「ぎゃああああああああああああ!」
あー、うっさいうっさい!
4組目を仕留めたところでさすがに疲れてきた。
やー。
いわゆる心地よい疲労感ってやつなんだけど、な~んかこう……作業になってきてちょっとなー。
「歯ごたえがないというか、なんというか」
いや、美味しいし食べ心地はいいのよ?
まさに、歯ごたえも、若いからか知らんけど、骨とかコリコリしててサイコーなんだけどさー。
(いや、そういう歯ごたえじゃなくてさ……)
「なんか、コイツらマージで雑魚だわー」
まぁ、ガキばっかだし当然なんだけどね。
「だけどこう……せ~っかく気合入れて狩り場を整えたんだし、もうちょっと頑張ってくれないと、面白くないなー」
いや、まぁ、あとで食べる楽しみがあると思えばそれまでなんだけどさー。
こうも簡単に引っかかってくれるとなー……。
「ま、それだけ仕掛けが優秀だったんだろうけどー」
仕留めた生徒たちをまとめて保存食用にストレージにしまいつつ、頭(?)を舌で掻く。
……しかし、ほんとうにまぁー間抜けばっかだわ。
一応、何人かは隠し通路を疑う奴もいたけど、結局のところ入ってきた。
どうやら、素人が数人で行動するとどうも警戒心がザルになるらしい。おかげでもう入れ食い状態。
──おなかもパンパン!!
黒髪眼鏡の子リーデルちゃんとかリーンちゃんとかで結構お腹は満たされてるんだけど、
ほら、新鮮だし、時々新しい子をつまみ食いしちゃったのん──てへへ。
なので、胃の中は……多分、4、5人くらいの肉が詰まってる気がする。
え?
食べたら吐くんじゃないのかって?
や。どうやら、丸飲みしないでゆ~っくり咀嚼すればなんとか入るみたい。
こう……ゆっくり、もぐもぐ的な?
ほら、よく言うじゃん?
よく噛んで食べましょう! って、あれよあれ。
まー。それほど食べても、まだまだ生徒肉は余りまくっていたので、残りはストレージに入れて、保存食行きにしてます。
──ま、これはこれでいい。
あとで、
煮たり、焼いたり、干したり、蒸したりと、色々試したいから、無駄使いはしない方針でーす。
「……それよりも、まだ来るかなー?」
数的にも半分以上は仕留めたと思うけど──……どうも動きが鈍い組がいるね。
遠すぎてわからないけど、最初に感じた足音を察するに入口あたりでウロウロしてるみたい。
「まぁ、そこが入口かどうか知らないけどねー」
っていうか、「私」は全然このダンジョンのことを知らないのだ。
ミユちゃんに教えてもらったこともあるけど、基本この部屋だけ。
──ま、別にいいんだけどねー。どうせ
「しゃーない、動きが悪いのはおびき寄せるかなー」
ちょうど5組目が来たしね。
これを
──まずは
そして、仕上げは大抵ビビって逃げる奴をこの通路で────撃つべし、撃つべし!
「はい。しょーりー!!」
あっはっは。楽勝!
このパターンでほぼ確勝!
敗北を知りたいわー。
つーか、さすがに通路中──血の匂いが立ち込めてるだろうによく入るなー。
やっぱ素人が複数群れると馬鹿になるのかねー。
「……っていうか、今更だけど、この子らってどっかの学生だよね?」
なんかお揃いの服着てるし、
みんな若くてうまいし──ピッチピチ!
それも全員魔法使いなのか、
魔力もあるし、地味にポイントも高いときた。
……ついでに言えば、な~んか知らんけど、案内役らしい冒険者はいつも最後尾だ。
「なんだろ? 修学旅行とか? そんで冒険者が引率──みたいな?……なわけないかー」(※注∶正解)
あはははー。
……修学旅行が何か知らんけどー。
「さて。ともあれ、これでガキどもを5組ばかり仕留めたわけだけど──……やっぱ、入口のが動かないなー」
というかあれかな?
