ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第25話「未帰還(※)」

「帰ってこんな……」

「帰ってきませんねー」

 

 ギルドの中で途方に暮れるギルドマスターと職員。

 そして、肝心のギルドはといえば、まるでお通夜のようなありさまだ。

 

 外の村人たちは好景気に沸き返ってお祭り騒ぎだというのに──……。

 

「3日たったらどうしますか……?」

「そ、そりゃー……捜索だろ。──え? Bランクを、だれが?」

 

 いや、こっちが聞いてるんだけどなー、と顔を引きつらせる職員。

 

「……もう、近隣に高ランクの冒険者はいないですよ、よほど運が良ければ立ち寄るかもしれませんが。……あとは、一番早いパーティでダンジョン都市からの派遣待ちです」

「あーん?! そ、それはいつのことだ!?……いや、まて! まだあの2パーティが遅れているだけかもしれんだろッ!」

 

 そんなわけないだろ。

 

 ……3日の規定はあくまで遭難の基準であって、低レベル帯のダンジョンにBランクパーティが2つも突入してまだ帰ってないことが、どれほど異常か分かれよ。

 

「その可能性も否定はできませんが、そろそろ決断しませんと……」

 

 そうなのだ。

 これから一世一代のイベントが控えているのだ。

 

 この寒村の経済をぶん回し、ここのギルドが今後有名になるかどうかの一大イベント。

 

「ぬぅぅ! ま、魔法学校と騎士団見習いのダンジョン実習か!……くそ、それまでにはなんとかするつもりがぁぁ、おのれぇ──使えんくそパーティどもがぁぁァァァア!」

 

 だーかーら、声デカいっつの!

 外に響いてるから!!

 

 ギルドにまだ他の職員も冒険者もいるから!

 

「はぁ……。で、どうします? いまから早馬を飛ばせば、ギルド本部と魔法学校に連絡がつきますよ?」

 

 そして、魔法学校が事態を把握したらおのずと騎士団のほうも連絡がつく。

 なので、今、早急に決める必要がある──ダンジョンを一時的にでも閉鎖し、ダンジョン実習の受け入れを中断するか、否かを!

 

「──ま、まて! まてまてまて! 考えさせろ!」

「はいはい。お好きなだけどーぞ」

 

 ギルド的には中断すべきだろう。

 だが、ギルドマスター個人としてはおそらく……。

 

「……よし! こうしよう!! まず、3日の遭難基準まで待機だ! あと、ウチの酒場で(くだ)を巻いている腰抜け冒険者どもに発破をかけてダンジョンにいかせとけ」

 

 はぁ?!

 

「……誰もいきませんよ。みんなビビってますし」

「かー! 臆病もんどもがー!」

 

 いや、当たり前でしょうが……。

 

「それで3日後は??──その、3日も待つと、おそらく……。連絡に行き違いが起きて魔法学校の実習生が来ちゃいますよ」

「そ、そんなことにはならん! Bランクパーティを2個送り込んだんだぞ? アイツ等ならやってくれるわ!」

 

 さっきと言ってること違うじゃねーか。……はぁ。

 

「それにほら、あれだあれ!」

「……ダンジョン都市からの増援のことですか?」

「そう、それだ! うまくかみ合えば、実習生が来る前に、到着するかもしれんだろ?……Aランクもいるかもしれんよな?」

 

 えー。

 そんな、賭けみたいな真似するの?

 

「先に実習生が来たらどうするんですか?」

 

 やっぱり無理なので、帰ってもくださいー……とか、絶対にまずいぞ。

 すでに、めちゃくちゃ金動いてるからね?

 

 なんなら、ギルドも村もその金当てにしてるし、かなり使ちゃってるからね?

 

「それに、増援の到着は微妙なところですよ……。あと、Aランクが来るかどうかまでは──」

「なんだと!」

 

 いや、知らんがな。

 前々から言ってることと情報は変わってないからね?

 

「はぁ……可能性はなくはないです。少なくともBランク以上は確実に来るでしょうから、それに期待しましょう」

「う、うむ。そうか──……そうだな。Bランクでも数で当たればなんとかなるか、うん」

 

 ……2個パーティが帰って来てないけどねー。

 

「よ、よし! では今言った通りにしろ!……あと、なんとかウチの冒険者を送り出せ! 何が起きているかだけでも把握するんだ!!」

「わかりました……」

 

 言っても誰も行かないだろうなー。

 と思いつつ、それでも、若い奴なら無謀にも挑戦しそうだという懸念もあって。正直、どうすべきか判断に迷うギルド職員なのであった。

 

 

 

 

 魔法学校実習生の到着まであと……2週間。

 




25話目です
毎日12時ちょっと前に更新予定!

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