「いえーい! 大成功!!」
やー。
うまくいったわー。
そして、いやーーーー焦った焦った!
だって、なっかなか、全員が部屋に入らないんだもーん。
最初どうしようかと思ったよ。
だけど、まさかまさかの大成功!
一匹くらい逃がしちゃうかなーと思ったけど、うまくいったわ。
「やー。なるべく全部つかまえたかったから、結構工夫したんだよねー」
すでに事切れたリーダー格の先生の頭を、舌でぺちぺち叩きながら解説ぶっていく。
なんてったっけこの人?……クレイン先生だっけ?
「実はさー、今回の獲物を一網打尽するにあたって、またまた部屋を小改造したのよ」
といっても、時間もなかったし、
そこまで大掛かりなものじゃない。
やり方は実に簡単。
すでに隠し通路はバレバレだし、血と臓物臭で誰も警戒して入ってこないのは明白だった。
それに、ただの探索中ならいざ知れず、あれだけモブ生徒の悲鳴でおびき寄せたからね。普通は罠を疑うだろう。
──なので、逆にそれを利用した。
実際、それっぽく罠もしかけといた。
あの通路に入ったら、二歩目くらいに床のスイッチで「毒ガス」が出るタイプのやつをポイントで買っておいたのだ。
もっとも、これは囮と保険を兼ねている。
それよりも、
「ほらほら、みてみてー。本命は
見ての通り1×1の空間をポイントを使用して掘削。
そして、目の前にタペストリーを吊るして、そして、普通の「箱」を置く。もちろん、中には食べかけのリーンちゃん入り。
「ねー? 盲点でしょー。まさか、
ちなみに、リーンちゃんが入っているのは、どの段階でバレても全然問題なし。
むしろバレてほしいくらい。
いずれにせよ、生徒を捜しに来た彼らに開けない選択肢はないだろう。
……あとは簡単。
中身が魔物と気づいて遠距離から仕留めてもよし!
魔物と知らず近づいて箱を開けて中のリーンを見てびっくりするもよし!
どのみち、絶対に隙ができる。
そして、その隙の出来た獲物たちは、後ろに潜んでいる「私」には絶~対に気づかない。
そうして、無事リーンちゃんと再会を果たしたら──もう勝ったも同然。
奇襲からの膠着タイム。そして、入り口の槍罠起動までのコンボを決める数秒で勝負は決まりだ。
「──あ、ちなみに、この罠で一番頭を悩ませたのが、囮を何に使うかんだけどさー。その点リーンちゃんは、ホントいい仕事をしてくれたね」
うんうん。
実はあの後、吐き戻した消化未了のリーンちゃんなんだけど……予想通りゾンビ化しちゃった。
いや。最初は「これどーすんのー……」とか思ったけど、ピクピクしているリーンちゃんみて気づいたわけよ。
──あ、これ囮に使えるんじゃねーって。
「なにせ、まだ辛うじて面影があるし、服も帽子も残ってた。そりゃ、びっくりするよねー」
あはははー。
これがスケルトンやら、大人のゾンビだと、あまりうまくいかなかったと思う。
あいつら元気だし、パッと見では気づかない。なにより、ほっといたらヒョイヒョイとどっかに歩いて出て行ってしまうからね。
その点、リーンちゃんはマジで最適だった。
「チッコイし、半分溶けてたからうまく動けないみたいでさー。思った通りの囮になりましたー!」
まーこんな見え見えの囮じゃ、例の忍者軍団みたいなのは誤魔化せないだろうけどね。
ただ、
ばーか。
「──というわけでね。君らが必死こいて、囮の箱を壊してる、そのすぐ後ろで盾を構えて潜んでたってわけー。あはは、まさか罠の後に罠があるなんて思わないよねー」
心理的なんとかってやつ?
……知らんけど──。
「って、聞いてるー? 人が一生懸命話してるんだけどさー」
「ぎゃぁぁぁあ!」
「いやぁっぁあああ!」「開けろぉぉぉおお!!」
ガンガンガンッ!
……あはは。
「聞いてないし、それどころじゃないかー」
出血多量でクレイン先生はとっくに死んでるし、唯一実戦経験のありそうな冒険者は槍罠で串刺し中。
そして、残る先生ふたりも茫然としているし、子供たちは子供たちで大パニック──今も入口に殺到し、槍罠を壊そうと必死にピチピチ跳ねている。
おーおー!
活きがいい、活きがいい!
「うっまそ~♪」
──ジュルリ。
悲鳴を上げる生徒たちを見て思わず涎が垂れる。
……おっと、いかんいかん。
小さいのを踊り食いをしたいところだけど、まずは邪魔くさいのから仕留めないとねー。
「……しかし、君らマジで間抜けばっかだなー」
逃げてどーすんのー?
少しでも生き残りたいなら、戦えばいいのにー。
ま、戦っても雑魚には変わらんけどねー。
「それと、無駄無駄。そうみえても、槍罠はダンジョン産の罠だよー」
君ら程度の力で開くわけないじゃ-ん。
最低でも、戦士クラスじゃと壊せないじゃないかなー。
……知らんけど。
あと、聞いてなさそうだけど。
「ま、いっかー」
どうせ全部仕留めるし──じわじわ追い詰めよーっと。
「さーて、そうなると邪魔なのは、君ら二人だけだねー」
生徒たちから視線を切ると、目の前の教員をみる。
動揺1、負傷1──ってとこかな、楽勝楽勝!
「くっ! カーデル先生、どうしますか?!」
「か、回復中です。い、今しばらく──!」
はいはい。
君らアホですか?
相談してないでさっさと来なよ。
つーか、回復とかそんなん待つわけないでしょー。
「というわけで、仕留めるぞ──!」
──隙ありぃ!
「あがっ!」
ボケーと、後方で魔法か何かで傷を悠長に回復していたカーデル先生とやらの首を掻っ切らせてもらう。
前衛もなにもなく、ただ無防備に回復魔法に専念していたので、工夫も何もなく、いつもの舌撃&ミユちゃんナイフの一撃だ。
たったそれだけで、カーデル先生とやらが鮮血の中に沈む。
「…………よ、よえー」
え? ええー? 過去一弱くない?
防御どころか、躱すこともなく呆気なく絶命したぞ。
「カ、カーデル先生ーーーー?!」
いや、だからぁ。
…………ま、いっか。
「君も隙ありー!」
ドシュ!
そして、動揺したところを目の前にいる眼鏡がチャーミングなメリッサ先生とやらの胸にナイフの一撃を深々と叩き込む。
……つーか、隙ありもなにも、隙しかなかったわー。
「あ、がが……」
目の前で血に溺れていくメリッサ先生の最後をみながら、ヒュンヒュンと舌撃&ナイフを振り回して血ぶりする。
いや、マジよえーわ。
「まー。現役の冒険者じゃないからしょーがないかー」
残ったナイフの血をなめとり綺麗にすると、メリッサ先生が倒れて血に沈んでいくのを見送る。
最後に何か言いたげにしているが、もはや聞こえない。
辛うじて「せ、生徒だけでも……」みたいなことが聞こえた気がするけど、
え? まさか助けろって──冗談きっついぜー。
「────全部食うに決まってんじゃーん!」
44話目です
毎日12時ちょっと前に更新予定!
次回、
ミミック大歓喜! カーニバルが始まります。
お読みいただきありがとうございます。
是非とも『ポイント』『お気に入り』感想をよろしくお願いします!