ルドルフ、死す。
「ひゃは! ざまぁ──
「「ルドルフぅぅぅぅぅっぅぅうううううううううううううう!!」」
うぉ!
な、なになに?!
「い、いやっぁぁあああああああああああああああああ!!」
「ああああああああああああああああああああああああああ! ルドルフ、ルドルフぅぅうう!」
び、びっくりしたー。
な〜んだ、女どもの癇癪かよー。
「もー。ビビらせやがって──いきなり大声とか禁止!!」
心臓がとまって、
耳が潰れるかと思ったわー。
ま、心臓も耳はないんですけどねぇ、ぎゃはぁー♪
「つーか、よくもまぁ、君たち叫ぶだけの体力があったもんだねー!」
「私」感心!
しかし、そんだけ喋れるってことは──。
「き、貴ッ様ぁぁぁああ! 許さーーーん!!」
……ははっ!
「やっぱそう来るわな!!」
いいね、いいねぇ!
ひ~ひひっ!
「──つーか、そう来なくっちゃ面白くないねぇぇえ!」
「うわぁぁぁあああああ!!──黙れ、黙れぇぇぇ!! 語るに及ばずっ!!」
ダンッ!
最後の力を振り絞り、思いっきり一歩を踏みしめるアマリア。
見れば、なんと鮮血が迸る!
何事かと思えば、コイツ──! ルドルフ君が持っていた、武器で自身の足を貫きやがった!
「な、なんのマネだよ?!」
ボケをかました?
いや、まさかな……。
「……あ!! もしかして、わざとか?」
微塵も動揺していない顔に「私」は騒然とする。
しかして、このタイミングで自傷することの意味よ──……。
「はっ! まさか、二酸化炭素の吸い過ぎで鈍った頭に、
いやいや、ムリムリ!!
「残念だけど、二酸化炭素中毒はそーいうのじゃ、どーにもならないからぁぁ!」
ひゃはあ!
眠気や洗脳の一種とでも思ったか?
甘い甘〜い!
「酸素の欠乏が原因なんだから、むしろ血を流したら悪化するッつーの!!」
バーカめ!!
「結構! 一瞬でも頭がシャキっとすれば、それで結構ぉぉお!」
そういうなり、
ついにはゴブッ! と、血反吐と胃液を吐き出した、アマリア。
どうやらすでに内臓障害がでるくらいに汚染されているらしいが──戦う意思は微塵も消えてはいない!!
ひゅ〜♪
……やるなー、この女エルフ。
「へっ! それで、どうするどうするー? 気合を入れ直したとして、お前は満身創痍。そして、自己満足の一撃のために、まだ残ってる弟子のひとりも巻き添えにして自爆するかーい?!」
「舐めるな! 私は、アマリア! 大賢者アマリア!! 近代魔法の祖にして──すべての魔法使いの母!!」
──そして、
「この子たちは私の自慢の娘ぇぇぇえ!」
「へっ?」
急に何よ?
つーか、人間の女の子が娘って、あーたエルフじゃん……って、はっ!
まてよ。
大賢者、
近代魔法の祖、
ってことは、
「ま、まさか!!」
いや、そうだ!!
「お、お前の魔法って、もしかして──」
「その
ちぃぃぃぃいッ!
ってことは────……。
「そっちのシェイラちゃんも、
「当然。使えますとも!」
……ブーン!!
アマリアが言い切ったが否や、それは発動する。
くそっ。
その音を「私」は忘れない。
「ち、ちぃぃぃいい……抜かったー!! お前もバリアー使いかぁぁぁあ!」
「あは、あははは! できた──できましたよ、アマリア様!
笑うシェイラ。
凶器に満ちた笑みを浮かべるシェイラ!
そして、その衝撃の告白よ。
つまり、今まさに、
この土壇場の、この瞬間に、ここにきて初めてらしき魔法を成功させただぁっぁああ?!
「んなぁぁああ! そ、そんな都合のいい真似がー!」
「いいえ、都合がよかったのはお前の方です、ミミ~ック。そして、」
ガクンッ!
「お、おま! なにを──」
「ふっ」
二酸化炭素中毒で、意識障害を起こしたらしきアマリアが、吐しゃ物をこぼしながら倒れる。
そして、何を思ったかそのまま、倒れるままにして吐瀉物ごとルドルフに口づけをすると……最後に笑った。
「──自慢の子達よ……」
くわっ!
「いきなさい、ルドルフッ!!」
「──…………おうよ!!」 ドンッ!!
んなー?!
「な、なんだとぉぉぉおおおおおおおおおお!?」
ル、ルドルフって、おまーーーっ!!
意識を失う寸前のアマリアが目を見開き叫んだのは、なんとさっき仕留めたばかりに男のガキの方の名前であった。
つーか、そいつはさっき心臓を…………って、お、おいおいおいおいーい!!
「な、な~~~~んで、心臓が復活してるんだよ?!」
「へ、へへへ! クッソいてぇぇけど、動けるまでには回復したぜぇぇ!」
ちょぉぉお?!