アイツら最初から動くつもりがないとか?
「雰囲気的におそらく、残り15人くらいだろうだと思う」
とすると、こいつ等と同じ組があと2つで10人〜12人。
それと、ちょっと腕の立ちそうなのが2、3人ってとこかなー。
「すると、状況的に考えて、護衛とか引率の先生とかそーいうのかな?」
「い、いったたた……」
ん?
……おっと、そうそう。忘れてた。
「おー、生きてた生きてた」
よかったよかった。
5組目の学生連中と冒険者も一応仕留めたんだけど、最後尾にいたこの子だけは、足を矢で撃ちぬくに留めて生かしておいた。
もちろん毒なし。
そして、この子も例によってお揃いの服を着た学生で、
相も変わらずのモブ顔の少年だった。
でもって、痛いと泣き声を出すくらいには、足を怪我してもう動けません。へへ、こりゃー、都合がいいね。
「──なので、君。ちょ~っと手伝ってねー」
「へ? ひへ? いったいなにが──……ぎゃ、ぎゃぁぁぁあああああ、なんだよこれぇぇ!」
おーおー!
活きがいいねー。
「うんうん、その調子、その調子。そんな感じの大声でお仲間を呼んでねー」
足首を掴んで、舌で釣り上げただけでビビり倒す学生が悲鳴を上げるが──まーだだよ、まだまだ慌てない慌てない。
「あと、
「ひ、ひぃぃい! ば、ばけものー!!」
「そうそう、化け物化け物。ミミックだよー。がおー、食べちゃうぞー」
割とマジでー。
「ぎゃあああ!」
あーはいはい。
元気がいいのはわかったから、まだまだ落ち着きたまいよ。
ぐばあ! と開けた口の中に恐怖するモブ顔少年であったが、そう──まだちょっと早い。
「叫ぶなら、もうちょっと先でお願いねー」
よいしょ、よいしょ。
そのまま、舌で通路から休憩スペースのほうにズルズルと引きずり出すと、思いっきり振り下ろして地面にたたきつけて抵抗力を奪う。
「あべしっ!」
思いっきり叩きつけたせいで顔面が変形したようだが、まだまだ元気そう。
なので、さらに打つべし打つべし。
「あ~っらよっと!」
タコを叩いて調理するかのように、打つべし打つべし。
もっともっと打つべし打つべし──。
「あ、ぶ、ぶ……」
おっと、そろそろ弱ってきたかな。
これで簡単には逃げ出せないだろ。
「……さて、仕込みはこれくらいにして。あとは、顔だけうまく入口から出させて──……あ、調整がむずい」
ミミックの特性で「私」は部屋から出れないので、こうして、モブ顔少年の顔だけを入口から出すとかいう──微妙に細かい作業が結構難しいのだ。
おまけに人間と違って手がないから、大雑把なことはできても、意外と不器用なのである。
そのせいでモブ顔少年には悪いことをしちゃったけど、何回か地面にたたきつけたところでようやく顔だけうまく通路に出すことに成功。
「いやー、危ない危ない。このまま叩きつけてると死んじゃうところだったよー。だいじょーぶー?」
「あ、ぐ……ぁ」
うむ、生きてる。
重畳重畳。
しかし、隠し通路から問いかけてもちょっと聞こえないかな?
……ま、いいや。
「というわけで──はい、せーの!」
少年めがけて、
舌撃&ミユちゃんナイフで──足をぶっ差ーす!
「っっ……ぎゃぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
おー。
いい声。
「……これでうまくいくかなー?」
これだけデカい悲鳴を通路であげれば、
部屋の中だと響き渡りにくかったそれも、ダンジョンの入口付近までうまく届くかもしれない。
否、届いておくれよ、この想い──……!
全員たべたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!