー!」

 

 武器武器、武器!!

 なんでもいいから、

 

「とりあえず、これでもくらえー!」

 

 ボウガンに、グラハム君ソード!

 

 ──うりゃぁっぁああああ!

 

「甘いっ!」

「んな?!」

 

 ガキーーーン! と弾かれる「私」の攻撃!

 みれば、面状に展開されたバリアーが前面に!

 

「っ! そ、そうか、なにも球体である必要がないってことかーーーー!」

「そういうことです! バリアーの中から撃てないのは、あくまでも完全防御形態のみ!!」

 

 ち、ちぃぃぃい!

 そうとわかれば、最初から爆弾を投げつけてやったのに──まずったー!!

 

「ならばこれでも食らえッ!」

 

 もちろん、手乗りサイズの爆弾がたくさーん!!

 

「馬鹿め! もう、遅い──!」

「んな!」

 

 

 キュンッ!!

 

 

 確かに遅かった。

 私が爆弾を投げつけるほんのわずかな隙に、高圧縮がなされた魔力が音を立てないほどに静まり返る。

 

 あー。

 こりゃ間に合わねーわ。

 

 ……それは眷族どもがやられた時に見たあの光景だ。

 

 アマリアの体全体を包む魔力とともに、杖の先にはビー玉程度のギラギラと輝く魔力が濃縮されており、射出を今か今かと待っている。

 そして、次の瞬間には、体中から放出される魔力があのビー玉程度の球体から一気に放たれたこの部屋は爆撃される──……いや、下手をすれば、このダンジョンごと!!

 

 まさに小型の核弾頭といったところ──……こりゃ勝ち目ねーわ。

 

 

 

「じーざす」

 

 

 

「……ふっ。どこの神の名かは知りませんが、私は付き合いませんよ?」

 

 言うや否や、

 アマリアは極大魔力(ジェノサイドマジック)を放たんとする。

 しかして、この距離でありながら死出の旅には付き合わないという。おそらく、魔法を放ったその僅かな隙にバリアーを展開し、自身だけはなんとか身を守る自身があるのだろう。

 

 もちろん相当にリスキーな行為だ。

 蜂の巣をデコピンしてダッシュで逃げきるくらいに一か八か。

 

 だから、普段はやらない。

 

 やったとしても、それは本当に追い詰められた時だけ。

 失敗すれば自爆するのだから当然だろう。それほど、シビアなタイミング。

 

 しかして、そうでもしなければ「私」は倒せないと判断されたのだろう。

 

 実に結構。

 実に光栄。

 実に────……。

 

 

 

「へっ、間抜けだね」

 

 

 

 にひっ。

 

 あまりにも間抜けなエルフに私は思わず、笑いが込み上げてきた。

 だって、これを待っていたのだ。

 そうとも。実は最初から一貫してこのタイミングを待っていたのだ。

 

 バリアーを展開するにもできずに、

 体中の魔力をその一点に集中する、極大魔法を使うまさにその瞬間をッッッ!

 

「何を笑って──……はっ!」

「へっ。お前って、こういうことしたら止まる人ー??」

 

 

 

 

 そういって、私が舌を伸ばして引き寄せたのはなんと──…………。

 

 

 

 

 

「こ、ども……?!」

 

 

 そう。

 所定の位置に待機(・・・・・・・・)させていたミンチちゃんであーーーーーーーる!!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

いや、死神とか聞いてないし(作者:おおは)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

死神少女にTS転生してしまった一般人。▼本人はただの下っ端役職だと思っている。▼だがそんなはずもなく。▼10月10日更新予定です。▼(カクヨムにも載せてます)


総合評価:4016/評価:7.93/連載:12話/更新日時:2026年09月01日(火) 20:34 小説情報

TS転生外宇宙系魔法少女ダークネス・ルーシィ(作者:SIS)(オリジナル:現代/ホラー)

SAN値直葬系マスコットとそれを心から愛する転生者(正気)の日常。▼※序盤とタイトルを書き直しました。▼気分転換に書いた作品を投稿欲を満たすために投稿してみます。▼続き書いたら増えます。


総合評価:3472/評価:8.51/完結:57話/更新日時:2026年08月29日(土) 17:38 小説情報

転生したら異世界の宇宙最強の龍でした!〜0から星と生命を作り出して一大文明の支配者になったので現代日本へ帰還します。自分は日本が一番暮らしやすい。〜(作者:電動ガン)(オリジナル:現代/コメディ)

目覚めたら無だった。何も無い。宇宙さえも。自分の身体を見る。銀色の甲殻、長い尻尾これモンスターだ!?よく見ると俺の他にも二頭のモンスターが。ドラゴンだこれ!!▼俺たち三頭の女神龍は宇宙創成の前の世界にいる。俺たちを生み出した主神の指示で世界を作り生命を繁栄させることとなったけど・・・・・・それ何年掛かるの?▼何億年も掛けて生命が宿れる星を何個も作り、失敗し、…


総合評価:2799/評価:7.58/連載:146話/更新日時:2026年09月27日(日) 17:07 小説情報

畜生から妖狐、そこから神目指す(作者:インテリアタマツヨスギキツネ)(オリジナル:ファンタジー/日常)

▼ 目が覚めたら狐畜生に転生してた件。▼ 追記▼ 一度投稿した小説の内容が目を当てられないほどに駄作だったので一部を書き直しました。読んでくれよな!


総合評価:2799/評価:8.2/連載:19話/更新日時:2026年09月27日(日) 01:26 小説情報

うわぁぁ!!! エルフだ!!??!(作者:葛城)(オリジナル:ファンタジー/日常)

例によって例のごとく、神様のミスで異世界TS転生しただけでなくエルフになった人の話▼なお、異世界ではエルフはお伽噺の住人扱いされるぐらいで、本当にエルフっていたんだって超驚かれる存在である▼※セルフレイティングは、いちおう念のため


総合評価:4339/評価:8.28/連載:14話/更新日時:2026年08月19日(水) 17:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>