う、うそでしょー?!
どういう理屈か知らないけど、
なぜか、あのズタズタに切り裂いたルドルフ君が慢心創意ながら起き上がる!
完全回復とはいいがたいけど、起きて、走って、動いている?!
──そして、動揺する「私」を尻目に、ルドルフが武器を手にして一気に肉薄!!
そのまま叫ぶッ、君よ!
「シェイラぁぁぁああ!」
「………………うんっ!」
すると、叫びに応じたのは涙の尾を引きながらも、仲間が──ルドルフが! 愛しい人たちが、生きていたことに感激したシェイラが、一言だけで完全に意志を疎通すると、その魔法を放つ!
それは、戦士の威力を、能力を、力を底上げするものッ。
例えば筋力、
例えば速力、
例えば反発力と──とにかくありとあらゆる力を、身体能力を向上させる
そして、まさにその魔法が刹那の呼吸の間にルドルフにかかる!
掛かって、
「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
あとは、そのままの勢いで勇者がごとく突進!!──振り返ることなく、自身にその支援魔法がかかることを100%確信して、ルドルフが一撃に全てを掛けて踏み込んでぇぇえ……!!
「死ぃぃぃいーーーねぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「ち、ちぃぃ……!」
距離が近ぇ!
ミンチちゃんを盾に──…………は、無理か!
──それくらいに、止まらねぇぇぇえええええええ!!
「ってことはよぉぉぉおお!」
ここに至り、真っ向勝負ってかぁぁぁあ!
「上ッ等ぉぉぉおおお!」
ブンッ!
盾にしていたミンチちゃんを邪魔だと転がし、剣を構える「私」!
つーか、
ガキの一撃が、「私」に効くかぁぁぁあああああ!!
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーー!!」
「うおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーー♪♪」
ひゃッはぁぁ♪
振り下ろされるルドルフの武器が黄金に輝いている。
おそらく魔法かなにかの効果だろう。
対して私が持つのは、業物で国宝級だけど、とくに目立った魔法のかかってはいないキャルトール(※グラハム君ソード)だけ!
だが、
それでよし!
それで上等!
それで充分
そして、それを、それを、それを──それを単純にぶつけ合うのーみ!!
──いざ、尋常に勝負!!
「いっくぞぉぉぉお!!」
「おっしゃこーーーーーい……って、い、いっでぇぇえ!?」
バッキーーーン!!
「ぐ、ぐぁぁぁあああああああああああああああああああ?!」
な、何だぁっぁあ?!
い、いでぇ?!
コイツ、小細工抜きでガードごとぶち抜いてきやがったぞ?!
「はっ! 馬鹿めッ、俺は聖戦士ルドルフッ! 瞬発的な膂力はオーガよりも上なんだよぉ!」
んなー?!
オーガだぁっぁあ?!
……見たことないけど、強そう!
「そして、お、重てぇぇぇええ!!」
メリメリメリ……!
あのグラハム君ソードが嫌な音を立てて
そして、その先にあるルドルフ君の剣が黄金に輝いたまま、グラハム君ソードごしに「私」へ、ミシミシめきめきと突き刺さっていくー!!
「いででででででー?!」
や、やっべぇぇ!
「私」は構造上、斬るとか突くとかにはめっぽう強いけど、叩き潰しとかの破壊系攻撃には弱いのだー!
つまり────わりと、ピ〜ンチ!!
「……だが、それまでだぁぁぁあああ!」
ぬににににに……!
負っけるかぁぁぁ!
「私」にだって、守るべき、ミンチちゃんとかミユちゃんとか、眷族がいるんだー!
あの子たちに、ご飯を分けるためにも──「私」は負けーーーーんッッ!!
──そして、今までに「私」の血肉になってくれた子供たちのためにも……負けないぞぉぉおお!!
ルドルフ君の背中ごしに、
「私」の中を駆け抜けていった、ミユちゃん、リーデルちゃん、リーンちゃんにモブ顔の少年少女、
そして、先生たちやジナちゃん、女忍者どもに、AランクやBランクの冒険者諸君が、「勝て!」「勝勝って!」と、叫んでいるのが見え〜る!!
なによりも、まだ見ぬ
「つーか、こっちの方も舐めて貰っちゃ困るねぇ……!」
なんせ、仕込みは十分!
この部屋の二酸化炭素濃度はすでに致死量よ!!
「つまり、もう数秒たりともテメェらは、もたねーんだよ!!」
実際、シェイラはすでに膝をついて荒い息をついているし、そのバリアーは今にも消えそうだ。
そして、ルドルフは
ならば!!
こっちは、あとここの一撃を凌げれば勝、ち…………?
「…………いや、まずった!!」
し、しまったー。
コイツの復活に気を取られてしまったけど、
チラッ。
「ふふっ。よくやってくれました、二人とも。……そして、十分です──────二人は、」
すぅぅぅ……。
──引きなさいッ!
ジーザス!!
「や、やはり、ここでアマリアかー!?」