ジーーーーーーザス!!
おののく「私」の前で猛烈に魔力を滾らせるアマリア何某!!
それはまるでいきなり全回復したかのごとく。
「──否、マジで全回復してやがるのかー!」
ず、ずりー!!
エリクサーって言ったら、万病の薬で、ゲームだと、HPとMPも全回復しちゃうやるじゃん!
そんで貴重なモンだから、だいたい一本か二本しかなくて、ラスボス戦までとっといて、最後まで使わずにゲームクリアしちゃう奴ー!!
「いや、ゲームとかラスボスとか以下略ー」
「何をほざいていますか、
ちぃぃ!
完全復活からの一気に勝負を決めに来やがった!
もはや、侮りはない!
そして、
バリアーを展開する暇もなく、アマリアは全回復の初手からなんと極大魔法やらをいきなり行使し始めやがった!!
「ふ、ふふふ! 息を止めて居られる時間は僅か──だから、ここで決めます!!」
「ちぃ! さすがに気づいてるわなぁぁ!」
そう!
回復したとて、時間はまったくないのだ。
いまや時間はアマリアには不利に働き、「私」には有利しかない。
なぜなら、
この部屋の換気は絶望的で、今もぶくぶくと溶ける煮あがったスケルトンどもからは二酸化炭素が発生し続けている。
つまり、エリクサーで回復こそすれ、それはあくまでも一時的。
いくら魔力や体力が回復し、状態異常が治ったとてしても、見えない殺人鬼こと、高濃度の二酸化炭素はこの部屋に満ち満ちたまま!
──だから!!
だから、このアマリアは今こそ一撃で勝負を決めに来たのだ!!
そう、ほぼ自爆覚悟で極大魔法をぶっ放し、部屋ごと「私」を消滅させる気なのだ!
いや、もはや部屋で済まないかもしれなほどの魔力の高まり──こ、これは、下手すると、ダンジョン丸々やるつもりか?!
「て、てめぇぇえ! そんなことしたら弟子も巻き込むぞ?!」
「ふふっ。そんなバカをすると思いですか?!」
な、なにー?!
どういうこった?
「私たちを甘く見ないでほしいですね。こんな時の行動パターンはとっくに決めているに決まっているでしょうが!」
「ッ!」
そ、そうか!
そういや、コイツ等演技しながら「私」に一撃くれるくらいには、顔芸も出来たし、連携もできる連中だった。
「って、ことはまさか──……!」
「とっくに脱出していますよ!」
んなぁぁぁあああ?!
なんてこった!
戦闘に夢中で、気配探知とかはしてなかったけど、たしかに、全然顔を見せないと思ったら、そういうことかー!!
たしかに、ぶっ飛ばされはしたものの、
腐ってもこの女のパーティだ。
いつまでも気を失っているとは思えない。
……ってことはマジで逃げてるの?!
「し、しまったーーーーーー!」
「というわけで、死んでいただきましょうか、クソミミックー!!」
キュイィィィィィイイイイイイイン!
いやーな音を立てて、魔力が猛烈にアマリアを中心に収束していく。
それは一見して、小さな魔法に見えるがとんでもない!!
あれほどの高密度の魔法が小さく小さく凝縮されていくのだ!
その密度たるや、籠めれば籠めるほど放たれた時は最恐の威力を見せるのだろう──……!
まさに小型の核弾頭のように!!!
「ちぃぃい! さ、させるかー!」
武器武器、武器!!
なんでもいいから、
「とりあえず、これでもくらえー!」
ボウガンに、グラハム君ソード!
──うりゃぁっぁああああ!
「甘いっ!」
「んな?!」
ガキーーーン! と弾かれる「私」の攻撃!
みれば、面状に展開されたバリアーが前面に!
「っ! そ、そうか、なにも球体である必要がないってことかーーーー!」
「そういうことです! バリアーの中から撃てないのは、あくまでも完全防御形態のみ!!」
ち、ちぃぃぃい!
そうとわかれば、最初から爆弾を投げつけてやったのに──まずったー!!
「ならばこれでも食らえッ!」
もちろん、手乗りサイズの爆弾がたくさーん!!
「馬鹿め! もう、遅い──!」
「んな!」
キュンッ!!
確かに遅かった。
私が爆弾を投げつけるほんのわずかな隙に、高圧縮がなされた魔力が音を立てないほどに静まり返る。
あー。
こりゃ間に合わねーわ。
……それは眷族どもがやられた時に見たあの光景だ。
アマリアの体全体を包む魔力とともに、杖の先にはビー玉程度のギラギラと輝く魔力が濃縮されており、射出を今か今かと待っている。
そして、次の瞬間には、体中から放出される魔力があのビー玉程度の球体から一気に放たれたこの部屋は爆撃される──……いや、下手をすれば、このダンジョンごと!!
まさに小型の核弾頭といったところ──……こりゃ勝ち目ねーわ。
「じーざす」
「……ふっ。どこの神の名かは知りませんが、私は付き合いませんよ?」
言うや否や、
アマリアは
しかして、この距離でありながら死出の旅には付き合わないという。おそらく、魔法を放ったその僅かな隙にバリアーを展開し、自身だけはなんとか身を守る自身があるのだろう。
もちろん相当にリスキーな行為だ。
蜂の巣をデコピンしてダッシュで逃げきるくらいに一か八か。
だから、普段はやらない。
やったとしても、それは本当に追い詰められた時だけ。
失敗すれば自爆するのだから当然だろう。それほど、シビアなタイミング。
しかして、そうでもしなければ「私」は倒せないと判断されたのだろう。
実に結構。
実に光栄。
実に────……。
「へっ、間抜けだね」
にひっ。
あまりにも間抜けなエルフに私は思わず、笑いが込み上げてきた。
だって、これを待っていたのだ。
そうとも。実は最初から一貫してこのタイミングを待っていたのだ。
バリアーを展開するにもできずに、
体中の魔力をその一点に集中する、極大魔法を使うまさにその瞬間をッッッ!
「何を笑って──……はっ!」
「へっ。お前って、こういうことしたら止まる人ー??」
そういって、私が舌を伸ばして引き寄せたのはなんと──…………。
「こ、ども……?!」
そう。