ミミック転生~人食い箱の食味記録~   作:LA軍

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第41話「一斉射撃(※)」

 ──ミミックだ!

 

 

 

 クレイン主任の叫びに応じて、すばやく臨戦態勢をとった教員たち。

 もちろん、生徒たちも慌てて追従する。

 

「総員聞けッ! ここはダンジョン内だ──ゆえに火魔法は厳禁。全員で放つと酸欠になるぞ!」

「あと爆破系、重力系もやめなさい──! 天井や床のトラップが発動する危険があるわ!」

 

「「は、はい!」」

 

 カーデル先生とメリッサ先生が、教員らしく具体的に指示を出す。

 その声に、生徒たちの表情が引き締め、魔法杖を構えると魔力を練り始めた。

 

「よーし、いいぞ! わかったならば、全員トラップの誘発に警戒しつつ────……放てぇぇぇええ!」

「「う、うわっぁぁあああ!」」

 

 

  ドッコーーーーーーーン!

 

 

 クレイン主任の発射指示とともに、教員と生徒あわせて13名の魔法使いからなる攻撃魔法が一斉に放たれる!

 

 ──その威力よ!!

 

 水魔法(ウォーターボール)氷魔法(アイシクルエッジ)

 風魔法(ウインドカッター)土魔法(アースボルト)! さらには、無属性系のマジックミサイルに、光属性(ライトニードル)闇属性(ダークスピア)等の魔法が雨あられ!

 

 ドカンッドカンッドカンッ! と、

 

 銘々が得意魔法を放ちつつも、禁止された魔法以外が一気呵成にぶっ放されていくッッ!

 

 その威力と輝きが薄暗いダンジョンを真昼のように染め上げた!

 

 さ、さすが魔法学校の生徒と教師の放つ魔法だ。

 それはまさに一斉射撃! まさに炸裂に次ぐ炸裂!

 まさに総攻撃!

 

「撃てぇぇぇえ! 撃てぇぇぇええ!」

「「わぁっぁぁああ! わぁぁぁああああ!」」

 

 ──うわぁぁぁあああああああああ!

 

 その間中も、誰かの絶叫が響き渡り、

 ありとあらゆる種類と輝きを放つ魔法が、箱に向かって殺到し、そのままほぼ全員が魔力が切れるまで撃ち続ける。

 

 そうしてまばゆい光が室内を染めるたびに、無数の魔力が渦巻き破裂していくが、ついに一人、また一人と魔力が切れて膝をついていく。

 

「はぁはぁはぁ……」

「ふぅふぅふぅ……」

 

 さすがにこれほど濃密な連続射撃だ。

 

 周囲には溺れるほど濃密な残留魔力が漂い、オゾンの香りが立ち込めていた。

 そうして、ようやく魔力切れととも周囲に静けさが訪れるたころ──。

 

「……や、やったか?!」

 

 誰ともなく呟き声(フラグ)が響く。

 

 だが、まぁ、やったのは間違いない。

 なにせこれほど高威力の魔法が──…………「あう゛う゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛」

 

 

  「「ッ?!」」

 

 

「な、なんだ?!」

「馬鹿な、これは一体!」

 

 思わず声を上げるクレイン主任たち。

 だが、それも致し方なし。

 

 なぜなら、すでに多数の魔法が直撃した木箱は、ほとんど原型を留めていない──……だのに、まだなにかが這い出して来るのだ!

 

「ちぃ! 総員警戒ッ!」

 

 まだ生きていたかと、

 クレイン主任は残った魔力をかき集めて『魔力の大剣』を作ると全員を背後に庇い一歩前に出る。

 

 その左右を固めるのは、教員二人。

 

 もちろん、

 カーデル先生とメリッサ先生だ。

 

「二人とも、私に攻撃のあとに一斉射!」

「了解」「お任せをっ!」

 

 さすがにしぶといが、これなら万が一もないだろう。

 なにせ教員3名からなる至近距離からのトドメの一撃だ。

 

「死にぞこないめ。さぁ、顔を出せ!」

 

 すでに相手の動きはにぶい。

 

 そのことからも満身創痍と推定。実際、それほど危機感を感じない。

 そして、目の前の爆炎のベールの向こうに蠢く影はすでに予想通り重傷を負ったのか、動きが鈍くズルズルと這いよるのみ……。

 

 そんなのに遅れをとるほどの教員3人ではなかった。

 だから、今か今かとその瞬間を待ち、魔法を放とうと、杖を思いっきり振り上げた!!

 

 

「くたばれ化けも──……………………は?」

 

 

 ……しかし、必殺の一撃を放とうとしたクレインのそれは寸前で不発となる。

 

 なぜか。

 なぜだろう。

 

 ……否、考えるまでもない。

 

 湛えた魔力の大剣は霧散し、思わずたたらを踏むクレイン主任。

 いや、彼だけでなくカーデル先生もメリッサ先生も大きく目を見開いたまま硬直していた。

 

 それもそのはず。

 

 今しがた全員が魔法を撃ちこみ、

 そして、たった今とどめを刺そうとしたそれ(・・)に見覚えがあったのだ。

 

「……う、嘘だろう」

「クレイン主任、こ、これは──」

 

 思わずたじろぐ教員たち。

 

 だって、だって。

 それ(・・)は見覚えのある学生服を着ていたし、なんなら学年を示す帽子とリボンをしていたのだから。

 

 ……つ、つまり。

 

 このボロボロに溶けた体と、

 骨を剥き出しにしつつも、

 少女の面影を残したこの顔は──────う、うそだろ? 嘘だろ?! こ、この子って、まさか。

 

 

 

「…………リ、リーンさん?」

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