「……な?! 二人とも、ど、どうして?!」
その瞬間のアマリアの表情よ。
絶望を煮詰めに煮詰めて、匙ですくって一口したらきっとあの顔になるのだろう。
──まさにそんな表情だった。
「ア、アマリアこそ何やってんだよ!」
「あの子、なんでこんなことに──」
ルドルフ何某君と、シェイラ何某ちゃんが口を覆って、この惨状に目をむいていた。
まぁ、コイツ等にとってはそれくらいに最悪の現場だろう。
そして、「私」にとってはサイッコーーーの現場だぜぇえ!
「ひゃははははは〜ん♪ さーて、役者がそろったぞー?! どうする、どうするぅ?!」
エルフの大賢者さんよぉぉお!
そして、「私」は知っているのだよ!
「──……お前さー。最後の最後で、ミンチちゃんを見捨ててでも、その魔法をぶっ放して生き残る気だっただろう~?」
「うぐっ!」
そうとも。
何年生きているか知らないが、長命種として名高いエルフだ。
そんなエルフが最後の最後で、自分の命を無駄に散らす……?
「じょ~~~~~~だんキっっツイぜぇぇ!」
そんなわけねーじゃん。
バレバレだっつーーーーの。
だからこそ、散々に煽ってやったのだ。
まぁ、この状況は半分賭けみたいなところではあったけど、
ミンチちゃんがここに登場するのは計算づく!
じつは、戦闘開始前に、「私」はミンチちゃんにこの部屋に向かうように
すると、当然ながら、脱出しようとしていたガキどもがミンチちゃんに遭遇する。
遭遇したらあとはもう、簡単。
いくら不自然でも、エルフの薫陶をうけた弟子が無防備にノコノコとダンジョンを歩いている女の子を見捨てられるはずもないわなぁ。
「そうしてこうして、お前の大事な大事な、可愛い可愛い弟子までもが魔法爆撃の危害半径に来てしまいましたとさー!」
ぎゃーーーーっはっはっはっはっはっはー!
「今度こそ、しょーーーーーーーーーり!」
普段から子供に優しいエルフ先生の
誇ってもいいぜぇっぇえええ!
そして「私」は高級ガキ肉のエルフ定食を爆食いだぜえっぇええ!
イエ~~~イ♪
「……と、言うわけで」
ベロ~ン!
「い~ひひひ、まずは爆発寸前の美味そうなエルフから、いっただっきまーーーーー……って、あああん?」
……なに?
「……ま~たこのパターン??」
せっかく食事に取り掛かろうと思ったところで何ということでしょう。
邪魔をする輩が出現。
アマリアを背後に庇うかのように、予備らしき武器を構えたルドルフ君が立ちはだかり、その背後にはシェイラちゃんが杖を低く構えて詠唱の予備動作。
「は~ぁ……」
つまんねー。
その、どこか既視感を感じさせる光景に思わずため息が漏れる。
「な、何がこのパターンだ!! 当たり前だろうが、舐めるなよッ! 俺たちはSランクパーティ『静寂の杖』! 深層ダンジョンを幾度も踏破し、ドラゴンとすら戦ったことがある最強のパーティだぞ!」
つまーり!!
「お前ごときに、やられはし────……あびゅ?!」
「あ・の・さぁ……?」
ドクン、ドクン、
「うぶ、べ……? え、それ、俺の──」
ドックン、
ドック、ン……。
「そ。君の心臓──。つーか、君さぁ、「私」のこと舐めすぎ」
Sランクパーティだか、
七色の虹だか静寂のションベンだかなんだか知らないけどよぉぉお。
「──師匠にオンブに抱っこで守られてただけの分際で、この「私」にかなうわけねぇぇぇだろうがよぉぉぉおお!」
ブシュウウゥゥッ!!
舌撃の心臓を貫き、
ついでに、一撃のもとにそいつを引き抜くと、取り出したばかりのそれをまざまざと見せつけてやる。
すると、いまさらながら、傷口から血を噴き出すルドフル君。
おっほ!
スッゲー血ぃ!
どうみても致命傷だねぇ。
そして、それを感じさせながら、わざとホカホカと湯気の立つをえぐり出した心臓をじ〜っくり見せて、絶望を感じさせたあとは、
バクンッ! と一息で食らってやる!
──ぅ、うまいいっ!!
感動の味!!
だけど、その前に、返す刀で舌撃の高速斬撃ぃ!
「死~ね、おらぁぁぁああああああああああ!」
斬ッ斬ッ斬ッ斬ッッ!!
「あ、が、げ、ごはー!!」
ガキが舐めてんじゃねーぞ!!
肉の分際でよー!! 黙って食われてろやあぁぁあ!!
そのまま、細切れダンスを踊らせると、
その絶望の顔を焼き付けるようにして、脳天、喉、肺、そし
「はい、しゅーりょ~~~」
「が、ぐ……おぼっ」
ずずんっ!
片膝をつくルドルフ君。
この状態でも武器を握ったままなのはさすがは戦士職といったところだが、
すでに、片目は潰れ、喉に胸に腹は引き裂かれて、もはや死に体だ。
しかして、そんな状態の自分が信じられないのか、一度胸に空いた穴を確かめ。そのまま半身だけでくるりと振り返ると二人に手を伸ばす。
そして、
「に、げ──……」
……ドサッ!
だが、最後に何かを言おうとして──シェイラ、そして、アマリアの順に顔を見た時点で……ついに絶命。
残った目をグリンと白目をむかせると、その姿勢のまま倒れてしまった。